火災保険の解約返戻金の計算方法って?いつ・いくら振り込まれる?

※本記事で紹介しているサービスにはPRが含みます。

火災保険の解約返戻金は火災保険を解約した際にもらえるものです。解約返戻金がいくら振り込まれるかについての計算は、未経過保険料率に基づき算定されます。火災保険の解約返戻金は書類到着から2日~1週間後に振り込まれるのが通常です。今回は解約返戻金の計算方法や仕訳法を解説します。

火災保険の解約返戻金とは?解約返戻金はいつ振り込まれる?

引っ越しや自宅の処分などで火災保険が不要になったとき、うっかり契約をそのままにしていませんか?


意外と知られていないことですが、火災保険や全労災などの火災共済は、解約することで解約返戻金を受け取れる場合があります。


せっかく受け取れる返戻金を捨ててしまうのは、もったいないですよね。


いつ、いくらもらえるのか、税金はかかるのかということを知りたいと思いませんか?


そこでこの記事では火災保険の解約返戻金について、

  • 火災保険の解約返戻金の計算方法
  • 解約に必要な手続き
  • 解約返戻金にかかる税金

以上のことについてお伝えしていきます。


この記事を読めば、あなたが解約返戻金をいくらもらえるのかということが理解でき、無駄に保険料を捨ててしまうことはなくなるはずです。


ぜひ、最後までご覧ください。

火災保険の解約返戻金は保険解約時にもらえる

まず、火災保険の解約返戻金を受け取るには、保険会社に自分から解約の連絡をしなければいけません。


特に賃貸物件から引っ越すときには忘れがちですので、契約期間が残っていないか確認しましょう。


では具体的に、解約返戻金の受取にはどんな手続きが必要で、いくら戻ってくるのでしょうか。


ここからは、

  • 火災保険の解約返戻金の計算方法
  • 火災保険の解約方法と、返戻金が支払われる時期

これらのことについてお伝えしていきます。 

火災保険の解約返戻金の計算方法

解約返戻金は契約期間や支払い方法によって計算の仕方が変わってきます。


そこで今回は主流である掛け捨ての長期一括払いを解約する場合について解説します。


解約返戻金は保険会社が定めた「未経過保険料率」に基づき、以下の式から計算することができます。

  • 長期一括保険料×未経過保険料率=解約返戻金
では、具体例を挙げて解説していきましょう。

未経過保険料率の例を紹介

ある損保会社の火災保険における未経過保険料率の表の一部をご紹介します。


未経過保険料率は、1ヶ月目から1ヶ月単位で変わっていきます。


あくまで目安の数字なので、詳しくは代理店または保険会社に確認しましょう。

経過年月2年契約3年契約
1ヶ月まで96%97%
6ヶ月まで73%82%
1年0ヶ月まで46%64%
2年0ヶ月まで0%32%
経過年月5年契約10年契約
1ヶ月まで98%99%
6ヶ月まで89%95%
1年0ヶ月まで78%89%
2年0ヶ月まで59%79%
3年0ヶ月まで39%70%
4年0ヶ月まで20%60%
5年0ヶ月まで0%50%


たとえば10年契約で支払った保険料が8万円の場合に、2年11ヶ月~3年0ヶ月で解約したときの解約返戻金を計算してみましょう。

  • 8万円×0.7=5万6,000円 

この場合は仕訳として、5万6,000円が戻ってくることになりますね。


表を見ると、10年の契約は折り返し地点の5年時点で50%料率であるのに対し、2年契約の1年時点では46%まで下がることがお分かりいただけると思います。


長期契約による保険料自体の割引もありますので、長期契約の方が保険料でも解約返戻金でも有利にはたらくということになります。

参考:地震保険の途中解約も解約返戻金はもらえる

火災保険の保険期間は最長10年(2015年9月末までの契約であれば最長36年間)の契約ができます。


そして火災保険に付帯できる「地震保険」の最長保険期間は5年ですが、こちらも途中解約すれば未経過保険料率に応じた返戻金を受けとることができます。


地震保険料は都道府県によってはかなり高額であるため、火災保険分よりも解約返戻金が高くなる場合もあります


そのため地震保険の解約を検討されている方は、しっかりと解約返戻金についてチェックするようにしましょう。


なお、地震保険はどの損保会社で入っても条件は同じであり、未経過保険料率にも違いはありません。

火災保険の解約返戻金はいつ振り込まれる?

