更新日:2019/05/26
年収や手取りは源泉徴収票のどこに記載?定義は?交通費などは含む?
年収や手取りは源泉徴収票のどこをみればいいの?疑問に思う方多いと思います。年収や手取り、所得というのは、似ているようで違い、すべて源泉徴収票から計算することができます。今回は、年収や手取り、所得の違いや源泉徴収票のどこを見ればいいかを説明します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
年収や手取りは源泉徴収票のどこを見る?そもそも定義とは?
「年収を聞かれたとき、額面金額と手取り金額どちらを答えるのが正解なの?」
「源泉徴収票のどこに何が書いてあるかわからない」
「そもそも源泉徴収って何を意味しているの?」
このように感じている方、多くいらっしゃるのではないでしょか?
社会人として恥ずかしい思いをしないためにも、しっかり知っておきたいですよね。
また、「税金が引かれすぎていないだろうか?」「手取りが収入に比べて少ないと感じる。給与計算が間違っているのではないか?」と感じる方もいらっしゃると思います。
正しい知識を知らないことで、損をしてしまう場面も出てきてしまうかもしれません。
そのような事態は是非とも避けたいものです。
そこでこの記事では、
- 年収・手取り・所得の定義
- 源泉徴収票の見方
- 正しい手取りの計算方法
この記事をご覧いただければ、源泉徴収票の正しい見方・引かれる税金の種類について知識が身に付き、手取り金額を計算できるようになります。是非、最後までご覧ください。
年収は源泉徴収票の「支払金額」の欄を見よう
「年収」と「所得」の違いをご存知でしょうか?なんとなく聞いたことはあるが、よく意味を知らないという方は多いのではないでしょうか?
一見すると同じ事を指しているように思えますが、両者にははっきりとした違いがあります。
「年収」とは、会社が1年間に支払ったお給与の総額のことです。一般的に「額面」と呼ばれることもあります。
そのため、社会保険料などの税金・その他の控除額など何も引かれていない純粋な金額になります。
「所得」とは、年収から国税庁が定めている所定の金額を引いたもので、税金を計算するために利用される金額を指します。
実は、税金は給与全体にかかってくるものではありません。
仕事で利益を生み出すために必要な金額(スーツ代・化粧品・靴・通信料・パソコンなど)もあるだろうと予め収入に応じて決められた一定の金額=給与所得控除額を除いて計算されています。
年収の定義は1年間の総支給額
ここで年収についての説明をまとめますと、以下の関係が成り立ちます。
年収=会社が支給した給与の合計(1月~12月)=額面
源泉徴収票では「支払金額」という形で記載されています。手取りは源泉徴収票の「社会保険料等の金額」を見て計算
大まかな手取りは源泉徴収票に記載の3項目(支払金額・源泉徴収税額・社会保険料等の金額)から、計算することが出来ます。
手取り=支払金額-源泉徴収税額-社会保険料等の金額
※手取り=③-⑥-⑬国税庁の手引きを4ページ参照
なお、正確な手取りを算出するには、住民税・交通費を考慮する必要があります。
住民税・交通費は、源泉徴収票に記載されません。
住民税を詳しく知りたい方は、住民税の自動計算サイトでシュミレーション出来ます。
正確に計算したい方は、以下の式を参考にして下さい。
支払金額-源泉徴収票-社会保険料等の金額-1年分の住民税+交通費
年収と違う?所得は「給与所得後の金額」を見よう
年収は、単純に会社が支給した金額のすべてを指します。そのため、社会保険料・税金などが差し引かれる前の合計金額となっています。
所得は、年収から給与所得控除額を差し引いた金額です。税金は、この所得金額をもとに計算されています。
源泉徴収票では「給与所得控除後の金額」という欄にて確認出来ます。(参考:給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引き 4ページ④)
給与所得金額は以下の式で計算されており、年収に応じて変動します。
年収 | 給与所得控除額の計算式 |
---|---|
180万円以下 | 収入金額×40% ※65万未満の場合は、65万の固定金額 |
180万円超、360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円超、660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円超、1000万円以下 | 収入金額×10%+120万円 |
ちなみに、給与所得金額は随時見直しが図られているため、ご自身で計算される時は国税庁のホームページで直接確認されることをおすすめします。
ボーナスや交通費は年収に含まれるのか?
