再就職手当がもらえない場合とは?もらえない場合の対処法を解説

再就職手当がもらえない場合は、再就職先の雇用保険への未加入である場合、基本手当の支給残日数が不足している場合、3年以内に再就職手当を受給した場合、再就職先の雇用期間の不足している場合などがあります。再就職手当がもらえなくても就業手当がもらえる場合もあるので支給条件を確認しましょう。

再就職手当がもらえない場合とは?もらえない場合の対処法

再就職手当はある程度まとまった金額になるので、是非とももらいたいと考える人は多いと思いますが、残念ながら申請の審査に落ちて、もらえない人も一定数います。


審査に落ちた理由やどんな人がもらえないのか、気になりますよね。


これらの情報をあらかじめ知っておけば、注意したり対策をとることができるので、ポイントをしっかり押さえておきましょう。


この記事では、

  • 再就職手当の意味と支給条件
  • 再就職手当がもらえない6つの理由
  • 再就職手当のもらい損ねを防ぐ方法
  • アルバイト・派遣社員・フリーランスが再就職手当をもらう方法
  • 再就職手当をもらえない事例

について、解説していきます。


この記事を読んでいただければ、再就職手当がもらえない理由やもらえない人の特徴が分かり、注意すべきポイントが掴めると思います。


ぜひ、最後までご覧ください。

再就職手当とは

再就職手当とは基本手当を受けている人が再び職に就いたとき臨時にもらえる金員をいいます。もらうには条件があり基本手当の残日数が最低1/3以上なければなりません。

いわば、失業後早めに再就職ができた人にお祝い金として支払われるものです。 


給付金額は残日数によって2段階に分かれています。

  1.  2/3以上 : 基本手当の残日数の70%
  2. 1/3以上 : 基本手当の残日数の60% 

ここからわかるように残日数が多いほうがもらえる額が多くなります。まとまったお金を一時金として渡す制度によって就職へのモチベーションをあげる狙いがここからみてとれます。 


なお計算の基礎となる基本手当の額は年齢で分けられています。

  1. 離職時の年齢が60歳未満      : 6,165円
  2. 離職時の年齢が60歳以上65歳未満 : 4,990円

再就職手当の支給条件

再就職手当の支給条件は次の通りです。

  1. 再就職待期期間が過ぎてから
  2. 基本手当を受給できる日数の残りが1/3以上
  3. 離職した会社以外に再就職
  4. 再就職先での勤務が1年以上見込める
  5. 雇用保険への加入
  6. 再就職手当、常用就職支給手当の支給が過去3年間なし
  7. 就職した会社からの内定が受給資格決定よりも前ではない

再就職は待期期間が過ぎてから

7日間の待期期間が過ぎてからの就職が条件です。

基本手当を受給可能な日数の残りが1/3以上

基本手当をもらえる日数の残りが1/3以上必要です。

離職した会社以外への再就職

退職した先と同じ会社への就職では支給されません。退職時の会社と密接な関係がある先への再就職もだめです。

再就職先での勤務が1年以上見込める

非正規社員のように契約期間が1年以下でも、更新の見込があれば対象になります。

雇用保険への加入

就職先で雇用保険に加入しなければ支給されません。

参考:再就職手当はいつもらえる?

再就職手当がもらえるのはハローワークで手続きが終わって1ヵ月半ないし2ヵ月程度後になります。 


申請手続きが可能なのは就職した翌日から1カ月以内。この間に書類を揃えて手続きを終えなければなりません。
 


まず会社から採用証明書をもらいハローワークに提出します。その際に「再就職手当支給申請書」を渡されますのでそれに必要事項を記入。この書類には事業主が記載する欄があるのでそこは会社に書いてもらいましょう。


 書類ができあがったら失業時にハローワークでもらった「受給資格者証」とともに提出します。ここまでで手続きは完了です。
 


その後、ハローワークでは書類内容の審査と就業状況の調査を行い問題がなければ再就職手当が支給されます。この調査に時間がかかるので手当をもらえるのが1ヵ月半ないし2ヵ月後となるのです。 

再就職手当がもらえない場合の主な6つの理由



再就職手当がもらえない場合、考えられる原因として、再就職先の雇用保険や雇用期間、

雇用保険の基本手当(失業給付)の受給状況、転職ルールに抵触したことなどが挙げられます。


具体的には以下の6つの理由が考えられます。

  1. 再就職先の雇用保険への未加入
  2. 基本手当の支給残日数が不足
  3. 再就職先の雇用期間が1年以内
  4. 3年以内に再就職手当を受給した
  5. 同じ会社・関連会社への再就職
  6. 給付制限期間内の転職活動ルールに抵触
以降の章でひとつずつ説明していきます。

