ケガで入院しても医療保険金はおりる?障害保険との違いや必要性を解説

交通事故などでケガをしたり、入院をした際に医療保険で保障されるのでしょうか。今回、病気だけでなくケガした時でも医療保険金はおりるのか、よく似た傷害保険とは何か、両者の違いは何か解説します。また、医療保険と傷害保険で保険金が支払われない場合についても解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

病気だけでなくケガも医療保険で保障される?傷害保険との違いも解説


この記事をご覧のあなたは、「傷害保険」や「医療保険」のことについて、もっと詳しく知りたい、と思われていることでしょう。

「医療保険」と言えば、現在様々な保険会社によって、先進医療や女性特有の病気に対する保障を付けることができるようになりました。

しかし、まだ加入されていない方の中には、「具体的にどこまでが保障の対象となるか分からない…」「怪我の場合は保障されないのでは…?」と思われている方も少なくありません。

そこで今回は、『傷害保険』や『医療保険』に関して、
  • 医療保険は怪我の場合も保障してくれるの?
  • どんな原因の怪我でも保障してくれるの?
  • 医療保険に「怪我」専用の特約が付けられるの?
これらの点に関して取り上げていきます。

この記事をご覧いただければ、分かりにくい「医療保険」と「傷害保険」の違いや、自分の場合どの保険に加入することがベストなのか、を考える上で参考にしていただけると思います。

ぜひ最後までご覧ください。

医療保険は、『ケガ』による入院や手術も保障の対象!

まず最初に、いわゆる『医療保険』の保障対象となるものは、主に以下の2項目です。
  • 病気(疾病)を原因とする治療のための入院・手術費用の保障
  • 事故等による怪我を原因とする治療のための入院・手術費用の保障
簡単に言えば、病気や怪我で治療が必要になったときに保障してくれるのが、『医療保険』です。

どうしても『がんなどの病気のときに保険金が貰えるもの』として覚えられがちですが、医療保険は、交通事故等による怪我によって入院や手術が必要になる場合も、保障してくれます。

医療保険はケガによる通院では保険金が支払われないことが多い

医療保険は病気、怪我で治療が必要になった時に給付金が受け取れる保険ですので「万が一、怪我をしても保険に入っているから安心」と思いがちです。


しかし、怪我のみが保障の対象で入院や通院は保障対象外ということもよくあります。


場合によっては入院や通院が長く続く事もありますし、その間の保険料も安くはないでしょう。


せっかく保険に入っていたのに入院、通院の保障がされないのはガッカリしてしまいますよね。


そのため、加入している保険や加入を考えている保険がどこまで保障される保険なのか詳細を確認しておく必要があります。

医療保険と似ている傷害保険の場合、ケガで保険はおりる?

傷害保険とは、事故など偶然な外来の事故で怪我をしてしまった時に受け取る事が出来る保険です。


「事故など偶然な外来の事故による怪我」が保障の対象ですので、不慮の事故による怪我や持病が原因となって怪我をした場合などは保障対象外です。


また、傷害保険は医療保険のように持病や過去の病歴を告知する必要はないので医療保険の加入が難しい人でも障害保険なら加入できます。 


そのため、「持病が原因で医療保険の加入は難しいので、せめて怪我の保障には備えたい」「年齢も若く健康には自身があるので、医療保険よりも怪我の保障だけは上乗せして備えておきたい」という人におすすめです。

傷害保険の保障には、3つの要素が必要!

傷害保険が怪我に特化した保険であるなら、どのような怪我であっても(たとえ故意であっても)保障してくれるのでしょうか。

いいえ、そうではありません。

傷害保険では、ケガの定義として3つの要素が決められています。

それは、
  1. 急激
  2. 偶然
  3. 外来
の3要素です。

急激とは、突発的に発生し、原因となった事故により負ったケガが、直接的で時間の間隔があいていないことをいいます。

偶然とは「事故の原因が偶然発生してしまった」「事故の結果が偶然発生した」「原因・結果とも偶然である」のいずれかに該当する予知されない出来事をいいます。

外来とはケガの原因が対象者の身体の外からの作用によることをいいます。


この3つの要素が重なるケガと言えば、交通事故がまず挙げられます。

自分の意志とは関係なくケガを負ってしまう交通事故でケガをした場合には、対象者は傷害保険での保障を受けることが出来ます。

また、相手にケガを負わせてしまった際の損害補償も適用されます。

このような思いもよらない事故やケガに対して補償されますが、故意に事故を起こしたり、ケガをしたり、また故意によるものだと判断されるものには当然ながら補償されません。

傷害保険の種類とは?

