自由診療と保険診療の違いは何!?わかりやすく説明します!

自由診療は健康保険や診療報酬が適用されない診療のことで、最先端の医療技術を利用できる診療も含まれます。保険診療とは異なり料金が法定されておらず、高額な自由診療費となる場合があります。しかし、保険診療より高い効果が期待できる治療薬・治療法を受けることも可能です。

自由診療と保険診療の違いを解説


皆さんもドラッグストアで風邪薬を買った時に、病院で処方してもらうときよりも高いなと感じたことがあると思います。


医療機関に行って、診察・投薬などの治療を受けた場合、窓口で治療費の支払いをしていると思いますが、自分で支払っている額は治療費の一部で、本当はもっと高い治療費であることをご存じでしたでしょうか?


実は、公的医療保険対象の治療であれば、実際にかかった治療費の3割(75歳以上で一般所得者の場合は1割)しか自分で支払っておらず、残りの7割については保険者が負担しているのです。


日本では、国民皆保険制度が採用され、会社員は健康保険・公務員は共済組合・自営業の方は国民健康保険に、国民すべてが公的な医療保険に加入しており、医療機関で、健康保険証の提示を求められるのは、公的医療保険制度が使用できるかを確認しているからなのです。


ただし、治療の中には全額自己負担となる公的医療保険適用外の治療も存在するので注意が必要です。


この記事では、公的医療保険が適用される「保険診療」と適用外の「自由診療」について、

  • 自由診療のメリットとデメリットとは?
  • 保険診療のメリットとデメリットとは?
  • 保険診療、先進医療、自由診療の診療例の違いとは?
  • 先進医療や自由診療にはそれぞれどんな治療法がある?

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、日本における公的医療保険制度が理解でき、医療機関で治療を受けるときの役に立つと思いますので、是非最後までご覧ください。 

自由診療とは?

ご自分が「がんなどの難しい病気になったとき、治療費の額にとらわれない最先端の医療技術で治療を試みたい」そう思われる方もいらっしゃると思います。

自由診療は、健康保険や診療報酬が適用されない診療のことで、最先端の医療技術を利用できる診療も含まれます。


自由診療の対象となる最先端の医療技術には、

  1. 厚生労働大臣がまだ承認していないが、高い治療効果が期待できる最先端の治療方法や治療薬
  2. 先進医療が実施可能な医療機関として認められない医療機関で、先進医療と同等の医療技術を使用した治療

を受ける場合などがあります。

自由診療のメリット

自由診療は患者側と医療機関側それぞれにメリットがあります。
  • 患者のメリット:患者に合わせた適切な医療サービスの提供

保険診療の場合は、ある疾患を持つ患者に対して、ある程度どのような治療を行っていくかが固定化されています。


しかし、自由診療の場合は、診療を受ける各患者の病状・健康状態・体質に合わせたきめ細やかな対応が期待できます。 


医療機関にもよりますが、先進医療を行える医療機関と認定されていなくとも、前述したように先進医療と同レベルの最先端の技術を用いて治療してもらうことや、海外で既に承認され高い効果が認められている国内未承認薬を使用して治療を行うことが可能です。

  • 医療機関のメリット:医療機関側にとっては料金を自由に設定可能

自由診療を行う際の費用は医療機関側が自由に設定できます。


ただし、自由診療の場合であっても法律に従い、患者が納得して合意することが前提です。


その前提をクリアすれば自由診療の内容とその費用には制限がありません。


逆に患者からすれば、より効果的な治療を受けることは非常に魅力的ですが、必ず、支払う費用の面でも納得のいく説明を受けましょう。


診療後に医療機関側と揉めないためにも、自由診療の内容と費用について医療機関とよく話し合うことが大切です。 

自由診療のデメリット

自由診療のデメリットは次のことが想定されます。
  • 最先端の医療のため患者にリスクがある

海外で高い治療結果が得られているとは言っても、世に出て間もない治療薬や治療方法であることも考えられます。


つまり、我々日本人の体質に合うかどうか(例えば薬剤の効果が強すぎる等)は十分に実証されているとはいえません。


そのため、患者がその治療を受けた場合に不測の事態が起きるリスクもあります。

  • 自由診療は全額自己負担

自由診療は、前述したように公的医療保険適用外の医療サービスです。


そのため、高額な費用を支払わなければいけない場合もあります。


自由診療には費用総額で数百万を超える診療もあり、十分貯蓄のある方、自由診療を対象とする民間の保険に加入している方でなければ、自由診療を受けることが難しいケースがあります。

保険診療とは?

