雇用保険の適用除外とは?適用除外に該当される7つ条件を解説!

雇われて働いている人は雇用形態に関係なく、基本的には雇用保険に加入することになります。しかしそれには例外があり、適用除外とされるケースもあることをご存じでしょうか?この記事では、そんな雇用保険の適用除外とは何なのかを説明すると共に、適用除外とされる条件なども紹介します。

雇用保険の適用除外について解説

会社を辞めてすぐに、次の仕事が見つかるという人はなかなか居ないと思います。様々な事情により勤めている会社を辞めなくてはいけない場合、給料が無ければ不安で次の会社も見つけにくいですよね。

厚生労働省が定める雇用保険制度は、誰でも加入できるわけではありません。加入条件があり、人によっては適用除外になるかもしれないのを知っていますか。

適用除外とは、会社に雇用されていても雇用保険法が適用されない人のことを言います。

そこで今回は、
  • 雇用保険の適用除外に該当される7つの条件
  • 雇用保険に入れない・入らなくても良いケース
以上のことを解説します。

この記事を読めば雇用保険の知識がより深まりますので、転職活動などのときに役立つでしょう。ぜひ、最後までご覧ください。

雇用保険の適用除外に該当される7つ条件

雇用保険の適用除外には、条件が7つあります。


ここでは、雇用保険法第6条にある、

  • 65歳に達した日以後に雇われる場合
  • 1週間の所定労働時間が20時間未満の場合
  • 同じ職場で31日以上働く見込みがない場合
  • 季節的業務に関する短期雇用の場合
  • 昼間学生の場合
  • 船員として働く場合や漁船で働く場合
  • 国家公務員や地方公務員、国・地方自治体などの事業で雇われる場合
これらについて解説します。

また、参考として65歳以上の高齢者でも、適用除外にならない場合があることについても解説します。

条件①:65歳に達した日以後に雇われる場合

以前は年齢が65歳以上に仕事に就いた労働者は、雇用保険の適用除外でした。


しかし、2017年雇用保険法が改正され、

  • 31日以上の雇用見込みがある
  • 週の所定労働時間が20時間以上ある
以上の条件を満たせば、年齢が65歳以上でも雇用保険の対象となりました。

ただし、「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出しなくてはいけません。


手続きは過去にさかのぼっても可能ですが、その場合は何故申請が遅れたのか理由を書いた書類などが必要になります。わからなければ事前に必ず、ハローワークに確認しましょう。

条件②:1週間の所定労働時間が20時間未満の場合

次の適用除外の条件に、1週間に20時間以上働かなくてはいけないというのがあります。


仮に、今までは週に20時間以上(週5日など)働いており、雇用保険の加入条件に満たしていた人が、家庭の事情などの理由により20時間未満になった場合、その時点で適用除外となります。


失業手当は資格喪失日の翌日から1年間と期限が決まっていますので、労働時間が20時間未満になった日が離職日だとみなされてしまうのです。


もし、失業手当を考えているのであれば、週4日勤務をしていた時期から1年以内に退職するようにしてください。

条件③:同じ職場で31日以上働く見込みがない場合

雇用契約書に31日未満で解雇することが明示されていた場合は、雇用保険の適用除外となります。


つまり、「更新する見込みがある」などの記載が雇用契約書にあれば、31日以上働く見込みがあるとみなされますので条件に当てはまるという訳です。


もし、雇用契約書に更新に関することが書かれていなかったとしても、実際に労働者が1ヶ月以上働いた実績があれば問題ありません。


自分がどのような契約をされているのかわからない場合は、一度確認してみることをおすすめします。

条件④:季節的業務に関する短期雇用の場合

夏の海水浴場や冬のスキー場・スケートリンクなど、仮に1ヶ月以上働いたとしてもそれが季節的業務で短期雇用である場合は雇用保険の適用除外となります。


ただし、もともと予定されていた期間を過ぎても雇用が認められ、継続して同じ勤務になった場合は雇用保険の対象となります。


その場合は、遡って加入するのではなく長期雇用に切り替わった日から被保険者となりますので注意が必要です。


夏休みなどの長期休みを利用して働く場合は、季節的業務に当てはまる可能性が十分にあるということを知っておきましょう。

条件⑤:昼間学生の場合

学費や生活費を稼ぐために、学生がアルバイトをする場合も多いと思います。ですが、昼間学生の場合は雇用保険の適用除外となります。


しかし、学生がアルバイトをする場合でも雇用保険の対象となるケースもあります。

  • 大学を休学している学生
  • 定時制に通っている学生
  • 卒業後も引き続き雇用されている企業に勤める予定がある、卒業を予定している学生
学生はすべて適用除外という訳ではありませんので、もし上記で挙げた条件に当てはまる人は今一度確認してみてください。

また、外国人留学生は昼間学生に当てはまるため、原則として雇用保険の適用除外となります。

条件⑥:船員として働く場合や漁船で働く場合

1年を通じて船員として雇用されない場合、雇用保険の適用除外となります。


漁船によっては、1年の間で一定期間就労しないことを前提とした賃金の水準となっているためです。


しかし、それ以外で1年以上の雇用が認められていれば、雇用保険の対象となります。


平成21年12月までは船員保険制度という、船員向けの健康保険に似た制度がありましたが、平成22年に見直しされて現在は雇用保険制度に統合されました。


失業の認定には普通のケースとは異なり、手続きに船員手帳が必要になりますので忘れないようにしましょう。

条件⑦:国家公務員や地方公務員、国・地方自治体などの事業で雇われる場合

公務員は雇用保険の適用除外となりますが、失業手当の代わりに退職手当が受給されます。


ですが、

  • 非常勤
  • 臨時職員
  • 選任用職員
これらの場合は雇用形態が異なるため、雇用保険へ加入できます。

公務員は一般企業に勤めるサラリーマンとはちがい、リストラや倒産などの失業リスクが少ないことが、適用除外の理由として挙げられます。

参考:65歳以上の高齢者でも適用除外にならない場合がある

65歳以上の高齢者でも、雇用保険の加入要件を満たせば高年齢被保険者として雇用保険に加入しなくてはいけません。


その要件とは、以下になります。

  • 週に20時間以上の労働時間がある
  • 31日以上の雇用見込みがある
65歳になる前に既に雇用保険に加入していた場合は、自動的に高年齢被保険者に切り替わりますので、手続きをする必要はありません。

