年金は払わないといけないの?年金制度と支払いの義務について解説!

驚くべきことに、年金保険料を払わない人は国民の約3割と言われています。なにかと不安のつきまとう年金制度ですが、保険料を払わないのは違法であり、多くのデメリットがあります。そこで、「年金破綻」という不安について解説しながら、年金を払わないデメリットを紹介します。

年金って支払わなくてもいいの?

最近、年金をめぐる問題がニュースで話題となっています。このような報道や以前からも問題もあり、世代のなかには年金に対して不信感を持っている人も少なくないようです。


先日のニュースでは「老後資金には2000万円が必要」という報道がされていました。


20代の半数以上、30代でも4割の人が「貯蓄ゼロ」と言われる時代であるだけでなく、若者世代にはこれから様々なライフイベントが待っている中で、「老後のためにまで貯蓄を回せない!」という人も多いのではないでしょうか。


老後の生活費に関してはこちらの記事を参照


このような背景から、「年金がもらえなくなると聞くし、それならば年金を払いたくない!」と思っている人も少なくないでしょう。会社員であれば厚生年金の給与天引きによって毎月自動的に支払っていることになりますが、それでも約3割の人が年金の保険料を払ってないと言われています。


しかし実際は、年金制度が破綻することはないだけでなく、年金の保険料を払わない方が損をしてしまうのです。


そこで本記事では、

  • 年金制度が破綻しない理由
  • 年金の保険料を払わないと損する理由
  • 年金の保険料を払わないのは違法?そのデメリット
  • 年金の保険料が払えない場合の対策
  • 年金の猶予制度と免除制度について
  • 年金と貯蓄の関係性について
について、詳しく解説してきます。


年金制度に不安がある人はもちろん、そもそも年金制度について理解していなかったり、メリット・デメリットについて知りたい人は、ぜひ最後までご覧ください!

年金の支払いは国民の義務となっている!

20代から40代の方は、年金と聞いても制度内容をあまり理解できていないかもしれませんね。


あるいは「老後の生活費」だと考えている方も多いと思います。


上記のとおり、年金は定年退職後にお給料をもらわずとも生活が出来るように支給される大切な生活費です。


そんな年金ですが、あなたはご自身が年金を支払っているか把握していますか。


会社員や公務員の方ですと、毎月のお給料から天引きされるため、基本的に未納になることはありません。


しかし自営業や無職の方など国民年金の加入者は、基本的にご自身で年金を支払うことになるので、うっかり払い忘れていることが無きにしも非ずです。


年金を支払うことは、国民の義務なので必ず保険料を支払わなければなりません。


そのため、この機会にご自身の年金支払い状況について確認をしてみましょう。

国民年金の納付率ってどのくらい?

上記で、国民年金の加入者はご自身で年金を支払う必要があると記述しましたが、実際の納付率がどのぐらいなのか気になりますよね。


厚生労働省によると、2018年度の国民年金保険料の納付率は68.1%であることが分かっています。(免除・猶予を除いて40.7%)


半数以上の加入者が年金を支払っている一方で、未納者が約32%である結果もこの調査により把握できますね。


なお、年金保険料が未納となってしまう理由として、最も多いのは「保険料が高すぎる」という点です。


自営業者や無職の方は、ひと月の収入が安定しておらず、経済的に保険料の支払いが困難になる可能性が否めません。


収入が低く保険料を支払えなくなってしまうと、結果的に保険料を滞納せざるを得ないため未納となってしまうのです。


ここで覚えておきたいポイントは、年金は保険料を10年以上支払っていないと受け取れないことです。


万が一未納となった期間は年金額の計算期間対象外となるため、できるだけ未納にならないようにする必要があります。

年金制度が破綻することはない

「年金制度は近い将来破綻する」という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

また、「金融庁が老後資金が2000万円必要といったのは、年金がなくなるから?」と思った方もいるかも知れません。


年金の保険料の払い手である若者が減り、年金の受給者である高齢者が増えている少子高齢化を考えれば、このようなことが言われるのも当然かもしれません。


しかし実際のところ、年金制度が破綻することはありません。これには様々な理由が挙げられますが、ここでは簡単に2つの理由を解説します。


年金積立金がある


1つ目が年金積立金があるということです。年金積立金とは、将来年金を支払う若者世代の保険料の負担額が大きくなることを防ぐため、保険料のうち年金として支払われなかったものによる積立金です。


