確定申告に源泉徴収票が必要ない?源泉徴収票がない場合の対処法

確定申告時の源泉徴収票は、2019年度の税制の見直しで添付する必要なくなりました。源泉徴収票を無くした場合は会社に再発行を依頼しますが、もらえない場合は源泉徴収票不交付の届出書を税務署に出します。個人事業主・自営業は基本的に源泉徴収票は発行されません。

確定申告に源泉徴収票は必要ない!源泉徴収票が不要な理由って?

一般的な会社員の方にとってはあまりやったことのないと思われる確定申告ですが、会社員の方であっても、一定の条件に該当する方は確定申告が必要です。 


その確定申告の手続きに関して、2019年度より源泉徴収票の添付が不要となるのをご存知でしょうか。


そこでこの記事では、 

  • 源泉徴収票が確定申告に不要になった 
  • 源泉徴収票が確定申告に必要だった理由
  • 確定申告が必要な人とは 
  • 源泉徴収票を再発行する方法 
  • 2箇所以上からの源泉徴収票がある場合の確定申告の方法 
  • 確定申告の他に源泉徴収票が必要になる場合 
  • 個人事業主・自営業の場合の確定申告

などについて解説していきます。
 


最後までお読みいただくことで、源泉徴収票と確定申告に関する情報を理解していただけると思います。


また、確定申告をすることで税金の還付などを受けられる場合がありますので、今まで確定申告をしたことがない方も、是非最後までお読みください。

確定申告に源泉徴収票はいらない

冒頭で述べたように、2019年度から確定申告の際に源泉徴収票の添付が不要となりました。 


今回の変更に限らず確定申告に関しては毎年財務省が税制を見直すことにより、その手続きなどにも変更点が生じます。 


その中でこのたびの主な変更は、源泉徴収票の添付が不要となったことなのですが、これにより、申請者と税務署の両方の手続きが簡素化されることになりました。 


以下で、そもそも源泉徴収票とは何か、これまで必要だった理由などについて見ていきましょう。

源泉徴収票とは

源泉徴収票

源泉徴収票

会社員の方であれば、源泉徴収票を見たことがない方はいらっしゃらないと思いますが、源泉徴収票とは、会社が社員に給与を支払い、そこから所得税等を徴収していることを示す書類です。 

上の画像のような体裁となっており、支払われた給与、天引きされた所得税、社会保険料などが記載されています。 

会社はこの源泉徴収票を2通作成し、1通を社員に、1通を税務署に提出します。 

一般的に会社からの給与しか所得がない方は、会社が既に税務署に源泉徴収票を提出しているために、確定申告をする必要はありません

確定申告に源泉徴収票がいらない理由

2019年度の確定申告から源泉徴収票の添付が不要になった経緯として、主にマイナンバー制度が背景にあります。 


マイナンバー制度とは、住民票をもつ国民全員に個別の番号を割り振ることで、国民には社会保障や税金などの申請手続きの簡素化行政にはそれらの作業の効率化をはかることを目的に設定された制度です。 


2019年度より確定申告の際に源泉徴収票の添付が不要になったことは、まさにこれらの目的のひとつでもあるわけです。 


納税者にとっては、源泉徴収票を失くさないように保管して、わざわざ添付する作業が不要になりますし、税務署では紙の源泉徴収票を確認する必要もなくなるということになります。

確定申告に源泉徴収票が必要だった理由

2019年度の確定申告からは源泉徴収票の添付は不要となりましたが、これまで確定申告をする際には源泉徴収票の添付が必要でした。 


それには以下のような背景があります。


源泉徴収票をもらっている人、つまり会社員で確定申告をする必要がある方にはいくつか条件があるのですが、その多くは副収入があったり、別の会社からも給与をもらっている方が該当します。

 

その場合、それぞれの収入を記載して、最終的な収入の合計を税務署に申告しなければなりません。


また、医療費控除を受ける場合も、給与所得控除後の金額から医療費を控除した金額を確認するために、源泉徴収票の添付が必要となるのです。

確定申告が必要な人

上で、会社員の方で確定申告をする必要がある方には、いくつか条件があると述べましたが、具体的に以下のような方は確定申告が必要になります。

  • 副収入が20万円を超える 
  • 給与が2,000万以上 
  • 2カ所以上から給与をもらっている 
  • 不動産を売却した 
  • 贈与を受けた 
  • 空き家となっていた実家を売却した 
  • 年の途中で退職して再就職していない 
  • 年の途中で退職をして、個人事業主になった 
  • 住宅ローンでマイホームを購入した 
  • 医療費控除を受けたい 

