火災保険料は経費で仕訳できる?青色申告する際の損害保険料の仕訳を解説

「火災保険料は経費で仕訳可能?経費に出来ない保険料って何?」と青色申告をする個人事業主は思うはず。確かに保険料の正しい仕訳方や勘定科目を知るひとは少ないです。実は、仕訳方は一括支払いの場合、経費勘定ではなく長期前払費用として処理するのです。今回は、損害保険料の経費勘定の処理について詳しく解説します。

勘定科目は経費?個人事業主が青色申告する際の火災保険料の仕訳方を解説

個人事業主は、ご自分の事務所および財物等の消失や破損に備えるため「火災保険」へ加入していると思います。


では、火災保険へ加入したものの、皆さんは保険料の正しい仕訳方や勘定科目を良くご存知でしょうか?


確かに、確定申告や仕訳と聞くと一見難しそうで、つい後回しにしてまいますよね。


実は、個人事業主が青色申告する際の火災保険料の仕訳には、いろいろな注意点もあるので慎重に手続きを進める必要があるのです。


そこで今回は

  • 損害保険料とはそもそもどんな特徴があるのか
  • 青色申告の際、経費にできる保険料とできない保険料とは
  • 青色申告の際、経費計上可能な損害保険料の仕訳例
を中心に解説します。

この記事を読めば、個人事業主の皆さんが青色申告をする際に、保険料の経費計上の可否や、有益な節税対策がおわかりになることでしょう。ぜひ、最後までご覧ください。

事業所の火災保険料は損害保険料に該当!損害保険料とは

損害保険料とは火災保険や自動車保険、地震保険、傷害保険等にかかる保険料です。青色申告の際、個人事業主の方々は事業所の経費として計上することになっています。


経費となる金額が多ければ、個人事業主の方々は所得税が軽減されることになります。


こちらでは、損害保険料に関する制度改正について解説します。


損害保険料控除


年末調整や青色申告(確定申告)で、損害保険料の申告を置こうとかつては税制上の優遇措置が受けられました。


▼損害保険料の控除額

税の種類金額
所得税最大15,000円
住民最大10,000円


損害保険料控除制度の廃止


損害保険料は、がん保険や死亡保険をはじめとした生命保険と同様に、以前は年末調整や青色申告で申告できました。


しかし、この損害保険料控除が平成19年1月1日に廃止されたので注意が必要です。


この制度の廃止が決定されたのは、「平成18年度税制改正」の時です。


平成18年度税制改正とは?


この時期はバブルが崩壊し、その後長期低落の傾向に陥っていました。長く続いた国内の経済活動の落ち込みで、政府は持続的な経済社会の活性化を実現するため、所得税・個人住民税を改正することになります。


また、現在損害保険料が控除対象となる保険商品は原則として「地震保険」だけとなります。


この地震保険とは、地震もしくは噴火またはこれらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没または流失によって生じた損害を補償する商品です。


なお、地震保険は単独では加入することができないので、火災保険に付帯して契約します。付帯して契約するとはいえ、やはり火災保険料分は控除対象外になるので注意が必要です。

個人事業で経費にできる保険料とできない保険料

損害保険料は事業に必要な支出として経費計上できるのをご存知ですか?


