介護保険における高齢者の自立度と、要介護認定の関係について

介護保険の要介護認定申請をした方に対する判断基準の1つが、高齢者の「自立度」と呼ばれるものです。介護保険における自立度にはカテゴリーと段階がありますが、どのような内容で決められているでしょうか?また認知症との関係はどうでしょうか?詳しく解説していきます。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

介護保険の日常生活自立度とは

介護保険の日常生活自立度は、大きく2つのカテゴリーに分かれています。

1つは「認知症高齢者の日常生活自立度」、もう1つは「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」です。


簡単に言えば「認知機能の自立度」と「身体機能の自立度」です。


この大きく2つのカテゴリーは、介護保険の要介護認定においては重要な判断基準となります。


要介護認定においては、この2つのカテゴリーを合わせて、要介護認定申請者(ご本人)にかかる介護の手間を判断して、要介護や要支援の数字(介護度)を決めていきます。


なお、この2つのカテゴリーは、要介護認定申請に必要な医師の意見書にも記載される内容となります。


ただし、文章による記載ではなく、数字とアルファベットで段階分けがされています。


詳しくは、下記で解説していきます。

介護保険の認知症高齢者の日常生活自立度判定基準

では、介護保険の「認知症高齢者の日常生活自立度」の判定基準から解説していきます。

日常生活自立度I

何らかの認知症はありますが、日常生活は家庭内および社会的にほぼ自立している状態です。

家庭生活(在宅生活)が可能な、自立度としては軽い状態です。

軽度のもの忘れ程度の認知症であり、訪問指導や家族の訪問など、適切な支援があれば独り暮らしも可能な自立度の状態です。


介護保険の要介護認定においては、要介護よりも軽い要支援で認定される方も多く、認知症高齢者の自立度としてはまだまだ軽い状態です。

日常生活自立度IIa

日常生活に支障をきたすような認知症の症状が家庭外でみられるようになり、行動や意思疎通の困難さが多少出現している状態です。

しかし、ご本人を支援する人が注意していれば自立が可能な状態です。


介護保険の要介護認定に必要な医師の意見書では、「内服管理が自分でできる」と日常生活自立度Ⅱa、「内服管理が自分でできない」とⅡaより1つ重い自立度のⅡbになることが多いと言われています。

日常生活自立度IIb

日常生活に支障をきたす状態が家庭外でみられるようになった状態が日常生活自立度Ⅱaですが、Ⅱbは日常生活に支障をきたす状態が家庭内でもみられるようになった状態です。

しかし、家庭内においてご本人を支援する人が注意していれば自立が保てる状態です。


上述でも触れましたが「内服管理が自分でできない」状態が、自立度Ⅱaか、Ⅱbの分岐点と言われています(内服管理が自分でできるとⅡa、できないとⅡb)。

日常生活自立度IIIa

日常生活に支障をきたす行動をするようになったり、意思疎通が困難になったりします。

認知症としては介護が必要な状態です。


日常生活自立度Ⅲaになると、在宅生活は困難になり、同居家族の介護負担は重くなると言われています。


日常生活自立度Ⅲaの場合、このような状態は日中だけに限られている場合が多く、夜間はまだ大丈夫な場合が多いです。

日常生活自立度IIIb

日常生活に支障をきたす行動、意思疎通の困難さ、その他認知症の状態が夜間に多く出現する状態です。

日常生活自立度Ⅲbになると、同居家族の介護負担はⅢaよりもさらに重くなります。


なぜなら、本人の認知症の症状は夜間に出現するようになるため、昼間に眠ってしまう、昼夜逆転の傾向になるからです。


在宅生活を送るのはかなり困難な状態です。

日常生活自立度Ⅳ

上記で説明した、日常生活自立度Ⅲa、Ⅲbの状態が終日続くような状態です。

常時目が離せなくなり、在宅介護は相当困難な状態です。


施設入所が妥当な状態とも言えるので、在宅(居宅)で介護を希望される場合は、介護保険の居宅サービスを適切に利用し、かつ家族の介護力も必要な状態です。

日常生活自立度M

認知症の症状に加えて、著しい精神症状の悪化や問題行動が出現します。

また、認知症に起因する生活動作の悪化もみられるようになり、在宅(居宅)介護は非常に厳しい状態と言えます。

介護保険の障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準

介護保険における高齢者の自立度は、上記でご紹介した「認知症高齢者の日常生活自立度」の他に「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)があります。

