脱税に時効はあるの?税金の無申告・申告漏れがバレた場合どうなる?

脱税には時効があります。脱税の時効は主に3種類あり、脱税したのではないか(悪質)と判断された場合の時効は7年、無申告・未申告による脱税の場合は5年が時効になります。脱税がバレた場合は追徴課税がされることがあります。今回は、脱税の時効と、脱税発覚によるペナルティーを解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

脱税の時効は何年?脱税をするとどうなるのか


税金対策のために、さまざまな節税を心掛けている人も多いと思います。ですが、税金自体支払いたくないという思いから、脱税をしてしまう人も少なからずいるのを知っていますか。


税金を納めることは私たち国民の義務です。もし、脱税をした場合、税務調査が入り不正したことは確実にバレるでしょう。


今回は、脱税について、

  • 脱税とはどのような場合のことを言うのか?
  • 脱税や税金に関する時効をケース別に紹介
  • 脱税の時効は狙うべきではない!最終的にどうなるのか
以上のことを解説します。

この記事を読めば、どのようなことをすれば脱税にあたるのかがわかり、脱税は安易にしてはいけないということがわかるでしょう。ぜひ、最後までご覧ください。

脱税とはそもそも何?

節税と脱税は全く意味が違います。法律を無視したり、支払いたくないからといってわざと税金を安くしたりするのは、当然ですが違法行為にあたります。


実際に税務調査があったときに、多いと言われている脱税行為にはこれらのものがあります。

  • 仕入れを水増しする
  • 売上を少なくする
  • 在庫を減らす
  • 経費の架空計上
架空計上には人件費を架空で偽装したり、領収書を不正に作成したりするなどいくつか方法があります。


どの方法でも、脱税がバレると追徴課税が課せられ、

  • 無申告加算税
  • 過少申告加算税
  • 重加算税
などのペナルティを、延滞税と本来納めるべきだった金額にプラスして支払わなくてはいけなくなります。

なお、この3つのペナルティの中で最も重いのが重加算税です。

確定申告する人としない人の違い

確定申告と言ってもすべての人に必要というわけではありません。必要な人とそうでない人がいるのです。


では、どのような人が必要なのでしょうか?


基本的には会社で年末調整を行っている場合、不要な場合が多いため、主に必要となるのは個人事業主などになります。


その他にも、

  • 公的年金が年間で400万円以上になる人
  • 不動産収入や家賃収入、株取引で所得があり、源泉徴収されていない人

などでも必要となります。


個人事業主は基本的に確定申告が必要なことをご紹介しましたが、実は必要ない場合もあります。代表的な例が赤字の場合です。


利益に対して税金を支払う必要があるのですが、赤字の場合利益がありません。そのため、確定申告も不要となるのです。


赤字でも青色申告や住宅ローンなどで所得の証明が必要な場合、税金の還付がある場合などは確定申告が必要となります。

脱税になる前に!確定申告の提出期限と納税期限とは

確定申告の提出期限と納税期限は同じで、翌年の3月15日までとなっています。


3月15日までに1年分の所得や税金を計算し、確定申告をする必要があるのです。


この期限内に確定申告を行ったものを「期限内申告」となり、申告漏れなどが無い限り脱税になることはありません。


期限を1日でも過ぎてしまった場合、「期限外申告」となります。この場合、無申告加算税延滞税などがペナルティとして課せられてしまう場合もあるため、なるべく早めに確定申告を行うようにしましょう。


期限内申告と期限外申告では、時効にも違いがあります。以下で詳しくご紹介します。

脱税や税金に関する時効をケース別に紹介

脱税をした場合でも時効があるため、定められた期間バレなければ違反にはなりません。


この見出しでは、脱税や税金に関する時効について、

  • 脱税と税金の時効は同じ?
  • 税金の時効は3種類ある
  • 【例】確定申告の時効
  • 税務署が気付かない場合は時効になる
  • 脱税の時効は法人個人は違う?
これらについて、ケース別に見ていきましょう。

なお、参考として「告訴時効はまた別」であることと、「督促状には時効をリスタートさせる効果がある」2つを紹介します。

脱税は絶対にしてはいけない行為ですが、脱税や税金、確定申告などの時効についての知識をきちんと身につけておくのも、正しい申告をするためには必要です。

脱税の時効と税金の時効は別

税金の納付忘れがあると、督促状が送られてきますのでハガキを見て慌てて支払うことはよくある話です。


詳しくは次で解説しますが、税金の時効は主に3種類あります。その中でも、脱税したのではないか(悪質)と判断された場合の時効は7年です。


それとは別に未申告(脱税)した場合の時効は5年となるため、全く別物であると考えてください。


時効の年数は、このように脱税をしようと思ったかどうかなどケースにより切り替わります。また、督促などがあれば時効が中断されることもありますので、一概に何年とは言い切れないところもあります。


