介護保険サービスの自己作成(セルフプラン)は可能なの?詳細解説!

自己作成(セルフプラン)とはケアマネージャーではなく介護保険サービスの利用者自身や、その家族で居宅介護の計画を作成することをいいます。自己作成(セルフプラン)は、介護保険利用者の意向をより反映することができますが、自己作成のための手続きが面倒な一面もあります。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

目次を使って気になるところから読みましょう!

介護保険の自己作成(セルフプラン)に関しての情報まとめ

要介護認定を受けた方は、通常であれば居宅介護支援事業所を選択し、どのような介護サービスが必要か相談した後、ケアマネージャーに居宅介護(または介護予防)ケアプランを作成してもらいます。

しかし、ケアマネージャーではなく介護保険サービスの利用者自身や、その家族で居宅介護(または介護予防)の計画を作成するセルフプランも可能です 。


今回は、利用者自身で居宅介護(または介護予防)の計画を作成する方法、セルフプランを作成するメリット・デメリットをご説明します。




介護保険サービス計画の自己作成(セルフプラン)とは

介護保険サービス計画を利用者自身や、その家族がセルフプランとして作成することは可能です。

こちらでは、まず通常のケアマネージャーに依頼するケアプランの説明と、ご自分たちでセルフプランを作成する際の注意点を説明します。

そもそもケアプランとは

ケアプランとは、利用者が介護保険サービスを利用する場合、利用者本人にとってサービス内容の最適化を目的に作成する居宅サービス計画を言います。介護保険サービスを利用する場合には必ず作成しなければなりません。

ケアプランは基本的にケアマネージャーに依頼する

このケアプランは、基本的に専門の資格を有するケアマネージャー(介護支援専門員)が、利用者本人の心身の状況及び生活環境、介護保険サービス利用者本人・その家族の意向を尊重して作成します。

介護保険サービス計画の自己作成(セルフプラン)は可能だが大変

セルフプランを介護保険サービス利用者本人・その家族が作成することは可能ですが、自分たちだけでいろいろ介護保険サービスの内容を決定し、サービスを提供する事業所へ手配ができるというわけではありません。

まずは、居宅介護(または介護予防)サービス計画を自己作成する旨を保険者である市区町村へ申出て、サービス担当者会議による検討や調整を行いつつ、サービス計画を完成することになります。


そのため、非常に手続きに手間がかかり、また介護保険サービス利用者本人・家族は専門家ではないため、スムーズに計画の作成が進むとは限りません。

ケアマネージャーにケアプラン作成を依頼した場合のプラン料はいくらか

ケアプランでは、介護保険サービスの種類や利用日時、回数、利用料金などの組み合わせを考えることになりますが、その費用負担は全額介護保険で賄われるので無料です。

自己作成(セルフプラン)をする方法

こちらでは自己作成(セルフプラン)をする方法について説明します。


要介護の自己作成(セルフプラン)の流れは次の通りです。

  1. 保険者である市区町村へ自己作成(セルフプラン)の申出(届出)
  2. 居宅サービス計画書を作成
  3. サービス担当者会議の実施
  4. 問題が無ければ、計画書の合意・配布
  5. 介護保険サービス利用の前月にサービス利用票・提供票を作成 
  6. 利用前月に市区町村による利用票の確認
  7. 利用前月に提供票をサービス事業所へ送付
  8. 利用月末~利用翌月初めに事業所よりサービス利用の実績報告
  9. 原則として利用翌月5日までに市区町村へ利用実績の報告
  10. 市区町村で給付管理

以下では手続きの詳細を説明します。

市区町村に自己作成(セルフプラン)することを届け出て必要書類を貰ってくる

市区町村に自己作成(セルフプラン)することを告げると、概ね次のような書類が渡されます。

  • 居宅(介護予防)サービス計画作成依頼(変更)届出書
  • (介護保険サービス)利用者基本情報
  • 課題分析表(アセスメントシート) 
  • 居宅サービス計画書
  • サービス利用票(兼居宅サービス計画)およびサービス利用票別表
  • サービス提供票およびサービス提供票別表 
  • 居宅サービス計画標準様式及び記載要領

