転職時、社会保険はどうなる?社会保険の引継ぎや切り替えのまとめ

転職時の社会保険はどうするべきか、空白期間がある場合はどの社会保険に加入したらいいのか?また、転職の時期によってかかってくる社会保険料が変わることもあり、転職時の社会保険は複雑な問題です。この記事では、転職時における社会保険についての知識をまとめました。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

転職時の社会保険引き継ぎ・社会保険料はどうしたらいい?


倒産やリストラだけでなく、本当にやりたい仕事が見つかり、転職することは普通のこととして認知されています。


しかし、いざ転職となった時、社会保険に関することでに困りますよね。ずっと給与から天引きされていたけれど、その手続きはどうしたらいいのかを知らないと、困ってしまいます。


そこで今回のこの記事では、転職時の社会保険について、

  • 転職後、試用期間の時の社会保険への加入について
  • 月半ばの退職や転職の時はどうすればいいのか
  • 離職期間がある時の保険の切り替えについて

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、退職したあと、すぐに転職した時も、離職期間ができたときも、保険の手続きで困ることはありません。


ついうっかりで保険の未加入の期間を作ってしまわないように、しっかり確認していただきたいので、ぜひ、最後までご覧ください。  

転職後の雇用形態や空白期間によって異なる

会社を月末で退職して、翌月からすぐに次の会社へスムーズに転職できることもあるでしょうが、実際には試用期間を設けてから本採用されることもよくあります。

賃金については、試用期間は安くなる場合がありますが、本採用後はこの金額で契約するという提示がありますし、雇用契約は締結されているので心配することはありません。

しかし、転職後の雇用形態や期間、勤務時間によっても、社会保険への加入がどうなるかは変わってきます。自分の場合が一体どこにあたるのかは、不安になるところですよね。

ここでは、転職後の試用期間で勤務した時の社会保険について解説いたします。自分は加入できるのかどうかを知っておいて、実際勤めるときに事前に会社と確認するようにしてください。

試用期間であっても社会保険には加入しなければならないことに注意

試用期間とは、実際に仕事に従事してもらうことで、その仕事を続けられるかどうかの適性を見る期間です。

数か月を試用期間とし、その後、本採用を見込んだ上で行うことを前提としているところがほとんどです。

この期間、社会保険への加入は必須となります。賃金と同じで、試用期間中も雇用契約を結んでいるので、会社は従業員として社会保険に加入させなくてはいけません

ただし、以下の場合は加入しなくても構いません。

一つは、契約期間が2か月以内である場合です。2か月を超えての雇用契約が見込まれない時は、加入は必要ありません。

しかし、試用期間は2か月以上続くことほとんどであり、試用期間後は本採用を見込んでいるため実際には加入することがほとんどです。つまり、2か月以内は未加入でもいいという場合の適用はほとんどありません。

もう一つは、通常の社員の労働時間・日数のうちの4分の3未満しか働いていない場合です。例えば、普通は80時間勤務を基本としているところを60時間未満の勤務になると、社会保険に加入しなくても良くなります。

場合によっては、試用期間中は4分の3未満の労働時間になるように調整することがあるので、前もって確認しておく必要があるでしょう。

社会保険料は月末と月の途中で変わってくる?

社会保険料は、給与明細を見て引かれていることを確認します。


毎月、当たり前のように天引きされるのは知っていても、どのような仕組みや期間で納付されているのか、正確に知っている人は少ないのではないでしょうか。


もし月途中で退職すると、社会保険料はどうなるのか、日割り計算されるのか、空白期間ができるのかなど心配事も多いですよね。


ここでは、退職時における社会保険料のしくみについて解説していきます。


どこでどのように社会保険料が払われるのかがわかっていれば、知らないうちに未納になっていた、なんていうこともないので安心ですね。ぜひご覧ください。

社会保険料は月単位でかかる

社会保険料は月単位でかかってきます。社会保険の被保険者資格は、会社を退職した次の日から喪失するのですが、保険料は資格を喪失する前月分まで払わなくてはいけません。

月末に退職するのであれば、翌日の1日から資格が喪失になるので、退職した月の分は払う必要があります。

この場合は、給与計算の締切などから退職した月の分までの給料から保険料を引かれることがほとんどですので、こちらで何か手続きを行うことはありません。

月半ばの退職なら社会保険料がかからない

では、月の途中での退職の場合はどうなのでしょうか。


このときも月末退職と同様に、退職した次の日から資格が喪失しますが、この月の社会保険料はかかりません。例えば2月15日に退職した時、2月分の社会保険料は払わなくてもいいのです。