とはいえ、損害保険に入っているからと言って、ご自分の事業の経費へ無条件にカウントできるとは限りません。


こちらでは、個人事業で経費にできる保険料、できない保険料を解説します。

火災保険料も経費に?個人事業で経費にできる保険料

個人事業で経費にできる保険料は下表の通りです。

経費可店舗等営業車両
保険・火災保険
・地震保険
・自賠責保険
・自動車保険
・バイク保険
・自賠責保険

事業に関係のある店舗へかけた火災保険や地震保険、業務に関して他人へ損害を与えた場合の自賠責保険の保険料は経費として計上できます。


また、営業用の車両も同様で、自動車等を利用する場合に強制加入となる自賠責保険、任意保険である自動車保険、バイク保険の保険料も経費に該当します。

国民健康保険は経費計上できない!経費計上できない保険料とは

個人事業で経費にできない保険料は下表の通りです。

経費不可事業主等自宅等
保険・生命保険
・国民年金
・国民健康保険
・火災保険
・地震保険

事業主や家族のまさかの時の備えである、死亡保険・医療保険・がん保険等の生命保険は経費にできません。


また、事業とは関係のない、自宅等へかけた火災保険や地震保険は経費にできません。


さらに、国民年金、国民健康保険は全額控除対象です。所得税を節税したい個人事業主にはありがたい制度と言えます。


青色申告(確定申告)の際、忘れずに確定申告書の所得控除の記入欄へ記載しましょう。

経費計上できなくても所得控除ができる保険料とは

保険料を青色申告(確定申告)の際に経費計上できない場合でも、かわりに所得控除として申告し節税できる場合があります。


実は、前述した地震保険料や生命保険料を所得控除として活用可能です。


ただし、たとえ保険料を払い込んでも自動的に減税されるわけではないので、面倒でも申告手続きは必要となります。


こちらでは、地震保険料控除と生命保険料控除の控除額・申告方法を解説します。

地震保険料控除

こちらでは地震保険料控除と、火災保険の中で例外的に所得控除できる保険を解説します。


地震保険料控除額

平成18年度税制改正で、所得税は平成19年以後、住民税は平成20年度分以後の個人住民税から下表のように適用されています。

控除対象保険料50,000円以下50,000円超
所得税支払保険料全額50,000円
住民税支払保険料×1/225,000円

例えば、1年間の控除対象保険料が7万円でも、所得税の控除上限は5万円となります。


なお、「住民税は別に申告しなければいけないのか?」と思う方々がいると思います。この場合は青色申告(確定申告)をすれば、住民税の申告が不要となります。


旧長期損害保険料控除

こちらは火災保険であっても例外的に所得控除が認められた保険が、この「長期損害保険」です。


長期損害保険契約に係る損害保険料は、次の条件に全て該当することが必要です。

  • 平成18年12月31日までに締結した火災保険契約
  • 満期返戻金があり保険期間は10年以上の契約
  • 平成19年1月1日以降、その火災保険契約の変更をしていない

控除対象額は次の通りになります。


〇所得税

控除対象保険料金額
10,000円以下支払保険料全額
10,001円~20,000円以下支払保険料×1/2+5,000円
20,001円~15,000円


〇住民税

控除対象保険料金額
5,000円以下支払保険料全額
5,001円~15,000円以下支払保険料×1/2+2,500円
15,001円~10,000円

例えば1年間の控除対象保険料が1万5,000円ならば、所得税の控除額は次の通りです。

15,000円×1/2+5,000円=所得税控除額12,500円

なお、災保険の長期損害保険と地震保険が同一契約となっている場合、長期損害保険または地震保険いずれかの控除しか申告できません。


ただし、どちらの控除を受けるかはご自分で自由に選択できます。


地震保険料控除等の申告方法

自営業・個人事業主の場合は、原則として青色申告(確定申告)で申告します。次のような流れで手続きを行います。

  1. その年1月1日~12月31日を課税期間として、その期間内の収入・支出等から所得を計算
  2. 確定申告書へ必要事項を記載
  3. 必要書類を税務署へ提出し所得税額を確定
確定申告書に必要事項を記載し、保険会社から送付(10月~11月頃)された「地震保険料控除証明書」「長期損害保険料控除証明書」添付して提出しましょう。

確定申告の提出期間は毎年2月中旬~3月中旬ですが、新型コロナ感染拡大防止のため2020年は4月16日まで延長されました。


なお、会社員等の方々の場合は、年末調整で申告します。12月中には、会社側から必要書類を指示されるので、期日までに申告を済ませましょう。


提出書類は次の通りです。

  • 給与所得者の保険料控除等申請書兼配偶者特別控除申告書
  • 地震保険料控除証明書・長期損害保険料控除証明書

生命保険料控除

生命保険料控除は皆さん申告したことがあるかもしれませんね。こちらは、(一般)生命保険料控除や、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除があります。


ご自分の加入している保険料の他、ご家族の保険料を負担している分も申告できるので、節税対策にもってこいの方法と言えます。


控除対象額は次の通りになります(新契約)。


〇所得税1控除枠4万円まで(合計12万円が上限額)

控除対象保険料金額
~20,000円全額控除
20,001円~40,000円支払保険料×1/2+10,000円
40,001円~80,000円支払保険料×1/4+20,000円
80,001円~一律40,000円


〇住民税:1控除枠2万8,000円まで(合計7万円が上限額)

控除対象保険料金額
~12,000円全額控除
12,001円~32,000円年間保険料×1/2+6,000円
32,001円~56,000円年間保険料×1/4+14,000円
56,001円~一律28,000円

