更新日:2023/12/29
老後資金は5000万円必要って本当?独身・夫婦の場合に分けて解説!
近年老後資金で5000万円必要と言われている。しかし人によって必要な老後資金は異なる。よってその計算方法を3つのポイントに分けて解説。また、5000万円あれば足りるのか、独身・夫婦に分けて検証。また、資産を増やすためにどうすればよいのか(投資、iDeCo、新NISAなど)を解説する。
- 老後資金に5000万円は妥当なのか、必要額を知りたい人
- 老後までに5000万円はためられないと考えている人
- 老後資金を増やすために行うべきことを知りたい人
内容をまとめると
- 老後資金が5000万円で足りるのかどうかは①マネー寿命を把握し、②ライフプラン・ポートフォリオを作成し、③老後資金を計算することで判明する
- 独身の場合は5000万円あれば十分
- 夫婦の場合は5000万円で十分とは言えず、状況によってはギリギリの額
- 老後資金を増やすおすすめの方法は、確定拠出年金・iDeCo・つみたてNISA
- 老後資金5000万円を全額投資に回してはならない
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目次を使って気になるところから読みましょう!
5000万円で老後資金は足りる?3つのポイントを解説
老後資金として5000万円もあれば足りると言われていますが、足りるかどうかはそれぞれの必要資金によって変わってきます。もっと少なくて済む場合もあれば、5000万円では足りない場合もあることに注意しましょう。
それぞれの必要額により老後資金は違うと言えるため、個人ごとに必要資金の計算をしなくてはいけません。計算方法には3つのポイントがあります。
- マネー寿命の把握
- ライフプラン・ポートフォリオの作成
- 老後資金の計算
以上の3つについて詳しく解説していきます。
ポイント①マネー寿命の把握
まずはマネー寿命について理解しておくことがポイントです。65歳以降の老後に、5000万円の資金が準備できることで何歳まで安心して生活ができるのかを計算していきます。
マネー寿命の計算方法は、
65歳+(5000万円÷毎年の取り崩し額)
となるため、まずは毎年の取り崩し額を計算しなくてはいけません。
毎年の取り崩し額は、
年間支出-年間収入
です。足りない分が取り崩し額となります。
例えば、
- 年間支出:300万円
- 年間収入:200万円
の場合には、毎年の取り崩し額は100万円です。
マネー寿命を計算すると、
65歳+(5000万円÷100万円)=115歳
という結果になります。115歳まで準備ができるのならば安心して老後生活が送れると考えられます。
しかし、年間の支出や収入は人によって違います。仮に年間の取り崩し額が200万円になると、マネー寿命は90歳と先ほどよりも短くなってしまいます。
さらに、特別支出についても考えておかなくてはいけません。
- 旅行
- 車の買い替え
- 家の修繕
- 医療・介護費
- 子供や孫への支援
など、日常の生活費以外にもかかる費用について考慮しておく必要があります。
マネー寿命を延ばすためには投資でお金を増やしつつ老後資金を使っていく方法が効果的です。マネー寿命を把握し、その寿命を延ばすことも考えていきましょう。
ポイント②ライフプラン・ポートフォリオの作成
老後資金のポイント2つ目は、ライフプラン・ポートフォリオの作成です。
老後の生活にもライフイベントは発生します。その人ごとの生活スタイルによって、
- 毎年の旅行(海外・国内)
- 趣味や習い事
- 老人ホームへの入居
など、様々なライフイベントがあり、これらそれぞれに必要金額を割かなくてはいけません。
老後資金を計算するならば、しっかりとしたライフプランは必須です。
また、5000万円もの老後資金を準備するためには資産運用を行わないと難しいのが現状です。どの金融商品にどれくらいの金額を使うのかなど、ポートフォリオの作成が必要になります。
- 運用期間と目的
- 安定志向の資産運用
などがポイントです。
目的と期間を明確にすることで、運用方法がある程度しぼられます。その中でも安定して資産運用できるよう、分散投資や長期投資を利用することがおすすめです。
自分に合ったポートフォリオを作成し、無理なく資金準備を行いましょう。
「ポートフォリオの作り方がわからない」「自分に合ったポートフォリオを組める自信がない」という方は、プロに相談してみるのも一手です。
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ポイント③老後資金の計算
老後資金を計算するには、
毎月の生活費×12ヶ月×老後の年数
となるため、まずは生活費を知っておく必要があります。
夫婦二人の費用が以下のようになっています。
生活費 | |
---|---|
最低限の生活費 | 22.1万円 |
ゆとりある生活費 | 36.1万円 |
生活スタイルによって大きな違いがあることが分かります。自分がどのようなタイプを望んでいるのかを考えておきましょう。
