国民年金保険料の未納/滞納分、払わないとどうなる?どこで後納する?

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国民年金の加入は義務となっています。そのため保険料を未納のままに放置していると最終的には財産が差し押さえられます。また差し押さえされる前までに対応したとしても、未納期間が長いとデメリットも多いのです。今回は国民年金を未納のままにしている場合の注意点を解説します。

国民年金保険料の未納・滞納を続けるとどうなる?

日本国民は、20歳になったら公的年金制度に加入する義務があります。


この公的年金制度は、加入すると保険料を納めることが前提となっており、保険料の支払いも国民の義務となっています。


しかし、経済的にも国民年金保険料の支払いが難しいという方や、どうせ貰えないのだから払わないという方もいるでしょう。


しかし、国民年金制度が崩壊するということはまずあり得ません(詳しくはこちら)。また国民年金保険料を支払わないと様々なデメリットあります!デメリットに関してはこちらの記事で解説しています。


それでは、もし国民年金の保険料支払いができないまま未納の状態が続くと、どのような処分を受けることになるのでしょうか。


そこで、この記事では、「国民年金を未納にしておくとどうなるか」について、

  • 国民年金を未納にしておいた場合に受ける処分
  • 国民年金保険料の免除制度について
  • 国民年金保険料未納分の後納について

以上のことを中心に解説します。


この記事を読んでいただいたら、もしも国民年金保険料の未払いがある場合や、保険料の支払いが難しいときの参考になるかと思います。


ぜひ最後までご覧ください。

国民年金の未納や滞納による未払いは社会問題!未納率は?

国民年金の納付率は、以前と比べて減少傾向にあります。


平成3年度には85.7%あった国民年金納付率は、2016年4月~2017年3月までの平成28年度には65.0%にまで減少しています。


特に、若い世代の未納が増加しており、社会問題となっています。


そこで、国民年金の未納や滞納者に対して、政府は保険料の納付率を向上させるために対策を打ち出しました。

政府は国民年金保険料の未納者に対する強制徴収を強化している

国民年金の未納率をこれ以上悪化させないためにも、厚生労働省と日本年金機構が、国民年金保険料の滞納者に対する強制徴収の対象を2018年4月から拡大することを決めました。


この強制徴収対象者を拡大させることで、強制徴収対象者はおよそ1万人増え、国民年金の納付率も向上すると考えられています。

年収が300万円以上で保険料の未納期限が7ヶ月で強制徴収となる

それでは、この国民年金保険料の強制徴収対象者はどのような人たちかといいますと、これまでは年収が300万円以上で保険料の未納月数が「13ヶ月以上」の人が強制徴収の対象だったところ、2018年4月からは、未納月数が「7ヶ月以上」に拡大しました。