また、必要ではなくても確定申告をすることで税金が還付される場合もあります。 


ですので、会社員の方であっても「自分は関係ない」と最初から決めつけずに、確定申告をするべきかどうかまずは確認することをおすすめします。

源泉徴収票がない!無くした場合に源泉徴収票を再発行する方法

会社員の方でも上記のような場合は、確定申告が必要であること、またこれまでは、確定申告の際には源泉徴収票の添付が必要であることをお伝えしました。


このように確定申告の際に大切な源泉徴収票ですが、どこにしまっていたかわからない、なくしてしまったという場合もあるかもしれませんよね。


もし源泉徴収票をなくした場合、どのように対応すればよいのでしょうか。 


「源泉徴収票の添付はコピーでもよいのではないか?」と思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、源泉徴収票のコピーではなく原本の提出が必要です。従って源泉徴収票の添付が必要な場合、紛失してしまうと困ってしまいます。 


以下で、具体的な対応方法について見ていきましょう。

源泉徴収票をなくした場合は再発行を依頼する

上で述べたように、源泉徴収票は原本の添付が必要なため、紛失してしまうと会社に再発行してもらうしか方法がありません。 


そのため、万が一紛失してしまった場合には、会社に連絡して再発行してもらいましょう。 よほどのことがない限り、会社が再発行してくれると思われます。 


再発行された源泉徴収票を受け取る場合に、在職中の会社であればよいのですが、既に退職してしまった場合には、会社まで出向いて直接受け取ってもよいですし、郵送で送ってもらう場合は、切手を貼った返信用封筒などを送るなど配慮することをおすすめします。

源泉徴収票を会社から発行してもらえない場合

もし、会社から源泉徴収票を再発行してもらえない場合は、まずは税務署に相談してください。


税務署から、「源泉徴収票不交付の届出書」を提出するよう指示があると思われますので、この書類に以下の内容を記して、税務署に提出してください。


  • 【申請者の情報】氏名・住所・電話番号 
  • 【勤務先の情報】会社名・住所・電話番号 
  • 【収入などの情報】収入金額・源泉徴収額・給与明細書の保存の有無・在職期間


特に、収入などの情報に関して正確な数字がわからない場合でも、給与明細など、給与の金額がわかるものを添付するようにしてください。


その後、税務署が会社に源泉徴収票を再発行するように勧告します。そうすると、会社から源泉徴収票を再発行してもらえる可能性が高くなることが期待できます。


ただ、基本的には会社は法律によって源泉徴収票を発行することを義務付けられているので、ほとんどの場合は再発行してもらえると思われます。

注意:源泉徴収票を発行した会社が倒産した場合は再発行できない

上で述べたようにほとんどの場合、会社から源泉徴収票を再発行してもらえると思いますが、もし、退職した会社が倒産してしまった場合はどうなるのでしょうか。 


会社が倒産した場合、破産管財人がその会社の全ての財産を管理することになります。そのため、破産管財人がその処理をしていれば、源泉徴収票の再発行は可能でしょう。 


しかしながら中には、会社の関係者がどこにいるのかわからない、破産管財人が誰かもわからないという場合もあるかと思われます。 


その場合は、源泉徴収票の再発行は難しいかもしれませんが、まずは、税務署にどう対応すべきか相談することをおすすめします。

複数の源泉徴収票が発行されている場合の確定申告の方法

先の「確定申告が必要な人」のところで、2箇所以上のところから源泉徴収票をもらっている場合は、確定申告が必要であることをお伝えしました。 


この場合、全ての源泉徴収票を添付することが必要となります。 


例えば、主にサラリーマンとして勤務しているが、週末にアルバイトや副業などをしているという例が考えられます。


この場合、本業となる勤務先では年末調整によって、既に税申告の対応をしてもらえます。


しかし、本業以外のアルバイトや副業などの勤務先については、年末調整をしてもらうことができません。 


そのため、2箇所以上のところから給与をもらっている場合は、全ての源泉徴収票を添付して確定申告をする必要があるのです。 


ただし、全ての収入の確定申告が必要なのは、本業以外の収入が年間20万円以上ある場合です。従って、本業以外の収入が年間20万円未満である場合には、その分の確定申告は必要ありません