保険診療とは、公的医療保険が適用される診療のことです。

保険診療の内容は次の通りです。
  • 診療:医師による診察・検査・画像診断等を患者の身体に施し、異常があるかどうかを判断する医療行為です。また、医師の判断で緊急に患者宅に赴き診療する「往診」も公的医療保険が適用されます。ただし、患者が診療のため通院することや往診の交通費は患者の負担となります。
  • 医薬品の支給:患者の治療に必要な医薬品の支給は、公的医療保険に該当します。担当した医師より処方箋を出してもらい、最寄りの保険薬局で医薬品を受け取ります。
  • 治療に必要な物品の支給:患者の治療のために必要なガーゼ、包帯等の給付は公的医療保険の範囲内です。骨折の際に渡される松葉杖等は医療機関により貸与される形になります。なお、首や腰等を固定するために装着するコルセット、義手・義足等は療養費とされます。
  • 注射、処置、手術等の治療:医師が必要と判断した処置や手術、注射、患者の身体の機能を維持・回復させるためのリハビリテーション、がん細胞を治療するための放射線治療、精神疾患の治療を目的とする精神科療法等についても、公的医療保険の対象になります。
  • 医療機関への入院:医師より患者が入院治療および看護が必要と判断されれば、公的医療保険の範囲内とされます。

保険診療のメリット

保険診療は次のような点がメリットといえます。
  • 公的医療保険が適用される診療が幅広い

公的医療保険が適用される診療は多岐にわたり、患者は全国どこの医療機関でも一律の料金で受診することができます。


保険診療の料金は診療報酬制度で定められており、医療機関側では自由に金額を設定することはできません。


そのため、費用がどれくらいかかるのかが患者側からも明瞭で、安心して治療を受けられます。


また、入院・外来のみならず、医師により患者の在宅療養が必要だと判断されれば、この療養も公的医療保険の対象になります。


在宅療養には、在宅における自己注射・当該療養患者への指導・管理、通院が困難と判断された患者への医療従事者による訪問看護が含まれます。

  • 治療に関して柔軟な側面がある

担当医師の判断により、保険医として指定を受けている柔道整復師、灸師、鍼師などによる治療が必要と認められれば、担当医師が同意書を交付することで、柔道整復師、灸師、鍼師などがおこなう治療行為も、保険診療として認められます。

保険診療のデメリット

保険診療を受ける場合、大きく分けて2つのデメリットがあります。
  • 治療の幅が狭まってしまう
国民健康保険や健康保険を使って治療を受ける保険診療は、健康保険法などの法律に基づいて使用できる薬剤の種類・量、リハビリテーションの回数などが明確に決められており、それに従って治療をしなければなりません。

また、保険診療は自由診療との混合診療が認めらておらず、一部でも自由診療が行われると、すべての一連の治療に対して、全額自己負担となってしまいます。

海外で効果が認められていている薬剤があったとしても、保険診療外になってしまう場合は、患者はその治療方法を取り入れることができずに、結果として最適な治療方法を選択できない可能性があります。

  • 医師が保険診療の適用に否定的な場合がある
保険診療の場合、すべての治療に対して点数が決められており、1点あたりの単価は10円とされています。

一方で、自由診療の場合には、ある程度目安となるものはあるものの、治療に対しての金額は医師と患者の話し合いにより、自由に単価を決定することができます。

例えば、1点を20円で設定した場合は、医師は保険診療に比べて多くの報酬が得られることになります。

交通事故などによる治療の場合は、加害者側の保険会社が治療費を支払う場合が多いので、自由診療が行われるのが一般的で、保険診療を希望した場合、医師はあまり良い顔をしないかもしれません。

