休職中の社会保険料は免除されない?休職中の場合の社会保険を解説!

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

休職中の社会保険料はどんな扱いになる?

内容をまとめると

・休職中も社会保険料は原則免除されない

・その理由は労働者としての身分がなくなったわけではないため 

・また、休職中でも支払う社会保険料は少なくならない 

休職中に社会保険料が支払えない場合、以下のような対応策がある 

・一度会社に立て替えてもらう 

・退職金と相殺 

・ボーナスより控除 

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ある日、病気やケガによって急に働けなくなってしまった場合、お金についての不安も出てきますよね。給料はもちろんですが、毎月給料天引きされている社会保険料について、休職中はどのような扱いになるのか気になるところですよね。


実は、休職中であっても社会保険料は免除されないという話もあります。しかし、手続き次第では対応策もあるとも言われています。


万が一の自体に備え、ここでは、

  • 休職中の社会保険料は免除されない?
  • 休職中の社会保険料の受給資格は喪失しない?
  • 休職中の傷病手当金の支給は?

以上のことを中心に解説し、 休職中の社会保険料の取り扱いについて分かりやすくご説明していきたいと思います。


この記事を読んでいただければ、休職中と社会保険料の関係について詳しく知ることができ、万が一の際に慌てずに備えることができます。 ぜひ最後までご覧ください。

休職中も社会保険料は原則免除されない!

結論から申し上げますと、休職中も社会保険料は免除されません。基本的に休職前と同じだけの社会保険料の負担が求められます


休職者にとっては寝耳に水の話ですが、現実として免除されないため、事前に対策を考えておく必要があります。


そもそも仕事ができない事情があり休職しているのにも関わらず、どうして社会保険料が免除されないのか?また社会保険料の金額は休職前に比べて金額は変わらないのか?といった疑問が出てくると思います。


以下では、休職中の社会保険料の取り扱いや免除されない理由、そして休職中でも支払い続ける必要のある社会保険について詳しく解説します。

休職中も社会保険料が免除されない理由

仕事を休んでいるのに社会保険料を請求するなんてひどいのでは?と思われる方もいらっしゃると思いますが、なぜ社会保険料を免除されないのかと言うと、「労働者としての身分がなくなったわけではない」ためです。


労働者として企業で勤めている場合、基本的に企業の厚生年金健康保険に加入すると思います。休職中であっても「在職中」であるため、企業からみても従業員であることは変わらず、労働者は被保険者となります。


この身分が続く限り社会保険料は免除されることはなく、休職中であっても引き続き社会保険料は払い続ける必要があります。また、休職中には傷病手当金が支給されることになりますが、この支給も社会保険料を納めていることによって支給となるため、基本的に免除されることはないと考えておいた方がよろしいでしょう。

休職中も支払う社会保険料の金額は変わらない?

休職中の社会保険料の金額は、原則変わらないと考えておいた方が良いでしょう。


社会保険料は給料の額を元にした「標準報酬月額」をベースにしており、毎年1回7月に「4月~6月」までに支払われた給料の平均額をもって社会保険料を算出しています。


休職中に給料が下がるので社会保険料も下がるのでは?と議論に思うかもしれませんが、社会保険料は下がりません。


理由としては、標準報酬月額が引き下げるための条件がいくつかあるのですが、その内に「休職による収入減」は含まれていないため、休職を理由にした標準報酬月額の減額が行われません。従って社会保険料も引き下がらないのです。

休職中も払う義務のある社会保険料

なお、労働者が支払う義務のある社会保険料は「厚生年金保険料」「健康保険料」「介護保険料」「住民税」となります。


その内、休職中で無給状態となる場合でも支払う義務がある社会保険料は「厚生年金保険料」「健康保険料」「介護保険料」です。厚生年金保険料については、勤務先の就業規則に定めがある場合、休職中の厚生年金保険料分を企業側が立て替えるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。


労働者の生活を守るために負担をしている社会保険料ですので、休職中であっても負担を求められるのは致し方ない部分があるでしょう。

休職中で社会保険料が払えない!その場合どうする?

労働者の義務として支払う必要のある社会保険料ですが、休職中で収入がない中払えないのではと思われる方もいらっしゃると思います。また、実際既に休職中でどうしようか悩まれている方もいらっしゃると思います。


もしどうしても社会保険料を支払えない場合、対処方法はあるのでしょうか?その場合の方法として3つあります。

  • 一度会社に立て替えてもらう
  • 退職金と相殺
  • ボーナスより控除
お勤め先の就業規則によってできない会社もありますが、万が一従業員の休職の際には、社会保険料を会社側が立て替えてくれる場合もあります。そのため、一度人事・経理部門に確認してみるのが良いでしょう。

また、退職金やボーナスを支給される会社の場合には、相殺することができないか相談してみても良いでしょう。社会保険料の支払い代替ができるのであれば毎月の費用負担がなくなります。

休職中でも社会保険料の受給資格喪失はしない

ここまでご説明してきました通り、社会保険料は休職中でも支払い義務が発生しますが、併せて「受給資格」も喪失しません。


社会保険等を定義している健康保険法によると、「常時使用されている人」を被保険者としており、休職している方を指す「私傷病休職」の場合、「業務以外で生じた病気やケガが原因で勤務できなくなった従業員を、在職のまま一定期間休職させる」ものとしています。


つまり「常時使用されている人」としてカウントされるため、勤務形態を契約社員等に変更することがない限り社会保険料の受給資格は喪失されないと言うことです。

病気で休職中の場合、傷病手当金の受給ができる

また、病気で休職する場合は健康保険から傷病手当金が支給されます。企業にお勤めであれば基本的には健康保険の被保険者であるため、健康保険で定められた傷病手当金を受給できます。


