遺族年金は専業主婦の妻死亡時にも受け取れる?受給条件を紹介!

遺族厚生年金は専業主婦の妻死亡の夫も受給することができますが、試算や受け取り方法を知っておきたいですよね。妻が亡くなった際の厚生年金は、夫が公務員でも子あり、子なしに関わらず受給できます。この記事では65歳以上なのかで条件が変わるなど詳しく解説をします!

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

妻が亡くなった際に夫や家族は遺族年金を受け取れる?

生命保険に加入するとき、遺族年金の金額を考慮に入れたうえで必要保障額を計算する人は多いと思います。


遺族年金は妻死亡の夫も受給することができますが、いくら受け取ることができるのかを知っている人は少ないでしょう。


そこで、この記事では「妻死亡のときに夫が受け取ることができる遺族年金の金額と受け取り方法」について、

  • 妻が亡くなったときに夫が受け取ることのできる遺族年金の試算
  • 夫が遺族年金を受給できる条件
  • 夫が遺族年金を受け取るときの注意点

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、妻死亡のときに遺族年金をいくら受け取ることができるのかを知ることができ、万が一の際のリスクヘッジに役立てていただけます。


是非最後までご覧下さい。


妻が亡くなったときの遺族年金を試算

遺族年金というと、一家の大黒柱である夫が亡くなったときに、遺された妻や子どもが生活を維持するための制度であると思っている人が大変多いです。


しかし、実際には妻が亡くなったとき、条件が整っていれば夫も遺族年金を受給することが可能です。


以下に夫が受給する場合の遺族年金の金額を試算しましたので、参考にしてください。


また、遺族年金について日本年金機構のサイトにも詳しい説明が記載されているのでチェックしてみてはいかがでしょうか。

遺族基礎年金の受給条件と受給額を紹介

遺族基礎年金は、亡くなった方が年金を25年以上納めているか、加入期間の3分の2以上納付していると支給される年金のことをいいます。


妻が亡くなり、上記の条件を満たしていると

  • 婚姻していない18歳までの子ども
  • 婚姻していない20歳未満で障がい者1・2級の認定をされている子ども
  • 上記の子どもがいる配偶者
は遺族基礎年金を受給することができます。


遺族基礎年金は、子ども一人だと約100万円支給されます。子どもの数によっても支給額は変わり、二人目は約20万円、三人目以降は一人につき7万5千円が追加されます。

育ち盛りの子どもは、育児や教育にお金が必然とかかってきます。父親一人で子どもを育てるのはとても大変なことですが、遺族年金でお金の負担が少しでも軽くなると今後の生活にも希望が持てますね。

子どもには金銭的な負担をさせたくないのが親心というもの。自分の子どものために遺族年金を有効的に使いたいですね。

遺族基礎年金の受給条件

まず遺族年金受給資格の1つ目の要件として、妻死亡の方が、妻が国民年金保険に加入していたかどうか、または年金を受給しているかどうかによって、遺族基礎年金を受給できるかどうかが変わってきます。

遺族基礎年金では、下記の4つのうちいずれかの要件を満たす方が亡くなった場合に、遺された遺族に遺族基礎年金が支給されます。

①妻死亡のときの妻が国民年金の被保険者であったとき

遺族基礎年金をの遺族年金受給資格を得るためには、そもそも亡くなった方が国民年金保険に加入していなければ、受給することはできません。

しかし、日本国内においては20歳以上60歳未満の人は国民年金保険に強制加入となるため、年齢さえ満たしていればすべての人が対象になると言えます。

②妻死亡のときの妻が国民年金保険の被保険者で日本国内に住所があり、かつ、60歳以上65歳未満であったとき

これは、令和8年4月1日前に死亡した場合には、死亡日に65歳未満であれば受給資格を満たすという制度によります。

国民年金保険は60歳以上の人は被保険者にはなれませんが、それまで被保険者であった人には受給資格が与えられます。

ただし、①および②については、死亡日の属する月の前々月から遡って1年間の間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がないこと、もしくは死亡日の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付期間と保険料免除期間をあわて3分の2以上であることが必要です。