また、脱税が刑事事件として扱われた場合、その時効はまた別の話となります。


 公訴時効の年数は、軽犯罪法違反などの1年から重いもので現住建造物放火で25年までがあります。


 単純横領などの公訴時効は5年ですが、業務上横領や詐欺などは7年となります。時効はこのように、脱税の時効や税金の時効、公訴時効などそれぞれ別として扱われます。



万が一脱税をしてしまった場合、ご自身が置かれている立場を正しく理解して、時効を考えることが大切です。

税金の時効は3年、5年、7年の3種類

税金の時効は大きく分けて3種類あります。


時効が3年の場合、

  • 申告の期限内にきちんと提出している場合
何らかの納付ミスがあった場合などが挙げられます。

時効が5年の場合、
  • 申告の期限内に提出していない場合
期日が守れなかった場合などが挙げられます。

時効が7年の場合、
  • 申告の段階で脱税の意思が発覚した場合
虚偽の記載をして申告したり、申告を意図して行わない場合(未申告)などが挙げられます。悪質だと判断されれば、3年・5年の時効も7年となるわけです。

なお、時効の種類については、さらに細かく次の見出しで確定申告を例に解説します。

【例】確定申告の時効

税金の時効は3種類あると話しましたが、より具体的に例を出してみると以下のようになります。


時効が3年の場合

時効3年は、所得税の確定申告を期限内にきちんと提出するケースです。納税忘れやミスがあり、納めるべき金額よりも少なかったときなどは3年間で時効を迎えます。


時効が5年の場合

時効5年は、所得税の確定申告を期限までに提出できなかったケースとなります。


時効が7年の場合

上記で挙げた、3年・5年のパターンにおいて、悪質であると判断された場合(脱税)は時効が7年になります。


 例としては、

  • 不正な方法で所得を減らして提出していた
  • そもそも確定申告をしていない(未申告)

これらが挙げられます。


そもそも確定申告をしていないというのは、確定申告が必要であることを知らなかったという意味です。


サラリーマンが副業で株やFXなどをしており、20万円以上の収入があれば確定申告が必要ですが、そのことを知らなくて確定申告し忘れていたなどが挙げられるでしょう。


どういった経緯があったとしても、悪質だと判断されれば時効が延びて追徴課税が課せられる恐れがありますので、ミスなく納税することが大切です。


とくにサラリーマンが副業を始める場合、前もって税金の知識を身につけておくことが大切です。

税務署が気付かない場合に時効になる

脱税の時効は、あくまでも税務署が脱税していることに気付かなかった場合のみに限ります。


税金が未納であれば督促状が送られ、それにより時効もリセットされます。そして、督促状の送付日から再度新しい時効が発生するのです。


脱税は主に、

  • 税務調査
  • 資産状況
  • 密告
これらが原因で発覚すると言われています。

税務調査は、実際に帳簿や領収書・請求書などを細かくチェックします。資産状況は、収入と資産のバランスが明らかにおかしい場合などに調べられるようです。

また、脱税していることを第三者に密告される場合でも発覚する可能性もあります。脱税している人が色んなところでそのような話をするとは思えませんが、何がきっかけで発覚するかわかりません。

脱税は絶対にしてはいけない行為であり、税務署が気付かないのは本当に稀なケースであることを知っておきましょう。

脱税告訴時効はまた別

仮に脱税が刑事事件として扱われた場合、その時効はまた別の話となります。


公訴時効の年数は、軽犯罪法違反などの1年から重いもので現住建造物放火で25年までがあります。


単純横領などの公訴時効は5年ですが、業務上横領や詐欺などは7年となります。時効はこのように、脱税の時効や税金の時効、公訴時効などそれぞれ別として扱われます。


万が一脱税をしてしまった場合、ご自身が置かれている立場を正しく理解して、時効を考えることが大切です。

参考:督促状には時効をリスタートさせる効果がある

時効は、税務署から督促状や納税告知・交付要求などの事実があった場合、中断されてそれまでの期間がリセットされます。そして、改めて督促状の送付日から時効が開始されるのです。


