確定申告書の控えが手元にない!確定申告書の再発行について解説

家や車のローンなどで前年度の確定申告書の控えが必要なのに、いくら探しても見つからない……。そんなときは慌てずに、確定申告書を再発行してもらいましょう。この記事では確定申告書の再発行について、手続きの方法や必要書類などを詳しく解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

確定申告書の再発行について解説


毎年2月~3月になると、確定申告を行う方も多いでしょう。


勤務先での年末調整がない人はもちろんですが、年末調整を行っている場合でも、医療費控除や住宅取得控除など、確定申告を行うことによって税金が還付される例が多々あります。


フリーランス・個人事業主で、白色よりも節税メリットの大きい青色申告を行っている方もいらっしゃいますね。


ところで、申告の際に渡される確定申告書の控えはきちんと保存していますか?


重要なものであることは理解しつつも、とりあえずしまっておいてそれっきりになり、いざ必要になった時にどこにあるかわからない…ということはないでしょうか。


この記事では

  • 確定申告書の写しが必要なケースと、紛失した場合の再発行について
  • 確定申告書を再発行してもらうための手続き
  • 確定申告をe-Taxで行っている場合
について詳しく解説します。

この記事を読めば、万が一確定申告書の控えを紛失してしまった場合の対処法について理解することができます。

ぜひ最後までお読みください。

確定申告書の再発行をしてもらうには

確定申告を行う際には、その場で控えを渡されます。


この控えが必要になった時、手元にないとなると再発行の手続き(開示請求)をする必要があるため、その具体的な手順とポイントについてご説明します。


再発行の方法は「窓口」「郵送」、また「e-Taxを用いる場合」によって異なります。

市役所や区役所ではなく税務署で手続きを行う

まず再発行をする場所ですが、市役所や区役所でなく、確定申告をした税務署で手続きを行います。


そこで「保有個人情報開示請求書」を記入し、窓口へ提出することになります。


この保有個人情報開示請求書は国税庁のホームページから入手することも可能ですので、郵送で手続きを行う場合には、プリントアウトして準備をしましょう。


窓口へ行くのであれば、記入に時間のかかるものではないので税務署での記入で問題ありませんが、どんなものかだけでも事前に確認しておくのも良いですね。

再発行には時間がかかる

確定申告書の再発行について覚えおくべきなのが、再発行には時間がかかるということです。


国税庁のホームページでは請求後30日前後と書かれており、実際の体験談などでは2~3週間程度で届いたという人も多いようですが、時期によっても異なるでしょう。


確定申告の控えをどこかへ提出する必要があるのであれば、準備に時間がかかる旨を、先方へも伝えておくのがおすすめです。



確定申告書の控えが必要になる場合とは

そもそも、確定申告書の控えが必要になるのはどのようなケースでしょうか。


具体的な例としては

  • 各種ローン(住宅・教育・自動車など)の申請時
  • 事業資金の借り入れ申請時
  • 大学などの奨学金申請時
  • 保育園・幼稚園の入園申請時
などがあります。

主に収入・所得状況を証明するためのものですので、会社員であれば源泉徴収票を求められる場合が多いかと思いますが、フリーランス・自営業の方は確定申告書の控えを求められるのが一般的です。


特に事業資金の借り入れにおいては、過去2期分が必要になることも多いため、毎年きちんと保管しておくようにしましょう。


また、提出した確定申告に誤りがあった(可能性がある)場合にも、確認の手段としては控えを参照することになります。


実際に修正箇所が見つかった場合、タイミングによって、確定申告書の再作成または修正手続きが必要です。

確定申告書を再発行してもらうための手続き

では、確定申告書再発行の流れを見ていきましょう。


前述のように、手続きの方法には「窓口」「郵送」「e-Tax」があり、窓口での手続きはさらに、本人が行う場合と代理人が行う場合で異なる点があります。


また、後ほどご説明しますが、再発行された確定申告書の受け取り方法も「窓口」「郵送」から選ぶことができます。


郵送の場合は切手代を負担する必要があり、これは現金支払いでなく切手で用意しなければならないようです。


税務署の近くに購入できる場所がなく困った…とならないように、あらかじめ準備しておくことをおすすめします。

窓口で手続をする場合

本人が開示請求を行うには、以下の書類が必要になります。

  • 保有個人情報開示請求書
  • 身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)