保険診療、先進医療、自由診療の自己負担額の違い

保険診療、先進医療、自由診療はそれぞれ自己負担額に違いがあります。

この違いをある程度認識していないと、本来であれば保険診療になる分の医療行為も自己負担になってしまう可能性があり、治療費を支払う際にトラブルになる恐れがあります。

そうならないために、各診療の自己負担額を見ていきましょう。

保険診療の自己負担額

保険診療は、患者が健康保険または国民健康保険の加入者であれば3割の自己負担となります。

例えば、治療に10万円がかかった場合は、患者の自己負担額は3万円となります。

ただし、入院の際に特別環境療養室を使用し請求された差額ベッド代や、入院時の食事代(1食360円分)は公的医療保険の対象外となり、自己負担となります。


保険診療のみを受けたからと言って、入院時の全てのサービスが3割負担になるわけでは無いので、費用に関して質問がある場合は、医師や医療機関の窓口に確認してください。

先進医療の自己負担額

先進医療とは、厚生労働大臣の定めた施設基準に適合する医療機関により行われ、最先端の技術を駆使した医療の内、厚生労働大臣が承認した医療行為をいいます。

先進医療に関しては国の決定により、医療を受ける患者の安全の確保、患者の金銭的負担の増大を防止し、患者の選択肢を広げるという理由から、保険診療との併用が認められています。 


つまり、先進医療に関する技術料分は全額自己負担となりますが、通常であれば公的医療保険対象となる入院費などの部分に関しては、通常と変わらず3割の自己負担で済みます。


そのため、自己負担額は「保険診療の3割負担+先進医療分の全額負担」となります。

自由診療の自己負担額

自由診療を受ける場合は、先進医療を受けた場合と異なり、保険診療とされる医療行為を併用したとしても、その部分についても全額自己負担となってしまいます。

それは、保険診療と自由診療を併用した「混合診療」が原則として禁止されているからです。


混合診療が認められていない理由としては次の2点があげられます。

  • 医療機関へ混合診療を認めてしまうと、公的医療保険適用外の負担を求めることが一般化してしまい、患者の金銭的負担額が拡大するおそれがある。
  • 日本国内で安全性・有効性がいまだ認められない自由診療が、保険診療と合わせて実施されてしまうと、臨床結果等のない治療の実施を助長するリスクがある。

ただし、例外もあります。それは「評価療養」と「選定療養」の場合です。


この二つに含まれる診療は、保険診療と自由診療との費用が別々に扱われることになります。

  • 評価療養:高度な技術を用いた医療行為を厚生労働大臣(厚生労働省)は、保険給付の対象とすべきか否かの検討を進めています。その検討結果を出すために、保険診療との併用を行うことで、適正な医療として評価するための対象となっている医療行為を指します。この評価療養には前述した先進医療、医薬品・医療機器・再生医療の製品の治験に係る診療等が該当します。
  • 選定療養:高度な技術を用いた医療行為とはいえませんが、患者が選択し、より利便性を向上するための医療サービスとして、厚生労働大臣が定めたものを指します。選定療養に該当するのは、特別環境療養室、歯科の金合金、予約診療や時間外診療、180日以上の長期入院等です。

保険診療、先進医療、自由診療の診療例の違い

保険診療の内容については「保険診療とは?」で前述しました。こちらでは、先進医療と自由診療の診療例を取り上げます。

先進医療の場合は、最先端の治療といえば大学病院や大病院での治療を想起しますが、町の歯科医院が厚生労働大臣の定めた施設基準に適合する医療機関として指定されている場合もあり、意外に身近な医療機関で受けることができる治療もあります。


また、自由診療はがん治療等のような難病への最先端の治療のみならず、普段皆さんが受けている意外な治療法も該当していることがあります。

先進医療の例:放射線治療など国が認めている最先端の医療技術

先進医療は、平成29年8月1日現在で101種類存在します。

ただし、先進医療は患者が望んだだけで受けられる医療行為ではなく、
  1. 通常の保険診療を受けつつ患者が希望し、
  2. 担当医師も患者の治療にとって先進医療が必要性・合理性が認められると判断した
以上の場合に可能となります。

