介護保険の要介護度によって、利用できるサービスが違ってくる?

介護保険でサービスを利用したい時「要介護認定」で要介護度を決める必要があります。また、介護保険では要介護度によって一月に利用できるサービス量や金額がきめられています。要介護度別の身体状態や利用できるサービス・金額などをまとめました。

介護保険の要介護度と要支援度


年を取るにつれ体が思うように動かなくなったり、物忘れが増えたり、これまでご自分で出来ていたことが少しづつ難しくなると、そろそろ介護が必要になるかもしれない、と考えることはないでしょうか。


日本には、40歳以上ならだれでも加入する介護保険制度があります。

介護保険制度では、介護が必要な状態と認められると1,2割の負担で介護サービスを受けることが出来ます。

介護保険を受けるには要介護認定が必要である

介護保険で介護サービスを利用したい場合、「はい、じゃあすぐ明日からデイサービスに通いましょう」という具合に簡単に利用できるものではありません。

介護保険制度を利用する場合は、あらかじめ「要介護・要支援認定」の申請を行い、要介護度・要支援度を決めておかなければ介護サービスを利用することが出来ません。


では、簡単に要介護認定の結果が出るまでの流れをご説明します。



  1. お住いの市町村窓口で要介護認定申請を行います
  2. 自宅等に調査員が来て、生活状況や身体の具合など生活全般について聞き取り調査を行います
  3. 市町村からかかりつけ医へ、健康状態や治療中の疾病について調査書を提出するように依頼があります。
  4. 調査員による結果と主治医から提出された調査書をコンピューターに掛けます(一次判定)
  5. 一次判定の結果をもとに、保健・医療・福祉の有識者が集まる「介護認定審査会」でどの程度介護が必要な状態なのか?を審査します。
  6. 審査の結果をふまえて、市町村が要介護度の認定を行います。



要介護度の基準となる二つの言葉を理解しよう

要介護度を決める上で大切な事は、日常生活をどのように過ごしているか?ということです。誰かの手助けが必要なのか?どの程度自分で出来る部分があるか?という点を要介護度の判定基準に照らし合わせながら判断します。

介護保険における要介護度の判定基準となる二つの言葉「ADL」「IADL」について知っておくと、判定結果が出た時に「なぜこの要介護度が出たのか」が理解できます。


ADLとは

普段私たちが何気なく行っている日常の動作、ご飯を食べる、お風呂に入る、トイレで用を足す、着替える、起きたり座ったり、という動作をADL(日常生活動作)といいます。

この生活を送る上で基本となる動作が、一人で出来るのか?それとも誰かが手伝ってあげているのか?もしくは全く自分一人では出来ないのか?という視点で調査を行います。


IADLとは

ADLに「I」をつけると、手段的日常生活動作となります。

手段的とは、ADL(日常生活動作)よりもさらに複雑な動作が必要になったり自分で考えながら目的を持って行う行為や行動です。


例えば、調理・洗濯・買い物・掃除などの家事、通帳や財布などでお金を管理すること、バスやタクシーを利用して外出する、などを普段から行っているかが調査の対象となります。