しかし、会社の給与の締め切り日の都合により、2月分の社会保険料が給与から引かれてしまうことがあります。そのときは、年金事務局から会社に保険料の還付について連絡が行くようになっています。


徴収された保険料は、しばらくすると会社からあなたのところへきちんと還付がされますので安心してくださいね。

社会保険の二重加入も有り得る?

退職時に有給休暇を消化してから次の職場に移るというのはよくありますが、有休消化中に新しい勤務が始まるというケースも存在します。

実は、雇用保険は1つの会社でしか入れませんが、健康保険や厚生年金は二重加入することができるんです。それを聞くと、保険料を2回も取られてしまうのではないかと心配になりますよね。

しかし、そんなときも社会保険料の仕組みと対処法を理解していれば大丈夫です。

ここでは、もし二重加入になってしまう場合と、二重加入になってしまった時にどうすれば良いのかを解説いたします。

有給消化中などと重なる場合は二重加入になることも

転職前の会社の有休消化中に、次の会社で勤務が始まった場合、健康保険と厚生年金は二重加入になることがあります。このときは当然、お金も2倍かかりますから、できる限り勤務日が重ならないようにすることが大切です。

例えば、5月30日までは前の会社の在籍にしておきます。5月31日には被保険者資格を喪失しますが、月途中の退職となるので5月分の保険料はかかりません。

一方で、5月1日から新しい会社で勤務すると、こっちの会社で被保険者資格を得ることができますね。

こうすることで、二重加入を防ぐことができます。ただし、二重就労の禁止をしている会社もあるので、そうならないように事前に退職先と転職先に確認を取っておくのがいいでしょう。

両方の会社で加入する必要あり!未加入でいないように。

保険料は、納付する月の翌月末に支払います。そのため、仮に1月31日に退職した場合、1月分の保険料は2月末に支払うことになるのです。

もし、転職先の入社日が3月1日の場合、3月分は4月末に給与から引かれますが、2月分の保険料の支払いが空白になってしまいます。そのときは、未加入の旨、年金事務局に連絡しましょう。

未加入のまま病院に行くと、高額な治療費を請求されることになります。また、有休消化中に次の会社の勤務が始まったとき、社会保険の加入条件に合致していれば両方で加入する必要こともあります。これも連絡することで、後日還付されますので安心してください。

日程の調整で二重加入を防ぐことも、納付日を確認して、空白期間ができないようにすることも重要ですね。

国民年金切り替え手続きはどうしたらいい?


退職した後、転職がうまくいかず次の勤務までに空白期間があったり、もしくは個人事業主になる場合、社会保険の加入がなくなってしまうと心配になりますよね。


また、同じ月の中での転職する際、勤務まで日数がある場合、その間の社会保険について気になりませんか。


ここでは、国民年金への切り替えが必要なケースやいらないケース、もし必要ならどのように対処すればいいかを解説いたします。


保険に未加入の期間ができないように、また、離職期間があって不安な場合もしっかり対応できるように、手続きの方法や日程などを確認してください。

同月内に転職すれば国民年金切り替え手続きは不要

保険料は、月末に加入しているとかかります。そのため、同月内で転職・再就職した場合は、厚生年金や健康保険などへの加入ができますので、国民年金保険料を支払わなくても構いません。


例えば1月16日に退職した場合、1月分の社会保険の支払いはその会社では行われませんが、1月20日に次の会社に就職すると、1月31日には新しい会社で社会保険に加入した実績となります。そのため、空白期間もないとみなされるので、国民年金保険料の納付は不要です。

空白期間がある場合は国民年金切り替え手続きが必要がある

では、退職して個人事業主になる場合や、転職までに期間がある場合は、どうすればいいのでしょうか。

この時は、国民年金保険に切り替える必要があります。月途中での切り替えでも、翌月からの切り替えでも、二重にかかることはありません。

仮に、6月15日に退職すると、6月16日から国民年金に加入しなくてはいけません。この場合、5月分までは会社の給与から控除され、6月分の国民年金保険料は個人で納付することになります。

この手続きは退職した日の翌日から14日以内に行ってください。1ヶ月の未納でも年金事務局にはバレるので気をつけてくださいね。

これらの手続きは、市役所・区役所の国民年金担当窓口で行いますが、退職日が年末年始やゴールデンウィークにかかるときは、事前に事務局へ連絡するようにしましょう。対処法を教えてくれます。

また、年金などの未納がないかどうかは、日本年金機構の「ねんきんネット」で確認できます。登録しておけば、安心ですね。

健康保険の切り替え手続きはどうしたらいい?