主に活用されている先進医療の一例をあげます。


多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術

白内障の治療で行われる先進医療です。ただし、白内障になったからといって、いきなり手術をするわけではありません。


一定期間、点眼薬や飲み薬で白内障の進行具合を観察します。その後、症状が悪化したときは手術が必要となります。


手術は、

  1. まず「超音波水晶体乳化吸引術」を使用し、患者の眼の濁った水晶体を砕いて取り出します。
  2. その後、「眼内レンズ」と言われる人工の水晶体を入れます。
  3. 最後に眼内へ水分を注入することで切開部分を閉じます。 

手術は局所麻酔をして痛みも無く、30分程度で終了するので日帰りが可能です。なお、この手術により老眼も治療できます。 


陽子線治療

放射線治療の一種で、がん治療に大きな効果が期待できる先進医療です。主に外科手術が非常に困難ながん治療に用いられます。


通院による治療が可能です。治療は原則1日に1回で15分~30分にわたって行われ、1週間に概ね3~5回行うことになります。


陽子線治療は患者に効果があらわれているかを確認しつつ、合計4~40回程度の治療が行われます。


重粒子線治療

こちらも陽子線治療同様、放射線治療の一種で、がん治療に大きな効果が期待できる先進医療です。陽子線治療よりも線量集中性に優れており、がん細胞により大きなダメージを与えることが期待できます。


こちらも通院による治療が可能です。治療は原則1日に1回で15分~30分にわたって行われ、1週間に概ね3~4回行うことになります。


重粒子線治療も患者に効果があらわれているかを確認しつつ、合計1~20回程度の治療が行われます。

自由診療の例1:国の未承認の抗がん剤

米国や欧州では既に承認済でも、国内で薬事法上未承認・適応外である医薬品は、国立がん研究センターによれば94種類あると言われています(国内で薬事法上未承認・適応外となる医薬品・適応のリスト2017年9月30日改訂版)。