③妻死亡のときの妻が老齢基礎年金を受給中であったとき

老齢基礎年金とは、国民年金保険料を納めていた人が65歳以降に受給することができる給付金で、いわゆる一般的に言うところの年金のことです。



国民年金保険に加入して保険料を納めていれば、一月あたり60,000円前後の給付を受けることができる制度です。



この老齢基礎年金を受給している人が亡くなった場合、遺された遺族に遺族基礎年金の遺族年金受給資格が発生します。

④妻死亡のときの妻が老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていたとき

老齢基礎年金は、65歳になったら必ず受給しなければならないというわけではありません。

老齢基礎年金には受給開始時期の繰り下げというものがあり、年金を受け始める時を最大70歳まで繰り下げることができます。

この繰り下げを行うことによって年金の受給総額を増やすことができるのです。

しかし、65歳以降に受給開始時期を繰り下げたからといって、当然遺族年金受給資格が失われるわけではありません。

③により65歳〜70歳の人で、繰り下げにより現在は老齢基礎年金を受給していない人が亡くなった場合でも遺された遺族には遺族基礎年金の遺族年金受給資格が発生するため、このような要件が定義されているのです。

また、遺族基礎年金は、亡くなった方が要件を満たしているだけでは、遺された夫に遺族年金受給資格が発生するかどうかは確定しません。

まず、そもそも遺族基礎年金で言う「遺された遺族」とは、亡くなった方によって生計を維持されていた「子どものいる配偶者」または「子ども」に限定されています。

亡くなった方によって生計を維持されていた方が他の親族などの場合は、遺族基礎年金の遺族年金受給資格は発生しません。

さらに、子どもがいれば誰でも受給が可能なわけではありません。

18歳になる年度の3月31日を過ぎていない子ども、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子どもがいる場合に限り、遺族基礎年金を受給することができます。

また、ここでいう配偶者は夫もしくは妻のどちらでも遺族基礎年金の受給は可能です。

遺族の方の収入については、年間前年の収入が850万円以上、または所得が655万5千円以上であり、その収入を将来にわたって得ることができると認められる場合、遺族基礎年金の受給対象外となり、遺族基礎年金を受給することはできません。

ただし、5年以内に収入が850万円未満になることが確実であれば、受給の対象となります。  

遺族基礎年金の受給額

遺族基礎年金は、亡くなった方の収入額や所得額には関係なく、以下の計算式で支給額が決まっています

 遺族基礎年金受給年額=780,100円+子の加算

(子の加算︰第一子・第二子 一人あたり224,500円、第三子以降 一人あたり74,800円)

たとえば、子どもが一人いる家庭の受給資格者は、年間1,004,600円の遺族基礎年金を受給することができます。

遺族厚生年金の受給条件と受給額を紹介

 一方で遺族厚生年金とは、社会保険の制度である厚生年金の被保険者の妻死亡の際に、特定の要件を満たすときに遺族年金受給資格を得ることができる制度です。


厚生年金は基本的にサラリーマンであれば加入していますので、おもにサラリーマンの方が対象となります。 


妻死亡のときに妻が厚生年金被保険者であったかどうかをまず確認してみましょう。

遺族厚生年金の受給条件

遺族厚生年金も、遺族基礎年金と同様に誰でも受給できるわけではなく、限られた遺族となります。

遺族厚生年金の受給資格について以下に列挙します。

①妻死亡のとき、または妻が被保険者期間中の怪我や病気がもとで初診の日から5年以内に亡くなったとき


まず、遺族厚生年金も遺族基礎年金と同様に、厚生年金保険の被保険者が亡くなった時、亡くなった方の遺族が遺族年金受給資格が発生します。 

厚生年金保険は国民年金保険とは異なり、20歳から60歳までの加入期間というわけではなく、厚生年金保険の適用事業所に就業した際に加入し、通常は退職した時点で脱退となります。

よって、早ければ15歳から厚生年金に加入することとなり、厚生年金保険は最大で70歳までですので、この期間に厚生年金に加入していた方が亡くなったときに、受給資格が発生します。