では「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)について、詳しく解説していきます。

ランクJ(生活自立)

何らかの障害は有するが、日常生活はほぼ自立度が保てており、独力で外出できる状態です。

ランクJにはJ1とJ2があります。


介護保険におけるJ1の目安は「公共交通機関を利用して外出できる」ことになります。


J2の目安は「隣近所へなら外出できる」ことになります。

ランクA(準寝たきり)

屋内(室内)での生活は概ね自立しているが、外出には介助が必要な状態です。

ランクAにはA1とA2があります。


A1は「介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活できる」状態を言います。


A2は「外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている」状態を言います。

ランクB(寝たきり)

屋内(室内)での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位は保てる」状態です。

言い方を変えると「ベッド上での生活が多いが、室内移動は車椅子があればできる状態」です。


ランクBには、B1とB2があります。


B1は「介助なしで車椅子に移乗でき、食事・排泄はベッドから離れて行うことができる」状態です。

座位は自分で保つことが可能です。


B2は「介助で車椅子に移乗する」状態です。

食事・排泄に介助が必要な状態となり、座位保持にも介助が必要な状態です。

ランクC(寝たきり)

1日中ベッド上で過ごし、食事・排泄・着替えなどにおいて介助が全面的に必要な状態です。

ランクCにはC1とC2があります。


C1は「自力で寝返りができる」状態です。


C2は「自力では寝返りをすることができない」状態です。


介護保険における障害高齢者の自立度(寝たきり度)は、C2が最重度となり、完全な寝たきりだと理解してください。

介護保険の日常生活自立度の判定基準で重要な点

介護保険の日常生活自立度の判定基準で重要な点について解説します。

大きくは「理解および記憶の判定基準」「問題行動の定義」「精神神経症状の定義」に分けられています。


これら各々について、こまかな判定基準が段階的に設けられています。


各々の判定基準における基本中の基本は「自分でできる」か「できないか」です。


各々のこまかな項目によっては「声かけや見守りがあればできる」「介助があればできる」等のように、どれくらい介護者の手間が必要かが、介護保険の日常生活自立度の判定基準で重要になってきます。

理解および記憶の判定基準

理解および記憶の判定基準で重要視されるのは、次のような点です。

下記は大項目になり、それぞれにこまかな内容が示されています。

  • 日常決定を行うための認知能力
  • 自分の意志の伝達能力
  • 食事に関する内容

問題行動の定義

問題行動の定義には、次のような着眼点があります。
  • 幻視、幻聴
  • 妄想
  • 昼夜逆転
  • 暴言
  • 暴行
  • 介護への抵抗
  • 徘徊
  • 火の不始末
  • 不潔行動
  • 異食
  • 性的問題行動

精神神経症状の定義

精神神経症状の定義には、次のような着眼点があります。
  • 失語
  • 構音障害
  • せん妄
  • 傾眠
  • 失見当識
  • 失認
  • 失行

まとめ

介護保険の日常生活自立度について解説しました。

介護保険の日常生活自立度は、まずは「認知症高齢者の日常生活自立度」と「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」に分けられます。


介護保険の日常生活自立度と併せて、判定基準で重要となる内容が「理解および記憶の判定基準」「問題行動の定義」「精神神経症状の定義」になります。


今回、解説した内容が「介護保険における要介護認定の判断基準がわからなかった」「認定を受けた介護度に疑問がある」といった方たちの参考になれば幸いです。


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