米国や欧州ではある程度、安全性が認められても国内で未承認・適応外となっている抗がん剤は、自由診療の対象となります。


日本人の体質に合っているとは十分に確認されていないので、未承認の抗がん剤で治療を受けたい場合には担当医と十分に話し合って決定するべきです。

自由診療の例2:美容診療

自由診療は、患者の生命にかかわる難病だけに限られた医療行為ではありません。

我々の身近な所でも自由診療が行われています。「美容診療」に関係する分野は次の通りです。
  • 美容整形

主に顔・身体のパーツで気になる部分を整形する治療です。


二重まぶたやシワの除去が行われます。また、胸にコンプレックスを感じる女性への豊胸手術なども該当します。

  • 脱毛レーザー等

美皮膚科診療でよく用いられている「医療用脱毛レーザー」が代表例で、病気を治すためではなく脱毛して皮膚を美しく見せるための治療です。


他に、肌のシミを除去する「レーザートーニング」も自由診療に該当します。

自由診療の例3:ホワイトニング

ホワイトニングは、歯科で自分の歯の色を白く明るくする方法を言います。

1回~数回の通院が必要で、歯の表面に薬剤を塗った後、光を当てることで薬剤が活性化し歯を白くします。

なお、光を当てないタイプの薬剤もあります。

ただし、ホワイトニングも虫歯のような歯の病気による治療というわけではく、自由診療となります。

自由診療の例4:矯正歯科

矯正歯科とは、歯並びが悪いことが気になる方、噛み合わせが悪くて困っている方が歯を矯正するための治療です。

こちらも歯の病気というわけではないため自由診療となります。


矯正の種類は主に4つあります。

  • ブラケット矯正

歯科による矯正の中で最もメジャーな方法です。


歯のそれぞれ1つずつにブラケットと呼ばれる器具を装着し歯を動かしていきます。


数ミリ単位で微調整が可能です。歯を移動させる効果が高く丈夫であることがメリットです。


ただし、見た目ですぐに矯正をしているということが周囲にわかるデメリットがあります。


また、歯磨きがしにくく、ケアを怠れば虫歯になりやすいリスクもあります。

  • 舌側矯正

歯の裏に矯正器具を取り付ける方法です。


表からは矯正器具が見えないため、矯正していても周囲にわからないのがメリットです。


金具が舌に当たりやすいため違和感・不快感を覚えることがあり、丁寧なケアをしなければ虫歯になるリスクもあります。

  • マウスピース矯正

歯科で専用のマウスピースを作成し、それを装着して少しずつ歯を移動させていく方法です。


マウスピースは薄くて違和感があまりなく、透明なので歯に装着している時も目立たちません。


取り外し可能で、食事や歯磨きの時などに外すこと以外は1日中つけているのが基本です。


なお、装着時間の目安は1日約20時間と言われています。

  • 部分矯正

全ての歯を移動させる必要がない方におすすめの方法です。


前歯だけであるとか、特定の気になる歯だけ直したいと希望する方に向いています。


ただし、部分的な矯正にとどまるため噛み合わせを矯正することはできません。

自由診療の例5:インプラント治療

インプラント治療とは、自分の歯と同じように自然に噛むことができる「人工歯根治療」を指します。

入れ歯とは異なり、骨と結合させ、それを土台に自然の歯と同じような人工の歯を取り付けるので、見た目の美しさや耐久性、噛む力に優れています。


こちらも歯の病気の治療と言うわけではないので自由診療となります。


インプラント治療のメリット・デメリットは次の通りです。


インプラント治療のメリット

  • 自分の歯と同じ感覚で食べ物を噛むことができ、味や食感をしっかり感じることができる
  • 部分的なインプラント治療の場合には、周囲の歯を傷つけることはない
  • 見た目も天然の歯と変わらない自然な仕上がりになる
  • 顎の骨に力を加えるため、顎の骨が痩せることを予防する効果が期待される
  • 天然の歯と同じように歯磨き等のケアができる

インプラント治療のデメリット 

  • 人工の歯を骨と結合させるので外科手術が必要
  • 治療費は全て自己負担
  • 重度の糖尿病であるなど疾患がある場合に治療を断られることがある

自由診療の例6:予防歯科

予防歯科とは、歯の健康を生涯維持しつつ、美しい歯を育てることを目的とします。

児童であれば、虫歯ゼロの健康的な口内環境をつくることができ、成人の場合なら、治療した部分の再発予防や新たな虫歯および歯周病の進行、口臭や歯の汚れを防ぐことができます。

こちらも実際に病気の治療というわけではないので自由診療となります。

予防歯科の種類は次の通りです。

  • フッ素による予防

フッ化物による虫歯の抑制効果を利用した予防法です。


歯に直接塗ることにより、虫歯の予防を図ります。歯が生えて間もないほど予防効果は大きいと言われています。


塗布方法は大きく二つに分けられ、綿球にフッ素の塗布液を含ませ、歯に軽く押し当て塗る綿球法と、トレーの中にフッ素の液体をしみこませた「ろ紙」等を入れ、これを加えて歯面に塗るトレー法があります。

  • PMTCによる予防

専門の機器を使って、歯周まわりをきれいにする予防法です。


歯間や、歯と歯肉の境目等、普段の歯磨きでは磨き残しのある部分を、プロのクリーニングで清掃します。


効果は、虫歯の予防、歯ぐきが下がることを防止し、歯周病を防ぐ効果があります。

補足:高額療養費制度により自己負担限度額を超えた分は払い戻される!

高額療養費制度とは、1ヶ月にかかった入院・手術等をした際の治療費について、患者が自己負担限度額を超えて支払った場合、その差額分が戻ってくる公的な制度です。

高額療養費制度の対象は、公的医療保険が適用される保険診療となります。

自由診療に適用されるわけでありませんが、知っておくと、保険診療が高額になってしまった場合に、患者の金銭的負担を軽減することが期待できます。


ご自分の自己負担額が気になる方は下表を参考にしてください(厚生労働省ホームページ「高額療養費制度を利用される皆さまへ」を参考に作成)。

  • 所得ごとの自己負担限度額

70歳未満の方(平成29年8月~平成30年7月診療分までの自己負担限度額)