督促状が来ても、時効さえくれば納付義務はなくなるとは思っていませんか。


何度も何度も督促状がくれば、そのたびに時効はリセットされますし、支払いせずにそのままにしておけば最後は財産差し押さえになります。


脱税や滞納は、基本的に税務署が把握していないわけがありません。督促状が来たということは、まさに税務署があなたがしていることを把握しているという証拠です。


この場合、仮に支払いが出来なかったとしても一度税務署に連絡をして、知らないフリはしないことが大切です。

脱税の時効は個人事業主と法人で変わらない

脱税の時効は、個人も法人も基本的には7年となります。


ですが、法人の場合は脱税を疑われると、7年以上前の資料も確認される恐れがあるのです。また、督促状と同じで税務署が企業に対しアクションを起こせば、時効はリセットされるため注意が必要です。


個人も法人も脱税をしてはいけません。特に法人は、定期的に税務署から調査が入るため脱税をしてもほとんどの確立で発覚するでしょう。


仮に脱税が発覚すればペナルティが課せられ、もともとの税金よりも高い金額を納付しなくてはいけなくなりますよ。

税金の無申告がバレた!脱税するとどうなる?


脱税をしても、税務署は常に細かくチェックしていますし、督促状が届けば時効も意味が無くなります。


ここでは、脱税をしたら最終的にどうなってしまうのか、

  • 延滞税
  • 利子税
  • 加算税
以上のことを解説します。

また、注意点として、
  • 確定申告が遅れると控除がなくなり延滞税がかかる
  • 競馬などのギャンブルで得た所得にも税金がかかる
  • 確定申告の内容に間違えがあった場合
以上のことも解説します。

税金を滞納するとさらに税金がかけられる【延滞税】

税金は滞納すると、

  • 延滞税として年間7.3%請求される
これが、延滞税です。

仮に税金を納付しなかったとしても、税務署から指摘されなければ時効となるかもしれません。ですが、税務署に気付かれないように脱税するのは難しい話ですし、得策とは言えないでしょう。

次以降の見出しで詳しく解説しますが、もし税金の延滞が故意で脱税だとバレてしまったら、さらに加算税が加算されます。

脱税だと疑われる前に、ご自身で納付手続きをすれば加算税は掛かりませんので、なるべく早く支払ったほうが良いでしょう。

納税が遅れると利子が発生する【利子税】

利子税は一見すると滞納税と同じように思えますが、利息が発生するという点だけが同じです。


資金繰りがつかない、公認会計士による監査などの理由があり期日までに納付できない場合に発生します。ご自身の判断で延滞するのではなく、事前に税務署に申告をしなくてはいけません。


利子税は納付する税金により条件が異なり、

  • 所得税+復興特別所得税は年1.8%
  • 贈与税は年6.6%
これらの割合で利子税が請求されます。

納税が遅れると、ペナルティが課せられますので速やかに対応することが大切です。税金が払えないのと払わないのでは全く意味が異なります。もし、間に合わないということであれば速やかに申告をしてください。

追徴課税が発生する【加算税】

追徴課税とは、実際よりも少ない金額で申告した税金(脱税)が発覚したことでペナルティが課せられる税金です。


では、1つずつ見ていきましょう。


無申告加算税

申告が遅れ、無申告加算税が課せられた場合の税率は、
  • 50万円以上は20%
  • 50万円以下は15%
ただし、税務調査が入る前に自主申告した場合は5%となります。期限内に申告をしなかった場合に加算される税金ですので、申告漏れには注意が必要です。