再就職手当がもらえない場合①雇用保険の未加入

再就職手当は雇用保険から支給されるため、再就職先で雇用保険に加入できない場合は再就職手当をもらえません。


雇用保険に加入しているかどうかは給与明細等で確認でき、雇用保険料が支払われていれば加入済ということになります。


雇用保険料が支払われていない場合、手続きの不備等により雇用保険に未加入であることがあるので、会社に問い合わせてみましょう。


また、契約社員・派遣社員・アルバイト・パートなどの非正規雇用でも、長期間の雇用形態であれば雇用保険に加入できる可能性があります。

再就職手当がもらえない場合②支給日数不足

再就職手当がもらえない理由で最も多いのは、雇用保険の基本手当(失業給付)の支給残日数不足によるものです。

 

支給残日数は所定給付日数の1/3以上残っていることが条件となります。


支給残日数は以下のように計算されます。

支給残日数=所定給付日数-就職前日までの支給日数

例えば、所定給付日数が180日(給付制限なし)の人が、受給資格決定日から45日目に就職した場合、就職前日までの支給日数は以下のように計算されます。

45日-1日(就職前日)-7日(待機)=37日(就職前日までの支給日数)

支給残日数は、以下のようになります。

180日(所定給付日数)-37日(就職前日までの支給日数)=143日

所定給付日数が180日の場合、支給残日数は1/3以上の60日以上残っていることが条件なので、上記の例では条件を満たしていることになります。

再就職手当がもらえない場合③再就職先の雇用期間の不足

再就職先の雇用期間が1年以内の場合、再就職手当はもらえません。


雇用期間は正社員であれば定めがないことがほとんどですが、契約社員・派遣社員・アルバイト・パート等は雇用期間が3か月・半年・1年等に設定されていることが多いです。


雇用期間満了後は契約更新により雇用が継続され、1年を超えて勤務することが見込める場合は再就職手当がもらえる可能性があります。


一方、契約更新の予定がない1年以下の有期雇用契約では再就職手当はもらえないので、

再就職先へ契約更新について確認してみましょう。

再就職手当がもらえない場合④3年以内に再就職手当を受給した人

再就職日から3年以内再就職手当または常用就職支度手当をもらった人は、再就職手当をもらえません。


常用就職支度手当とは、障害等があり就職が困難な人が失業給付の受給中に就職をした場合、支給残日数が所定給付日数の1/3未満であり、一定の要件に該当する場合に支給されるものです。


この3年以内の制限は、短期間に何度も会社を辞めることにより、複数回にわたる失業保険および再就職手当の受給を不可能にするためのものです。


再就職手当は1度もらうと3年間はもらえないため、短期間での退職や再就職は避けるようにしましょう。

再就職手当がもらえない場合⑤関連会社への再就職

再就職先が退職した会社と同じ会社または関連会社の場合、再就職手当はもらえません。


関連会社とは、退職した会社と資本金・資金・人事・取引面で密接な関わりがある会社を指します。


この理由は、退職という形をとって内々で再就職の予定が決まっているかもしれないと見なされるためです。


再就職手当は自己都合や会社都合で退職し、他の会社に再就職する場合に限り、もらうことができます。


勤めている会社を一旦退職し、しばらくして同じ会社や関連会社に再入社する予定がある場合は、再就職手当を申請しないようにしましょう。

再就職手当がもらえない場合⑥給付制限期間内の就職

自己都合の退職で3か月給付制限がある場合、7日間の待機期間後の1か月間は、以下による就職でないと再就職手当はもらえません。

  • ハローワーク
  • 許可・届け出のある職業紹介業者の紹介(転職エージェント等)
転職サイトのインターネット求人や新聞折込等の求人広告を見て、自ら応募した場合は再就職手当の対象にならないので注意が必要です。