保険期間の途中で解約する場合、解約返戻金はいつ振り込まれるのでしょうか?


支払われる時期については、書類到着から2日~1週間後に指定した口座に返金されますが、書類の不備などがあった場合には遅れることもあります。


「解約の連絡をしてから」ではなく、「解約請求の書類を保険会社が受理してから」の日数になるので間違わないようにしてください。


また、保険会社から特段何の連絡もなく、1週間以上経っても解約返戻金の振り込みがない場合は、保険会社へ問い合わせてみてください。

注意:未経過保険期間が1ヶ月に満たない場合は保険料は返金されない

未経過保険期間が1ヶ月に満たない場合、保険料は返金されませんのでご注意ください。


1ヶ月分だけ残っていた場合も、未経過保険料率は1%~4%程度と労力に見合わない返金額になる可能性があります。


また他の火災保険に乗り換える場合は、補償の開始日に注意しましょう。


もしも保険適用の空白期間に被害に遭ってしまうと、被害額を補償されることなく、全額自己負担という取り返しの付かないことになってしまう危険性があるからです。


手続きの都合上、新しく加入する保険への加入日がずれ込む可能性があるため、前保険との多少の重複は頭に入れて契約するようにしましょう。

火災保険の解約方法

火災保険の解約方法は、保険会社によって多少違いはありますがおおむね以下のとおりです。

  1. 契約している保険会社に解約の意思を伝える
  2. 保険会社から解約請求書類が送られてくる
  3. 解約請求書類に必要事項を記入し、必要書類を添付して保険会社に返送する
  4. 解約手続き完了
  5. 解約返戻金がある場合は、解約返戻金が振り込まれる

基本的に自分から解約の連絡をしないと、物件の売却や引っ越しをしたからといって自動的に解約されることはありません。

解約の連絡を忘れると、解約返戻金の額が減るので注意してください

なお、金融機関で住宅ローンを組む際に火災保険の質権設定をしていた場合、その金融機関へ火災保険を解約することを事前に連絡しなければいけません。

火災保険の質権設定をしていた場合は、「質権抹消書類」がないと解約手続きができないからです。

火災保険の解約のタイミング

火災保険を解約すべきタイミングは持ち家賃貸によって違います。さらに、持ち家の場合でも売却保険の見直しかによって変わってきます。


持ち家を売却する場合

持ち家や所有マンションを売却する場合、物件の引き渡しが完了してから解約するべきです


なぜなら、買主に引き渡すまでの間に火災や台風、地震などの影響で被害が発生すれば、売主がその負担をすることになるからです。


引渡し前の所有権はまだ自分のままなので、被害金全額を自分で負担しなければいけないのです。


また、引渡し予定日に合わせて解約予約しておくのもリスクがあります。というのも、なんらかの理由で引き渡し日が延期になるかもしれないからです。


仮に数日の間だったとしても、補償が何もない日があるのは危険なので確実に引き渡しが完了してから解約するようにしましょう。


保険の見直しの場合

持ち家や所有マンションの火災保険の見直しで、内容を変更したり他社に乗り換える場合は、新しい火災保険の契約が成立してから古い契約を解約します


新しい火災保険が使えるようになる前に古い契約を解約すると、補償を受けられない空白の期間が生じます。その間に万が一のことが起こったら、全額自己負担となるからです。


賃貸契約の場合

賃貸住宅を引っ越しする場合、新しいお住いで新規に火災保険に加入することになります。その際に前の火災保険を解約すれば解約返戻金を受け取れるのですが、あまり早く解約しすぎるのも問題です。