バイトは確定申告する必要はない?源泉徴収票が必要な時

次に、アルバイトをしている場合の確定申告について考えてみます。 


基本的にアルバイトで働いていても、正社員として働いている場合でも考え方は同じで、勤務先が年末調整を行ってくれているのであれば、確定申告は必要ありません。 


しかし、アルバイトをかけもちして複数の勤務先で働いている場合は、上で述べたように、それぞれの会社から源泉徴収票を発行してもらい、それらを全て添付して確定申告を行う必要があります。 


ただその際、本業のアルバイト以外の収入が年間20万円未満である場合は、その分の確定申告は必要ないという点も上記で述べた内容と同じです。

参考:確定申告時に源泉徴収票を転記する方法

確定申告をした経験のある方はおわかりになると思いますが、源泉徴収票の添付が必要な場合、添付すればよいだけでなく、その内容を申告書に転記しますよね。 


その場合、源泉徴収票の数が多くなるとそれぞれの金額を合計したり、所得税の計算などが複雑になってきます。計算間違いという可能性もあるかもしれません。 


そのような場合は、会計ソフトを使うとよいでしょう。会計ソフトの項目に従って、源泉徴収票に記載された内容を入力するだけで自動的に所得税などの計算をしてくれるので非常に便利です。 


無料で使える会計ソフトもたくさんあるので、確定申告が面倒と感じている方は一度試してみるとよいかもしれません。

確定申告以外で源泉徴収票が必要になる場合

確定申告をする上での源泉徴収票の必要性についてお伝えしてきましたが、確定申告以外で源泉徴収票が必要になることはあるのでしょうか。 


源泉徴収票はその方の所得や所得税、社会保険料などを示す書類ですので、例えば、以下のような場合に必要になってきます。 


  • 子供が保育園に通っている場合 
  • 住宅ローンを組む場合 
  • 家族を扶養にする場合 
  • 前の会社を辞め、同じ年内に転職する場合 


以下で、それぞれ具体的に見ていきましょう。

源泉徴収票が必要な場合①子供が保育園に通っている場合

保育園の保育料は両親の所得によって決まります。 


そのため保育園に入園を希望する際には、両親の所得を証明する源泉徴収票の提出が必要となります。(源泉徴収票の他に、就労証明書という書類も必要になります。) 


また、源泉徴収票、就労証明書ともに、入園する際に一度提出すればあとは自動的に継続されるというわけではなく、毎年保育園に提出することが求められます。


従って、紛失することのないようきちんと保管しておくことをおすすめします。

源泉徴収票が必要な場合②住宅ローンを組む場合

住宅ローンを組む際にも源泉徴収票が必要となります。一般的に長期間に渡ってローンを返済していくことになるため、その方の支払い能力を確認する必要があるのは当然ですよね。 


中にはコピーでもよい金融機関もありますが、多くの場合は原本の提出を求められる場合が多いようです。 


確定申告などで原本を提出してしまった場合などは、先に述べたように、勤務先に再発行を依頼するようにしてください。 


また、さらに金融機関によっては、勤務先の社印が捺印された原本の提出を求める場合もあるようです。 


どのような状態の源泉徴収票が必要か、金融機関に事前に確認しておく方がよいでしょう。

源泉徴収票が必要な場合③家族を扶養に入れる場合

配偶者を社会保険等の扶養に入れる場合も、会社へ配偶者の源泉徴収票の提出が必要になります。 


配偶者を扶養に入れた場合、家計を支える方の所得税の負担が軽くなったり、扶養に入った方は社会保険料等の負担をしなくてもよいというメリットがありますよね。 


そのため、扶養に入る配偶者には条件があり、この条件を満たしているかどうかを確認するために、配偶者の源泉徴収票が必要になるというわけです。

源泉徴収票が必要な場合④退職した年に新しい会社に就職した場合

前の会社を退職して、同じ年内に次の会社に転職する場合も、前の会社の源泉徴収票が必要となります。 


これは、新しく転職した会社で年度末に年末調整を行う際に、前の会社での収入も加味してその年の年末調整を行う必要があるからです。 


退職する際には源泉徴収票はもらえると思いますが、もし手元にない場合は退職して会社に問い合わせて発行してもらうようにしてください。

源泉徴収票が必要な場合⑤賃貸マンションの賃借人・保証人になる場合

マンションなどに入居する際の審査の際も、源泉徴収票の提出が必要になることがあります。 


不動産会社が、入居する方が毎月の家賃を支払っていく能力があるかどうかを審査するためです。源泉徴収票があるということは、会社に勤務して毎月安定した収入があるということの証明になりますからね。 


