めんどくさい確定申告は妻などの家族や本人以外の代理人に頼める?

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寝たきりなどの理由で確定申告を代理人に頼むのは可能ですが妻など家族には確定申告書の提出しか依頼できず確定申告書の作成は税理士に依頼する必要があります。

▼この記事を読んで欲しい人

  • 確定申告を代理人に頼みたいほど面倒に感じる人
  • 確定申告を妻など家族に任せて良いかか知りたい人
  • 確定申告を税理士に任せて良いか知りたい人
  • 確定申告を代理人に頼むといくらかかるか知りたい人
  • 寝たきりで確定申告ができない人

▼この記事のまとめ

  • 確定申告を本人以外の代理人に頼むのはOK 
  • 確定申告書の「提出」「代筆」は妻など家族でもOK 
  • 確定申告書の「作成」は本人or税理士のみ 
  • 確定申告を税理士に依頼する際の費用はスポット契約or顧問契約で変動 

確定申告、正直めんどくさい。


毎年律儀に2月頃にやってくるのが「めんどくさい」「わからない」でお馴染みの確定申告。


  • 「あの領収書どこにあるっけ...」
  • 「この日のランチ代は経費でいいのかな...」
  • 「扶養・配偶者控除がどうとかめんどくさい」
  • 「年が明けてさっそく確定申告かよ」


など確定申告には面倒な手間や「〇〇控除」など初心者には分かりにくい会計用語などが多く時期が近づくと「去年は寝ずに作業したなぁ」とだんだん嫌気がさして憂鬱になってきますよね。


  • 難しい確定申告を会計知識のある妻に任せたい

などと思われる方もたくさんいらっしゃるのではないのでしょうか。


また、病気や怪我で寝たきりなど特別な事情で納税者本人が確定申告をするのが困難な場合もあります。


そこで今回は

  • 確定申告を代理人に頼むことができるのか
  • 確定申告を代理人に頼む際の費用、委任状などの必要書類について
  • 確定申告を代理人に頼む上での注意点
  • 確定申告を税理士に頼むといくらかかる?

などについて解説していきます。


ぜひ最後までご覧ください!


確定申告は代理人に頼んでOK しかし制限あり


まず結論からお伝えすると、確定申告は代理人に頼んでも良いですが場合によって制限があります。


確定申告書には「作成」と「提出」の二段階の工程があります。


そのどちらを代理人に頼むのかで頼める相手が変わってきます。


わかりやすくまとめましたので以下の表をご覧ください。



人/業務確定申告書の作成確定申告書の提出
納税者本人
税理士
税理士以外の代理人(妻など家族)×


上記より

  • 確定申告書の作成を家族など税理士以外の代理人に頼むのはNG
  • 確定申告書の提出を家族など税理士以外の代理人に頼むのはOK

ということになります。


以下で詳しく見ていきましょう。

①確定申告書の提出を税理士以外の代理人に頼むのはOK

確定申告書の提出を家族など税理士以外の代理人に頼むのはOKです。


税理士法には以下の規定があります。

  • 税理士は「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」を行う(税理士法第2条)
  • 税理士又は税理士法人でない者は税理士業務を行ってはならない(税理士法第52条)

上記で掲げる「税理士業務」に「確定申告書類の提出」は該当しないので税理士ではない代理人が納税者本人の代わりに確定申告書を提出することに特別法律上の問題はないです。


ですが、確定申告書の提出を家族などの代理人に頼む際には注意点があります。


後述しますが、税理士以外の代理人に認可されているのはあくまで確定申告書の代理提出の部分のみです。


確定申告の工程全てを家族などが代わることはできません。


なので、例えば確定申告書を納税者本人の妻が税務署に代理提出する場合


税務署の人に「なぜあなたが提出しに来たのですか?」と質問されて


納税者本人の妻が「確定申告の代理をしました」という旨を伝えてしまうと


「確定申告の流れ全てを肩代わりした」という風に誤解される可能性があります。


そして万が一確定申告書の内容に不備があった場合は家族全員が税務署に疑われる危険性があります。


そのため代理しているのは確定申告書の「提出のみ」ということを正確に伝えましょう。


また、代理提出をするのみなので特に依頼費用は発生しないかと思いますが、家族や友人など納税者本人ではない他人が確定申告書を提出する場合には以下のような必要書類があります。


