更新日:2021/01/04
火災保険の個人賠償責任特約(保険)の補償内容は?支払い事例を紹介
子供が誤まって自転車で他人にぶつかり怪我をさせてしまった場合や、ゴルフボールで他人を傷つけた場合は、火災保険の個人賠償責任特約(保険)で補償されます。今回は、火災保険の個人賠償責任特約(保険)の補償範囲や支払い事例に加え、自転車保険との違いを解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 火災保険の個人賠償責任特約(保険)って?補償内容や範囲を解説
- 火災保険の個人賠償責任特約(保険)とは
- 個人賠償責任特約(保険)の対象となるケース
- 個人賠償責任特約(保険)の対象外のケース
- 参考①:個人賠償責任特約(保険)の示談交渉サービスとは
- 参考②:個人賠償責任特約(保険)は家族も補償対象になる
- 個人賠償責任特約(保険)は自転車事故にも対応?
- 火災保険の個人賠償責任特約(保険)の注意点
- 注意点①:保険・特約の重複加入
- 注意点②:補償がなくなる?解約時は注意が必要
- 火災保険の個人賠償責任特約(保険)で保険金はいくらもらえる?
- 火災保険の個人賠償責任特約(保険)の保険金支払い事例
- 火災保険の個人賠償責任特約(保険)の保険金請求方法
- 火災保険の個人賠償責任特約(保険)があるおすすめの保険会社
- まとめ:個人賠償責任特約(保険)で日常のトラブルを補償しよう
目次
火災保険の個人賠償責任特約(保険)って?補償内容や範囲を解説
火災保険に加入する際は、個人賠償責任特約を追加で設定できる場合がほとんどです。
火災保険へこの特約を設定できれば、自分の不注意で他人や他人の物に損害を負わせても、金銭的サポートが受けられます。
しかし、個人賠償責任特約では、損害を負わせても補償されないケースがあります。それでは、どのような場合に補償が受けられるのか気になりますよね。
個人賠償責任特約が適用される条件を知っていれば、特約が適用されず唖然とすることも避けられます。
そこで今回は、「火災保険につけられる個人賠償責任特約」について
- 補償対象になるケース
- 自転車保険との違い
- 加入・解約時の注意点
- 保険金額
- 保険金請求方法
- おすすめの保険会社
火災保険の個人賠償責任特約(保険)とは
火災保険は、火災・爆発、自然災害等でご自分の建物や家財が損傷した時に補償対象となります。
その他、火災と関係するわけではないものの、被保険者等の不注意で発生した被害も「個人賠償責任特約」で補償されます。
例えば、自分や家族が他人にケガをさせたり他人の物を壊した等の場合、法律上の賠償責任を負うことになります。
個人賠償責任特約では、このようなケースが補償の対象になります。
火災保険に付帯する特約でありながら、火災や爆発等とは関係性のない、日常のトラブルが起きたときのための備えとして付帯します。
こちらでは、火災保険の個人賠償責任特約について、
- 補償対象となるケース
- 補償対象外のケース
- 示談交渉サービス
- 補償される家族の範囲
を詳しく解説します。
具体的にどこまでが補償対象なのか、是非ご確認ください。
個人賠償責任特約(保険)の対象となるケース
火災保険の個人賠償責任特約は、日常生活で起こり得る様々なトラブルを補償しれくれます。自分だけでなく、同居している家族の賠償責任も補償の範囲です。
個人に賠償責任があるケースを補償する特約なので、台風や地震などの自然災害による損害は補償されません。
個人賠償責任特約で補償される事例は、
- 自転車に乗っている時に他人に衝突してケガを負わせた
- お店の商品をうっかり落として壊してしまった
- ゴルフの練習中、ゴルフクラブやボールを他人の物にぶつけて壊した・他人にぶつけてケガを負わせた
- 賃貸アパートで洗濯機のホースが破損し、下の階に水漏れした
- 自分の子供が他人の車にいたずらして傷をつけた
- 犬の散歩中、犬が他人に噛みついてケガを負わせた
という場合が該当します。
このように、火災や爆発よりもはるかに頻繁に起きる可能性があるトラブルに対応しています。
個人賠償責任特約(保険)の対象外のケース
火災保険の個人賠償責任特約では、日常生活で起きるトラブルを幅広く補償してくれます。しかし、あらゆるトラブルに対応できるわけではありません。
個人賠償責任特約の補償の範囲でない事例としては、
- 家族をケガさせた、家族のものを壊した(家族同士のトラブル)
- 借り物を壊した
- 仕事中に事故が起きた
- 意図的に事故を起こした
- ケンカによりケガを負わせた
- 心神喪失者が事故を起こした
- 自然現象により損害を受けた
- 自動車・船舶・航空機による事故で損害を受けた
というケースが該当します。
個人賠償責任特約では家族に負わせた損害は補償されません。また、他人のものであっても借りているものは対象外です。
自然現象による損害も対象外ですが、これは火災保険が補償してくれます。
また、自動車事故については、個人賠償責任特約ではなく自動車保険で補償を受けることができます。
参考①:個人賠償責任特約(保険)の示談交渉サービスとは