また、マンションに入居する方だけでなく、その賃貸契約の保証人の方にも源泉徴収票が求められる場合があります。 


万が一本人が家賃を支払えなくなった場合、保証人が支払わなければならないので、この場合も保証人の支払い能力、つまり毎月安定した収入があることを確認することが目的です。


このように、ご自身がマンションなどを借りる場合はもちろん、賃貸契約の保証人になる際にも源泉徴収票が必要になる場合があるため、年末に発行された源泉徴収票は保管しておく方がよいでしょう。

個人事業主(フリーランス)・自営業は基本的に源泉徴収票は発行されない

フリーランスや個人事業主、自営業者には基本的に源泉徴収票は発行されません。源泉徴収票は給与所得、退職所得、さらには公的年金等の支払いを受ける人に対して発行される書類です。


そのため、これらの所得の支払いを受けることがないフリーランス等の自営業者に対して源泉徴収票は発行されないのです。


しかしながら、仕事の内容によっては確定申告手続きの際に源泉徴収票もしくはそれに類した書類が必要となることがあります。


ここからは、その点についてくわしく解説していきます。

源泉徴収される場合とされない場合がある

フリーランスや自営業者、個人事業主といった人たちには、仕事の内容によって源泉徴収される場合とされない場合とがあります。


源泉徴収の対象となるのは次の仕事です。

  1. 原稿料や講演料など
  2. 弁護士、公認会計士、司法書士などの特定の資格を持つ人に支払う報酬
  3. 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  4. プロ野球、プロサッカー、プロテニスといったスポーツ選手やモデル、外交員などに支払う報酬
  5. 映画、演劇、テレビ放送などへの出演等の報酬や料金、芸能
ここに書かれている以外の仕事をした場合に受け取る報酬は源泉徴収の対象となりません。そのため、源泉徴収税を支払う必要がなく、源泉徴収手続きを行わなくてもよいこととなっています。

源泉徴収票が発行されるとは限らない

事業者は、個人で仕事を請け負っているフリーランスや自営業に対しては源泉徴収票を発行する義務がありません。


源泉徴収票は、所得税法226条によって事業者が雇用する従業員に対して発行することが義務付けられています。しかし、自営業者に対しては発行しなくてもよいこととされているのです。なお、支払調書も同様の取り扱いとなります。


そのため、自営業者等は取引先に対してあらかじめ源泉徴収票の発行を依頼しておくか、もしくは、それに代わる書類を自分で用意しておくことが必要となります。

参考:源泉徴収票はアルバイトでも発行される

源泉徴収票はアルバイトであっても発行されます。所得税法226条に、給与等の支払いをする者は源泉徴収票を作成し、税務署と給与等の支払いを受ける者に発行しなければならないとの規定があります。この給与等の支払いを受ける者のなかにはアルバイトも含まれるからです。


年末にアルバイトをしている人や、1社のみでアルバイトをしている人などは、一般の従業員と同じく年末調整の対象となるので問題はありません。


しかし、年末にアルバイトをしていない人や複数の会社でアルバイトをしている人は年末調整の対象とならないため、自分で確定申告手続きを行う必要があります。


アルバイトの報酬は源泉徴収の対象となるので、確定申告を行わなければ払い過ぎた税金が戻ってこないのです。


そのため、発行された源泉徴収票は大切に保管しておきましょう。また、源泉徴収票が発行されていない場合には、その会社に発行を依頼することが必要です。

まとめ:確定申告に源泉徴収票はいらない

確定申告の際の源泉徴収票の必要性、2019年度の確定申告からは源泉徴収票が不要になることに関して解説してきました。 


項目が多く、内容も少し複雑だったと思われますので、もう一度簡単におさらいしておきましょう。  

  • 確定申告に源泉徴収票が2019年度より不要になった理由は、手続きを簡素化するため 
  • 源泉徴収票が必要だったのは、会社員で複数の勤務先から給与をもらっている場合、合算した収入を申告しなければならないため 
  • 個人事業主・自営業は、源泉徴収票は基本的に発行されない

内容が盛りだくさんでしたが、ご理解いただけたでしょうか。 


2019年度の確定申告から源泉徴収票の提出は不要となりますが、源泉徴収票はその他にも収入を証明する際の手続きとして必要になることがありますので、基本的に大事に保管しておくようにしましょう。

ほけんROOMではこの他にもお金に関する記事が多数掲載されています。 


ぜひ他の記事もご覧ください。

ランキング