申告方法は前述したやり方で行います。金額等を間違えず正確に記載し、お得に節税しましょう。

経費計上できる損害保険料の仕訳例を紹介

今までは、経費計上ができる保険料について詳しく解説して来ました。


しかし、実際の損害保険料の仕訳例を見ないと、どうしても仕訳イメージがつきませんよね。


こちらでは青色申告のため収入・支出を出す際、経費計上できる損害保険料の仕訳を実際に見ていきます。


さらに、損害保険料について、オーソドックスな1年契約の場合や長期契約・一括支払いの仕訳、家事按分について解説します。


仕訳方法①1年契約のとき

1年契約の損害保険料は非常にシンプルで、仕訳がしやすいです。具体例をあげてみてみましょう。


(例)

  • 損害保険:火災保険
  • 払込方法:口座引落
  • 契約:1年
  • 保険料:36,000円

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
損害保険料36,000円普通預金36,000円
契約期間が次の年度に至る場合でも、上の仕訳のように全額を当期の経費として計上することもできます。

仕訳方法②勘定科目は前払費用に?長期契約・一括支払いのとき

長期契約の損害保険料は次のような仕訳方法となります。長期契約を前払いする具体例をあげてみましょう。


(例)2020年4月に火災保険加入

  • 事業年度:1月~12月
  • 損害保険:火災保険
  • 加入時期:4月
  • 払込方法:口座引落
  • 契約:2年
  • 保険料:48,000円(2年分)
当期分(2020年)を計算すれば次の通りです。

24,000円÷12ヶ月×9ヶ月=18,000円

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
損害保険料18,000円普通預金48,000円
前払費用 30,000円
2021年度以降は1年分の保険料24,000円分を切り崩し、損害保険料として計上します。
借方科目借方金額貸方科目貸方金額
損害保険料24,000円前払費用24,000円

仕訳方法③家事按分って?自宅兼事務所のとき

自宅兼事務所という形で自宅としても使っているが、事務所も兼ねている場合は家事按分(保険料を50%ずつに分ける)という形で仕訳します。


具体例をあげて仕訳すると次のようになります。


(例)

  • 損害保険:火災保険
  • 払込方法:口座引落
  • 保険料:34,000円

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
損害保険料17,000円普通預金34,000円
事業主貸 17,000円

保険料を経費計上すると税金はどう変わる?具体例を紹介

青色申告をする際には、節税のために損害保険料の経費計上は欠かせません。こちらでは具体例をあげて各税額を見てみましょう。


青色申告の際、保険料を経費計上しなかった場合


(例)

  • 総収入金額:2,000万円
  • 保険料を除く必要経費:1,000万円
  • 青色申告特別控除額:65万円
まずは課税される所得金額を計算してみます。

2,000万円-1,000万円-65万円=935万円

課税される所得金額は935万円となるので、所得税は次のように計算します。

935万円×0.33-153万6,000円=154万9,500円

所得税は約155万円になります。

青色申告の際、保険料を経費計上した場合

(例)
  • 総収入金額:2,000万円
  • 保険料を除く必要経費:1,000万円
  • 必要経費となる保険料総額:50万円
  • 青色申告特別控除額:65万円

2,000万円-(1,000万円+50万円)-65万円=885万円

課税される所得金額は885万円となるので、所得税は次のように計算します。

885万円×0.23-63万6,000円=139万9,500円

所得税は約140万円になります。

この事例では保険料を経費計上すると約15万円の節税になることがわかります。

まとめ:事務所や店舗の火災保険料は経費に!正しい仕訳で節税対策をしよう

損害保険料とその仕訳、保険料の経費計上の必要性について解説してきましたが、いかがでしたか。


今回は

  • 損害保険料はたとえ保険料控除に利用できなくとも、経費として節税に役立つ
  • 青色申告等で地震保険料、旧長期損害保険料が保険料控除できる
  • 保険料控除の申告は青色申告(確定申告)か年末調整で行う
  • 確定申告の提出期間は、新型コロナ感染拡大防止のため2020年4月16日まで延長された
でした。

ご自分の加入している損害保険で、地震保険料・旧長期損害保険料が保険料控除になると初めて気付き、申告書を書き直している方々がいるかもしれません。

2019年度分の確定申告は、新型コロナ感染拡大防止のため4月16日まで延長されています。そのため、焦らず正確に申告手続きを進めていきましょう。

ほけんROOMでは他にも保険に関する記事を多数掲載しています。興味のある方はぜひ参考にしてください。

この記事の監修者
森下 浩志
2018年に早稲田大学基幹理工学部に入学。保険×テックの領域で保険業界をイノベーションをしていく姿勢に共感し、「ほけんROOM」の運営に参画。2019年にファイナンシャルプランナー、損害保険募集人資格を取得。

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