これにより、2017年9月から国民年金が未払いとなっている人も強制徴収の対象となります。


国民年金に滞納分がある場合には、強制徴収となる前に早めに納付しておきましょう。

国民年金を未納のままにしておいた場合の流れ

政府は国民年金未納者に対しての強制徴収に力を入れていますが、それでは国民年金の未納が続いた場合、つぎのような処分がなされます。

  • 催告状
  • 最終催告状
  • 督促状
  • 強制徴収

以上の処分について、それぞれ段階的に解説していきます。

納付月の翌月末を過ぎると滞納扱いとなり、ハガキなどで催告状が送られてくる

まず、国民年金の納付期限を過ぎても保険料が未払いの場合には滞納となり、日本年金機構から「国民年金未納保険料納付推奨通知書」というハガキが送られてきます。


このハガキは、国民年金の未納分に対する催告状で、未納の月数や未納金額が記載されています。

最終催告状が送られてくる

上記の国民年金未納保険料納付推奨通知書や電話などを受けても、保険料の未納が続く場合には、年金事務所から最終催告状が送られてきます。


最終催告となりますので、この通知をさらに無視して納付期限までに保険料を支払わなければ、強制徴収として法的手段を取られることになります。


また、最終催促状が送られ保険料を納付した場合は延滞金なしで返すことができますが、次の督促状が届くと年利14.6%もの延滞金が発生します。

督促状が送られてくる

最終催告状を受け取った後も、国民年金保険料の支払いを行わない場合、「督促状」が届きます。


督促状に記載されてある保険料の納付期限までに納付しない場合、配偶者や両親にも保険料の督促が行われてしまいます。


また、上記の通り督促状が送られると14.6%もの延滞金が発生する事になります。

強制徴収、財産の差し押さえ

国民年金の滞納から3つの納付催促が取られたのにも関わらず、すべての納付期限を無視し、保険料の支払いを行わなかった場合、最終処分として財産の差し押さえとなります


あなただけでなく、配偶者や両親の銀行口座も財産の差し押さえ対象となります。


また、銀行に十分な資産がない場合には、自宅にある貴金属や車、生命保険の解約金も財産と見なされ、差し押さえとなります。


ドラマのような話と思われるかもしれませんが、平成28年度に強制徴収となり財産差し押さえとなったケースは、およそ1万4,000件もあるのです。


このような財産差し押さえが行われないためにも、保険料の未納分はきちんと後納するようにしましょう。


もしも一括での未納分支払いが難しいようであれば、分割での支払いも可能となりますので、年金事務所に相談してみることをおすすめします。

国民年金の保険料が払えない場合は未納を避け、免除や猶予の申請をしよう

国民年金保険料を未払いにし、滞納していた場合、どうなるかについて説明してきました。

保険料の未納が続くと、最終的に財産の差し押さえなど取り返しのつかない事態となります。


国民年金保険料の未納はできるだけ避けたいですよね。


しかし、どうしても保険料の支払いが困難な場合には、保険料の免除や猶予制度を利用することができます。


この、国民年金保険料の免除または納付猶予制度について、制度を利用するメリットとともに詳しく解説していきます。


国民年金保険料免除制度と国民年金保険料納付猶予制度とは?

経済的に国民年金の保険料の支払いが難しい場合、国民年金機構では保険料の免除・納付猶予制度を設けています。

国民年金保険料免除制度

こちらの制度は被保険者本人・配偶者・世帯主の所得が少なく、前年所得が一定額以下もしくは失業中などで国民年金保険料の納付が困難な場合、その旨を申請し承認されると、保険料の納付が免除になる制度です。


保険料の免除は、全額・3/4・半額・1/4の4種類となります。


国民年金保険料納付猶予制度


コチラの制度は20歳から50歳までの方で、本人または配偶者の前年所得が一定額以下の場合、その旨を申請し承認されると、保険料の納付が猶予されます。


この保険料猶予期間は、国民年金の受給資格期間に算入されます。


もしも、国民年金の支払いが経済的に難しい状況であれば、そのまま未納状態にせず、住所登録をしている市役所などの国民年金担当窓口へ相談するようにしましょう。 


経済状態などの審査を受け、審査に通れば、国民年金の保険料の免除または納付猶予を受けられます

免除期間で支払っていなくても半額分だけ年金を受け取れるメリットがある

国民年金の保険料の支払いが経済的に難しいからと、未納のまま放置していても何もいいことはありません

きちんと申請し、承認され、保険料の免除制度や猶予制度を利用できた場合には、未納のままでは受け取れない年金を受け取ることができます。


国民年金保険料免除制度を利用できた場合、その免除期間分の年金は1/2受け取ることができます。


しかし、もしも申請なしで未納となれば、老後の年金は一切受け取ることができません


このように、免除制度などを利用することは、老後のためにも非常に大きなメリットとなるでしょう。

未納が続くと受給額が減るだけでなく、遺族年金・障害年金が受け取れなくなる?