被保険者が退職すると、次の日にはその資格がなくなります。健康保険証は返納せねばならないため使えなくなり、いざ病院に行こうとしても、保険証がないので、高額な医療費を請求されることになります。


また、被保険者が世帯主の場合は、扶養家族の保険証も使えなくなるので、小さな子供がいるなど保険が使えないと困った状況になってしまいますね。


そんな時のために、ここでは健康保険の切り替え手続きについて解説いたします。


転職先がある場合もない場合も、いざというときに困らないために、どのように対処すればいいのか確認してください。

健康保険資格喪失証明書を貰っておこう

退職すると、その翌日から健康保険の被保険者の資格がなくなります。本人はもちろんのこと、被扶養者も保険証が使用できなくなるため、保険証は健康保険組合に、退職した会社を通じて返納することになります。


離職期間が発生するのであれば、健康保険資格喪失証明書をもらっておきましょう。


退職した会社が発行してくれることもありますが、もらえないときは、自分で年金事務所に行って発行してもらうことになります。即日発行に必要なものは、

  • 健康保険・厚生年金資格喪失等確認請求書(窓口に用意されています。)
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、個人番号カード等)
  • マイナンバー確認書類

になります。


郵送での申請も受け付けてもらえますが、急ぎの時は窓口で手続きをする方が良いですね。

同月内に転職すれば健康保険切り替え手続きは不要

退職して次の職場への転職が決まっており、同月内での雇用が決まっている場合は、その間に数日の離職期間があっても、健康保険に切り替え手続きは必要ありません。


健康保険は月単位で発生し、月末に所属していた会社にて納付しています。そのため、離職期間があっても、次の入社日が退職した月と同じであれば、保険料についての手続きは会社が行ってくれます。


ただし、離職期間だけでも任意継続で健康保険に加入する場合は、保険料が発生します。会社員であれば会社が半額負担してくれますが、この場合は、自分で全て納付することになるので、通常の2倍の金額になります。


このように、同じ月の中で資格を獲得し、喪失することを同月得喪といいます。

任意継続や家族の扶養に入る等の選択も可能

退職後、離職期間が長引きそうな時は、任意継続被保険者制度を利用するか、家族の扶養に入ることも検討してください。


任意継続被保険者制度とは、退職した会社の保険に個人でも加入できる制度です。最長で2年間利用することができます。ただし、会社に勤めているときは保険料の負担は半額でしたが、退職後の納付金額は、あなたが全額負担しなくてはいけません。金額は、原則として2年間一定になります。


もし世帯主や配偶者に一定額の所得がある場合は、その扶養に入ることもできます。そのときは、世帯主や配偶者の勤めている会社に申告しましょう。手続きが行われます。

まとめ:空白期間がある場合の社会保険切り替え手続きは自分で


転職時における社会保険の切り替えや期間などをご紹介いたしましたが、いかがでしたか。


この記事のポイントは、

  • 原則として、試用期間でも社会保険に入る必要がある
  • 転職後の雇用形態や労働時間によって、加入するかどうかが異なる
  • 保険料は月単位の納付のため、転職の時期によって二重加入になることもある
  • 離職期間が長引くときは、国民年金保険や健康保険の切り替え手続きが必要
  • 任意継続被保険者制度の利用や、家族の扶養に入ることも検討する

でした。


毎月のように給与明細に表示されている社会保険料ですが、実際に会社で手続きしてもらえなくなると、大変なことも多いですよね。


やりたいことが見つかり、転職することもあるでしょう。もちろん手続きが不要であればいいのですが、退職するときには保険のことも考えて、どう対応すればいいのか慌てなくてもいいように準備をしておいてくださいね。


保険ROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。   

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