介護保険の仕組み。要支援・要介護の判定はどのように行われる?

要介護・要支援の判定基準。判定を受けた場合、受けられるサービスは大きく分けて3つある。心配な費用、介護保険料から費用はどのくらい支払われる?自己負担額1割で介護サービスを受けられる。介護保険は将来の自身のために納めましょう。

介護保険の要介護認定の判定について

日本では、介護保険料を40歳以上の方すべてに支払い義務があります。介護保険料を納めることで、判定を受けたのち要介護・要支援状態になったときに支援を受けることができるようになります。


40歳未満の方は、介護保険料を納めていないので、判定基準を満たしていたとしても保護を受けることはできません。

要介護と要支援

介護状態には、要介護と要支援の2種類あります。
  • 要介護

日常生活を送るにしたがって、支障をきたす場合や日常生活が介護なしでは送れない場合などに、要介護の認定を受けることができます。


要介護状態は、1~5までの5段階に分けられており、役所に申請を出し判定を受け、認められた場合に受けることができるサービスです。


  • 要支援

日常生活を送ることに不便を感じ、介護の必要はないが、将来的に介護が必要となる場合に、要支援の認定を受けることができます。

要支援状態は、2段階に分けられ、役所へ申請書を提出し、判定を受け認められた場合に受けることができるサービスです。


介護保険の要介護、要支援認定の判定基準

それでは、どのような場合に認定を受けることができるのか、判定基準をお伝え致します。


判定の基準は大きく分けて5つに分かれます。

  1. 直接生活介入
  2. 間接生活介入
  3. 問題行動関連行為
  4. 機能訓練関連行為
  5. 医療関連行為
この判定基準を満たした場合、要介護・要支援を受けることができます。

要介護・要支援を判定する際、介護保険料から支給されるので日本中どこに住んでいても、判定に相違がないよう「介護認定審査会」にて判定されているようです。

直接生活介入

  • 入浴をすることが困難、また介護が必要

足が不自由な場合など、1人で入浴することが困難とされた場合


  • 排せつの際、介護を必要とする、また支援が必要

手が不自由で、排せつ後の処理をすることが困難な場合


  • 食事などに介護が必要

箸やスプーンをうまく使うことができす、食事などにも支障をきたす場合

間接生活介入

  • 洗濯

・洗濯機を回すことが困難な場合や、回せても干すことができない場合、毎日着る洋服がなくなってしまうことが予測できます。そんなとき、代わりに洗濯をしてもらうことができます。


  • 掃除

家の中の掃除をするのに支障があり、散らかっていても掃除ができない状態の場合、掃除をしてもらうことができます。


  • 家事援助

皿洗いなど、食事後の後片付けなどができない状態の場合、家事の支援を行ってもらうことができます。

問題行動関連行為

  • 徘徊に対する探索

認知症の方は、自分の意思とは異なり徘徊してしまうことも考えられます。普段は、落ち着いていても突然夜中に徘徊するケースもよくあります。


徘徊した際、家族で探すこともできますが、毎回探していては、仕事などにも支障をきたします。その際、代わりに探してもらえるので助かりますね。


  • 不潔な行為に対する後始末等

着替えをしないなど、衛生的に問題のある行為をサポートしてくれます。

機能訓練関連行為

  • 歩行訓練

老化するにつれ、足がいうことを効かなくなり次第に歩行にも支障をきたす場合もあります。歩行訓練を受けることで、自立歩行ができる期間を延ばすことが望まれます。


  • 日常生活訓練等の機能訓練

その他日常生活を送るにあたり、不便な思いをしている方へ日常生活訓練も行っているようです。自立心が高い方は、できるだけ自分で身の回りのことをしたいと思われているようです。この訓練を受けることで、自ら行えることが増えそうです。

