国民年金の満期は何年?給付の種類や支給条件、満期金について解説!

国民年金をもらうためには一定の条件を満たす必要があります。満期は何年で満額はいくらなのか、老齢・障害・遺族の各年金ごとに支給条件や年金額は異なります。国民年金の制度概要を解説するとともに、満期や受給資格期間、年金額を満額に近付けるための方法について紹介します。

国民年金の満期は何年?満期まで加入すると満期金はいくらになる?

公的年金制度には様々なものがありますが、その中でも国民年金は勤労世代の全員が加入する制度です。保険料を納める者としても年金を貰う者としても、制度の当事者として仕組みを理解することが大切です。


しかしその仕組みは複雑なので、将来貰える年金額がよく分からず不安を感じている人も多いと思います。


年金を貰うには保険料を最低でもどれ程の期間納めなければいけないのか、満額を貰うには保険料を何年納めれば良いのか等、疑問は尽きないはずです。


国民年金の仕組みを正しく理解してこそ老後の生活設計を立てることもできるので、年金に関する知識をしっかりと身に付けなければいけません。


そこでこの記事では「国民年金の支給条件と支給額」について

  • 国民年金の制度概要と給付の種類
  • 老齢・障害・遺族の各年金の満期と受給資格期間

以上のことを解説します。


正しい年金知識を身に付けて老後に向けた正しいライフプランを立てられるようになりましょう。

国民年金の満期とは?公的年金の制度について解説

年金には公的年金と私的年金の2種類がありますが、公的年金は老後の生活を保障するために加入が義務付けられている国の制度です。


就業形態によって加入できる人・加入できない人に分かれる厚生年金のような公的年金制度もありますが、国民年金は20歳以上ならば強制加入となります。


保険料を原則60歳まで払って65歳から年金を貰う仕組みで、保険料を納めた期間が40年に達すると年金を満額で貰えます。つまり国民年金は40年が満期です。


なお20歳から60歳まで保険料を納めれば満期になりますが、保険料を納めていない期間がある等何等かの理由で満期に至らない場合には年金額が減額されます。


ただしその場合でも後述する任意加入制度を60歳以降に活用することで満期に近付けることが可能です。


その一方で保険料を納めた期間があまりにも短いと老後に年金を貰えない場合があります。老後に年金を貰うために最低限満たすべき条件を理解するためにも、受給資格期間について理解しなければいけません。


受給資格期間や老後の年金以外の給付の種類も含めて、国民年金の仕組みを以下で解説していきます。

国民年金は10年以上の加入で受給資格できる

国民年金から貰えるもので多くの人がイメージするのは、65歳から貰える老齢基礎年金だと思います。


これは老後の生活費になる大切なお金ですが、誰でも貰える訳ではなく受給資格期間が10年以上必要です。 


[受給資格期間]

  1. 国民年金保険料を納めた期間や免除された期間
  2. 厚生年金保険や共済組合等の加入期間
  3. 年金制度に未加入でも受給資格期間に加えることができる期間(合算対象期間)

(出典:日本年金機構


上記の期間の合計が10年以上あると老後に貰えますが、保険料納付済期間が満期の40年に満たない場合には貰える額が減ることになります。


つまり受給資格期間10年は年金を貰える最低限の条件であり、満期金を貰うための条件ではありません。


なお以前は年金受給の為に必要な期間は25年でしたが、平成29年に10年に短縮されてより多くの人が年金を貰えるようになりました。


このように国民年金の仕組みは複雑で、近年は法改正も多く行われています。日本年金機構HP等を活用して常に最新の情報を確認するように心掛けましょう。

国民年金には老齢・障害・遺族年金がある

国民年金から貰える年金は65歳以降に貰える老齢年金だけではありません。


障害状態になると貰える障害基礎年金や、家族が亡くなると遺族が貰える遺族基礎年金があります。


[障害基礎年金]

一定の障害状態になった場合に貰うことができ、働けなくなったりして収入が減っても困らないように生活を支えてくれます。


[遺族基礎年金]

国民年金加入者等が亡くなった場合に遺族が貰うことができ、残された遺族の生活費として活用できます。


この他にも一時金形式で貰えるものもあり、国民年金には様々な種類の給付があります。


万が一の場合でも生活に困らないように様々な場面で支えてくれるのが国民年金です。


制度の概要については日本年金機構HPにも掲載されているので、ぜひ確認してみて下さい。

国民年金の老齢・障害・遺族年金の満期と受給資格期間を紹介

国民年金の老齢・障害・遺族の各年金は支給条件や貰える額が異なります。


各年金の仕組みを理解して、万が一の場合でも正しく活用できるようにしておくことが大切です。


以下では満期受給資格期間など各年金の仕組みや支給条件について解説していきます。 


国民年金の老齢年金の満期と受給資格期間

原則として65歳から貰える老齢基礎年金は、満期の40年間に渡って保険料を払うと満額を貰えます。


満額の金額は物価変動を考慮して年によって変わりますが、平成31年度であれば年間で780,100円貰えます。


ただし前述の通り受給資格期間は10年であり、満期の40年に至らなくても貰うことができます。


保険料納付済期間の長さによって貰える額は変わりますが、保険料の納付状況や将来貰える年金額(予想額)はねんきんネットで確認が可能です。


事前に登録をする必要がありますが、老後の生活設計を立てる上でも便利なのでぜひ活用してみて下さい。

国民年金の障害・遺族年金の満期と受給資格期間

続いて障害基礎年金と遺族基礎年金についてです。


障害基礎年金

初診日から1年6カ月を経過した日(その間に治った場合は治った日)に障害等級1級または2級の状態にあると貰えます。ただし以下の保険料納付要件を満たす必要があります。