個人賠償責任特約は、他人や他人のものに対する損害が補償対象です。したがって、実際に補償対象になる事態が起きた時は、相手方と揉めることがあるかもしれません。
揉めることで必要以上に事を荒立てるのは、お互いにとって決して良いことではありません。
そんなときに、プロが当事者の間に入って交渉してくれるとありがたいですよね。
このようなニーズに応えて、火災保険の個人賠償責任特約には示談交渉サービスがあります。
ただし、すべての商品に示談交渉サービスがついているわけではありません。商品の選択の際には、示談交渉サービスがあるかどうかを判断基準にしてはいかがでしょうか。
参考②:個人賠償責任特約(保険)は家族も補償対象になる
個人賠償責任特約は、自分だけなく、家族も補償対象になります。しかし、家族であれば誰でも補償されるわけではありません。
個人賠償責任特約で補償される家族の範囲は、
- 被保険者
- 被保険者の妻(夫)
- 被保険者またはその配偶者と同一生計の同居親族
- 被保険者またはその配偶者と同一生計の別居している未婚の子供
となっています。
例えば、子供が大学生で親元から離れ、親からの仕送りを生活費としている場合は補償対象です。大学卒業後、社会人となって経済的に独立すると補償対象から外れます。
また、未婚であることが条件なので、離婚したことで独身になった場合は、補償対象にならない可能性があります。未婚とは結婚の経験がないことを意味するからです。
ただし、保険会社によって判断は変わるので、契約する保険会社に問い合わせるとよいでしょう。
個人賠償責任特約(保険)は自転車事故にも対応?
個人賠償責任特約では、自転車走行中に他人をケガさせたときにも補償されます。しかし、自分のケガには対応していません。
自転車事故に備える保険には自転車保険があります。個人賠償責任特約とは違い、自分のケガも補償対象になっています。
近年、自転車保険は各地方自治体で加入義務化または努力義務化が進んできています。
2021年1月現在の状況は、
- 義務化→宮城県仙台市、東京都、神奈川県、埼玉県、茨城県笠間市、石川県金沢市、長野県、愛知県名古屋市・豊橋市、静岡県、滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、兵庫県、鹿児島県
- 努力義務化→北海道、千葉県、愛知県知多市・豊川市、和歌山県、鳥取県、香川県、徳島県、高知県、福岡県、熊本県
自転車保険の加入を義務化する自治体は増えてきています。また、これまで規制を設けていなかった自治体が努力義務化する流れも顕著です。
火災保険の個人賠償責任特約(保険)の注意点
火災保険の個人賠償責任特約は、身近で起きる事故を幅広く補償してくれるおすすめの特約ですが、注意すべき点があります。
火災保険の契約・解約時には、2つの注意点をしっかり意識しましょう。
意識できていないと、保険料を余計に支払うことになったり、いつの間にか補償がなくなっていたということにもなりかねません。
そこで、火災保険の個人賠償責任特約について、確認しておくべきポイントを解説します。
火災保険の個人賠償責任特約は、多くの保険会社で加入したからと言って保険金がたくさんもらえるわけではありません。
適切な保険料のみを支払い、いざというときに確実に保険金をもらうために、是非お読みください。
注意点①:保険・特約の重複加入
火災保険の個人賠償責任特約の注意点の1つめは、重複加入です。特約を付帯する時は、まず他の損害保険の特約との重複加入とならないかチェックしましょう。
この特約も損害保険の一種である以上、実損害のみが補償されることになります。
例えば、個人賠償のため3,000万円の賠償責任が発生したら、3,000万円のみが補償されるにすぎません。
また、2つの保険会社にそれぞれ3,000万円の補償を設定したとします。実際に事故が起きたら、2つの保険会社から1,500万円ずつおりることになります。
つまり、同じ特約を何個設定しても、その分だけ保険金が余計に貰えるわけではないのです。
そのため、個人賠償責任特約の重複加入は、保険料が余分にかかるだけで、補償の際に有利になることはありません。
2つの保険会社で個人賠償責任特約に加入している場合は、どちらか一方はいらないので、解約した方が良いでしょう。
注意点②:補償がなくなる?解約時は注意が必要
火災保険の個人賠償責任特約の注意点の2つめは、解約にともなう補償の消滅です。特約はメインの保険に補償を追加するものであり、特約に単独で加入することはできません。
したがって、火災保険を解約した時には、自動的に特約もはずれることになります。
火災保険を解約した後も個人賠償責任特約の補償が必要であれば、他の加入中の保険に特約をつけましょう。
個人賠償責任特約は火災保険の他、自動車保険や自転車保険でもオプションとして設定できます。
このときに注意することは、他の保険のオプションの補償が始まってから火災保険を解約することです。先に解約すると、無保険期間ができてしまうからです。
火災保険の個人賠償責任特約(保険)で保険金はいくらもらえる?