また、退職等により厚生年金保険を既に脱退していても、加入していたときの怪我や病気がもとで亡くなった場合は、初診の日から5年以内であれば、遺族厚生年金の受給資格が発生します。 

ただし、これも遺族基礎年金と同様ですが、1年間保険料を滞納なく納めていない、もしくは保険料の納付期間が国民年金保険加入期間の3分の2以上ない場合、受給資格が発生しませんのでご注意ください。 

②妻死亡のとき受給資格期間が25年以上あったとき。

厚生年金の加入期間が25年以上がある方が亡くなった場合は、①に関わらず遺族厚生年金の受給資格が発生することになります。


③妻死亡のとき1級・2級の障害厚生年金、または障害共済年金を受けられる状態であったとき。


①および②に関わらず、1級または2級の障害厚生年金を受けることができる方が亡くなった場合、遺族厚生年金の受給資格が発生します。

遺族厚生年金は、妻死亡のときは妻の生前の平均標準報酬月額によって受給できる金額が変わります。


金額としては、例えば平均標準報酬月額が40万円であった場合、月額では54,152円、年額では649,822円になります。


また、平均標準報酬月額が50万円であった場合は、月額では67,690円、年額では812,277円となります。


妻死亡時の遺族年金の受給額についてまとめると以下の画像のようになります。


共働きの場合は収入が大きく落ち込む?遺族年金の注意点

共働きが当たり前になっている現代社会において、遺族年金は遺された家族が生活をしていくために必要なお金ですよね。


しかし、遺族年金は子どもに対してはまとまったお金を受け取れますが夫に対する年金額が少なかったり、65歳以上になると遺族年金か老齢年金どちらかを洗濯しなければならなかったりといったと注意点が3つ存在します。


正しい知識を付けておくと、今後の生活の見通しが立てやすくなりますし心の不安も減りますよね。ここからは遺族年金の注意点3つをお伝えします。

夫が受け取る事ができる遺族年金の額は少ない

妻死亡のとき、夫が受け取ることのできる遺族年金は、妻が受け取る場合とまったく同じ金額です。


しかし、遺族年金を夫が受け取る場合は年齢制限があるものもあります


たとえば遺族厚生年金では、妻死亡時に夫が55歳未満では受け取ることができない、といったものです。


全体的に見ると、夫のほうが受給できる総額は少なくなってしまいますのでご注意ください。

専業主婦が亡くなった際の遺族年金

妻死亡のときに妻が厚生年金の被保険者であった場合は遺族厚生年金を受給することができますが、夫の生前に妻が専業主婦であったときは、妻は国民年金の被保険者となります。


専業主婦の妻死亡の場合は、夫は遺族基礎年金のみを受給することとなります。


専業主婦の年金についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

65歳以上になった時の遺族年金

遺族年金は一生涯にわたって受給することができますが、問題は65歳以上になったときです。


65歳以上では、通常は老齢年金という、いわゆる一般的な年金を受給することになります。


しかし、一人一年金の原則と言い、年金は一人につき一つの種類しか受給すらことはできません。


遺族年金と老齢年金は別の種類の年金のため、重複して受給することはできないのです。


このときは、どちらか多いほうの年金額にあわせた金額を受給することができます。

まとめ:妻死亡時の遺族年金額はケースごとに異なる!

妻が死亡のときに夫が受け取れる遺族年金について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 妻が亡くなっても条件を満たせば遺族年金は受け取れる
  • 「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の受給には条件が存在する
  • 子どもの年齢や数によって金額が異なる
  • 夫の遺族年金の受給額は少ない傾向にあり、年齢によっては受け取れない

です。


夫の場合、妻と違って配偶者が亡くなっても遺族年金を受給できない場合が多いため、申請を考えている人は事前に受給できる要件を詳細に確認しておきましょう。


また、65歳以上になると遺族年金か自身の老齢年金のいずれかを選択します。どの年金のほうが金額が大きいのか確かめておくといいでしょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧下さい。

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