更新日:2018/01/31
介護保険サービス自己負担割合が2割負担に!?家計への負担が心配
これまで介護保険の利用者負担割合は1割でしたが、制度改正により一定の要件を満たす方の自己負担割合が2割負担へと引き上げられました。介護保険サービスをこれまでのように利用した場合、自己負担が2割負担の場合家計への影響はどうなるのか、改正内容を見ていきましょう。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 介護保険料の2割負担に関する情報まとめ
- 介護保険の2割負担はいつから導入されたのか
- 介護保険の自己負担割合が2割負担になる対象者の2つの条件
- 65歳以上の方で本人の前年の合計所得金額が160万円以上
- 前年の年金収入と前年のその他の合計所得額が一定の基準以上
- 介護保険を利用した福祉用具・住宅改修の自己負担割合
- 介護保険の福祉用具・住宅改修で利用できるサービス
- 福祉用具・住宅改修の費用は2割負担(もしくは1割負担)で8割(9割)が払い戻される
- 高額介護サービス費を利用すれば2割負担でも家計面への影響は最小限になる
- 高額介護サービスの利用対象者の第1段階から第4段階とは
- 高額サービス費による自己負担上限額
- 2018年の制度改正案によって一部2割負担者は3割負担になる
- まとめ
目次
介護保険料の2割負担に関する情報まとめ
そして改定の一つとして、介護保険制度の財源不足の解消のために「一定以上の収入がある利用者の介護サービス費自己負担分を引き上げる」ということになりました。
これは、高齢者でも経済力のある方には応分の負担をしてもらおうという声が介護保険部会で上がったからです。
これまで介護保険料の滞納がある場合などを除き、介護保険サービス利用者の自己負担割合は『1割負担』でしたが、介護保険制度改定により、一定以上の所得がある方の自己負担割合が『2割負担』へと引き上げられることになりました。
介護保険の2割負担はいつから導入されたのか
これまでは介護保険サービスの利用者負担はサービス費のうち1割負担となっていたものが、2割負担の2倍へと費用負担が重くなることから、対象となる方にとってはこれまでの介護サービスが同じように受けられるのか、費用の面で頭を抱えることになりました。
2015年の8月より介護保険サービス費が「2割負担」となる対象者について説明していきましょう。
介護保険の自己負担割合が2割負担になる対象者の2つの条件
自己負担割合が2割負担となる対象者は65歳以上の方で、40歳以上65歳未満の方は1割負担のままです。
65歳以上の方で本人の前年の合計所得金額が160万円以上
65歳以上の方で、この本人の前年の合計所得が160万円以上の場合、介護サービス費の自己負担が2割負担となる対象要件の一つに当てはまります。
前年の年金収入と前年のその他の合計所得額が一定の基準以上
前年の年金収入と前年のその他の合計所得金額の合計が、同じ世帯に65歳以上の方が1人の場合280万円以上、65歳以上の方が2人以上の場合は346万円以上であれば2割負担の対象要件となり、上記の前年の合計所得金額が160万円以上という要件とともに該当した場合、介護サービス費の自己負担割合が「1割」から「2割」へと引き上げられます。
介護保険を利用した福祉用具・住宅改修の自己負担割合
そして介護保険サービスで行える住宅改修とは、要介護(要支援)者が居宅で転倒などのリスクを避けることができるよう、また住み慣れた居宅で自立した日常生活を営むことができるように住宅改修を行い、その費用を支給するというものです。
これらの福祉用具貸与・販売、そして住宅改修は介護保険の給付対象となっており、保険給付は各販売業者の福祉用具の価格・各住宅改修業者の費用によって変動し、実際にかかった費用が保険給付される仕組みになっています。
福祉用具・住宅改修サービスにはそれぞれ介護保険での支給限度額が定められており、限度額内で利用したサービス費のうち、自己負担割合は1割負担(または2割負担)となります。
介護保険の福祉用具・住宅改修で利用できるサービス
- 車いす(付属品含む)
- 手すり
- 歩行器
- スロープ
- 歩行補助つえ
- 移動用リフト(つり具の部分を除く)
- 床ずれ防止用具
- 特殊寝台(付属品含む)
- 体位変換器
- 認知症老人徘徊感知器
- 自動排せつ処理装置
肌が直接触れるような以下の用具については、貸与ではなく『販売』という形でサービスを提供しており、福祉用具の購入費が保険給付されます。
- 腰掛便座
- 自動排せつ処理装置の交換可能部品
- 入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台、浴室内すのこ、入浴用介助ベルト)
- 簡易浴槽
- 移動用リフトのつり具の部分
次に、介護保険の住宅改修で利用できるサービスについてです。
