更新日:2023/01/25
結婚相手が年金を払ってない場合はどうなる?影響やその対処法を解説
「結婚したら夫・妻が年金払ってない年金未納だった」という場合、もう一方の配偶者にどのような影響があるのか、またその対処法が気になりますよね。年金未納は他人に相談しにくい内容でもあります。そこで今回は、結婚相手が年金払ってないときの影響や対処法を解説します!
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 結婚相手が年金を払っていない場合どうなる?その影響と対処法を紹介
- 年金を払っていない場合は結婚相手にも支払い義務が生じる
- 年金の未払いとはどういう状態?免除や猶予との違いを解説
- 結婚相手が年金を払っていない場合は配偶者に支払い義務がある!
- 年金を支払う意義とは
- 年金支払いは国民の義務になっている
- 参考:日本の年金の支払い率とは
- 結婚前に相手が年金を支払っていなかったら?
- 結婚前に年金を払ってない場合①:年金の催告状が届く
- 結婚前に年金を払ってない場合②:配偶者にも結婚前の年金の支払い義務が
- 結婚前に年金を払ってない場合③:未納分の免除申請も可能
- 結婚相手の年金が未払いのままだと将来に影響が
- 国民年金の未納状態が続いた場合
- 老後の生活資金にも悪影響が
- まとめ:結婚相手が払ていない年金は早めに対処しましょう
目次
結婚相手が年金を払っていない場合どうなる?その影響と対処法を紹介
20歳になると強制的に加入することになるのが、国民年金です。
国民には国民年金保険料をの支払い義務があるわけですが、現在約3割ほどの人が年金未納になっていると言われています。
20歳を迎え、20代で結婚をする人も少なくありませんが、もし自分の結婚相手が保険料を払っていなかったら、老後資金はどうなるのか、また自分にも結婚相手の未納分の国民年金保険料の支払い義務が生じるのか、心配になりますよね。
そこで今回は、
- 国民年金未納とはどのような状態なのか
- 結婚相手の年金未納の影響
- 結婚相手の年金払ってないときの対処法
結婚相手が年金払ってない場合はもちろん、これから結婚したいと思っている人も、ぜひ最後までご覧ください。
年金を払っていない場合は結婚相手にも支払い義務が生じる
20歳になれば国民全員が国民年金に強制加入することになります。
つまりその時点で、国民年金保険料の支払い義務が生じることになります。
ではもし、国民年金の保険料を払っていなかった場合、どのようなことになるのでしょうか。
ここではまず、
- 「年金払ってない」とはどのような状態か
- 年金未納が続いたとき、どうなるか
- 結婚相手が年金払ってないときの配偶者への影響
年金の未払いとはどういう状態?免除や猶予との違いを解説
そもそも国民年金は、20歳以上の国民全員が加入することになっているため、保険料を払わなくてよいということはありえません。
保険料を払わなくてよいのは、①免除申請または②猶予申請をしたときです。
つまり納めるべき保険料は、
- 納付(保険料を払った)
- 免除(保険料納付が免除されており、払わなくてよい)
- 猶予(保険料納付を猶予されている)
つまり、年金未納というのはその「免除」も「猶予」も受けていない、払うべき保険料を払っていない状態であると言えます。
ここで保険料免除と保険料猶予の違いを、簡単に説明します。
免除と猶予の違い
国民年金についての免除や猶予は、日本年金機構のホームページにも記載されていますが、簡単にまとめると以下の通りです。
条件 | 金額 | |
---|---|---|
免除制度 | ①所得が少ない ②本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下 ③失業した場合 =保険料納付が経済的に困難な場合 | 全額 4分の3 半額 4分の1 のいずれか |
猶予制度 | ①20歳から50歳未満 ②本人・配偶者の前年所得が一定額以下 | 全額 |
このように、保険料免除と猶予では適用されるための条件や金額が異なります。また、将来受け取る年金額への影響も変わります。
年金 | 障害年金 遺族年金 | |
---|---|---|
納付 | 受給資格期間算入 あり 年金額への反映 あり | あり |
免除 | 受給資格期間算入 あり 年金額への反映 あり | あり |
猶予 | 受給資格期間算入 あり 年金額への反映 なし | あり |
未納 | 受給資格期間算入 なし 年金額への反映 なし | なし |
受給資格期間への算入
これは、将来年金を受け取るために必要な保険料納付期間です。
現在のところ、
- 保険料納付期間
- 保険料免除期間
- 学生納付特例期間
- 保険料納付猶予期間
- 合算対象期間
が合算して10年(120か月)になると、将来年金を受け取ることができます。
万が一、免除や猶予ではないまま年金払ってないと、合算期間に算入されません。そのため、未納期間が長くなると将来年金を受け取ることができません。
年金額への反映
年金額への反映がないと聞くと、一見お得なように見えます。ここでの意味は、未納の場合は保険料を払っていない分だけ年金額が少なくなるとなるということです。
一方で保険料免除の場合、その対象期間は保険料を払ったときの満額のうちの一部が年金額として反映されます。
結婚相手が年金を払っていない場合は配偶者に支払い義務がある!