この積立金を資産運用することで、安定した年金支給を可能にしています。平成29年時点で、この年金積立金は164兆円が確保されています。


つまり、この年金積立金がある限り、年金が今すぐに破綻する可能性は限りなく低いと言えます。


生活保護がある


2つ目の理由としては生活保護です。もし年金制度が破綻してしまえば、高齢者世代は生活保護に頼らざるを得ません。


年金は、若者世代が支払う保険料だけでなく、年金積立金税金によって成り立っています。


年金=保険料+年金積立金+税金


しかし、生活保護となるとすべて税金でまかなわなければなりません。


生活保護=税金のみ


日本はそもそもの税率が低く、税金による収入も決して多いとは言えません。そのため、生活保護の受給者が増えることで、むしろ日本の財政破綻が近づくとも言えます。


年金制度は破綻しないし破綻させられない


このように見ていくと、年金制度が破綻する可能性は限りなく低いと言えます。また政府の立場から見ても、上記以外にも「年金負債」といった年金制度を破綻させられない理由が存在しています。


言い換えれば、年金制度の破綻は国家にとっても国民にとってもデメリットが大きいのです。


そのため政府は、年金制度を存続するための様々な施策を講じています。年金制度が破綻しない理由についてさらに詳しく知りたい方は、「年金破綻は嘘?年金が破綻しない理由と保険料を払うメリットを解説!」とご覧ください。

年金は依然として魅力的な「保険」商品

国民年金は、20歳になると強制的に加入することとなります。成人になると自動的にその保険料の支払いが始まるため、年金がどのような制度なのかを詳しく知る機会はあまりありません。


実は年金は、非常に魅力的な保険商品なのです。


10年で支払った保険料分は年金として受け取れる


年金の保険料は毎月見直しされていますが、国民年金機構のホームページによると、現在、毎月支払う年金の保険料は1万6410円となっています。これを20歳から60歳までの40年間支払った場合の保険料総額は787万6800円です。


これを、支給される年金額で割ると、何年で保険料の元を取ることができるのかを知ることができます。現在の年金支給額は6万4941円(月額)のため、

787万6800円÷6万4941円=121.2か月

121.2か月、つまり10年と2か月年金を受け取れば、支払った保険料を受け取ることができるということになります。現在の日本人の平均寿命は男性で約80歳、女性で85歳を超えているため、男性で1.5倍、女性で2倍のリターンがあると言えます。


健康寿命(日常生活に支障なく過ごせる平均年齢)も男性で72歳、女性で74歳となっており、今後さらに伸びていくことを考えれば、多くの人が年金の保険料として支払った分は年金支給によって取り戻すことができると言えそうです。


障害時の生活保障や遺族の生活保障としての役割も


また年金は、老後の資金以外にも生命保険のように万が一の際の生活保障の役割を果たしています。それが障害年金遺族年金です。


障害年金とは、要件に当てはまる障害状態になった際、一定期間の年金保険料の納付がある場合に支給される生活保障費です。


遺族年金は、年金加入者(保険料納付者)が万が一死亡した際に、遺族に支払われる生活保障費です。


それぞれ適用条件はありますが、万が一の際に備える保険としての役割を持っていると言えます。


年金を受け取ることは税金を受け取ることと同じ


年金を受け取ることが税金を受け取ることと同じ、と言われてもあまり実感が湧きにくいかもしれませんが、先ほども解説したように、年金は

保険料+年金積立金+税金=年金

によって支給されています。


つまり、年金を受け取ることは税金を受け取ることと同じなのです。また、数年前に年金支給額における税金の占める割合が3分の1から2分の1に引き上げられました。


つまり、年金を受け取ることができれば、今まで支払っていた税金を取り戻すことができると言えるのです。



年金を払えるのに払わない場合どうなるのか?