関係者や専門家と十分に相談・検討しながらケアプランを作成する

必要書類を受け取ったからと言って、いきなり利用者本人が作成し始めるのではなく、家族はもちろんのこと、主治医や看護師、ヘルパー、ヘルパー事業所管理者、作業療法士、理学療法士等、利用者にかかわるできるだけ多く専門家に集まってもらい、プランについて話し合いましょう。

介護保険サービスの有効利用のために、介護に関係する専門家の意見は必須といえます。

サービス事業者を選んで直接依頼・契約する

自己作成(セルフプラン)となりますので、ケアマネージャーをはさまずに、直接、事業者に依頼、契約という形になります。

そのため、訪問介護、訪問看護、デイサービス等のサービス事業所(社会福祉法人・NPO) とケアについての意見交換を積極的に進め、より利用者の意向に合った事業者を選びましょう。

ケアプランを書き込んだ書類を市区町村に確認してもらう

作成した必要書類(サービス利用票及び別表・サービス提供票及び別表、居宅介護サービス計画表)を市区町村窓口(概ね担当窓口は介護保険関係の部署)に提出します。

市区町村が確認し、問題が無ければ受付印を押印して返却(居宅介護サービス計画の場合、「保険者確認印」へも押印)されます。

サービス開始後は事業者と密に連絡調整して意思疎通を図り、本人の意思に沿った生活がおくれるようにする

各手続き後に、いよいよ介護保険サービスが利用できるわけですが、サービス開始後はヘルパーのやり方、考え方の行き違いのような問題も出てくる場合があります。

そのため、利用期間中はサービス事業所との連絡調整を行いトラブルが無いように、利用者本人の意思に則った快適な介護サービスを利用できるように心がけましょう。

介護保険サービスの自己作成(セルフプラン)のメリット・デメリット

こちらでは、介護保険サービスの自己作成(セルフプラン)をする上で、利用者本人・その家族のメリットになる場合や、デメリットになる場合を説明します。

メリット1.介護保険について深く理解できる

前述したように、セルフプランは利用者本人・その家族だけで作成するのではなく、いろいろな介護の専門家の意見をきいて完成させていくことになります。

そのため、介護保険の現状や介護保険サービスの特徴等を深く知ることができ、介護保険全般についての理解が深まります。

メリット2.サービス事業者と直に交渉することができるので予定の変更が迅速にできる

ケアマネージャーを介さずにサービス事業者と利用者本人・その家族が直接交渉できるため、より利用者の意思をダイレクトに伝えることができ、サービス利用に関する予定の変更が迅速にできます。

デメリット1.ケアマネージャーに依頼するより手間がかかる

利用者本人・その家族は介護に関して、専門家ほどその知識を有していない場合がほとんどです。そのため、提出書類の書き方に手間取り、ケアマネージャーに頼むよりも手続きがスムーズに進まない事態が想定されます。

自己作成(セルフプラン)していて疑問点や悩みがあれば、「地域包括支援センター」に質問してみるのも有効な方法です。


こちらは、地域の医療・介護・福祉に関する情報が集約されている場所であり、保健師・社会福祉士・主任ケアマネージャー等の専門職がいるので、適切なアドバイスが期待できます。

デメリット2.素人の思い込みプランになってしまうことがある

前述したように利用者本人・その家族は介護の専門家ではないため、「このサービスは必要ない。」と勝手に判断したり、「サービスは多いほど良い。」と考えて不必要なサービスまで追加したプランを作成したりすることも想定されます。

要支援・要介護度によって受けられる介護保険には限度があります。効率の良い介護サービスを受けるためには、しっかりと医師・保健師・作業療法士等の専門家の意見を聞いて計画を立てましょう。

まとめ

自己作成(セルフプラン)は手間がかかるものの、より利用者本人・その家族の意向を反映することが可能です。

要支援・要介護認定を受けた際には、自分たちでプランを考えてみるのも快適な介護サービスを利用するための方法といえます。

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