医療関連行為

  • 輸液の管理

  • じょくそうの処置等の診療の補助
自ら病院へ行くことができない場合、医師や看護師が自宅を訪問し、診療を行うことも可能です。

介護保険の要支援、要介護認定の状態判定

要支援、要介護の認定はどのように判定されるのかをお伝えします。まず、判定は「一次判定」と「二次判定」に分かれていることを覚えておきましょう。


  • 一次判定

要介護認定は、市町村の認定を受けた調査員によって心身の状況の調査と、主治医意見書に基づいてコンピュータで判定を行います。




  • 二次判定

保健・医療・福祉を専門とする組織(介護認定審査会)によって、一次判定結果、主治医意見書に基づいて判定を行います。


一次判定・二次判定の結果に基づいて、市町村が要介護認定を行う流れとなっています。

要支援・要介護を受けることにより、介護保険から費用が支払われる仕組みとなっています。公正な判定がなされているようです。

自立(非該当)状態

市町村へ要介護申請をした結果、介護を受けられない場合もあります。そのような方を「自立状態」といいます。

自立状態の例をあげると、認知症と診断された場合でも薬の飲み忘れや、軽度の物忘れ、家族の支援により自立して生活を行うことができる状態のことです。


この自立状態の方は、地域支援事業によるサービスや、保健福祉サービスを利用することができます。内容として、先々介護が必要になると思われる方へ、要支援・要介護状態となることを防止しようという取り組みを行います。


また、自立状態から支援・介護が必要となった場合、再度市町村へ申請を出すことが出来ます。

要支援状態

要支援とは、現在介護は必要としないが、将来的に介護が必要になるだろうとされる方へ、今のうちから介護支援をするといったものです。

要支援は、1~2段階にわかれています。1が軽い状態で、続いて2になります。要支援を受けているにも関わらず、介護が必要となった場合、要介護の申請を出すことができます。

介護状態になる前に、適切な支援をすることで、介護予防となるので不安がある方は申請を出してみましょう。


要介護状態

身の回りのことを行う際、周りの手を借りなければ支障がでる場合に要介護状態と認められます。

要介護状態は、段階が1~5まで分かれています。要介護1が最も軽い状態で、数字が大きくなるにつれ、日常生活でほぼ介護が必要になります。

要介護、要支援状態の特徴

介護保険によって利用できる介護サービスは、大きく3つに分かれています。
  • 訪問看護

ホームヘルパーの訪問により、在宅でサービスを受けることができます。家事の代行や、身の回りの介護・支援などです。


  • 通所系サービス

デイサービスなど、自らが出向くサービスもあります。デイサービスへ自分で行くことが出来ない場合も想定されます。そのような方には、送迎をしてくれる施設もありますので、入所する際聞いてみましょう。



  • 訪問看護

医師の指示の元、保険師・看護師などによる世話や診療を受けることができます。小さな診療所や個人病院など、訪問看護を行っている病院もあります。


介護保険により、体が不自由になった場合でも病院へ出向くことなく診療を受けることができます。


判定を受けた要支援・要介護状態の度合いによって、利用できる介護サービスは異なりますので、判定を受けた度合いで、どのような介護保険サービスを受けることができるのか、前もって確認しておきましょう。 


要支援1,2


  • 要支援1 

日常生活を送る上で基本的な動作については、ほとんど自分で行うことができますが、要介護状態へ進行することを防ぐために、支援が必要な状態



  • 要支援2

要支援1と比べて、日常生活を送る上で基本的な動作を行う能力がわずかに低下し、その状態の維持や改善のために、支援が必要な状態


要支援と判定を受けた際、介護保険によりサービスを受けることが出来ます。サービスを受けるにあたって費用の心配が出てくるでしょう。しかし、介護保険によりサービスの9割(8割)は公的介護となり、自己負担は1割(2割)で受けることができます。

要介護1~5

  • 要介護1

日常生活を送ることができるが、部分的に介護が必要


  • 要介護2

要介護1に加え、歩くことや食事をする際などにも部分的に介護が必要



  • 要介護3

日常生活で、ほとんど介護が必要(認知症の場合、問題行動が起こる)



  • 要介護4

生活全般で介護が必要



  • 要介護5

介護なしでは日常生活を送ることができない 



要介護1~5までで、介護保険支給限度額が決められています。約16万円~約35万円と、1ヶ月での支給額が段階により支給されます。


また、介護サービスを受けるにあたり自己負担額も決まっています。介護保険より9割(8割)負担してもらうことができますので、介護保険分を差し引いた残りの1割(2割)約1万5,000円~3万5,000円ほどで、サービスを受けることができるようです。


介護保険により、自己負担額が減り安心してサービスを受けることができます。


まとめ

40歳以上から納めることとなっている介護保険料。若いうちは、「介護保険料なんて」と思われる方もいるでしょう。しかし、自身が支援・介護を必要とするようになった場合、とても助かる制度です。

介護保険料は、将来の自分のためだと思い納めましょう。そうすることで、将来安心して介護サービスを受けることができます。

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