  • 代理人のマイナンバーカードorマイナンバーカードが記載された住民票などの公的証明書
  • 代理人のマイナンバーカードの本人確認ができる運転免許証など
  • 印章

上記に記載したものは一部で納税者本人の職業や状況によっては他の必要書類がありますので確定申告を行う前に確認しておきましょう。(※1)


委任状に関しては必ず必要という訳ではなく代理人と納税者との関係や納税手続きの進捗次第で自治体によっては必要な場合があるようです。


復習すると、確定申告書の提出は納税者本人かどうかや税理士資格の有無に関わらず誰でも行うことができるということですね。


しっかり押さえておきましょう。


(※1)確定申告の際にご持参頂くもの 国税庁HP

②確定申告書の作成を税理士以外の代理人に頼むのはNG

注意しないといけないのはこちらで、確定申告書の作成を家族など税理士以外の代理人に頼むのはNGです


つまり納税者本人or税理士が必ず行う必要があります。


前述した税理士法をおさらいすると

  • 税理士は「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」を行う(税理士法第2条) 
  • 税理士又は税理士法人でない者は税理士業務を行ってはならない(税理士法第52条)

でしたね。


「確定申告書」=「税務書類」になるので


上記で掲げる「税理士業務」に「確定申告書の作成」は該当します。


そのため「確定申告めんどくさいなぁ」と嫌気がさしたとしても家族や身の回りのお金について詳しい友人など税理士以外の人に代理を頼むことは違法になります。


また、税理士以外の人間に確定申告書の作成業務を頼んでしまった場合は税理士法第52条違反の犯罪となり以下の罰則が課せられます。(※2)


  • 2年以下の懲役又は100万円以下の罰金


なので確定申告書の作成に関しては必ず自分でするか税理士に頼みましょう。


(※2)非税理士により行うことが禁止される税理士業務 国税庁HP

参考①:確定申告書の代筆であれば税理士以外の代理人に頼んでOK

「確定申告書の作成は本人か税理士しか行うことができない」


という旨を上記の見出しで述べましたが、確定申告書の代筆であれば家族など本人以外の代理人が行っても税理士法の違法とはならずOKです。


と、言われても頭の中が「???」となっている読者の方もいらっしゃると思います。


きちんと説明するのでご安心ください。


上記で述べた通り、税理士法第52条で禁止されているのは納税者本人or税理士以外の他人が確定申告書を「代理作成」することです。


そして「代理作成」と「代筆」は全く違います。


確定申告書の代理作成とは代理人が納税者の税務関係の書類を精査して申告書の内容を決定することです。


確定申告書の代筆とは、納税者本人が下した決定に従い代理人が確定申告書の記入欄などを代わりに埋めることです。


ここら辺は紛らわしく間違った理解をしてしまうと大変なことになるので一度確定申告の「代理作成」と「代筆」について整理してみましょう。


  • 代理作成:確定申告書の内容の決定と記入を代理人が担当する
  • 代筆:確定申告書の内容の決定は納税者本人 記入は代理人が担当する


代理作成の場合の確定申告書には代理人の判断が含まれてるが代筆の場合の確定申告書には代理人の判断が含まれていないのが重要なポイントです。


なので「確定申告書に記入するのがめんどくさい」という場合は家族や友人に納税者本人の意思のもと代筆業務を引き受けてもらうことが可能です。

参考②:確定申告を海外からする場合の代理人はどうなる?

これまで確定申告を代理人に頼めるかについて解説してきましたが今記事を読んで頂いている方の中に、次のような疑問を抱いた方はいませんか?


  • 確定申告を海外からする場合の代理人はどうなる?