ここまで年金制度が破綻しない理由と、年金の魅力を解説しましたが。では、「年金の保険料を払いたくない!」という人が保険料を払わない場合、どうなるのでしょうか。


そもそも年金の保険料を払わないのは「違法」です。会社員であれば、厚生年金の保険料が給与から天引きされるため、年金保険料を払わないことはほぼないでしょう。


それ以外の場合で、約3割の人が保険料を払ってないと言われています。


年金保険料を払わないことによる主なデメリットは

  • 年金を受け取れなくなる
  • 障害年金や遺族年金を受け取れなくなる
  • 財産が差し押さえになることもある


ここでは、これらのデメリットについて詳しく解説をしていきます。

払わないデメリット①:年金を受け取れなくなる

年金保険料を払わないデメリットのうち最もわかりやすいのが「年金を受け取れなくなる」ということです。


年金は社会福祉ではなく、あくまで「保険」です。つまり、保険料を支払わないとその保障金(年金)を受け取ることはできません。


年金制度に不安があるからといって年金の保険料を払わない代わりに、自分で選んだ保険に入っている人もいるかもしれません。しかし、一般的な保険よりも年金の方がずっとお得と言えます。


一般的な保険は、保険料の中に企業運営に必要な費用も加算されています。その分、見返りとなる保障額は少なくなります。


一方、年金保険料はそのまま年金の支給に使われます。そのため、一般的な保険よりも効率的に保障が受けられることになります。

払わないデメリット②:年金の保険機能を受けられなくなる

また、年金保険料を払わないと年金の保険機能である「障害年金」や「遺族年金」を受け取ることもできません。


この2つの保険機能は、年金支給開始年齢である65歳以前に受け取ることができる保障です。そのため、別途で保険加入を考える前にまずは年金の保険料をしっかりと納付しておくことで、万が一の際でも最低限の保障を受けることができます。


年金保険料を納付した上で、より手厚い保障が必要になる場合に初めて個人的な保険加入を考えると良いでしょう。

払わないデメリット③:最終的に財産の差し押さえに遭う

ここまでは、保険料を払わないと受けられない保障について解説しました。では、保険料を払わない場合、罰則などが課せられることはあるのでしょうか?


具体的な刑罰はないようですが保険料を支払わないのは「違法」であり、一定期間保険料を払わない状態が続くと「督促状」が送られてきます。それでも保険料を払わない場合は、延滞金や財産差し押さえという罰則が科せられます。


延滞金は、年金保険料に年率約3%~14%が課せられます。また、財産差し押さえは、自分の財産だけでなく、世帯主や配偶者の財産が差し押さえの対象になる場合もあります。