雇用保険に入れない・入らなくても良いケース

ここまでは、雇用保険の適用除外について解説してきました。


ここからは、

  • 個人事業主(建設業の一人親方も含む)
  • 会社(法人)の社長や役員
  • 副業として働いている従業員
  • 条件を満たさない家族経営の従業員(家族従業員)
以上の雇用保険に入れない・入らなくても良いケースについて解説します。これは、加入条件を満たしていないケースとなりますので、適用除外とは異なります。

また、注意事項として「従業員が5人未満なら加入は任意」とは何かについても解説します。

個人事業主(建設業の一人親方も含む)

個人事業主やフリーランスでも、事業が軌道にのってきて従業員を雇う場合、要件を満たせば雇用保険に加入しなくてはいけません。


ただし、雇用主である個人事業主本人は雇用保険に加入することはできません。これは、労働者とは認められないためです。


自分が加入できないからといって、従業員に加入させないことは罰則に科される恐れがあります。(罰則は懲役6ヶ月以上、もしくは30万円以上です。)


従業員を加入させなくてはいけないケースは、

  • 正社員
  • アルバイト・パート従業員
  • 日雇い従業員
  • 65歳以上の高齢者
以上となります。

要件を満たしていれば、例え日雇い従業員や外国人労働者でも雇用保険に加入させなくてはいけませんので、気を付けてください。

また、一人親方は従業員の雇用はできませんが、扱いは個人事業主と同じになります。

会社(法人)の社長や役員

社長は会社(有限会社・株式会社)を設立した本人であるため、雇用保険に加入することはできません。加入できるのは健康保険厚生年金保険になります。


万が一倒産したとしても雇用保険に加入できないため、失業手当はありませんし、業務内でケガをしても労災保険もありません。


社長と同様に役員も雇用保険の加入はできませんが、「兼務役員」であれば雇用保険に加入できます。例を挙げるのであれば、「取締役兼営業部長」などの役職の人です。


しかし、中小事業主や一人親方など、災害の発生状況や業務の実態などから判断して保護するべきだとみなされた場合は、特別加入制度・特別労災が適用されることがあります。

副業として働いている従業員

現在、フリーランスや副業・ダブルワークなど1つの会社に縛られずにいろんな働き方をしている人が多くいます。


その中でも副業として働いている従業員の場合は、既にメインで働いている会社で雇用保険に加入しているはずです。雇用保険は2社以上で同時に加入できないため、手続きを取る必要はありません。


ただし、副業でも本業を超えるような給料や、労働時間となってくると話は大きく変わってきます。


2社の収入額を合算したうえで保険料が決定されるなど面倒なことが起こりますので、副業をする場合は、労働時間や収入に気を付けましょう。

条件を満たさない家族経営の従業員(家族従業員)

家族経営の場合、雇用保険はどうしたら良いのか迷う人も多いのではないでしょうか。


原則として、事業主従業員が一緒に生活をしている家族の場合、雇用保険に加入できません。


ただし、個人事業主や家族従業員が、事業所で同居している家族以外の労働者を雇用する場合は、雇用保険に加入させなくてはいけないケースもあります。


この場合、

  • 事業主・家族従業員の指揮命令に従っていることが明確である
  • 雇用形態が他の労働者と同じであり、給料もこれに応じて支払われている
  • 労働者であり、役員ではない
これらが条件となります。

注意:「従業員が5人未満なら加入は任意」は社会保険の話

個人事業主の場合、従業員が5人未満であれば任意加入であるとされているのは、健康保険厚生年金保険といった社会保険の話です。


雇用保険は要件を満たせば、従業員の人数が1人であったとしても加入させなくてはいけません。


この点はよく、個人事業主が勘違いしてしまうポイントでもありますので、任意加入だと思って罰則にならないためにも正しい知識を身につけることが大切です。

雇用保険の適用除外についてのまとめ

雇用保険の適用除外や加入できない・しなくても良いケースについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントをおさらいしてみましょう。

  • 雇用保険の適用除外は7つの条件がある
  • 65歳以上の高齢者も要件を満たせば、雇用保険に加入しなくてはいけない(高年齢被保険者)
  • 雇用保険は、個人事業主や社長・役員や副業、家族従業員(同居の親族)の場合は加入できない、もしくはしなくても良いケースに該当する
  • 社会保険は従業員が5人未満なら加入は任意であるが、雇用保険は従業員が1人でも要件を満たせば加入しなくてはいけない
  • 従業員を雇用保険に加入させなかった場合、懲役6ヶ月以上、もしくは30万円以上の罰則が科される恐れがある
雇用保険は、雇用されている労働者が要件を満たしている場合、絶対に加入しないといけないものです。

ですが適用除外といって、季節的業務や昼間は学校に行っている学生など、雇用保険に加入できない場合もありますので仕事をする時に該当する場合は気を付けましょう。

雇用保険は万が一会社が倒産したり、自己都合でやめた時に次の就職先を見つけるまで労働者を支える大切なものです。事業主は当然ですが、雇用される側も正しい知識を持たなくてはいけません。

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