一口に傷害保険といっても、いくつかの種類があり、さまざまな状況での保障が受けられるようになっています。

具体例を4つ挙げていきます。

①普通傷害保険

こちらは、基本的な傷害保険となります。


家庭内や職場でのケガ、また通勤中や旅行中でのケガも保障されます。


保険料は被保険者の職業によって異なり、危険度の高い職業であれば保険料は高くなります。


『家族傷害保険』というものもあり、こちらは普通傷害保険と同じ保障を被保険者の家族も受けられる保険です。


ひとつの保険で、「被保険者本人」「配偶者」「被保険者本人または配偶者と生計を共にする同居の親族と別居の未婚の子」が対象となります。


家族のケガも対象となるのは万一の時安心ですね。


②交通事故傷害保険

これは被保険者が交通事故によりケガをした場合に適用されます。


補償の対象となる乗り物は、電車・自動車・バイク・自転車・飛行機・船舶等で、エレベーターやエスカレーター、モノレールなども対象となっています。


なお保険料は被保険者の職業に関係なく一律です。


『ファミリー交通傷害保険』では交通事故傷害保険と同じ補償を上記で記載した家族傷害保険と同じ対象の家族も受けられます。


③国内旅行傷害保険

日本国内での旅行の際、家を出発してから家に到着するまでの間のケガが対象となります。


旅行中のケガや入院、手術をした場合や死亡した場合の保障に合わせて、特約で携行品の損傷や他人の物を壊してしまった場合などの補償も付けることが出来ます。


しかし旅行先での病気は保障されません。


保険料は旅行日数によって算出されます。


④海外旅行傷害保険

海外への旅行の際、家を出発してから家に到着するまでの間のケガと病気を保障されます。


国内旅行傷害保険とは違い旅行先での病気も保障の対象となります。


これは、海外では病気になるリスクも高く、医療費も高額となることから、病気に対する保障も含まれているのです。


海外旅行での不安なことの一つと言えば、ケガや病気で現地の病院へ行かなければいけなくなった時です。


そこで金銭的負担の心配がないということはとても心強いですね。


保障内容としては他に、国内旅行傷害保険と同様、旅行中のケガや携行品の損失や賠償責任を負った際の補償も含まれます。


また、搭乗予定の飛行機の遅延などにより損害を被った場合も補償の対象となります。


保険料は旅行日数と旅行先によって算出され、リスクが高い地域への旅行先の保険料は高くなる傾向にあります。


今は海外へ旅行で渡航される方も多くなっていますが、このような海外旅行中の病気やケガをサポートしてくれる保険は、安心を買うという意味でも渡航前に加入されると良いかもしれません。


不慮の事故やケガに備えたい、またアウトドアや旅行が好きな方は、自分のライフスタイルに合った傷害保険を探してみることをおすすめします。

医療保険と傷害保険の主な4つの違い

私達の誰もが、「万が一のため」に保険に加入します。

しかしその反面、「発生するかどうかわからない」ことへの出費(保険料)は、できるだけ抑えたい、とも願っています。

医療保険、傷害保険どちらにも加入しようとすれば、必然的に経済的負担が大きくなってしまいますが、2つの違いについてさらに理解しておけば、選択する時に良い決定ができるでしょう。

では、この2つの保険の違いを、詳しく挙げていきます。
  1. 医療保険は病気やケガによる入院や通院費用の一部を保障し、傷害保険ではケガのみが対象で病気は保障外となる
  2. 医療保険は加入前に健康状態の審査があり、傷害保険では加入前の健康状態の審査は不要
  3. 医療保険の保障対象となるのは基本的に契約者のみですが、傷害保険では「契約者のみ」「契約者と配偶者」「契約者と家族」などのように保障対象の選択が可能
  4. 医療保険では加入年齢によって保険料が変わりますが、傷害保険では加入時の年齢で保険料は変わらない
この4つが医療保険と傷害保険の主な違いとなります。

リスクで物事を考えた時、「自分の場合、病気と怪我どちらのリスクが高いだろう?」と自問することができるでしょう。

これは、仕事の内容や、家族の有無によっても判断基準が変わってくる事柄です。

死亡保険金がおりる条件の違いとは?