基本的には、会社が支給する一切のものが年収に含まれます。例外として、交通費はほとんどの場合含みません。
国税庁では、給与所得に該当するものに、給料・賃金・賞与・歳費・手当などに当たるものと定めています。※歳費とは…国会議員に支払われる給与のこと
ボーナスは、年収に含むことが確認できます。
また、通勤手当のうち非課税のものは、給与所得としないとしています。(参考:国税庁 給与所得となるもの)
交通費の非課税枠は、1か月当たり15万円まで認められています。(参考:国税庁 通勤手当の非課税限度額の引き上げについて)
交通費は、1ヵ月に15万円以上が支給されている方のみ年収に含み、15万円より少なく支給されている方は、年収に含まないことになります。そのため、多くの方は年収に交通費を含まないと考えて良いでしょう。
その他、年収に含まれるもの・例外として非課税と認められるものについて詳しく見ていきましょう。
年収に含まれるものとして、「手当」や「現物給付」のものが該当します。
- 手当 例)残業手当・休日出勤手当・職務手当・地域手当・家賃補助・扶養手当
- 現物給付 例)食事・商品の値引き販売・住宅や福利厚生施設を割安もしくは無償で提供
こういった項目が年収に含まれることを把握していないことも、手どり金額が少ない・計算が違うのでは?と感じる要因の一つとなります。
例外として非課税と認められるものには、手当のうち次のようなものが挙げられます。
- 転勤・出張時の旅費(必要と認められたもの)
- 一定金額以下の宿直・日直手当
転職の際年収を聞かれたら総支給額を答えよう
面接官は、転職の前後でどのくらい給与額が変化するのか・会社の予算内で雇える人物かなどを判断するために年収を聞きます。(参考:ハタラクティブ 前職年収を聞かれるのはどうして?)
そのため、通勤交通費など含まず比較がしやすい総支給額(源泉徴収票の支払金額)を答えることが一般的です。
実際に源泉徴収票の支払金額から手取りを計算してみよう
今回は、国税庁のホームページの源泉徴収票の例・国税太郎さんを参考に計算します。(平成30年分給与所得の源泉徴収票の記載のしかた)
源泉徴収票から、支払金額・源泉徴収税額・社会保険料等の金額の3項目を確認し、以下の式にあてはめます。
支払金額-源泉徴収税額-社会保険料等の金額=手取り
例 684万7500円ー(0+90万9846円)=593万7654円
これは大まかな手取り金額になるため、詳細に計算されたい場合は住民税1年分を差し引き、交通費を足してください。
源泉徴収額を自分で計算してみよう
源泉徴収とは、従業員の所得税を、会社があらかじめ給与・賞与から差し引き、代わりに税務署に収めることを言います。
源泉徴収票に記載されている源泉徴収額を見ることで、1年間にどのくらいの所得税を納めたか確認することができます。
源泉徴収額は、国税庁のホームページにある源泉徴収税額表を参考に自分で計算することが可能です。(参考:平成31年(2019年分)源泉徴収税額表)
源泉徴収税額表は、月給表・日給表・賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表と3つの表に分かれています。ご自身の給与の支払方法・給与種類に該当するものを選んでください。
源泉徴収税額表 | 対象になる給与 |
---|---|
月額表 | 月払い |
日額表 | 日払い・週払い |
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表 | 賞与 |
なお、税額表を使用する際に参考とする給与の金額は、社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料)を差し引いたものになります。
各欄について、扶養家族があり「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した方は甲欄・扶養家族なしの方は乙欄をご覧ください。
例(引用:給与所得の源泉徴収税額の求め方(1)月額表甲欄の使用例)
月額給与 :37万4000円
給与等から控除する社会保険料等:5万7685円
扶養親族等の数 :2人
手順1 月額給与のため、給与所得の源泉徴収税額表(平成31年(2019)分)を参照します。
手順2 月額給与から社会保険料を差し引きます。37万4000円-5万7685円=31万6315円
手順3 月額表の縦軸「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」から31万6315円が当てはまる欄を探す。
手順4 横軸の甲欄・扶養親族等2人と交わるところを求めます。今回の場合、5740円が源泉徴収税になります。
社会保険料を差し引いた金額を用いることさえ覚えていれば簡単に計算が出来ると思います。
まとめ:年収や手取りは源泉徴収票を見て確認しよう
収入に関する様々な言葉の意味するところや、源泉徴収票の考え方を説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
この記事のポイントは
- 年収は、1年間に会社が支給した給与・賞与・あらゆる手当を含んだ合計金額のこと。源泉徴収票の支払金額のことを指す。
- 所得は、年収から給与所得控除額を引いた金額。
- 手取り額は、源泉徴収票に記載の3項目(支払金額・源泉徴収税額・社会保険料等の金額)を用いて簡単に計算出来る。
- 所得税は、源泉徴収という形で毎月の給与から差し引かれている。
この記事を読んでいただいたことで、源泉徴収票に関する全体像をつかんでいただけたかと思います。
また、言葉は聞きなれないものが多くあったかと思いますが、内容はそこまで難しいものでないこともお感じ頂けたかと思います。
源泉徴収票は、確定申告を行う際や転職時・住宅ローンを組むときなど、人生の様々なタイミングで必要になってきます。
この記事に書かれている基本的な内容さえ覚えておいて頂ければ、手続きはスムーズに行えることでしょう。
せっかく学んだ知識を忘れないためにも、普段から源泉徴収票や給与明細などを見て計算する癖をつけておく事をおすすめします。
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