このように、保険料の未納には大きな罰則があります。毎年数万人の人がこういったペナルティを受けており、しっかり保険料を払わないと一層損をするということになります。



どうしても払えない場合は猶予制度や免除制度を活用する

年金を払えないと、年金や保険機能を受け取れなくなってしまうデメリットがあるので、今からでも毎月しっかり支払いをしていこうと思われたのではないでしょうか。


年金を払っておくことで、将来の万が一に備えることができるので、若いうちから支払っておくと結果的に老後の生活がしやすくなります。


しかし、収入減少やご自身の事情でどうしても年金を払えないこともあるでしょう。


基本的には支払っていくことがベストですが、事情があって納付できないときには救済措置があるのでしょうか。


実は、年金には猶予制度免除制度が設けられています。


これは、収入のない学生や何らかの事情で年金が支払えない方に向けて、一定期間年金の支払いを猶予や免除する制度のことです。


このような各種制度を利用すると、年金の支払いを待ってもらうことができます。


年金を払わない選択をするよりかは、追納した方がメリットが大きいので、これらの制度について詳しく覚えておきましょう。

猶予制度①:納付猶予制度

納付猶予制度とは、その名のとおり保険料の納付を一定期間猶予する制度です。


これは、対象者本人及び配偶者の前年度の所得が一定以下である場合に申請をして適用されます。


なお、対象者は50歳未満の国民年金第1号被保険者であることが条件です。


自営業者や無職の方は、収入が安定していないことが多く、前年度に比べて所得が大幅に減少する事態も考えられますよね。


そのような場合の救済措置として、納付猶予制度が設けられています。


なお、納付猶予制度を受けている期間に未納だった保険料は、10年間は追納ができます。


何らかの事情で所得が減少してしまった自営業者や無職の方は、納付猶予制度を受けることを考えてみてください。

猶予制度②:学生納付特例制度

学生納付特例制度は、20歳以上の所得が一定以下の学生が申請をすることで適用されるものです。


年金は20歳から支払い義務が生じるものの、親の扶養に入っている学生が毎月年金を支払っていくことは一般的には難しいでしょう。


そのため、学生の間に限って年金の納付が猶予されます。


なお、免除された保険料は10年以内であれば遡って追納することが可能です。


学生のうちは保険料の支払い猶予を受けておいて、社会人になってお金に余裕ができたときに保険料を支払っていくと、将来もらえる年金額が増加するのでおすすめです。


また、学生納付特例制度を受けるには、申請書類を提出する必要があります。

免除制度①:保険料免除制度

保険料免除制度とは、一定の事由で国民年金保険料を支払うことが困難になった際に申請できる制度です。


最近でいうと、新型コロナウイルス感染症の影響によって収入が激減した方や学生を対象に、特例として保険料免除制度が始まりました。


対象者は


  • 新型コロナウイルスの感染症の影響で、令和2年2月以降に収入が減少した方
  • 令和2年2月以降の所得等の状況を見て、当年度の所得が国民年金保険料の免除基準に値すると推定される方

です。

新型コロナウイルス感染症によって、ご自身の仕事に影響が出て収入が前年度よりも大幅に下回る方が増加しているでしょう。

その場合、年金の保険料を免除できる可能性があるので、申請をしてみることも一つの手段です。

免除制度②:配偶者からの暴力による特例免除制度

配偶者からの暴力被害によって、加害者とは別の住居地に住んでいる方に向けて、配偶者からの暴力による特例免除制度が設けられています。


これは、配偶者である加害者の所得に関わらず、ご自身(被害者)の所得が一定条件を下回っていれば、年金保険料の一部ないし全部が免除される制度です。


なお、免除に該当するご本人の所得の目安は


(扶養親族等の数 + 1)× 35万円 + 22万円  

保険料の3/4免除=78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

保険料の半額免除=118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

です。


暴力によって配偶者と一緒に暮らせず、収入も激減して年金を払うことが困難になってしまった方は、特例免除制度を利用する方法があります。

年金を払った上で、自分でも貯蓄することが大切

このように年金は非常に魅力的な保険であると言えますが、将来受け取れる金額については「年金だけで安心!」というものではありません。先日話題となった金融庁の報告書で「老後2000万」と言われていたのは、「年金制度が破綻することはないが、一定以上の生活水準には自分で蓄える必要がある」という意味です。


そこで、金融庁の報告書「高齢社会における資産形成・管理」では、

  • 平均寿命が伸びているため、今まで以上に現役世代からの長期的な資産づくりが必要になる
  • 資産づくりの上で必要になるお金のやりくりの方法は一人で考えるのではなく、ファイナンシャルプランナー(FP)といったお金のプロに相談する方が良い
ということが挙げられています。


年金はあくまで「保険」にすぎないので、支払った保険料の分しか将来受け取ることはできません。そのため、それ以上の資金が必要であれば、iDeCo(イデコ)などの制度を利用して自ら資産形成をするようにしましょう。



まとめ:年金をあえて払わないのは損しかない

年金制度が破綻しない理由と、年金保険料を払わないことによるデメリットなどについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは

  • 年金制度が破綻する可能性は限りなく低い
  • 保険料を払わないと違法になり、保障を受けられないだけでなく延滞金財産差し押さえになる
  • 保険料を支払えない場合は、申請して猶予制度免除制度を活用する
  • お金のプロに相談しながら、自ら老後に向けた資産形成する

でした。


このように年金に関する不安なニュースを耳にすると、年金制度自体に不信感を持ってしまったり、それゆえ「保険料を支払わない!」という選択をしてしまう人もいるかもしれません。


しかし重要なのは「正しい知識」です。多角的な情報収集は、正しい判断を可能にし、将来の安心にもつながります。


正しい知識を手に入れて、老後に向けた資産形成をしっかりしていきましょう!


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この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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