更新日:2018/01/27
介護保険の自己負担額はどの位なの?各ケースの自己負担額を解説!
介護保険サービスの自己負担割合は、介護保険認定を受けた方が、どの位の収入をもらっているのかという経済状態、同じ世帯で65歳以上の人数が何人なのかという家庭環境でも自己負担割合は異なります。また、近い将来介護保険法が改正され更なる負担増が予想されます。
目次を使って気になるところから読みましょう!
介護保険の自己負担に関する情報まとめ
介護保険の被保険者は、65歳以上の方(第一号被保険者)と40歳~64歳の方(第2号被保険者)が対象となります。
ただし、誰しも65歳以上になれば、無条件に介護保険サービスが受けられるわけではありません。
介護保険サービスを受けるためには、市町村に介護保険認定申請を行い要支援または要介護認定を受けることが必要です。
また、介護保険認定申請を受けても、自己負担割合は認定を受けた方の要支援・要介護度、経済状況・家庭環境等によって異なる場合があります。
そこで今回は、介護保険サービスの自己負担額を説明します。この記事を読めばケース毎に自己負担割合が異なること、認定を受けた本人やそのご家族が、介護保険サービスの自己負担額の目安についておわかりになることでしょう。
介護保険サービス利用時の自己負担割合
こちらでは、各ケースにおける自己負担割合について説明します。
介護保険の自己負担割合は基本1割
その後、介護保険サービスを提供した事業者が、介護保険の保険者である市区町村へ費用の9割の請求を行います。これを「代理受領方式」と呼びます。
介護保険の2割負担判定基準
2割負担判定基準は下表の「1」と「2」の両方にあてはまる場合です。
2割負担判定基準 | 内容 |
---|---|
1 | 65歳以上の方で利用者本人の前年の合計所得金額(※1):160万円以上 |
2 | 前年の年金収入と前年のその他の合計所得金額(※2)の合計が次の通り ①同一世帯の65歳以上の人数が1人のみの場合:280万円以上 ②同一世帯の65歳以上の人数が2人以上の場合:合計346万円以上 |
(※1)合計所得金額・・・収入より公的年金等控除・給与所得控除・必要経費を控除した後、基礎控除および人的控除等の控除をする前の所得金額を指します。
(※2)その他の合計所得金額・・・合計所得金額より年金の雑所得を引いた所得金額を指します。
福祉用具購入費・住宅改修費の自己負担割合
- 福祉用具購入費(介護保険利用限度額:年間10万円)
市町村より福祉用具販売の指定を受けている事業所から福祉用具を購入した場合が対象です。必ず事前にケアマネージャーと購入について相談し、購入後に市町村窓口へ支給申請しましょう。1割自己負担の方は9万円、2割自己負担の方は8万円が支給限度額です。
[対象となる福祉用具]
①腰掛便座(便座の床上げ部材含)
②特殊尿器(自動排せつ処理装置含)
③入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用の手すり等)
④簡易浴槽
⑤移動用リフトのつり具部分
※なお、同一品目は原則1回のみ保険対象なります。
- 住宅改修費(介護保険利用限度額:同一住宅20万円)
市町村へ登録している業者から工事を受けることが必要です。介護保険サービスの対象になるには、事前にケアマネージャーと改修について相談し、工事施工前に市町村窓口へ申請し、その承認を経ることが必要です。1割自己負担の方は18万円、2割自己負担の方は16万円が支給限度額です。
[対象となる住宅改修]
①手すり取り付け工事
②住宅の段差や傾斜の解消
③滑りにくい床材・移動しやすい床材へ変更
④扉の撤去や開き戸から引き戸等へ扉の取り替え工事
⑤和式から洋式へ便器の取り替え工事
⑥その他、必要な工事
世帯分離をした場合の自己負担額
世帯分離には、親とその子が同じ家に暮らしている世帯では、子が親から独立して単独世帯になるという場合が該当します。しかし、この場合でも無理に別居する必要はなく、子はそのまま親と同じ家に住んで構いません。
「高額介護サービス費」の自己負担額は世帯の所得に応じて決定されます。この費用は介護される利用者本人の収入のみならず、世帯全体の所得の合算により決められます。
そのため、収入が高い人を世帯分離することで、世帯全体の所得を抑え、介護保険サービスの自己負担の上限額を軽減することが期待できます。
高額介護サービス費については後述します。
生活保護受給者の方の自己負担割合
- 65歳以上の方(第一号被保険者)