なぜなら、賃貸向けの火災保険の契約が賃貸住宅ごとに行われるからです。つまり、引っ越し後の保険では引っ越し前の住宅は補償されないのです。

前の火災保険を引っ越し前に解約してしまうと、引っ越しまでの期間、住んでいる住宅が無保険状態となってしまいます。

もし、その間に火災などを起こしてしまうと一切補償を受けることができなくなり、高額な損害賠償を全額自己負担しないといけなくなるのです。

古いほうの火災保険の解約日は、引っ越しを行う日以降にするのが安心です。

参考:火災保険の解約返戻金に税金はかかる?

ここまでは、火災保険の解約手続きと返戻金の計算方法についてお伝えしてきました。


ところでいざ手にした解約返戻金ですが、果たして税金との関係はどうなっているのでしょうか?


もし税金がかかるなら、知らずに払っていないで脱税扱いなどされてしまったら嫌ですよね。


まず結論から言うと、解約返戻金には

  • 所得税・・・積み立て型火災保険など
  • 贈与税・・・契約者と保険料負担者が違う場合
  • 相続税・・・財産相続とみなされる場合

がかかる可能性があります。


多くの方には税金がかからないですが、税金がかかるケースもいくつかあります。


あなたがこれらのケースにあてはまるかどうか、以下の解説をしっかりご確認ください。

解約返戻金に所得税がかかる場合

保険の解約返戻金は「一時所得」とされ、所得税がかかる可能性があります。


一時所得の計算式は以下の通りです。

  • 一時所得=解約返戻金-支払済みの保険料-特別控除額(最高50万円)

つまり、掛け捨て型の火災保険の解約返戻金に所得税がかかることはありません。


しかし、最近は減少傾向にある「積み立て型火災保険」なら、保険会社の運用次第で一時所得が発生する可能性もあります。


アパートを経営しているなどで高額の火災保険料を払っている方は、ご注意ください。

解約返戻金に贈与税がかかる場合

火災保険契約では、保険料負担者と契約者(=解約返戻金受取人)が同じ人であるのが一般的です。


しかし「親が子の保険料を負担している」などの状況で負担者と契約者が同じでない場合は、贈与税がかかることになります。


この場合、解約返戻金額が支払済みの保険料額より高いか低いかは関係ありません。


贈与税はかなり高い税率をかけられてしまう可能性があります。


契約時にはしっかりと確認するようにしましょう。

相続財産とみなされ相続税がかかることも

たとえば親が亡くなって住居を処分し火災保険も解約するような場合、解約返戻金を受け取る子に相続税がかかってくる可能性があります。


ただし相続税は、相続する財産が「3,000万円+法定相続人×600万円に満たなければ非課税」というルールがあるため、一般の方はあまり心配することはないかもしれません。


相続財産や解約返戻金がかなり多い方は、税理士へ相談してみましょう。 

火災保険の解約返戻金に確定申告が必要な場合

解約返戻金で得た利益とその他の一時所得の合計が50万円以下の場合、所得税は課税されません。


フリーランスや自営業の方は一時所得がいくらであっても確定申告する義務があります。


また、給与所得者でも一時所得と雑所得の合計が20万円を超える場合は、確定申告しなければなりません。


ただしサラリーマンで「一時所得+雑所得」が20万円以下であっても、医療費控除などで確定申告をするなら、それと一緒に申告する義務があります。


また所得税の申告は不要な額であっても、住民税は申告する必要があります。

火災保険の解約返戻金の仕訳方法

火災保険には掛け捨て型積立型があり、それぞれのプランによって仕訳方法も変わってきます。積立型の場合は、保険料のうち積立部分にあたる額を「保険積立金」として資産計上しなければいけません。


