月の途中で退職、転職する場合における社会保険の実態について解説

多くの方は社会保険について悩んだことがあると思います。特に月の途中や月末で退職・転職することによって変動する社会保険の仕組みなどは実に複雑です。今回はそんな苦手に思う方も多い、月の途中・月末での退職によって変動する社会保険について解説します。

月の途中で退職、転職をすると社会保険料はどうなる?


サラリーマンの方だと社会保険に加入していると思いますが、社会保険料について詳しい内容を知っている方は少ないのではないでしょうか?


特に、月の途中で退職や転職をした際の社会保険料の変動について悩むことが多いと思います。なぜか社会保険料を2か月分支払わなくてはいけなかったりした経験もあることでしょう。


そこでこの記事では、月の途中で退職や転職をした際の社会保険料について

  • 社会保険料についてのルール
  • 月の途中で退職や転職した場合の保険料
  • 月末に退職すると損をする?
  • 退職後の社会保険の切り替え方法
  • 社会保険と国民保険の切り替えについて
以上のことを中心に詳しく解説していきます。

この記事を読むことで、社会保険料のしくみについて理解できるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。

退職、転職した日付によって支払う社会保険料は変動する

社会保険とは、労働者個人を守るための大切な保証のひとつです。会社の規模や事業形態によって加入の義務が生じます。


会社勤めをしている方は、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」の4種類を毎月の給与から引かれます。


社会保険料はルールとして、会社と加入者で折半して支払いを行っていきます。詳しい保険料の詳細は、日本年金機構から通知されます。そのお知らせを元に会社は保険料を給与から差し引いていきます。


基本的には月単位での支払いが定められており、3月分は4月末日までに支払いを済ませる必要があります。社会保険料などの保険料については、月末にはすでに加入している状態であれば1か月分の支払いを行わなくてはいけません


会社に入社した日が、社会保険の加入日となります。入社日が月の途中である3月25日など月末に近い日であっても月末は加入している状態になるので3月分の支払い義務が生じます。


逆に保険の資格が消滅するのは、退職日の翌日となります。3月20日に退職した場合、保険が利用できなくなるのは3月21日で、退職日である20日もまだ社会保険の利用が可能です。


ここではさらに詳しく、月の途中と月末での退職や転職時の保険料の変動をわかりやすい例をあげて解説しますので参考にしてください。

月の途中で退職、転職、入社した場合(1月15日など)

月の途中で社会保険の加入に変化が合った場合はどうなるのか、詳しく説明します。


退職日が1月15日になると保険料はどうなる?

月の途中である1月15日をもって会社を退職した場合、資格の消滅はその翌日です。1月16日には利用できなくなり、1月末日には加入者ではなくなっていることがわかりますね。つまり、1月分の社会保険料の支払いはなく、保険料は控除という形になるでしょう。


転職(入社)が1月15日になると保険料はどうなる?

加入日は、会社の入社日になるので1月15日になります。月の途中で入社したとしても、1月末日には社会保険に加入した状態になるので1月分の保険料の支払いが必要です。

月末で退職、転職、入社した場合(1月31日など)

月末に社会保険の加入に変化があった場合はどうなるのか、詳しく説明します。


退職が1月31日になると保険料はどうなる?

1月31日が退職日の場合、資格の消滅は2月1日になります。末日もまだ加入された状態となりますので、1月分の保険料は控除されません。保険料は基本的に前月分を翌月の給与から引きます。

今回のような月末退職の場合、1月分の給与から前の月である12月分と1月分の保険料が一緒に引かれます。

転職(入社が)1月31日になると保険料はどうなる?

1月31日に転職した場合、社会保険加入日が1月31日になります。月末には加入していることになるので、加入していなかった1月1日から1月30日までの分は考慮されず、1か月分の支払いが必要です。

入社の場合、いつ転職しても退職しても保険料が徴収されることがわかりますね。

月末に退職、転職をすると損をする?

月末に退職や転職を行うと、どうしても月の途中で控除される保険料と比較することで損しているのでは?と感じてしまうことでしょう。しかし実際には、損ばかりしているというわけではありません。


現在日本では、社会保険に加入していない方は国民健康保険への加入が義務つけられています。国民健康保険の他にも、年金を支払う必要が出てきますよね。


月の途中で退職した場合、1ヵ月分の社会保険料は控除されます。しかし、国民健康保険と年金の支払いが必要となります。


月末退職を行うと、翌月分から国民健康保険と年金の支払いが必要です。わかりやすく解説すると、いつ退職を行っても保険料の支払いは必ず行わなくてはいけないということです。


社会保険料を給与から天引きされる方がいいか、国民健康保険へ加入して後から支払ったほうが良いか、それぞれ損得の捉え方によって変わってくるということがわかります。

厚生年金に加入していると月末退職でもお得?