公的医療保険の加入の有無にかかわらず無条件に被保険者となります。つまり、生活保護受給者も介護保険の被保険者となり、保険料を支払うことになります。ただし、その保険料は生活保護費の内、生活扶助費により賄わることになります。
また、介護認定をうければ介護保険サービスの1割負担となりますが、介護保険サービスを受けた場合に支払う一部負担金は生活保護費の内、介護扶助費で賄われます。
- 40歳から64歳までの方(第二号被保険者)
本来なら第二号被保険者も保険料を支払いますが、公的医療保険に加入していない生活保護受給者は、介護保険の被保険者にはなりません。そのため、介護が必要になる場合、介護費用は生活保護費の内、介護扶助費で賄われます。
介護保険サービスの自己負担額と自己負担限度額
介護保険サービスの支給上限額を超えてサービスを受けることも可能ですが、支給上限額を超えた分は利用者の自己負担となります。
要支援1~要介護度5までの支給限度額と自己負担限度額
要支援・要介護度 | 支給限度額(1ヶ月) | 1割自己負担額 | 2割自己負担額 |
---|---|---|---|
要支援1 | 50,030円 | 5,003円 | 10,006円 |
要支援2 | 104,730円 | 10,473円 | 20,946円 |
要介護1 | 166,920円 | 16,692円 | 33,384円 |
要介護2 | 196,160円 | 19,616円 | 39,232円 |
要介護3 | 269,310円 | 26,931円 | 53,862円 |
要介護4 | 308,060円 | 30,806円 | 61,612円 |
要介護5 | 360,650円 | 36,065円 | 72,130円 |
介護保険施設の自己負担限度額(上限額)
施設 | [第1段階] ①老齢福祉年金受給者の方で、世帯全員が住民税非課税の方、②生活保護受給されている方が対象 | [第2段階] 世帯全員が住民税非課税で、本人の課税年金収入額と合計所得金額と非課税年金収入額の合計額が年額80万円以下の方が対象 | [第3段階] 世帯全員が住民税非課税で、本人の課税年金収入額と合計所得金額と非課税年金収入額の合計額が年額80万円を超える方が対象 | [第4段階] 住民税課税世帯の方が対象 |
---|---|---|---|---|
ユニット型個室 | 820円 | 820円 | 1,310円 | 1,970円 |
ユニット型準個室 | 490円 | 490円 | 1,310円 | 1,640円 |
従来型個室 特別養護老人ホーム | 320円 | 420円 | 820円 | 1,150円 |
従来型個室 介護療養型医療施設及び介護療養型医療施設 | 490円 | 490円 | 1,310円 | 1,640円 |
多床式 特別養護老人ホーム | 0円 | 370円 | 370円 | 840円 |
多床式 介護療養型医療施設及び介護療養型医療施設 | 0円 | 370円 | 370円 | 370円 |
食費 | 300円 | 390円 | 650円 | 1,380円 |
高額介護サービス費の自己負担限度額
平成29年8月より負担上限額が変更されました。下表を参考にしてください。
対象者 | 自己負担の上限(月額) |
---|---|
現役並み所得者に相当する方がいる世帯の方 | 44,400円(世帯) |
世帯のどなたかが市区町村民税を課税されている方 | 37,200円(世帯)→44,400円(世帯) 平成29年8月より44,400円に見直し(※) |
世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方 | 24,600 円(世帯) |
前年の合計所得金額と公的年金収入額の 合計が年間80万円以下の方等(世帯) | 24,600 円(世帯) |
前年の合計所得金額と公的年金収入額の 合計が年間80万円以下の方等(個人) | 15,000 円(個人) |
生活保護を受給している方等 | 15,000 円(個人) |
(※)なお、3年間の時限措置として、介護保険サービスの利用をしていない人を含んだ世帯全ての65歳以上の方について、利用者負担割合が1割の世帯であれば年間上限額446,400円と設定されました。
介護保険の利用者負担割合がこれから一部3割負担に移行する
要介護・要支援認定者数が急増する見通しであることを理由に、利用者で現役並み所得を有する方の中でも、年金収入等340万円以上の方を対象として3割自己負担とする方針です。
今後は40歳から支払う介護保険料の増額も想定され、介護保険の負担は増していくものと考えられます。