開示請求書には収入印紙を貼り付ける欄がありますが、窓口で現金支払い(300円)すれば良いので空欄のままで問題ありません。



窓口で代理人に手続きしてもらう場合

申請する本人が多忙などで税務署へ行けない場合、代理人が手続きを行うこともできます。


その場合、上記に加えて以下の書類が必要になります。

  • 開示請求の委任状
  • 代理人の本人確認書類
  • 委任者の印鑑登録証明書(請求日の前30日以内に作成されたもの)
重要な個人情報の取り扱いになるため仕方のないことですが、本人が手続きをする場合に比べ、それなりに手間がかかることになります。

郵送で手続きをする場合

郵送での手続きの場合、前述の通り開示請求書は国税庁のホームページからダウンロードすることができます。


この場合には、本人が申請する場合の必要書類に加え

  • 住民票(コピー不可/請求日の前30日以内に発行されたもの)

が必要です。収入印紙も忘れずに添付しましょう。

受け取りは「開示請求の決定通知」が届いたあと

申請が問題なく完了しても、すぐに再発行された確定申告書を受け取れるわけではありません。


まず税務署から「保有個人情報の開示をする旨の決定について(通知)」という書類が郵送されてきます。


これをもって受け取りの権利が発生し、税務署窓口もしくは郵送にて、再度確定申告書がもらえるというわけです。


前述の通り、一連の再発行手続きには時間がかかります。多くの場合、確定申告書の控えが必要になって初めて手元にないと気づくので、気づき次第なるべく早く行動する以外に手立てはありません。


ただ、もしも確定申告後しばらくして「控えをもらってない(もらい忘れた)」と気がづいたような場合には、いざ必要になった時に慌てないよう、そのタイミングで再発行手続きをしておくことがおすすめです。

急ぎの場合は税務署で受け取ろう

決定通知が届いたら、確定申告書の再発行ができていますので受け取ることが可能です。


受け取りの方法にはこれも「窓口」と「郵送」があり、手間を考えると郵送の方が楽かもしれませんが、急ぎの場合は直接税務署の窓口で受け取る方が早くなります。


とはいえ、税務署の開庁時間は平日の8時30分から17時までですので、それぞれのライフスタイルに合わせ、ご都合の良い方を選んでください。

確定申告書の閲覧だけであれば当日できる

確定申告書の再発行の手順と手続きにかかる期間を見てきましたが、必ずしも確定申告書そのものが必要なわけではなく、内容が知りたいだけということもあるかもしれません。


「確定申告をしたけれど、内容に間違いがあったかもしれない」というケースならば、まず内容を確認した上で間違いがなければそれで済む話ですし、前年度の正確な所得金額を確認したいだけということもあるでしょう。


そのような場合には、開示請求でなく「閲覧請求」という手段があります。


本人確認書類を用意し、税務署で申請書等閲覧申請書を記入すれば、自身の過去の確定申告をその場で閲覧することができるというものです。


なお、この時コピーや写真を撮ることは許可されませんが、記載内容を書き写すのは問題ありません。


取り急ぎ確定申告の内容を確認したいという場合にはおすすめの方法です。

確定申告をe-Taxで行っている場合の再発行手順

続いて、確定申告を国税庁のe-Tax(国税電子申告・納税システム)で行った場合について解説します。


e-Taxには「自宅から確定申告が行える」「添付書類の提出が省略できる」などのメリットがあり、利用する人も増えてきているようです。


この場合には、再発行にあたる手続きもやはりe-Taxから行うことになります。


なお、e-Taxには「確定申告作成コーナー」と「e-Taxソフト」がありますが、ここでの解説は、確定申告作成コーナーを利用した場合になりますので、ご了承ください。