一方、会社都合の退職である場合は、ハローワークまたは許可・届け出のある職業紹介業者の紹介以外で再就職先を見つけても問題ありません。

再就職手当がもらえない・もらい損ねた場合の対処法



再就職手当がもらえない、あるいはもらい損ねるという状況は起こりえます。再就職手当をもらうにはいくつかの条件があり、それらをクリアしなければならないからです。


しかしなかにはもらえるかもしれないのにあきらめてしまうケースもあるようです。


たとえば次の場合、再就職手当が支給される可能性があります。 

  • 再就職手当の申請期限を過ぎてしまった
  • 再就職手当を申請中に退職した

いずれも申請手続きを行う時期が問題となるのですが、ケースによっては申請が可能です。ここではこの場合の対処法についてくわしく解説します。 

再就職手当の申請期限を過ぎてしまった場合

再就職手当の申請期限を過ぎてしまっていても、手当をもらえる可能性はあります。


再就職手当の申し込み手続きの期限は1ヵ月基本です。これは失業した際に迅速な給付を行う目的で設けられている期間とされています。しかし、是が非でもこの期間内に手続きが必要というわけではありません。


再就職手当の申請には2年間時効が定められています。この期間内の申請は有効とされます。そこで時効が完成するまでの2年以内に手続きをすませれば、再就職手当をもらえるのです。


時効期間は新しい会社に入社をした日の翌日から数えて2年を経過する日までとされています。万が一1ヵ月以内の申請ができなくても2年以内に手続きができれば、問題ありません。

再就職手当の申請中に退職する場合

再就職手当を申請したけれど、その途中で会社を辞めることになった。このようなときに手当をもらえるのか心配だ。こんな不安をもつ方は多いかもしれません。


しかしその場合でも再就職手当をもらうことができます。 


失業保険をもらうにはハローワークで受給資格の決定手続きを行う必要があります。この手続きが完了すると失業給付を受ける権利が与えられます。有効期間1年間。この期間内なら再就職手当をはじめ様々な給付をもらうことができるわけです。 


たとえ申請手続きの途中に会社を辞めても問題ありません。

しかし失業給付のなかで既にもらっているものがあればその分が差し引かれるのでご注意ください。  

アルバイト・パート・派遣社員でも再就職手当がもらえることがある

アルバイトやパート、さらには派遣社員でも再就職手当をもらうことができる場合があります。


正社員として再就職をするのでなければ再就職手当をもらうことはできないのではないか、と悩む方もいると思います。しかしこれから解説する要件に合えば再就職手当をもらえる可能性があるのです。


ここでは、働き方の違いによって異なる再就職手当の支給の要件を次の3つに分けて解説していきます。

  1. アルバイト・パート
  2. 派遣社員
  3. フリーランス・自営業

アルバイト・パートの場合

アルバイト・パートの場合、以下の条件を満たせば再就職手当をもらえる可能性があります。

  • 1年を超えて勤務すること
  • 再就職先で雇用保険の被保険者になっていること

再就職手当の申請をする際は「再就職手当支給申請書」を提出しますが、当該条件を満たしているかどうかは会社側に記入してもらう必要があります。


一方、1年未満の短期雇用や週20時間未満の短時間雇用だと、再就職手当はもらえないですが、代わりに就業手当をもらえる可能性があります。

派遣社員の場合

派遣社員でも以下の要件を満たせば、再就職手当をもらえる可能性があります。

  • 1年を超えて勤務すること
  • 雇用保険の被保険者であること

多くの場合、派遣社員の最初の契約期間は3か月で、以降は3か月更新が続く契約内容になっています。


実際に1年を超えて勤務するかどうかは分かりませんが、以下のように判断されます。

  • 更新の可能性のある3か月契約は要件を満たす
  • 更新の可能性のない3か月契約は要件を満たさない

更新の可能性は本人の意向と勤務先の意向によって決まります。


本人の希望で1年以内に派遣先を変える場合は、「更新の可能性のない3か月契約」になり、再就職手当はもらえないことになります。

フリーランス・自営業の場合

フリーランス・自営業として開業・独立した場合、1年を超えて事業を安定的継続して行うことができると認められた場合は再就職手当がもらえる可能性があります。


再就職手当をもらうためには開業日(税務署に開業届を提出した日)に注意が必要です。


自己都合の退職で3か月の給付制限がある場合は、7日間の待機期間+1か月経過後の開業日にしなければなりません。


一方、会社都合で退職する場合は、7日間の待機期間経過後の開業日で問題ありません。

再就職手当をもらえない・もらえなかった事例を紹介

再就職手当がもらえない主な6つの理由と再就職手当をもらえない人(働き方)について説明してきましたが、次は再就職手当をもらえないケースやもらうのが遅くなるケースをご紹介します。


以下の内容について説明します。

  • 在職中の転職活動で内定をもらった場合
  • 離職票が送られてくるのが遅い場合の対処法
  • 再就職手当申請後の退職タイミング

在職中に内定をもらうと再就職手当がもらえない理由、離職票が手元にない状況で失業給付および再就職手当を申請することの可否、再就職手当申請後に退職する場合の注意点について見ていきましょう。