この項では納税者本人が海外にいる場合の確定申告の有無や代理人について解説します。


「自分は海外にはいないから大丈夫」と思う方も多いかもしれませんが、海外出張などの際などに覚えておくと役に立つのでぜひ合わせてご覧ください。


まずは海外にいる人がどのように納税、確定申告を行えばよいかですが


確定申告のやり方は日本の「居住者」「非居住者」どちらなのかにより異なります (※3)


また、居住者は「永住者」と「非永住者」に分類されます。

  • 居住者:日本国内に住所があるor現在まで1年以上生活拠点が日本にある人
  • 非居住者:居住者以外の人
  • 永住者:非永住者以外の居住者
  • 非永住者:日本国籍がなく過去10年以内に日本に住所や居所を有していた期間が5年以下の居住者

そして、以下のように課税され確定申告が必要です。


  • 居住者で永住者:「国内源泉所得」と「国外源泉所得」に課税
  • 居住者で非永住者:「国内源泉所得」と「国外源泉所得のうち日本国内で支払われたor海外から日本国内に送金されたもの」に課税
  • 非居住者:「国内源泉所得」のみに課税

海外の納税者本人が日本の非居住者であっても日本国内に不動産などを保有しており国内源泉所得がある場合は確定申告が必要なので注意しましょう。


また、海外勤務などで非居住者とみなされる納税者が確定申告をする場合は代理人として納税管理人を指定する必要があります。


  • 納税管理人:非居住者に代わり確定申告の提出や税金の納付、還付金の受取をする人


納税管理人の条件は「日本国内に住所がある」ということのみなので個人でも法人でもどちらでも問題なく、家族や友人に依頼しても大丈夫です。


ですが、もし海外の納税者が日本国内の納税管理人に確定申告書の提出だけでなく作成を依頼する際、納税管理人が税理士資格を保有しないと税理士法の違反に該当します。


国内で確定申告を本人以外の代理に頼むのと同じようの国外から納税管理人に確定申告を頼む際も日本の税理士法を遵守する必要があるという点には十分注意しましょう。


(※3)納税義務者となる個人 国税庁HP

確定申告書の作成を税理士に頼むといくらかかる?


これまでどのような場合に確定申告を代理人に頼めるかなどについて解説してきました。


おさらいすると

  • 確定申告の代理提出、代筆は税理士以外の代理人でも可能
  • 確定申告の代理作成は税理士資格を保有する代理人のみ可能

でしたね。


おそらく読者の方が確定申告を面倒に感じる部分は確定申告書の作成だと思いますので


「確定申告書の提出を家族などの代理人に頼める!これで悩みは解決!」


とはならず


「確定申告書の作成は自分でやりたくないし、税理士に頼もう」


という状態かと思います。


この項では、面倒な確定申告書の作成をやらずに済む手段である


「確定申告書の作成を税理士に頼む」


上記の選択肢について

  • 確定申告を税理士に頼む際の費用はいくらかかるのか

をみていきます。


確定申告を税理士に依頼する際の費用は


  • スポット契約:支払いは1回で単発で業務代理を依頼する 
  • 顧問契約:顧問料を支払い年間を通して税理士と契約する 


のどちらなのかによってかなり差があります。


スポット契約で確定申告を税理士に頼む際の費用については


  • 白色申告:3万〜10万円程度
  • 青色申告記帳代行なし:5万〜15万円程度 
  • 青色申告記帳代行あり:10万円〜25万円程度 

がある程度の目安のようです。


顧問契約で確定申告を税理士に頼む際の費用については

  • 個人事業主:月額2万円〜3万円前後程度
  • 企業:月額2万円〜15万円程度

がある程度の目安のようです。


スポット契約・顧問契約両方とも依頼主や売上規模や税理士事務所により費用が変動するので注意が必要です。

まとめ

ここまでこの記事を読んで頂きありがとうございます。

この記事のまとめです。

  • 確定申告を代理人に頼むのはOK
  • 確定申告書の「提出」「代筆」は税理士以外でもOK
  • 確定申告書の「作成」は本人or税理士のみ
  • 確定申告を税理士に依頼する際の費用はスポット契約or顧問契約で変動


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