医療保険、傷害保険どちらにも、死亡時に一定額が保険金としておりる『死亡保険金』があります。

医療保険は、もともと病気やケガによる入院、手術に対する給付金支給が行われますが、加えて万一病気やケガで死亡した時には「死亡保険金」が受け取れる保障内容の保険もあります。

しかし、あくまで医療保険は保険の第三分野(病気や傷害の保障)に分類される保険です。

死亡時の保障に特化した第一分野の生命保険に比べると、保険金の額は少なくなります。

対して、傷害保険での死亡保険金は、事故等による死亡の場合にのみ保障の対象となります。

医療保険と傷害保険における『高度障害』時の違いとは?

交通事故の被害者となったとき、短期間で完治する怪我だけではなく、特定の部位が『完治しない』状態になることがあります。

これを、『後遺障害』状態や、『高度障害』とも言います。

『後遺障害』という言葉はむちうちから寝たきりまで、様々な状態に用いられますが、『高度障害』とは以下のような、さらに重度の状態を指します。
  • 両目の視力が完全に失われている
  • 言語・咀嚼(そしゃく)機能が完全に失われている
  • 神経系統に重大な不全が生じ、生活全てにおいて要介護状態である
  • 両手首、または両足首から先(の機能)、またはそれぞれ左右どちらかが完全に失われている
高度障害保険金とは、保険の保障開始後、病気やケガを原因として各保険内容に定められている高度障害となった場合に支払われる保険金のことです。

この高度障害となる基準は、あくまで保険会社が定めているものであり、身体障害者福祉法等に定められている障害状態とは異なりますので注意が必要です。

医療保険では、病気やケガが原因で高度障害状態となった場合には、死亡保険金と同額が支給され、支給後は保険契約は終了となります。

対して、傷害保険でも高度障害状態となった場合には、死亡保険金と同額が支給されますが、やはり怪我が原因の場合にのみ適用となります。

ちなみに、高度障害保険金は、被保険者が受け取っても、その家族が受け取っても、所得税は非課税となります。

しかし、高度障害保険金を受け取ったあと、保険金を使いきれずにこれを相続するとなると、相続税の課税対象となります。

医療保険と傷害保険における『入院給付金』の違いとは?

治療を行うためには、たいてい病院に一定期間入院しなければなりません。

当然ながら、その期間は入院費用が発生することになります。

保険における入院時に支払われる『入院給付金』には、主に以下の2つがあります。
  • 災害入院給付金:不慮の事故や災害等による負傷が原因で入院した際の保障
  • 疾病入院給付金:病気が原因で入院した際の保障
医療保険では、ケガと病気、どちらかの原因で入院となっても給付金が受け取れます。

しかし、ケガで入院している時に病気になり、その病気の治療も行うことになっても、災害入院給付金と同時に疾病入院給付金は受け取ることが出来ません。

入院の原因となっているケガの治療が完全に終わってから疾病入院給付金が受け取れるようになります。

入院給付金は一般的に、入院1日あたり5,000円もしくは1,0000円が契約内容に応じて支給されます。

給付金の支払い限度日数は、1回の入院で30日・60日・120日などの短い期間を保障するものと、360日・730日などの長期を保障するものがあります。

現在は60日が限度の保険が多くなっていますから、このタイプの保険に加入していた場合、入院日数が75日であっても、給付金は60日分しか受け取れません。

対して、傷害保険での入院給付金は、事故などでケガをしてから180日以内の入院に対して支給されるものです。

病気は対象とならず、ケガのみが保険適用となっていますので注意が必要です。

給付金は契約内容によって異なりますが、入院1日あたり3,000円~5,000円です。

傷害保険での入院給付金が少ないように感じますが、医療保険とは違い、保障対象が契約者のみではなくその家族も対象となっおり、そして保険料の安さから保障される金額は少なくなっている傾向にあります。

医療保険と傷害保険における『通院給付金』の違いとは?

まず、一般的な医療保険では病気やケガで入院や手術を受けた場合、給付金を受け取ることができます。

しかし、通院に対しても保障が必要だという場合は、「通院保障特約」を付けなければなりません。

この通院保障は入院給付金保障対象となっている入院前後の通院に対して適用されます。

通院保障特約の例を挙げてみます。
  • 入院給付金を受け取れる入院をし、退院翌日から120日以内に入院の原因となった病気やケガの治療目的のために通院をした際に通院給付金が支給される。1回の退院後通院期間中の保障は30日で、通算1095日が限度。
  • 入院給付金を受け取れる入院の原因となった病気やケガの治療目的のために、入院開始前60日以内、退院後120日以内に通院した際に通院給付金が支給される。1回の通院給付金対象期間中の保障は30日で、通算1095日が限度。