所得区分1ヶ月の限度額(世帯ごと)
年収約1,160万円~252,600円+(医療費-842,000)×1%
年収約770~1,160万円167,400円+(医療費-558,000)×1%
年収約370~770万円80,100円+(医療費-267,000)×1%
~年収約370万円57,600円
住民非課税者35,400円

70歳以上75歳未満の方(平成29年8月~平成30年7月診療分までの自己負担限度額)


所得区分外来(個人ごと)1ヶ月の限度額(世帯ごと)
現役並み:年収約370万円~ 57,600円80,100円+(医療費-267,000)×1%
一般:年収156~370万円14,000円(年間上限14万4千円) 57,600円
住民税非課税世帯8,000円24,600円
住民税非課税世帯:年金収入80万円以下等8,000円15,000円


  • 高額療養費制度の申請方法

医療機関へ費用を支払った後に高額療養費の対象となる場合は、加入している公的医療保険によって申請の流れが異なります。


①国民健康保険加入者の場合


診療した月からおよそ3ヶ月後に、ご自宅へ通知書が郵送されてきますので、高額療養費の対象になることを確認し、速やかに申請書類に記載しましょう。


国民健康保険の被保険者であれば、ご自分が住む市区町村の窓口へ提出することになります。 


②健康保険加入者の場合


実は健康保険加入者の場合、加入している保険組合によって対応が異なります。


医療機関等から提出された「診療報酬明細書」により、自動的に高額療養費を払い戻しする保険者の場合なら申請が不要です。


主に大企業が設けた健康保険組合でこのような仕組みをとっています。


しかし、高額療養費の対象になっているかどうかの通知もこないケースでは、診療を受けた本人が自分で計算して高額療養費の対象になるか否かを判断しなければいけません。


高額療養費の対象になることを確認したら、速やかに申請書類に記載し各健康保険組合へ提出することになります。


ご自分の保険者がどのような対応をとるかわからない時は、一度ご自分の勤務先の総務課、またはご自分の保険者となっている健康保険組合に確認をとってみましょう。


  • 事前申請も可能

国民健康保険加入者および健康保険加入者は、1ヶ月の自己負担限度額が超えるかどうかわからない場合でも、事前申請を行うことができます。これが「限度額適用認定申請」です。


事前申請の場合は、限度額適用認定申請を行い「限度額適用認定証」を取得しなければいけません。この認定証を利用すると、費用が1ヵ月の自己負担限度額までに抑えられ金銭的負担が軽減されます。


限度額適用認定証を取得したい場合は、ご自分が健康保険の加入者であれば各保険組合へ、国民健康保険の加入者であれば、市区町村の窓口へ交付を求めます。


必要書類は、健康保険証、印鑑、振込口座のわかる通帳等、領収書を準備します。保険者によっては追加の書類を要求することがあります。


認定証を取得した後は、治療を受ける際に医療機関の窓口に提示しましょう。


なお、この認定証を取得前に入院しても、当月中に認定証を取得できれば、改めて医療機関の窓口に提示することで、その月の自己負担限度額まで抑えることが可能です。

まとめ:自由診療と保険診療のちがいについて

自由診療保険診療の違いについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

この記事のポイントは、
  • 自由診療は「日本ではまだ承認されていないが、海外で有効性が認められている最先端の治療」などを利用できる一方で、本来であれば公的医療保険が適用になる部分も含めて全額自己負担になってしまうため、治療費が高額になる。
  • 保険診療は、公的医療保険が適用される治療で、日本全国どこの医療機関で治療を受けても一律同じ治療費となるため安心ですが、健康保険法などの法律に基づいて使用できる薬剤の種類や投薬量などに制約があるので、患者の希望通りの治療ができない可能性がある。
  • 保険診療、自由診療、先進医療どの治療を受けるかによって自己負担額が大きく変わるし、保険診療であっても所得や年齢によって自己負担限度額は変わってくる。
です。

医療機関で普段なにげなく治療費を支払っていると思いますが、保険診療、自由診療の違いと、先進医療の存在を理解すると、いざ医療機関にかかるときに治療にはどのような選択肢があって、どれくらいの費用がかかってしまうのかが分かり、医師の説明も理解しやすくなると思います。 

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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