電子申告には「控え」がない

e-Taxの場合にはそもそも「控え」というものは存在せず、確定申告書のデータを送信した後の申告データ受信通知データが代わりとなります。


これらをプリントアウトしておくことで、控えと同様に利用することができます。


しかし、ようやく確定申告が終わって一安心…というところで、うっかりプリントアウトを忘れてしまったというケースもあるでしょう。

申告データの印刷方法(data形式のファイルを利用)

プリントアウトまでの手順は以下の通りです。

  1. e-Taxのサイトにアクセス
  2. 「確定申告書等作成コーナー」をクリック
  3. 「作成再開」をクリック
  4. 「参照」から保存ファイル(.dataファイル)を選択し「保存データ読込」をクリック
  5. 読み込んだデータの内容について表示されるので「所得税の確定申告書作成再開」をクリック
  6. 「帳票表示・印刷」をクリック
  7. 確定申告書(PDFファイル)がダウンロードされるため、印刷して完了
プリントアウトした確定申告書には、右上に「受付日時」と「受付番号」の表示があります。

申告データの印刷方法(xtx形式のファイルを利用)

上記の手順4において「.data」ファイルが見当たらず、代わりに「.xtx」ファイルがあるという場合も考えられます。

その場合は手順が異なりますので、トップページに戻って以下の通りに進めてください。
  1. e-Taxのサイトにアクセス
  2. 「確定申告書等作成コーナー」をクリック
  3. 「申告内容確認コーナー」欄の「送信した申告書等の表示」をクリック
  4. 「参照」から保存ファイル(.xtxファイル)を選択し「電子申告等データ読込」をクリック
  5. 読み込んだデータの内容について表示されるので正しければ「次へ」をクリック
  6. 「帳票表示・印刷」をクリック→ボタン横にメッセージが表示されるので「ファイルを開く」をクリック
  7. 確定申告書(PDFファイル)がダウンロードされるため、印刷して完了
なおこの「.xtx」ファイルは、確定申告書のデータを送信する直前段階のファイルです。

そのため受付日時・受付番号は表示されていない点にご注意ください。

受信通知データの印刷方法

紙の確定申告書を提出する場合、税務署から「申告書を受け付けました」の意で受領印を押されますが、e-Taxの場合はデータ送信なので、それができません。


その代わりとして、国税庁が確定申告書を受け付けたことを示す受信通知データがありますので、あわせて印刷方法を紹介します。

  1. トップページの「申告内容確認コーナー」から「メッセージボックス確認」をクリック
  2. 受付システムのログイン画面が表示されるので、利用者識別番号と暗証番号を入力してログイン
  3. メッセージボックス一覧の「確認画面へ」をクリック
  4. 表示された一覧から「手続き名」で該当するものをクリック。なお申告後120日を経過したものは表示されないため「過去分表示」から確認
  5. 「メール詳細」として申告内容が表示されるため、印刷して完了

確定申告書の控えを提出することが必要な場面で、e-Taxのデータを用いる場合には、この受信通知データも一緒に提出することになります。

確定申告書の再発行についてのまとめ

いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは

  • 確定申告書の控え(写し)が必要となるのは「各種ローンの申請時」「保育園・幼稚園の入園時」など
  • 控えを紛失した場合には再発行手続きを「税務署窓口」もしくは「郵送」で行うことができる。申請をe-Taxで行った場合には再発行もe-Tax
  • 再発行手続きには1ヶ月程度かかる。確定申告書の内容を確認したいのみであれば「閲覧請求」によって当日その場で閲覧が可能

でした。


確定申告書の控えが必要な場面は意外とあるものです。


確定申告後、なくさないように保管しておくことが基本ですが、手元にないと気づいた時には慌てずに再発行の手続きを行いましょう。


繰り返しになりますが、気を付けたいのは手続きに時間がかかる(特に税務署の繁忙期など)という点です。


こればかりはどうしようもないので、まずは確定申告書を提出する先方に、源泉徴収票や課税証明書など他の書類で審査してもらえないか確認してみるのも一つの方法です。


確定申告書が必須となれば、なるべく迅速に手続きを行ったうえで、時間がかかる旨を伝えておくなどするとスマートでしょう。


保険ROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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