在職中に転職活動を行い内定をもらった

在職中に転職活動を行って内定をもらった場合、再就職手当はもらえません。


再就職手当の支給対象は「基本手当(失業給付)の支給残日数を1/3以上残して早期に再就職できた人」です。


そのため、基本手当の受給資格決定前に内定をもらった場合は、再就職手当がもらえないので申請しないようにしましょう。


再就職手当の申請では、再就職手当支給申請書の「採用内定日」欄に再就職先が記入・証明をする必要があります。


ここに嘘の日付を書いてもらった場合、本人も再就職先も不正受給に手を染めたことになり、不正受給金の返還と返還金の最高2倍の納付を行わなければなりません。


また、場合によっては詐欺罪として刑罰に処せられることもあります。

退職した会社から離職票が送られてくるのが遅かった

通常、会社は離職日の翌日から10日以内にハローワークへ雇用保険被保険者資格喪失届の届け出を行い、その後、本人の元へ離職票が送られてきます。


しかし、退職して1か月が過ぎても離職票が送られてこないというケースは珍しくありません。


離職票が届かない場合、そのまま手続きせずにいると失業保険および再就職手当をもらえるのが遅くなってしまうため、ハローワークで仮手続きをするのがおすすめです。 


失業保険および再就職手当をもらうためには離職票が必要ですが、ハローワークでの最初の申請手続きでは離職票がなくても手続きのみ行うことができます。


これが仮手続きであり、退職した翌日から12日目以降に行うことができます。


仮手続きを行った後、離職票は認定日までに提出すれば問題ありません。

再就職手当申請後の退職

再就職手当を申請すると、約1か月前後に再就職先への在籍確認が行われる場合があります。


在籍確認前までに退職してしまうと、再就職手当はもらえないので注意が必要です。


再就職手当の支給決定は、その旨を知らせる決定通知書が郵送で送られてくるので、その通知が届くまでは退職しないようにしましょう。


一方、再就職手当をもらった後すぐに退職した場合は、会社都合あるいは自己都合の退職でも受給金を返還する必要はありません。


また、再度失業給付をもらうことも可能ですが、前の再就職手当が支給された分、失業給付は少なくなります。


再度失業給付がもらえる日数は、再就職手当を支給される前にもらっていた失業給付と再就職手当を算出した残りの日数分だけになります。

参考:再就職手当がもらえなくても就業手当がもらえる場合もある

再就職手当の受給審査に落ちた場合でも、代わりに就業手当がもらえる可能性があります。


就業手当は、雇用保険の基本手当の受給資格者が再就職手当の支給対象とならない常用雇用等以外の形態で就業した場合に利用できる制度です。


支給要件は、基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上かつ45日以上あり、一定の要件に該当する場合に支給されます。


1日当たりの支給額は、基本手当日額の30%(上限あり)であり、再就職手当の支給額(基本手当日額の70%または60%)よりも低い金額となります。


参考:厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス


また、就業手当をもらうと雇用保険の基本手当(失業給付)の支給残日数が減ってしまいます。


例えば、失業給付の受給中に5日間働いて5日分の就業手当をもらうと、支給残日数から5日が減ることになります。


就業手当の金額は低い上に支給残日数が減るので、申請しない方が得なケースもありますが、再就職手当に該当しないような中長期(6か月~1年以内)の仕事に就いた場合は、就業手当の申請を検討した方が良いでしょう。

まとめ:再就職手当がもらえない場合・もらえないケースを抑えよう

再就職手当がもらえない場合について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 再就職手当は早期再就職を促進するための一時金で支給の条件がある
  • 再就職手当がもらえない理由は主に6つ
  • 申請期限を過ぎたり、申請中に退職しても条件によっては申請が可能
  • 非正規雇用やフリーランスでも申請は可能
  • 離職票が届かない場合は仮手続きをするのがおすすめ
  • 再就職手当の審査に落ちても就業手当をもらえる可能性がある
でした。

再就職手当がもらえない理由は主に6つありますが、最も多いパターンは雇用保険の基本手当の支給残日数不足です。

派遣社員やアルバイトなどの非正規雇用では、雇用保険への加入状況や雇用期間についても留意しましょう。

再就職手当の審査に落ちても、代わりに就業手当がもらえる可能性があるので、必要に応じて申請を検討してみてください。

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