「ADL」と「IADL」は高齢者の自立度をはかる上で大事な視点となります。ADLが低下している、という事は何らかの介護が必要な状態、要介護度が高いと言えます。

要介護度、要支援度別の身体状態の目安


要介護認定の結果で出される要介護度には大きく分けて「要介護」「要支援」に区分されます。

要支援はある程度身の回りのことは自立している場合が多く、要介護度の数字が上がるにつれて生活場面の多くで介護が必要な状態となります。

要支援1

身の回りのことは自分ででき、介護は必要ないが少し見守りや手助けが必要

要支援2

身の回りのことに見守りや手助けが必要で、歩行、立ち上がりなどに支えが必要とすることがある。

要介護1

要介護1は身の回りのことや起居動作などは要支援1と同じですが、以下の2つに該当する場合は要介護1とします。

  • 病気や怪我などにより心身の状態が安定していない状態
  • 認知機能や思考・感情等に障害があり、介護予防サービスの利用について理解が難しい場合

要介護2

ADL全般において何らかの介助が必要。

問題行動や理解力の低下がみられることがある

要介護3

IADL、ADLともに自分一人では出来ない

全般的な理解力の低下、いくつかの問題行動がみられることがある

要介護4

IADL、ADLともにほとんど行えず介護が必要

全般的な理解力の低下や多くの問題行動がみられることがある

要介護5

IADL、ADL全般に介護が必要

全般的な理解力の低下や多くの問題行動がみられことがある


要介護度、要支援度別の介護保険サービス

介護保険では、要介護度・要支援度によって利用できるサービス量が決められています。

これを「区分支給限度額」と言い、在宅で生活を送る方はこの限度額内にサービスの利用量がおさまるように調整しなければなりません。

区分支給限度額を超えて利用したサービスについては、すべて自己負担となりますので注意が必要です。


以下の要介護度ごとにあげているサービス利用料金は平均的な基本料金です。このほかに様々な加算が付く場合があります。

また、例に挙げている介護サービス以外にも施設サービスや住宅改修などがあります。

要支援1

1カ月の支給限度額は50,030円(地域によって差があります)

そのうち、1割もしくは2割を自己負担します。


(利用できる介護保険サービスの例)

デイサービスやデイケア/週1回 

訪問介護/週1回 

ショートステイ/月に2日(食費・滞在費は自己負担です) 

要支援2

1カ月の支給限度額は10,4730円(地域によって差があります)

 そのうち、1割もしくは2割を自己負担します。 

(利用できる介護保険サービスの例) 

デイサービスやデイケア/週2回 

訪問介護/週2回 

ショートステイ/月に5日程度 (食費・滞在費は自己負担です)


福祉用具レンタル(歩行器や杖など)

要介護1

1カ月の支給限度額は166,920円(地域によって差があります) 

そのうち、1割もしくは2割を自己負担します。 


(利用できる介護保険サービスの例)

デイサービスやデイケア/週3回 

訪問介護/週3回   

ショートステイ/3月に1週間程度 (食費・滞在費は自己負担です)

福祉用具レンタル(歩行器や杖)

要介護2

1カ月の支給限度額は196,160円(地域によって差があります) 

そのうち、1割もしくは2割を自己負担します。

(利用できる介護保険サービスの例) 

デイサービスやデイケア/週3回  

訪問介護/週3回  

 ショートステイ/3月に1週間程度 (食費・滞在費は自己負担です)福祉用具レンタル(歩行器や杖)


要介護3

1カ月の支給限度額は269,310円(地域によって差があります) 

そのうち、1割もしくは2割を自己負担します。

(利用できる介護保険サービスの例)

デイサービスやデイケア/週3回  

訪問看護/週1回 

訪問介護/週2回

ショートステイ/2月に1週間程度 (食費・滞在費は自己負担です) 福祉用具レンタル(車いすやベッド)


要介護4

1カ月の支給限度額は308,060円(地域によって差があります) 

そのうち、1割もしくは2割を自己負担します。 


(利用できる介護保険サービスの例) 

デイサービスやデイケア/週3回 

訪問看護/週2回

訪問介護/週3回 

夜間対応型訪問介護/毎日

ショートステイ/2月に1週間程度 (食費・滞在費は自己負担です) 福祉用具レンタル(車いすやベッド)

要介護5

1カ月の支給限度額は360,650円(地域によって差があります)  

そのうち、1割もしくは2割を自己負担します。 


(利用できる介護保険サービスの例) 

デイサービスやデイケア/週2回  

訪問看護/週2回 

訪問介護/週5回 

夜間対応型訪問介護/毎日 

ショートステイ/1月に1週間程度 (食費・滞在費は自己負担です) 福祉用具レンタル(車いすやベッド)

訪問診療/1月に2回

まとめ

公的介護保険制度は、要介護認定を受けることによってどの程度介護が必要なのかが分かり、要介護度に合わせて毎月利用できる介護サービスの回数や種類が異なります。


一人ひとりが望む「なりたい生活」は千差万別です。

病気をしても、物忘れがひどい状態であっても「その人らしい自立した生活」を送ることが出来るように介護保険サービスを上手に利用しましょう。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

ランキング