社会保険は「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」の4つに加入した際に発生する料金です。


社会保険の4つのうち、厚生年金については加入しておくと老齢厚生年金と老齢基礎年金が受給できるようになります。支払った保険料が多ければ多いほど、将来受け取れる年金の金額が増えるということです。


さらに、社会保険料は会社と50%ずつの折半で支払っていきます。実際に支払う社会保険料は全体の半分です。それだけでもかなり保険料に差が出てくるのではないでしょうか。


長期的な目で見ると、ぎりぎりまで社会保険に加入していたほうがお得になるような感じがします。社会保険料については、どうしても知識や物事の捉え方によって損得がわかれるものだとは思いますが、月末前までに退職しておいた方が良いとは一概に言えませんね。

退職後における社会保険の切替方法とは

退職する際、会社から健康保険資格喪失証明書を受け取ります。この健康保険資格喪失証明書は、退職後14日以内に新しく加入する社会保険事務所か就職先の会社へ提出します。


退職日の翌日から働く場合、社会保険の切り替えは会社に任せておいて大丈夫です。しかし、退職日から1日でも期間が空く場合は手続きをしておかなくてはいけません。


ここでは、次の就職までに期間が空く場合の切り替え方法について

  1. 扶養に入る
  2. 任意継続を行う
  3. 国民健康保険への切り替えを行う
この3つの方法を解説します。

切り替え方法①:扶養に入ること

退職後、すぐに再就職できる見込みがない場合で社会保険に加入している家族がいる場合は、扶養に入れてもらうことができます。


扶養になることで、自分の健康保険料の支払いは0円となります。さらに、扶養が増えてもその人の支払う保険料が高くなることもありません。


扶養になるためにはいくつか条件をクリアしなくてはいけませんが、退職後収入がないのであれば問題ないと思います。


ちなみに、国民健康保険には扶養という概念がないため、家族で社会保険加入者がいなければ利用できません。

切り替え方法②:任意継続の適用

任意継続は、希望することで退職後もそのままその会社の社会保険に加入しておくことができます。


任意継続の条件としては、

  • 資格喪失日まで2か月以上継続して社会保険に加入している
  • 資格喪失日から20日以内に任意継続申請を行う
この2つをクリアできれば、問題ありません。ただし、注意しておきたいのは保険料は今までの2倍になります。

これまでは会社との折半で支払っていましたが、折半がなくなります。支払う保険料は働いていたころの約2倍になります。

切り替え方法③:国民健康保険への切り替え

退職後、各市町村役場で国民健康保険へ切り替える方法があります。国民健康保険は、保険料を前年度の所得と1世帯の加入人数によって決めます。


扶養制度がないので、世帯人数が増えれば保険料も増えます。国民健康保険には加入条件などは一切なく、誰でも加入することができます。退職日の翌日から14日以内に手続きを行って加入しましょう。


切り替えには、会社から渡される資格喪失証明書とマイナンバーカード(通知カード)、印鑑が必要です。市町村役場の窓口で行えます。最近では郵送での手続きが行える市町村も増えています。


郵送の場合、書類をHPからダウンロードして印刷後記入し、必要書類のコピーを一緒に送ります。また、同一世帯の方であれば代理として手続きを行うことも可能です。

多くの人が悩む、社会保険と国民健康保険の切り替えについて

社会保険から国民健康保険の切り替えについて、様々な疑問が生まれると思います。月の途中での退職であればなおさら、どうすれば良いのかわからないですよね。


例えば、月の途中で退職して次の就職までに3日ほどしか期間が開かない場合や国民健康保険を払った後で社会保険に加入した際はお金が返ってくるのかなど気になります。


基本的には、月末に加入している方の保険料の支払いが必要となります。次の就職まで3日になっていて国民健康保険に加入したとしても、月末には加入していないので保険料の支払い義務はありません。


さらに後から社会保険に加入し、すでに支払っている分の国民健康保険の保険料は再計算され、払い過ぎていた分は返ってきます。


例として、相模原市のHPを見てみましょう。相模原市では、納め過ぎた場合は通知が届くようです。必要事項を記入すると、還付金として返還されます。(参考:相模原市


市町村ごとに多少の変化はあると思いますが、ほとんど同じ流れで進んでいくでしょう。

社会保険と国民健康保険の違いについて

国民健康保険と社会保険の違いを簡単に解説します。国民健康保険は、地方自治体が運営している保険ことです。一方社会保険とは、全国健康保険協会や各健康保険組合が運営している保険です。


国民健康保険には扶養制度はなく、社会保険には扶養制度があります。その他にも、社会保険は傷病手当金制度や出産手当金などの給付金制度もあります。保険料は2倍になるものの、会社を辞めた後も任意継続可能です。


国民健康保険から社会保険への切り替えは、基本的に会社任せで大丈夫です。社会保険から国民健康保険への切り替えは、地方自治体へ14日以内に地方自治体へ書類を提出しなくてはいけません。


手続きを行っていなくても、社会保険の資格が消滅した日から国民健康保険料は発生します。忘れていて2ヵ月後に手続きを行ったとしても、2ヵ月分の国民健康保険の支払いが必要となるので、忘れないようにしておきましょう。

月の途中で退職、転職する場合の社会保険についてのまとめ

今回は月の途中で退職や転職などを行った場合の社会保険について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?


この記事のポイントは、

  • 社会保険料は月末に加入しているかどうかで料金が発生するかが決まる
  • 月の途中で退職した場合、退職した月の保険料は控除される
  • 月末に退職した場合、給与から2ヵ月分の保険料が引かれる
  • 月末に退職すると損したように感じるが、月の途中で退職した場合と比較しても一概に損したとは言えない
  • 社会保険から国民健康保険への切り替えは14日以内に行う
でした。

月の途中で退職した場合、社会保険料は控除されますが国民健康保険の支払いが必要となります。社会保険に加入していたほうが得だと感じる場合には、月末に退職したほうがいいでしょう。

給与から2ヵ月分引かれるのが嫌だという場合は、月の途中から退職したほうがいいですね。どちらにしてもその人の考え方次第だと思います。任意継続を行うという手もあるので、どちらの保険のほうが自分にとって良いのか考えるといいでしょう。

ほけんROOMでは、他にも保険にまつわる記事を多数掲載しておりますので、ぜひ読んでみてください。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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