通院保障特約は入院が前提となっていますが、中には入院なしでも給付金が支給される通院保障もあります。
  • 入院給付金が受け取れる入院の前後に通院した時、外来手術での日帰り手術後に通院した場合に通院給付金が支給される。1回の入院にかかわる保障は30日で、通算1095日が限度。
次に、傷害保険の通院給付金について説明します。

傷害保険の場合、入院と入院が原因となったケガのための通院、そして入院が必要ない通院だけでも、通院1日目から給付金を受け取ることが出来ます。

例えば、交通事故でケガをし、入院せず通院のみであったとしても、治療が長引いてしまうこともあります。
このような時に、医療保険では通院給付金の支給対象となりません。

そう考えると、傷害保険のほうが便利なのではと思われますが、傷害保険では病気の保障はされないので注意が必要です。

傷害保険での通院給付金は、ほとんどの場合定額の日数払いです。
いくつかの保険では一時金のみを支払う場合もあります。

通院給付金の支払いは、通常事故の日から180日目までの通院日数が対象となっています。

この傷害保険の通院給付金は、通院1日目から給付金を受け取ることが出来ますが、2~3日だけ通院した場合には、診断書の請求などにかかる費用が給付金より上回ることがあります。

そのため、通常は診断書や病院の領収書などとともに給付金の請求を行いますが、金額の少ない10万円以下の給付金請求の場合には診断書の代わりに自己申告で通院日数やケガの状態を申告すればいいというケースが多いです。

その際には通院の証明として通院した病院の領収書が必要になります。

端的にまとめると…
  • 医療保険:入院を前提とした通院をサポート。
  • 傷害保険:入院をせず通院のみでもサポート。ただし病気は対象外。
このようになります。

それぞれに、メリット、デメリットがあるというわけですね。

参考①:結局医療保険と傷害保険、どちらを選ぶべき?

医療保険が向いている人は

  • 長期間の入院や通院の医療費に備えたい
  • がんなど高額な医療費に備えたい
高額療養費制度、公的医療保険の補償もありますが入院すると差額ベッド代や入院中の食事代、通院時の交通費までは補償されていません。

入院期間、通院期間が長引けばこれらの金額も大きな負担となるでしょう。
 
そのため長期間の入院や通院の備えをしっかりしておきたい人は医療保険がおすすめです。 

傷害保険が向いている人は
  • バイクやスキーなど怪我をする可能性が高いスポーツをしている
  • 持病で医療保険の加入が難しい
  • 高齢で医療保険料が高いと感じる
高齢になると足腰が弱り怪我をしやすくなります。

高齢の方が怪我をした場合、通院日数も長びきがちですので医療保険の加入が難しい高齢者や、怪我をする可能性があるスポーツを楽しんでいる人に傷害保険がおすすめです。 

参考②:医療保険における「ケガ特約」って何?

いくつかの保険会社の医療保険には、標準的なプランに怪我の特約が付いていることがあります。

これは、不慮の事故による怪我を負った時、一定額が保障される特約です。

入院の有無は問われませんので入院せず通院のみの場合でも給付金が支給される特約です。

次から、具体例を挙げて説明いたします。

まとめ:医療保険はケガも対象。傷害保険はケガに特化

さて、ここまで医療保険と傷害保険の違いや保障内容、特に突然の怪我を対象としたサポート内容について説明してきました。

今回のポイントは、
  • 医療保険は、病気に加え怪我も保障対象となり、傷害保険は怪我による負傷・死亡のみ対象
  • 傷害保険における適用条件に「救急」・「偶然」・「外来」の3つがある
  • 医療保険には、「怪我」の通院時にも保障を受けられる特約を付帯できる保険がある
  • 長期入院・通院・高額医療費に備えたい人は医療保険が向いている
  • 怪我をする可能性が高い・高齢者は傷害保険が向いている
これらの点です。

突然の病気やケガで治療が必要となったとき、通院・入院をすると思っていた以上に経済的負担が増えてしまいます。

そのような不安を解消してくれるのが医療保険や傷害保険です。

あなたにとっては、現状、または将来を考えたとき、病気と怪我、どちらのリスクがより高いでしょうか。

加入しようとしている保険は、将来受けられる保障に対して、保険料を支払い続けるという経済的なリスクに見合ったものでしょうか。

それぞれのメリット、デメリットを考慮したうえで、どの保険に加入するのが自分や家族にとってベストなのかを考えて、加入する保険を決定していきましょう。

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