シングルマザーの手当の種類は?支給条件や金額の計算方法も紹介!

近年は離婚する家庭が増え、シングルマザーの割合が増えています。働く女性が増えているとは言ってもシングルマザーの家計は厳しいのが現状です。母子家庭の手当の種類や支給条件・金額を理解し、自分が手当をいくらもらえるのか計算していきましょう。

シングルマザーの手当は月いくらもらえる?


働く女性が増えている今日ですが、一方で離婚等によってシングルマザーになる女性の割合が増えています。 厚生労働省が発表した「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、シングルマザー世帯数は約123.2万世帯もいると言われています。


しかし、生活する上でも子育てしながら一人で稼ごうとしても家計が厳しいシングルマザーが多いのが現状です。


ここでは、

  • シングルマザーへの手当には何がある?
  • 受け取れる補助金は他にないのか?
  • シングルマザーの手当に関するシミュレーション

について紹介していきます。
 


この記事をお読みいただければ、シングルマザーに対する手当や補助金について理解を深めてもらえます。 


できる限り細かくご説明していますので、ぜひ最後までお読みください。

児童扶養手当

シングルマザーの方が受けられる手当はいくつかありますが、まず始めに支給されるであろう手当は児童扶養手当です。


児童扶養手当は父母の離婚や死亡によって、母子家庭もしくは父子家庭となっている子供に対して支給する手当です。子供が自立した生活を送るために子供を監護している親に支給されるものです。


次項で対象者や条件につきましてご説明します。

児童扶養手当の対象者や条件

児童扶養手当を受給できる条件ですが、「対象の子供が18歳に達する日以降の3月末まで」となっています。


また以下に該当する場合に支給されます。

  • 父母が婚姻解消した子供
  • 父母のどちらかが死亡した子供
  • 父母のどちらかが「年金の障害等級1級程度」にある子供
  • 母が婚姻によらないで懐胎した子供

上記の他該当項目はありますが、シングルマザー世帯の子供に対しては児童扶養手当が高校卒業までは支払われることになります。


ただし、定められた額以上の所得を母親が得ていたりする場合には支給されません。また、婚姻を結んでいなくても事実婚状態であったり、国内に住所を有していない場合には支給されません。

児童扶養手当の支給金額や支給日

児童扶養手当の支給金額ですが、2019年4月に支給額の改定が行われ、手当額が加算されています。以下の表にまとめています。

全部支給一部支給
第一子42,910円42,900円~10,120円
第二子10,140円10,130円~5,070円
第三子以降6,080円6,070円~3,040円

上記の金額はひと月分で、これまで4か月分ずつを年3回支給されてきました。しかし、2019年11月より「2か月分ずつを年6回支給」に変更されています。


全部支給か一部支給かは、シングルマザーの方の所得によって変わりますのでご確認する必要があります。


尚、児童扶養手当の支給日は隔月(1月、3月、5月、7月、9月、11月)の11日となっています。


ここで注意が必要なのが「養育費」についてです。もし仮に離婚によってシングルマザーとなった場合に養育費をもらっているとその8割が収入として算入されます。ともなれば児童扶養手当の支給額が少なくなってしまう可能性がありますので頭に入れておきましょう。

児童扶養手当の申請はいつまで?手続き方法

児童扶養手当の申請は手当の対象に該当する場合であればいつでも申請できます。また、児童扶養手当は「申請した翌月」から支給されるため、仮に1月中に申し込めば翌2月からは支給されることになります。


手続きの方法は、最寄りの市町村の役所窓口にて手続きを行います。手続きが完了すれば翌月より支給対象となり、一番近い支給日から支給が開始されます。


ここで一つ注意が必要なのが、児童扶養手当はさかのぼって支給されないため、仮に1月に離婚したものの、申請が5月となってしまった場合「6月からの支給」となってしまいます。


従って、できる限り早めに申請を行うことが大事です。

児童育成手当

児童扶養手当の他、シングルマザー世帯に対する手当として「児童育成手当」があります。この手当は児童扶養手当とは別に支給されるもので、シングルマザー世帯の子供の福祉増進と健やかな成長を目的とした手当です。


自治体によって実施しているところとしていないところがあるため事前に確認する必要がありますが、「児童育成手当」という名称は東京都が付けている制度名です。

児童育成手当の対象者や条件

児童育成手当の支給条件は、児童扶養手当の条件と同じく、「対象の子供が18歳に達する日以降の3月末まで」となっています。


また以下に該当する場合に支給されます。 

  • 父母が婚姻解消した子供
  • 父母のどちらかが死亡した子供
     
  • 父母のどちらかが「年金の障害等級1級程度」にある子供
  • 母が婚姻によらないで懐胎した子供で、父から扶養されていない子供

その他の該当条件はありますが、基本的に児童扶養手当の条件と同等となっています。


児童育成手当の支給に関するシングルマザーの所得制限は設けられていますが、児童扶養手当よりも所得制限は緩やかです。例えば東京都目黒区の条件ですが以下の表の通りです。