[保険料納付要件]

  • 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
  • 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

(出典:日本年金機構HP


この他の細かい支給条件は日本年金機構HPで確認できますが、満期や受給資格期間という考え方はありません。そのため例えば国民年金に加入したばかりの人でも条件を満たせば貰うことができます。


満期や満期金という考え方はないので、対象者であれば貰える障害基礎年金の金額は同額です。


老齢基礎年金のように一定年数以上の受給資格期間が必要ということはなく、保険料を払った期間の長さによって貰える額が変わることもありません。


なお平成31年度であれば年間で障害等級1級が975,125円、障害等級2級が780,100円貰えます。


また一定の条件に該当する子を養育している場合には増額されます。


遺族基礎年金

国民年金の加入者や老齢基礎年金の受給権者が亡くなった場合に遺族に支給されます。


障害基礎年金と同様の保険料納付要件を満たす必要がありますが、満期や受給資格期間という考え方はありません。


詳細な支給条件は日本年金機構HPで確認できますが、対象者には同額の遺族基礎年金が支給されます。


老齢基礎年金のように一定年数以上の受給資格期間が必要ということはなく、保険料を払った期間の長さによって貰える額が変わることもありません。  


ただし老齢基礎年金の受給権者が亡くなった場合には、25年以上の受給資格期間が必要です。


なお平成31年度であれば年間で780,100円貰うことができ、生計を維持されていた子のいる配偶者または子が対象になります。


また一定の条件に該当する子を養育している配偶者が対象の場合には増額されます。

国民年金を満額受け取るための加入期間と金額

20歳から60歳までの40年間に渡って保険料を払うと満額の老齢基礎年金を貰うことができます。


国民年金40年保険料納付者であれば年間で780,100円貰うことができ、月々約6.5万円を貰える計算です。


しかし保険料未納期間や免除期間がある場合には、その分だけ将来貰える年金額が減額されます。 


厚生労働省が発表した資料によると老齢基礎年金を貰っている人の平均額は月々約5.5万円なので、満額よりも少ないことが分かります。


つまり国民年金40年保険料納付者ではない人がある程度いるということです。


ただし以下の方法によって、将来の年金額を満額にしたり受給資格期間を10年以上にすることが可能です。 

  • 免除期間や納付猶予期間の保険料を追納する
  • 任意加入する

以下で詳しく見ていきましょう。


[保険料の追納]

保険料の免除制度や納付猶予制度を利用して保険料を払っていない期間がある場合には、過去10年分までは後から払うことが可能です。


免除や猶予を受けた期間は受給資格期間にカウントされるものの年金額の計算には含まれません。追納すれば将来貰える年金額を増やすことができます。


ただし一定期間以上前の保険料を追納する場合は納付額が割増しになるので注意が必要です。


家計にとって負担になる場合もあるので、現在の生活に支障が出ない範囲で追納するようにしましょう。


なお追納する際の具体的な保険料額は日本年金機構HPで確認できます。


[任意加入]

保険料を払った期間が満期40年に満たず満額貰えない人や、60歳までに受給資格を満たさなかった人のための制度です。


このような人が60歳以降も国民年金に任意加入することで、将来貰える年金額を増やすことができます。


老齢基礎年金の繰上げ支給を受けているケースのように任意加入できない場合もありますが、詳しくは日本年金機構HPで確認できます。

まとめ:国民年金の満期は40年しかし加入期間10年から受け取り可能

「国民年金の支給条件と支給額」について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?


この記事のポイントは

  • 国民年金の老齢年金を貰うためには10年以上の受給資格期間が必要である
  • 老齢・障害・遺族の各年金の満期や受給資格期間の考え方は異なっている

でした。


老齢基礎年金の満期は40年で、満額支給の場合は年間で約78万円貰えます。しかし最低でも受給資格期間が10年以上ないと貰うことができません。


障害基礎年金と遺族基礎年金には満期や受給資格期間という考え方はなく、条件に該当すれば年間で約78万円貰えます。ただし保険料納付要件があるので、保険料未納期間があると貰えない場合があります。


この記事を読んだことで国民年金の仕組みが理解できたと思います。


身に付けた年金知識を活かして老後の備えを確実に行えば、安心して老後を迎えることができるでしょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。

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