ここまで、火災保険の個人賠償責任特約の概要を解説してきました。個人賠償責任特約をつけようかと考えた方は、実際に保険金はいくらもらえるのか気になりますよね。
個人賠償責任特約は、加入の際に、あらかじめ保険金の上限額を設定します。もらえる保険金額は、実損害の補償という観点で決まります。
例えば、保険金額の上限が5,000万円で3,000万円相当の損害が出れば、保険金として3,000万円がおります。実損害額が補償の上限を超えていれば、上限額が支払われます。
上限額は商品によって様々であり、1,000万円というものもあれば、保険金額が無制限の特約もあります。
火災保険の個人賠償責任特約(保険)の保険金支払い事例
火災保険の個人賠償責任特約の保険金支払い事例を3つご紹介します。
- 自転車で走行中に通行人に衝突してケガを負わせ、長期入院することとなった→保険金1,000万円(治療費・休業補償費・慰謝料など)
- 子供が他人の車にいたずらして傷をつけた→保険金5万円(修理代)
- 賃貸アパートの2階の住人が、不注意により洗濯機のホースから水漏れを起こした。その結果、1階の住人の家財道具が損害を受けた。→保険金500万円(家財の被害額)
自転車事故は最悪の場合、相手方を死亡させることも十分に考えられます。そこまでいかなくとも、生涯後遺症を残すこととなれば、損害額は非常に高額になります。
自転車で人にケガを負わせる事故は歩道で発生することが大半です。自転車はあくまで車両なので、歩道での事故は全面的に加害者の責任となります。
補償なしで被害者側に損害額を支払うのは、相当な負担となります。
火災保険の個人賠償責任特約(保険)の保険金請求方法
日常生活を送る中で実際にトラブルが発生し、個人賠償責任特約の保険金を請求することになれば、請求手続きを行います。
請求の手順は、
- 保険会社に連絡する
- 自宅に保険金請求のための書類が届く
- 書類に必要事項を記入し、添付書類をつけて提出する
- 保険会社の鑑定人が調査を行い、保険金額が決まる
- 指定した口座に保険金が振り込まれる
以上のような流れです。
保険会社に連絡したときは、事故の内容はもちろん、証券番号なども聞かれます。したがって、保険証券を手元に用意することをおすすめします。
保険会社に保険金請求の書類を提出する時は、治療・修理費の見積書や現場の状況写真の添付が必要です。事故発生時に現場の写真を撮ることを忘れないように注意が必要です。
なお、火災保険には請求期限があり、3年と定められています。請求しないまま3年が経過すれば、どんな理由があっても請求はできなくなります。
火災保険の個人賠償責任特約(保険)があるおすすめの保険会社
最後に、火災保険の個人賠償責任特約があるおすすめの保険会社をご紹介します。
- 東京海上日動→示談交渉サービスがある。保険金額の上限は決まっておらず、無制限で補償が受けれらる。また、類焼損害補償もついている。
- セコム→示談交渉サービスがある。類焼損害補償特約や携行品損害補償特約など、様々な特約を選択して付帯できる。
- 損保ジャパン→示談交渉サービスがある。火災保険の保険期間の途中から個人賠償責任特約を追加できる。
- ソニー損保→示談交渉サービスがある。類焼損害補償特約や失火見舞費用補償特約もついている。
- セゾン→示談交渉サービスはない。様々な補償がセットになった商品ではなく、補償内容を自由に選択できる。また、保険金額を10万円単位で設定できる。
以上の保険会社の中に、火災保険の個人賠償責任特約がない保険会社はありません。
類焼損害補償は、火事で隣の家にまで火が及んだ場合の補償です。
火事は重過失がなければ法的には賠償責任は発生しませんが、その後の人間関係を考えれば、何もしないというわけにもいきません。
そのような場合に、重過失がない火事も補償される類焼損害補償特約が役に立ちます。
まとめ:個人賠償責任特約(保険)で日常のトラブルを補償しよう
火災保険につけられる個人賠償責任特約の特徴・注意点について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは
- 個人賠償責任特約は、火災とは直接関係のない、身近な事故に対して補償する特約である
- 個人賠償責任特約は自分や自分の家族が、他人や他人の物に損害を与えた場合が補償の対象である
- 個人賠償責任特約は自転車走行中に他人をケガさせたときも補償の対象となるが、自転車保険とは違い、自分のケガは対象外である
- 重複して個人賠償責任特約をつけても、上限額以下の範囲で実損害が補償されるということには変わりがないので、メリットはない
- 火災保険を解約すると、それに付帯している個人賠償責任特約の補償も消滅する
- 保険金請求の際には、治療や修理の見積書と現場の状況が分かる写真が必要
- 多くの保険会社が火災保険の個人賠償責任特約を取り扱っているが、保険会社ごとに違った特徴がある