扶養人数所得制限限度額
0人3,604,000円
1人3,984,000円
2人4,364,000円
以下1人増すごとに380,000円加算

日本人の平均年収が467万円と算出されており、一方女性の平均年収が279万円となっております。


比較的、児童育成手当を受け取れるシングルマザーが多くなる可能性があります。ご自身の所得を算出してみましょう。

児童育成手当の支給金額や支給日

児童育成手当は自治体によって異なる場合がありますので確認する必要があります。今回は東京都目黒区を参考にしていきます。


支給金額ですが、1児童につき「月額13,500円」となっています。支給日は15日となっており、原則として6月、10月、2月の年3回、前月までの4か月分をまとめて支給されます。

児童育成手当の申請はいつまで?手続き方法

児童育成手当の申請はご自身が住まれている市町村にて行います。「申請した翌月分」からの支給となります。


その際に必要となるのが「認定請求書」と「戸籍謄本」、「口座番号がわかるもの」、「本人および児童のマイナンバーおよび本人確認書類」です。認定請求書は子育て支援課といった自治体のこども関連部署にて用意できますので、お問い合わせください。

母子家庭の住宅手当

シングルマザーの方向けの手当にはその他「住宅手当」があります。これは自治体によりますが、家賃負担は支出の中でも大きい部類に入るため、できる限り受け取りたいものです。


ただし、受給には条件がありますので以下で解説していきます。

母子家庭の住宅手当の対象者や条件

住宅手当は自治体によっては設けていないところもあるので事前に確認する必要がありますが、大きく分けて「家賃補助」か「住宅供給」のいずれかで対応している先が多いです。


「家賃補助」については、東京都の各自治体などが独自で実施をしています。また、「住宅供給」は、福岡市などの地方都市で県営住宅を優先的に供給することで対応しているところもあります。


いずれにしても住宅手当を受けるためには条件があり、

  • 母子家庭もしくは父子家庭である
  • 18歳未満の児童がいる
  • 賃貸物件に住んでおり、住民票がある(家賃補助の場合)
  • 生活保護を受けていない
  • 所得が一定水準に満たない
等々条件は様々あります。

基本的に月額給料が20万円未満の場合は対象者となる可能性がありますので、対象か否かを確認する必要があります。

手当の金額ですが、自治体によりますが月3,000円~50,000円程度の手当となっているところが多いです。

母子家庭の住宅手当の支給金額や支給日

住宅手当の支給金額ですが、自治体によって大きくことなるため一概には言えません。金額は月3,000円程度のところもあれば、東京都千代田区では最高50,000円まで支給するなど様々です。


支給日についてもそれぞれ異なりますが、東京都武蔵野市の住宅手当は年3回(4月、8月、12月)に各4か月分の手当を、該当月の月末に支給されています。

母子家庭の住宅手当の申請手続き方法

住宅手当の申請は、必要な資料と時間がかかることが想定されるため、余裕を持った申請が必要です。


申請は、各自治体の子ども関連部署にて手続きを行います。その際に必要な資料ですが、

  • 借家賃貸借契約書(住居の契約書)
  • 印鑑
  • シングルマザーであることの証明書(戸籍謄本等)
  • 住民税課税証明書(収入所得・扶養家族人数がわかるもの)
以上が必要となります。

申請が認められれば、申し込んだ月から支給対象となります。

母子家庭に限らず対象者が受け取れる補助金


ここまではシングルマザーを対象にした手当について解説してきましたが、シングルマザーに関わらず子供関連で受け取れる補助金がいくつかあります。


もちろんシングルマザーの方でも条件に当てはまれば受け取れるものですので確認してみましょう。

児童手当

シングルマザーのみならず全世帯の家庭を対象とした子育て支援手当である「児童手当」は、支給できる可能性の高い方が多いです。


支給の対象者は0歳~15歳までの子供です。支給額は以下の通りです。

対象金額
0歳~3歳未満一律15,000円
3歳~12歳(小学校卒業)
第1子・2子
10,000円
3歳~12歳(小学校卒業)
 第3子
15,000円
中学生一律10,000円

支給期間は年3回(2月、6月、10月)で、それぞれ4か月分が該当月の12日頃に振り込まれます。


こちらですが、所得制限が設けられております。

扶養家族人数所得額
0人630万円
1人668万円
2人706万円
3人744万円

※以降1人増えるたびに38万円を加算します。


比較的該当者が多い手当ですので確認してみましょう。

特別児童扶養手当

万が一子供に障害があるといった場合に支給されるのが「特別児童扶養手当」です。


対象者は20歳未満の以下に該当する子供です。

  • 精神障害発達障害と診断を受けている子供
  • 日常生活において著しく制限を受けている子供
  • 身体に障害があったり、長期間安静が必要な症状を持っている子供
基本的には身体障害者手帳を持っている子供に対して支給されるものと考えておきましょう。

支給額ですが、

子供の人数等級1級(身体障害者手帳1~2級)等級2級(身体障害者手帳3~4級)
1人51,100円34,030円
2人102,200円68,060円
3人153,300円102,090円