過少申告加算税

期限内ではありますが、本来納めなくてはいけない税金よりも少ない金額で申告した場合、過少申告加算税が加算されます。

本来支払うべき税金の差額とあわせて、
  • 50万円以上は15%
  • 50万円以下は10%
それぞれの過少申告加算税が発生します。

自主申告を税務調査が入る前にきちんと行い、正当な理由であると認められた場合は加算されないこともあります。

もし、うっかりミスなどで間違えていたのであれば、すぐに修正申告をしてください。

不納付加算税

源泉徴収税を、期限内に支払わなかった場合は不納付加算税が加算されます。

  • 納付する額の10%
自主申告を税務署が指摘する前にすれば、5%に軽減されます。

源泉徴収税は会社により納付するタイミングが異なります。今一度よく確認し、納付漏れがないようにすることが大切です。


重加算税

重加算税は、以下の脱税でより悪質だと判断された場合、それぞれの代わりに課せられます。


上記で挙げた3つのペナルティよりも加算される税率が高いため、それだけ脱税は重い罪になるということがわかりますね。

  • 35%(過少申告加算税・不納付加算税)
  • 40%(無申告加算税)
追徴課税は会社の経費にはできないため、誤りに気付いたらすぐに自主申告をしてください。

確定申告が遅れると控除がなくなり延滞税がかかる

確定申告は、毎年3月15日が提出期限です。サラリーマンの人で確定申告をしなくてはいけない人は、忙しい中で作成するのは大変ですよね。


ですが、遅れたから提出しなくていいやではなく、期限後申告を行い速やかに申告書を提出したほうが課せられる税金も少なくてすむでしょう。


もし、確定申告が遅れると、

  • 無申告加算税が加算される
  • 延滞税が加算される
  • 青色申告の場合、65万円の特別控除が受けられなくなる
これらのペナルティが課せられます。

ただし、無申告加算税は確定申告を期限内に提出しようとしていたなど、条件を満たせば課せられることはありません。

確定申告の提出期限直前に慌てないためにも、事前に必要な書類をまとめたり、利用できるソフトを活用したりするなどして、万全に確定申告をしましょう。

競馬などのギャンブルで得た所得にも税金がかかる

競馬や競艇が趣味だという人も中にはいるかもしれません。


ほんの少し遊んだ程度であれば全く問題ありませんが、50万以上ギャンブルでお金を稼いだ場合、税金を納めなくてはいけないのを知っていましたか。


もし、知らずに無申告だった場合、上記で解説した「確定申告が遅れると控除がなくなり延滞税がかかる」と同様のペナルティが課せられますので注意が必要です。


なお、海外でギャンブルをして高額の利益を得た場合は、日本ではなくギャンブルを行った国の法律に基づいて税金を支払うことになります。


ギャンブルでもし、50万円を超す利益が出ましたら必ず確定申告をして税金をしっかりと納めましょう。

参考:確定申告の内容に間違えがあった場合(更正の請求/修正申告)

確定申告をしたあとに間違いに気付いた場合、訂正手続きを行います。


更正の請求

税額が多かった場合の修正手続きです。5年以内であれば請求可能となっています。税務署でチェックし、内容が認められたら税金が戻ってきます。


修正申告

税額が少なかった場合の修正手続きです。修正分の税金にプラスして延滞税がかかります。


なお、税務署から指摘される前に手続きをすればこれで終わりですが、指摘されると過少申告加算税もプラスかかるため注意が必要です。


更正の請求も修正申告も、正しい申告をするために必要な手続きです。確定申告は提出したら終わりではなく、必ず一度提出内容を確認することをおすすめします。


特に、税額が少ない場合は指摘されますが、多く申告していた場合は指摘が入りません。


確定申告は直前になって慌てて作成する人も多いと思います。ですが、提出前に作成した申告書を何回か見直すくらいの余裕をもって作成したいものです。


提出前にミスに気付けば、面倒な修正もペナルティも支払わなくてすむため、それが一番だとは思いませんか。

(参考・国税庁「申告が間違っていた場合」

確定申告により所得税の還付が受けられる!還付申告の時効は5年


確定申告は納税をする為のものだけではありません。確定申告を行うことで、所得税の還付が受けられる場合もあるのです。


自分は年末調整を会社で行っているから関係ない、と思う方もいるかもしれません。


しかし、

  • 医療費控除
  • ふるさと納税(ワンストップ特例制度を利用している場合は不要)
  • はじめて住宅ローンが適用される年

などの場合は確定申告を行うことで還付金が支払われます。


知らなかった、受け取り忘れた、という方もいるかもしれません。還付申告の時効は5年となっているため、5年以内にこれらの還付金を受け取っていない方は、「更正の請求」という手続きをすることで所得税の還付が受けられます。


年末調整をしているからと安心せず、このような所得控除が無いかしっかり確認しておきましょう。

まとめ:脱税発覚はペナルティがあるので税金はきちんと納付しましょう

脱税には時効があるのか、税金との時効の違いや脱税すると課せられるペナルティについてなどを解説しましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 脱税の時効と税金の時効はである
  • 税務署が気付かなかった場合は時効となるが、それは稀な話でありほとんどのケースでは指摘督促状など)が入る
  • 税務署から督促状がくると、時効はリセットされる
  • 脱税が発覚するとペナルティが課せられる
  • ギャンブルも50万円以上稼いだ場合は税金を納めなくてはいけない
以上となります。

脱税の事件はよく、大手企業や大物芸能人などがニュースで取り上げられますが、私たちにとっても非常に身近な話です。

知ってて脱税をするのはもちろん犯罪行為です。知らなかったという場合でも、指摘されればペナルティが課せられるため気を付けなくてはいけません。

確定申告は余裕をもって正しく行い、間違いが起こらないようにすることが大切です。

ほけんROOMでは、他にもお金にまつわる記事を多数掲載しておりますのでぜひご覧ください。

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