このように、保険料を払うことができないときは免除や猶予を受けることができますが、免除や猶予でないにも関わらず保険料を払っていない場合は、国民年金未納となります。
では、結婚相手が年金払ってない場合、配偶者にはどのような影響があるのでしょうか。
国民年金法第88条によると、
- 被保険者の保険料納付義務
- 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料納付義務の連帯義務を負う
- 配偶者の一方は、他方の配偶者の保険料納付義務の連帯義務を負う
つまり、夫が年金払ってないときは妻が、妻が年金払ってないときは夫が、その未納分の保険料の支払い義務を負うことになります。
年金を支払う意義とは
年金のことを考える前に、年金を支払う意義とはなんなのか考えていきましょう。
なぜ日本国民は年金を支払わければいけないのでしょうか。
詳しく解説していきます。
年金支払いは国民の義務になっている
年金を支払う意義ですが、年金支払いは国民の義務です。
なので、なんで支払わないといけないのか考えるだけ無駄で、それは義務だからです。
上記でも解説しましたが、20歳になったら日本国民は年金を支払わないといけません。
20歳のときには考えられないかもしれませんが、自分が高齢者になったときに必要になってくるお金です。
未来の自分のためにも年金を支払い続けましょう。
参考:日本の年金の支払い率とは
日本の年金支払率(国民年金保険料の支払い)ですが、どれくらいちゃんと支払っているのでしょうか。
2019年の国民年金保険料の支払い率は69.3%でした。
これは、支払い率が過去最低だった2011年の58.6%から、8年連続で上昇しました。
支払い率が1番高かった世代は、55歳〜59歳の77.66%でしたが、対象的に25歳〜29歳の世代の支払い率は57.09%でした。
結婚前に相手が年金を支払っていなかったら?
このように、結婚したときの夫婦間における年金未納は、お互いに支払い義務を負うことになりますが、気になるのが結婚前の年金払ってない状態の影響です。
結婚前に年金払っていない場合は、
- 年金の催告状が届く
- 配偶者も結婚前の未納分の支払い義務が生じる
- 未納分の免除申請はできる
それぞれ詳しく解説していきます。
結婚前に年金を払ってない場合①:年金の催告状が届く
結婚前や後に関わらず、年金払っていない場合は催告状や督促状が届きます。
近年では、年金未納者が全体の約3割ほどになっていることもあり、数か月の未納で催告状が届くことがほとんどです。
年金未納に対する手順は催告状→督促状→差押え(強制執行)と推移していきます(詳しくはコチラ)
なお差押えの対象になるのは、平成30年度から「控除後所得額300万円以上かつ未納7か月以上」と厳格化されました。
差押えにまで発展すると、配偶者にも大きな影響を与えることになりますから、催告状や督促状が届いたらすぐに住んでいる地方自治体の年金事務所に相談するようにしましょう。
結婚前に年金を払ってない場合②:配偶者にも結婚前の年金の支払い義務が
このように、結婚前に年金払っていない分の保険料は、その後の配偶者にも支払い義務が生じます。
将来受け取る年金額はもちろん、督促状や財産差し押さえなどの影響があるので、必ず結婚前に自分で払うようにしましょう。
万が一、年金保険料を払えないときは、後でも説明するように免除申請をすることもできます。
また、配偶者の未納分をもう一方の配偶者が払ったり、その支払い分を年末調整・確定申告での社会保険料控除として受けることもできます。
結婚前に年金を払ってない場合③:未納分の免除申請も可能
では、結婚前の年金払ってない分を払いたいけれど、どうしても金銭的な都合がつかないときはどうすればよいのでしょうか。これは免除申請をすることができます。
免除や猶予の申請は、2年1か月前の支払い分まで申請することができます。
免除申請をしなければ督促状や財産差押えなど、結婚した夫・妻にも迷惑をかけてしまうため、まずは年金事務所に相談することをおすすめします。
結婚相手の年金が未払いのままだと将来に影響が
では、結婚相手の年金が未納のままになっているとき、将来的にどのような影響があるのでしょうか。
結婚相手が年金払ってない状態が続くと、大きく次の3つのデメリットが挙げられます。
- 催告状や督促状、最悪の場合財産差押えになる
- 遺族年金や障害年金を受け取ることができない
- 老後の生活資金不足になる
それぞれ詳しく解説していきます。
国民年金の未納状態が続いた場合
「結婚したら、夫・妻の国民年金が未納だった」という場合、まずはどのくらいの期間で年金払ってない状態になっているのかを確認しましょう。
控除後所得が300万円以上で7か月以上年金払ってない状態が続いているときは、差押えになる可能性もあります。
催告状や督促状、強制執行とならないように、夫・妻が保険料を払えないときは、代わりに保険料を追納するか、夫・妻に免除申請をさせましょう。
また、年金払ってない期間が長いときは、万が一の際に遺族年金や障害年金を受け取ることができません。
遺族年金や障害年金は、万が一の際の生活保障の役割を果たします。年金だからと言って軽視をせずに、年金払ってない分はしっかり納めるようにしましょう。
老後の生活資金にも悪影響が
年金払ってないときに想定されるのが、「将来年金を受け取れない」ということでしょう。
なかには「年金は将来破綻するのでは?」という不安から年金払ってない人もいるようですが、年金制度が破綻することはありません(詳しくは年金制度の破綻に関する記事へ)
むしろ、様々な税制上の優遇を受けることができ、また障害年金や遺族年金などの万が一の際の保障機能も果たしています。
このように、年金未納には様々なデメリットがあります(詳しくは国民年金の支払いに関する記事へ)
また、近年では年金払ってないことに対する取り締まりも厳しくなっているため、年金未納分はしっかり払うことをおすすめします。
まとめ:結婚相手が払ていない年金は早めに対処しましょう
- 夫・妻の国民年金未納は、もう一方の配偶者にも支払い義務が生じる
- 配偶者の年金未納に対する催告状・督促状・財産差押えの影響は、もう一方の配偶者にも及ぶ
- 結婚時期の前後に関わらず、未納分については配偶者にも支払い義務がある