国民年金保険料の未納があると、その未納期間分の年金を将来受け取れないということはご存知の方も多いことでしょう。

しかし、国民年金とは、将来年金を受け取れるというだけの制度ではありません


国民年金の被保険者が亡くなった場合、その遺族に支払われる遺族年金、または被保険者がケガなどにより後遺障害を負った場合に受け取れる障害年金も、国民年金保険料の納付に大きく関係しています。


この、被保険者に万が一のことがあった場合に受け取れる遺族年金・障害年金を受給するための条件として、死亡月または後遺障害の初診月の前々月までの国民年金加入期間のうち、保険料納付期間が2/3以上あるまたは免除されていることが条件となっています。


このように、国民年金保険料の未納が続くと、将来の年金問題だけでなく、今現在不慮の事故により死亡または後遺障害を負った場合、何も保障が受けられない状態となってしまいます。


それでは、保険料の未納を続けてしまった場合、そのまま放置するしかないのでしょうか?


また、保険料の免除・納付猶予制度を利用した場合、保険料はそのまま支払わなくてもいいのでしょうか?


保険料の未納分の後納、そして免除・納付猶予制度について一つずつ確認していきましょう。

免除期間や猶予期間分を追納できる

国民年金保険料の支払いが難しく、保険料の免除または納付猶予制度を利用している場合でも、将来年金を受け取ることはできますが、受給できる年金額が通常の保険料納付に比べて低額となります。

しかし、保険料の免除または納付猶予制度を受けている期間分の保険料は追納することができますので、経済的にも安定し、国民年金保険料が支払える状態となれば、免除または納付猶予期間の保険料を追納することをおすすめします。


保険料の追納をすることで、将来受給できる年金額を増やすことができますし、社会保険料控除により、所得税・住民税が軽減されるなどのメリットもあります。


追納に関して注意が必要なことは、追納ができる保険料は、追納が承認された月より前10年以内の免除期間分が対象となります。


10年以上を遡って追納はできませんので、注意しておきましょう。

国民年金では2年の時効があり、2年間までは遡って後納できる

国民年金の保険料を国が徴収できる期間には、時効があります。

未納年金の時効は納付期限から『2年』となっていて、年金の納付期限とは該当月の翌月末となります。


たとえば、2016年4月分の国民年金保険料の場合、その翌月末である5月末が納付期限となり、そこから2年の2018年5月末が未納年金の時効となります。


この時効となった年金保険料に関しては、国は徴収することができなくなります。


それでは、2年待てば国民年金は時効となり、支払わなくてもいいと思われるかもしれませんが、年金保険料が国に徴収されない場合、被保険者はその未納期間分の年金給付が受けられなくなります


そうなると、将来受け取れる国民年金が減額となってしまいます。


このように、年金受給額が減額とならないようにするためにも、時効前までの未納分に関しては遡って後納することができますので、最寄りの年金事務所に問い合わせてみましょう。

まとめ:国民年金保険料を支払えない場合は免除や猶予の制度を活用

国民年金の未納が続いた場合について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 政府は国民年金未納者に対しての強制徴収を強化している
  • 再三の納付勧告を無視し国民年金を滞納していると、財産の差し押さえが行われる
  • 経済状況によっては、国民年金保険料の免除または納付猶予制度が利用できる
  • 2018年9月30日までであれば、過去5年間に遡って国民年金未納分を後納できる

です。


国民年金は、私たちの将来の老後のための大切な資金となります。


また、国民年金をきちんと納めることは、将来のためだけでなく、今病気やケガでもしものことがあったときに受け取れる遺族年金や障害年金の受給資格となります。


国民年金の納付は義務でもありますので、きちんと納付し、経済的に納付が難しい場合には、黙ったまま未納にするのではなく、きちんと手続きをして将来のために備えましょう。


また、国民年金についての疑念がある方も今一度年金制度についてしっかりと理解して、国民年金保険料を納付しましょう。年金破綻についてこちらの記事で詳しく解説しています。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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