保険積立金がある場合とない場合で、解約返戻金を受け取った時の仕訳の仕方が違います。それぞれの方法について、以下に詳しく説明します。


保険積立金がない場合

資産計上されている保険積立金がない場合は、受け取った解約返戻金全額を全額雑収入として計上しなければいけません。


たとえば解約返戻金として98万円を受け取った場合は、

借方金額貸方金額
現金(または預金)980,000円雑収入980,000円

となります。


保険積立金がある場合

資産計上されている保険積立金よりも受け取った解約返戻金が多い場合は、その差額雑収入に計上します。


たとえば解約返戻金を380万円受け取ったときに、保険積立金が330万円あった場合は、

借方金額貸方金額
現金(または預金)3,800,000円保険積立金3,300,000円
雑収入500,000円

となります。


逆に、受け取った解約返戻金よりも保険積立金が多い場合は、その差額を雑損失に計上します。


たとえば解約返戻金を280万円受け取ったときに、保険積立金が330万円あった場合は、

借方金額貸方金額
現金(または預金) 2,800,000円保険積立金3,300,000円
雑損失500,000円

となります。

火災保険を乗り換えるならまずは保険料の一括見積もりをしよう

火災保険の乗り換えを考えているなら、まず保険料の見積もりを取って複数の保険会社を比較するようにしましょう


なぜなら、同じ補償内容でも保険会社によって保険料が異なるからです。また、付帯サービスも各社違いがあります。しかし、それを1社1社比較していくのは大変です。


そこでオススメしたいのが、火災保険の一括見積もりサービスです。必要な情報を入力するだけで、一度に複数の保険会社の見積もりを取れるので便利です。

まとめ:火災保険の解約返戻金の仕組みを理解しよう

火災保険の解約返戻金についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 解約返戻金とは何か
  • 解約した時にいくらの返戻金が戻ってくるのか
  • 返戻金はいつ振り込まれるのか
  • 火災保険の解約方法
  • 解約返戻金に税金はかかるのか

以上のことでした。


火災保険は長期契約することで保険料も解約返戻金もお得になりますが、それよりも重要なのは現状に合った補償内容を選ぶことです。


保険料を安く抑えたいという方は、必要の無い補償や特約を減らすなどすると保険料を安く抑えることができるので、検討してみて下さい。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事を多数掲載しています。


ぜひご覧になってください。 

ランキング

  • 【簡単3分見積もり】火災保険/地震保険の一括見積もりはこちら
  • 火災保険には入るべきか?加入率から見る必要性と未加入リスクを解説
  • 火災保険の加入は必要?火災保険の必要性と必要な特約を解説
  • 火災保険の見積もり・契約(加入)時の必要書類って?
  • 【料率改定】2021年に火災保険が再度値上げ!保険料の節約術とは?
  • 火災保険料の相場は?保険料の仕組みと保険料を抑える方法も解説
  • 賃貸住宅・賃貸アパートの火災保険の選び方とは?手順と注意点を解説
  • 雪害・雪災に火災保険が使える!保険金が支払われる条件とは?
  • 自然災害のために火災保険は必要!補償範囲を確認しよう!
  • 【必読】住宅が土砂崩れ被害にあった!火災保険は適用される?
  • 台風被害は火災保険で補償される? 対象範囲と請求のポイントを解説
  • 火災保険の風災・雪災・雹災補償の適用範囲は?ケースごとに解説!
  • 火山の噴火による家の被害は火災保険・地震保険で補償される?
  • 落雷による被害は火災保険で補償される?補償範囲と請求方法を紹介
  • 液状化・地盤沈下による家の傾きは火災保険・地震保険で補償される?
  • 津波の被害は火災保険で補償されない!地震保険の加入が必要!
  • 【簡単3分見積もり】火災保険/地震保険の一括見積もりはこちら
  •