この費用は何歳まで必要になるのか、ここでは平均寿命から考えてみます。
- 男性:81.4歳
- 女性:87.5歳
が平均寿命とされています。(参考:厚生労働省「簡易生命表の概況」)
85歳前後と考えると、必要になる年数は20年です。
最低限の生活でいくら必要になるのか計算します。
22.1万円×12ヶ月×20年=5304万円
ゆとりある生活も同様に計算します。
36.1万円×12ヶ月×20年=8664万円
最低限5000万円以上の資金が必要になることが分かりますが、準備が必要な額はこの金額ではないことに注意が必要です。
独身の場合、5000万円あれば十分足りる
独身の場合には老後資金を5000万円準備しておけば十分足ります。
先ほどもご紹介したように、生活スタイルやライフイベントなどによっても違いはありますが、
- 毎年の海外・国内旅行を楽しめる
- 習い事や趣味も楽しめる
- 介護付き老人ホームに入居することも可能
なほどの余裕はある状態です。
実際の65歳以上の単身無職世帯の平均支出額は14.5万円です。(参考:総務省統計局「家計調査年報)
先ほどは平均寿命の20年で計算しましたが、ここでは余裕をもって老後の年数を30年として計算していきます。
14.5万円×12ヶ月×30年=5220万円
必要額は5220万円です。
一方収入としては以下の金額が月々受け取れる金額の目安になります。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
国民年金 | 約5.6万円 | 約5.1万円 |
厚生年金 | 約16.5万円 | 約10.3万円 |
収入をもとに不足する金額を計算すると以下のようになります。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
国民年金 | 約3200万円 | 約3380万円 |
厚生年金 | 不足なし (+720万円) | 約1510万円 |
さらに、厚生年金を受給している男性の場合には、不足額が発生しません。
このようなことから、独身の場合には老後資金5000万円あれば十分と言えます。
夫婦の場合、5000万円でギリギリ足りる
夫婦の場合には、老後資金5000万円でギリギリ足りる程度です。
夫婦二人での実際の生活費は約25.6万円です。(参考:総務省統計局「家計調査年報」)30年間の生活を考えると、必要金額は9216万円になります。
厚生労働省のデータをもとに、夫婦二人の収入がどれくらいになるのか見ていきましょう。
- 夫婦ともに厚生年金:約26.8万円
- 夫が厚生年金・妻が国民年金:約21.6万円
- 夫婦ともに国民年金:約10.7万円
それぞれ不足額は以下のようになります。
不足額 | |
---|---|
夫婦ともに厚生年金 | 不足なし (+432万円) |
夫が厚生年金で妻が国民年金 | 1440万円 |
夫婦ともに国民年金 | 5364万円 |
気をつけたいのが夫婦ともに国民年金の場合です。自営業者などが当てはまります。
不足額が約5400万円と5000万円をオーバーしてしまう結果です。受け取れる年金の種類によってはギリギリの生活費となってしまう事に注意しましょう。
老後の資産を増やすための方法3選
老後資金は5000万円あれば足りると言えますが貯蓄だけでは貯めきれない可能性が高くなってしまいます。
老後の資金を増やすための方法としては、
- 確定拠出年金
- iDeCo
- 新NISA
が挙げられます。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分に合った方法を見極めるようにしましょう。
方法①確定拠出年金
老後の試算を増やす方法のひとつが確定拠出年金です。
加入者自信が運用指示を行い、個人が運用リスクを負担しながら老後資金を増やす方法です。
- 企業型確定拠出年金
- 個人型確定拠出年金
の2つに別れ、個人型確定拠出年金にはiDeCoも含まれます。
メリットとしては、
- 税制優遇措置を受けられる
- 運用管理費が抑えられている
などが挙げられます。
税制優遇措置では、
- 掛け金(個人拠出分)が全額所得控除
- 運用益非課税
などの優遇を受けることが可能です。
運用にかかる手数料なども会社が負担してくれるため、お得に資産を増やすことができます。
デメリットとしては、
- 運用次第で減ってしまう可能性
- 60歳まで引き出せない
などがありますが、長期的な運用をを行うことで減ってしまうリスクは低くなります。年金として増やすため、60歳まで引き出せないことも大きなデメリットではないため、一つの手段として検討してみましょう。
方法②iDeCo
老後資金を増やす方法2つ目はiDeCoです。
先ほどご紹介した確定拠出年金の1つとなりますが、20歳以上であれば
- 自営業者
- 主婦
- 会社員
- 公務員
など幅広い方が利用できる制度です。
メリットとしては、
- 掛け金が全額所得控除
- 運用益非課税