休職中は医療費や生活費など困ってしまう一方、勤務先からの給与がないためどうしようかと悩んでしまう方もいらっしゃると思います。そんな時、傷病手当金が支給されるのであれば安心ですよね。ちなみに、傷病手当金の受給要件はいくつかの要件を全て満たす場合になっています。


いずれにせよ、業務外での病気やケガの影響で仕事に就けない場合に傷病手当金が支給されます。ただし、業務中に発生したケガや病気については労災認定となるため取り扱いが異なりますので注意しましょう。

傷病手当金の受給で社会保険料の控除も可能

傷病手当金はの支給額は、だいたい「月給の3分の2」と言われています。この傷病手当金ですが、受取人を会社とすることで、社会保険料を会社が代わりに支払ってくれ、その残りを給料代わりに振込することも可能です。

病気やケガでの休職であるため、入金等の対応も難しい場合がありますので、必要な社会保険料の支払いを勤務先に依頼し、対応できた方が何かと便利ですよね。また企業側としても、一時的に立て替える必要もなく双方にとって望ましい対応と言えます。

企業によっては対応できない場合もありますが、基本的には依頼を受けてもらえるますので、希望される場合は勤務先の担当部署に問い合わせみましょう。

傷病手当金を受給するには

休職者にとって頼みの綱でもある傷病手当金ですが、誰でも受給できるものではありません。次項でご説明しますが、受給条件を満たす場合に支給される形となります。


その他、勤務先の健康保険に加入している必要があり、また医師より勤務不能という診断を受けた場合などなど、傷病手当金受給には少しハードルがあることは理解しておきましょう。


しかしながら、休職中は健康保険における被保険者であるため、傷病手当金の受給権利を有しているといえるため、ご自身が該当するのか否かについては予め確認しておきましょう。

傷病手当金の受給の条件

傷病手当金の受給条件には以下の4つを全て満たすことが求められます

  • 業務外の事由によって病気やケガが生じ休職する場合
  • 仕事に就くことができない場合
  • 連続して3日間就業できず、4日以上仕事に従事できなかった場合
  • 休職期間に給与の支払いがない場合
まずは、「業務外」の事由によってケガや病気をした場合としています。業務中に発生した場合は「労災認定」となるため、給与等の取り扱いも変わってきますので注意しましょう。

また「仕事に就けない」という判断はあくまでも「医師の診断」によるもので、診断書等で判断されます。

その他、4日以上仕事を休んだところより受給条件となるなど、事前に該当するか確認を行う必要があります。ご自身が該当する場合は傷病手当金を受給することができるので、手続きを必ず行いましょう。

扶養に入っている家族・国民健康保険に加入している場合は対象外

傷病手当金ですが、あくまでも支給されるのは「被保険者本人のみ」です。例えば、扶養に入っている配偶者などが病気やケガでパートを休んだとしても傷病手当金は支給されません。


また国民健康保険に加入している方は、そもそも傷病手当金の制度がないため同じく支給されません。


しかしながら近年は万が一の休職に備えた「就業不能保険」を販売する保険会社も増えており、収入減を防ぐ策も増えていますので併せてチェックしてみましょう。

支給される傷病手当金の額は?

傷病手当金の支給金額ですが、ざっくりしたものでいうと「月給の3分の2」が目安となっています。協会けんぽHPに正確な計算式が記載しておりますが、

1日当たりの金額=支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3

となっています。例えば、毎月30万円の標準報酬月額をもらっている方であれば、

30万円÷30日×2/3≒6,667円 6,667円×30日≒20万円

となります。ちなみに、傷病手当金は支給開始日から「最長1年半」まで支給されます。途中で仕事復帰したものの、再度休職状態となったとしても勤務期間もカウントされるため、仮に2019年4月1日より受給することとなったとすれば、いずれにせよ2020年9月30日までとなります。

注意:手続きを忘れずに

ここまで傷病手当金に関するご説明をしてきましたが、傷病手当金は手続きを行わなければ支払われることは一切ありません。保険金はあくまでも「受け取る権利」であるため必ず手続きは忘れないようにしましょう。


手続きは勤務先の健康保険に対して「健康保険傷病手当金支給申請書」を提出することで受給することができます。


しかしながら休職するということは、ご自身の体調が芳しくなく、手続きを行うことができない場合もありますので、その場合は勤務先に相談の上対応を検討しましょう。

休職中も社会保険料は免除されない!社会保険を有効に利用しよう

ここまで休職中の社会保険料と傷病手当金に関する疑問等について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 社会保険料は休職中でも免除されない
  • 傷病手当金を活用し社会保険料を負担することができる
  • 傷病手当金は被保険者本人のみ受給可能
  • 傷病手当金受給には条件があり手続きが必要
です。

高齢化や定年退職の後ずれなど勤務期間が長くなっている一方、様々な病気やケガによって休職せざるを得ない方も増えているのが現実です。

休職中であっても社会保険料負担が必要である一方、傷病手当金など受給する権利は社会保険の意義であるため、いずれにせよ必ず社会保険料は支払う形を取りましょう。

その他、近年「就業不能保険」を販売する保険会社が増えており、休職中の無収入を補完する役割を担う商品が様々出てきているので、ご自身が必要な保険に加入するのも一つです。

ほけんROOMでは、その他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

休職中のアルバイトに関してはこちらで解説していますので、ぜひ読んでみてください。

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