と、障害者手帳の等級によって支給額が異なります。

支給は年3回(4月・8月・12月)で、各4か月分を該当月の11日に支給されます。

特別児童扶養手当を受給し続けるためには、毎年8月に児童扶養手当現況届を提出する必要がありますので、事前に認識しておきましょう。

ひとり親家族等医療費助成制度

その他、医療費に関しても助成制度がある自治体が多くあります。呼び名は自治体によりますが、「ひとり親家族等医療費助成制度」という制度で、シングルマザー世帯の保護者や子供が病院やクリニックの診察を受けた際の医療費自己負担額を自治体が助成するというものです。


対象は、0歳~18歳までの子供をお持ちの母子家庭世帯で、以下の所得以下の世帯が対象です。

扶養家族人数母子家庭の親の所得孤児の養育者等の所得
0人192万円236万円
1人230万円274万円
2人268万円312万円

※3人以上1人ずつ増えるたびに38万円加算。


所得が低い世帯の場合に助成される医療費支援の制度です。

シングルマザーの手当に関するQ&A

ここまでシングルマザー世帯向けの手当や助成についてご説明してきましたが、ここからはシングルマザーの方が気になるQ&Aを2つ紹介致します。

気になる方も多いと思いますのでご質問の多いものを取り上げます。以下をご覧ください。

実家暮らしの場合でも手当は受け取れる?

シングルマザーの方で多いケースとして「実家暮らし」の方がいらっしゃると思います。この場合でも手当が受けられるかと気になる方が多くいらっしゃいます。


実は実家暮らしですと「手当等が受け取れない可能性がある」のです。


住民票も別にしており、家計も別であるのになぜ?という疑問が出てきそうなのですが、児童扶養手当等は実際断られているケースが多く見られます。


その理由としては、「家計や世帯が別でも、同じ屋根の下で暮らしていれば親や他の兄弟に世話になりますよね?」というところからきています。


要するに、家賃負担がなく、ある程度所得を持った家族の支援を受けられるのであれば手当を支給するほどの状況ではないと自治体が判断してしまう可能性があるのです。


不公平感は否めませんが、実家暮らしの場合は同居する家族の所得の状況によっては手当が受けられない可能性があるということを理解しておきましょう。

元旦那からの養育費は所得に含まれる?

離婚によってシングルマザーとなった方が元旦那より養育費を受け取っている場合、所得計算の中に含むか否かについてのご質問も多いと思います。


この答えですが「YES」です。


特に児童扶養手当等の受給の際には、現在の収入とプラスして養育費を計算する必要があります。


ただし、全額を収入として計上するのではなく、受け取った養育費の8割を収入に含めることになります。


この養育費ですが、自己申告となっているため金額については裁量を与えられていますが、万が一少しでも過少に申告していることがばれてしまうと虚偽申告として罰則があります。


その場合、過去に遡って全額返金しなければならず、児童扶養手当法違反によって3年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金に科せられる可能性がありますので、しっかりと申告しましょう。

シングルマザーの手当のシュミレーション

ここまでくればシングルマザー向けの手当についてご理解を深めて頂けたと思います。ここからは簡単にシミュレーションをしていきたいと思います。今回1つ例を挙げてみましたので参考にしてください。(給与所得控除は令和2年以降の計算式を参照


ちなみに、児童扶養手当の一部支給の場合の計算式は以下の通りです。


第1子 手当額=42,900円-(X-Y)×0.0229231 

第2子 手当額=10,130円-(X-Y)×0.0035385 

第3子以降 手当額=6,070円-(X-Y)×0.0021189 

X:上記で得られる所得額

  Y:所得制限限度額(全部支給分)


年収300万円、家賃10万円の家に住んでいて幼稚園の子供が1人

年収300万円で、家賃10万円の賃貸物件に住んでいるシングルマザーで、幼稚園の子供が1人の場合にもらえる手当について考えてみます。


年収300万円を給与としてもらっている方であれば、給与所得控除で98万円を収入から控除できます。従って所得は202万円となります。


この場合、児童扶養手当の「一部支給」に該当するため、

4万2,490円-(202万円-87万円)×0.0229231=1万6,128円

が毎月支給されます。


また、児童手当が支給されるため、毎月3万円程度の手当を受けれる可能性があります。その他住宅手当を実施している自治体であれば1万円~5万円程度の手当を受けられる可能性があります。

シングルマザーの手当のまとめ

いかがでしたか?ここではシングルマザーがもらえる手当についてご紹介しました。


ここでご紹介したことは、 

  • シングルマザーに対する手当はいくつか設けられている
  • 自治体によっては手当の種類や内容条件が異なる
  • 手当を受給するためには所得制限がある

になります。


シングルマザーが子育てをしていく上でお金に関する悩みは絶えないものです。ご自身の年収に応じてもらえる可能性がある手当がある場合もありますので、ご自身の自治体に確認することをお勧めします。


ほけんROOMでは他にも手当やお金に関する記事を多数掲載しています。興味のある方はぜひ参考にしてください。

ランキング