- 少額(5,000円)から投資可能
- 受取方法が選べる
などが挙げられます。
掛け金や運用益に対する税制優遇は確定拠出年金でも見られました。少額から投資ができるため、家計への負担を見ながら金額を変えることができます。また、受取方法も
- 一括受給
- 年金受給
- 一括+年金受給
と必要に応じて選ぶことができることもメリットです。
ただし、
- 元本が保障されない商品もある
- 口座維持に手数料がかかる
- 60歳まで引き出せない
などのデメリットもあるため、しっかりと納得してから利用を開始するようにしましょう。
※参考文献:iDeCo
方法③つみたてNISA
老後資金を増やす方法の3つ目がNISAです。
新NISAは少額で長期積立・分散投資を支援するために作られた制度です。投資初心者の方でも安心して利用できるよう、
- 少額から可能
- リスクの低い商品多数
などの特徴があります。
メリットとしては、
- 運用益が非課税
- 非課税期間が無期限と長期
- いつでも換金可能
などが挙げられます。
確定拠出年金などでは引き出す時期に制限がありましたが、新NISAの引き出しに制限はありません。
デメリットとしては、
- 対象商品が限定的
- 損益通算などが利用できない
- 非課税枠の繰り越しができない
が挙げられます。
新NISAの商品は、低リスクになるように金融庁が基準を設けています。そのため、リスクが低くはなりますが、商品数が少ないことが現状です。
また、通常の投資で行うことができる損益通算などは利用できません。非課税枠が余ってしまっても再利用することができないことにも注意しましょう。
初心者向けとなるためある程度知識がある方には物足りなく感じてしまいます。
※参考文献:金融庁
方法④投資
老後資金を増やす方法の4つ目は投資です。利益を見込んで自分のお金を投じます。
- 投資信託
- 株式
- FX
- 国債
- 不動産
など様々な種類があります。種類ごとにリスクなどが違うため、利用する前にしっかりと知識を付けておかなくてはいけません。
また、先述した3つの方法よりもリスクが高くなることが予想されます。元本割れの可能性があることを納得したうえで利用しましょう。
5000万円のうち投資に回すべき金額は?計算における3つのステップ
老後資金5000万円のうち、全てを投資に回してはいけません。投資可能額を知るためには資金を3つに分けることがポイントです。
- 緊急予備資金
- 目的資金
- 長期資金
それぞれに資産を分けることで、投資に回すべき金額が見えてきます。
それぞれの資金をご紹介していきますので、自分の投資可能額を計算しましょう。
ステップ①緊急予備資金
資金を3つに分けた中のひとつが緊急予備資金です。
緊急予備資金はいざというときの資金になります。
- 突然のケガや病気での長期休職
- 会社の倒産
- 退職
- 親の介護
など、万一の際に利用することを前提に準備しておく資金です。
金額としては毎月の生活費の3ヶ月から1年分を準備しておくと安心です。
万一の際の資金となるため、投資に利用することができない資金になります。
ステップ②目的資金
資産を3つに分けた中の2つ目は目的資金です。今後10年間ほどで必要になると考えられるまとまった資金になります。
- 自宅の修繕費
- 車の買い替え日
- 海外旅行費
などが挙げられます。
今すぐに必要ではないけれども、使用目的が決っている資金になります。使用する期間までが短いため、増やすことよりも貯めることを目的としなくてはいけない資金です。
投資に回してしまうと減るリスクもあるため、通常と貯金や積み立て定期預金など、確実に貯められる方法で準備しておく必要がある資金になります。
ステップ③長期資金
資産を3つに分けた3つ目が長期資金です。少なくとも10年以上は使う予定のない資金になります。
利用する予定のない資金を投資に回すことで、余裕をもって資産運用を行うことが可能です。
長期資金のみが投資可能な資金となり、
全資金-緊急予備費-目的資金
で計算した金額が投資可能額になります。
緊急予備資金などもそのまま貯蓄に眠らせておくのはもったいないと考えるかもしれませんが、万一のタイミングで利用できるお金がないと困ってしまいます。しっかりと投資可能額を計算し、資産運用を始めるようにしましょう。
まとめ:老後資金についての疑問や不安はマネーキャリアに相談しよう!
いかがでしたか?ここでは老後資金5000万円についてご紹介しました。
老後資金は5000万円貯めておけば十分な額と言えますが、人によってはそれでも足りなくなる可能性があるためしっかりと計算しておく必要があります。
また、5000万円を貯蓄のみでまかなうことは難しいため、確定拠出年金やつみたてNISA、投資などの利用を検討することをおすすめします。
老後資金についての不安や資産運用に関する疑問がある方は、マネーキャリアのFP相談を利用するのがおすすめです。
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