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 滑り防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材質の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便所への取替え
- その他改修に付帯して必要な住宅の改修
福祉用具・住宅改修の費用は2割負担(もしくは1割負担)で8割(9割)が払い戻される
福祉用具貸与の場合、サービス費の9割(または8割)は現物給付となります。
福祉用具の購入は、都道府県が指定した福祉用具販売事業者から購入したものに限り保険給付の対象となります。
近所のお店で販売していたからと購入し、福祉用具購入の保険給付の申請を出しても、その販売店が都道府県の指定でなければ保険給付は受けられませんので注意が必要です。
福祉用具の購入前には介護支援専門員などに相談し、必ず指定販売事業者の確認をしましょう。
保険給付の上限額は、要介護(要支援)認定を受けている方であれば要介護度に関わらず、年間10万円を上限に支給されます。
そして住宅改修での費用の保険給付は、利用者の住民票の住所(介護保険被保険者証に記載された住所)にある住宅での自宅改修が支給対象となります。
保険給付の上限額は、要介護(要支援)認定を受けている方であれば要介護度に関わらず、かかった費用の累計額20万円を上限に支給されます。
住宅改修の保険給付は、利用者が最初の住宅改修着工日よりも要介護状態区分が3段階以上重くなった場合や、転居した場合には、改めて上限額20万円までの住宅改修費が支給されます。
しかし、住宅改修は上限額の20万円を超える場合が多く、上限額を超えた分は全額自己負担となってしまいますが、市町村によっては独自の住宅改修補助制度を設けている場合もありますので、介護支援相談員や各市町村に相談してみましょう。
また、福祉用具の購入と住宅改修の費用は先にいったん全額支払うことになり、その後市町村に申請することによって定められた上限額内で負担した費用のうち9割(または8割)が払い戻されます。
高額介護サービス費を利用すれば2割負担でも家計面への影響は最小限になる
この自己負担上限額は個人の所得や世帯の所得、課税状況で段階別に分けられています。
高額介護サービス費を受けるためには、各市町村へ申請をしなければなりませんが、介護費用が家計を圧迫している方や、自己負担が2割負担へと増額された方の費用負担軽減となる制度です。
介護費用が家計に影響している方は、申請をしてみることをおすすめします。
高額介護サービスの利用対象者の第1段階から第4段階とは
自分がどの区分に当てはまるのかをきちんと確認しておかなければなりません。
利用者負担上限額は個人や世帯の所得や課税状況により第1段階から第4段階に分けられています。
高額サービス費による自己負担上限額
- 第1段階・・・生活保護受給者の方、老齢福祉年金受給者の方、市民税非課税世帯で本人の合計所得金額および課税年金収入額の合計が80万円以下の方は15,000円
- 第2段階・・・市民税非課税世帯で、第1段階に該当しない方は24,600円
- 第3段階・・・市民税課税世帯で、現役並みの所得以下の方は37,200円(2017年8月からは44,400円)
- 第4段階・・・現役並みの所得がある方は44,400円
現役並みの所得がある方とは、世帯に課税所得145万円以上の65歳以上の方がいて、単身の場合383万円以上、65歳以上の方が2人以上いる世帯の場合520万円以上の収入がある世帯のことです。
また、第3段階の方は2017年8月より自己負担上限額が37,200円から44,400円へ引き上げられますが、同じ世帯の65歳以上の方の利用者負担割合が1割負担の世帯に限り、3年間の期間限定の措置として年間446,400円(37,200円×12ヶ月)の上限が設けられています。
2018年の制度改正案によって一部2割負担者は3割負担になる
以前は介護保険サービス利用者の自己負担割合は全員「1割負担」でしたが、2015年8月からは一定以上の所得のある利用者は「2割負担」に、そして2018年の改正では「2割負担」となっている利用者のうち、現役並みの収入がある方は自己負担割合が「3割負担」になります。
この現役並みの収入の基準となるのは、単身世帯の場合≪年金収入とその他の所得金額の合計が340万円以上≫≪年金収入のみの場合は344万円以上≫となり、夫婦世帯の場合≪年金収入とその他の所得金額の合計が463万円以上≫となります。
3割負担になると見込まれているのは約12万人で、全体のおよそ3%の方が該当します。
また、3割負担の対象者は65歳以上の第1号被保険者で、40歳以上65歳未満の第2号被保険者は収入に関わらず1割負担のままです。
まとめ
介護が必要な高齢者が増え、介護保険制度の運営は財政の確保に躍起になっています。
私たちもこれから必要となってくる介護費用を備えておくことが大切です。
また、3年に一度改正される介護保険制度の動きもきちんと理解し、利用できるサービスや制度をうまく活用していくようにしましょう。