節税保険が販売停止に!?国税庁や金融庁はなぜ怒り?今後の動向は?

先日、日本生命をはじめとした各大手生命保険会社が中小企業の経営者に向けた節税保険の販売を停止しました。その背景には、金融庁や国税庁からの商品の見直し要求がありました。それでは、金融庁や国税庁が節税保険に関して問題視していた点と今後の動向について解説します。

「節税保険」が販売停止された経緯!国税庁や金融庁の意向

先日、日本生命をはじめとする各生命保険会社から、中小企業の経営者向けの生命保険、いわゆる「節税保険」の販売停止が発表されました。
本記事をお読みの方の中には、「節税保険」の加入を検討されていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

どうして各生命保険会社は「節税保険」の販売停止をするに至ったのかいまいちわかりづらいですよね。

今回は、生命保険会社の「節税保険」の販売停止について
  • 国税庁が問題視していた「節税保険」の仕組み
  • 金融庁が問題視していた「節税保険」の仕組み
  • 過去のいたちごっこの繰り返し
  • 法人の保険、今後はどうなる?
の4つの点を中心に解説をしていきます。

この記事をお読みいただければ、どうして「節税保険」が販売停止されたのかについて知ることができると思いますので、ぜひ最後までお読みください。

国税庁が問題視していた「節税保険」の仕組み

今回の「節税保険」の販売停止は国税庁が各生命保険会社に解約返戻率が50%を超える生命保険の保険料を損金算入できる割合を抑える意向を伝えたことがきっかけです。


それでは、「節税保険」の全額損金についてや、どうして国税庁はそれを問題視しているのかについて見ていきましょう。

「節税保険」の全額損金とは

保険が全額損金だと、保険料の全額を損金として算入することができるのです。

例えば保険料が年間2000万円であれば、2000万円を資産としてではなく損金として計上できるのです。

他にも1/2損金タイプや1/3損金タイプなどがありますが、1/2損金タイプだと1000万円、1/3損金タイプだと約666万円しか年間で損金に算入できないのです。

国税庁は全額損金の「節税保険」のどこを問題視?

では、国税庁はなぜ「節税保険」が全額損金であることを問題視したのでしょうか。


ここまででお分かりいただけると思いますが、中小企業の租税回避が原因と言えます。


「節税保険」の先駆けである日本生命の「プラチナフェニックス」を皮切りに、各生命保険会社が我先にと「節税保険」に参入しました。


その結果、市場は膨張し、数千億円もの規模になったと見られています。


実効法人税は約30%ですから、相当な金額の税を徴収し損なったと言えます。


このように、国税庁は「節税保険」が保険本来の機能である保障ではなく、その節税機能を強調しているとして問題視しているのです。


金融庁が問題視していた「節税保険」の仕組み

金融庁は中小企業向けの「節税保険」のどんな点を問題視していたのでしょうか?


商品を認可するのは金融庁ですから、一旦認可して販売されている以上、金融庁の立場からは問題ないように思われます。


実は、保険商品の保険料や返戻率については金融庁の認可の対象なのですが、付加保険料については金融庁の認可の対象外なのです。


以下では付加保険料についてや、どうして金融庁が付加保険料を問題視しているのかについて解説します。

付加保険料とは

付加保険料とは、保険料に上乗せする料金のことで、名目としては、保険商品の販売や契約の維持に必要とされています。


保険料に関しては金融庁の認可が必要ですから、あまりに不自然な設定にはできませんが、付加保険料は金融庁の認可の対象外なので各生命保険会社の自由に設定ができます。


つまり、付加保険料を不当に釣り上げることで保険料全体を高額にし、結果として損金算入できる額を増やしたことで節税効果を高めたのです。


これが金融庁が問題視した点です。

金融庁と国税庁との間で緊張が?

ここまで見てきたように、各生命保険会社が販売する「節税保険」に対する是正が必要という意向は国税庁も金融庁も変わりません。


しかし、ことの発端は金融庁が「節税保険」の販売を認可してしまったことにあると言うことができます。


国税庁としては、「節税保険」によって本来徴収することができたはずの税金を回避されてしまったのです。


このことから、国税庁と金融庁の間で多少の緊張があったのではないかと推測されます。


自身が一旦認可してしまった商品が問題となっているわけですから、金融庁としては遺憾であるかと思われます。

過去のいたちごっこの繰り返し

実は過去にも同じような出来事がありました。

2006年には長期傷害保険が全額損金から1/4損金に改正され、2008年には逓増定期保険が全額損金から1/2損金に改正されました。

加えて2012年にはがん保険が全額損金から1/2損金に改正されました。

このように、生命保険会社と国税庁は、過去にあったいき過ぎた節税目的の商品開発とその規制ということをいたちごっこのように繰り返しているのです。

今回の一件で、生命保険会社は生命保険業界の今後をどのように見つめ直すのでしょうか。

法人の保険、今後はどうなる?

では、法人保険の今後はどうなるのでしょうか。


ここでは

  • 全額損金の「節税保険」はどうなる?
  • 各生命保険会社の「節税保険」販売停止状況

について見ていきましょう。


噂によると現在もまだ「節税保険に入るなら今のうち」と煽って「節税保険」の加入を勧めるセールスマンもいるそうです。


しかし、駆け込み需要に流されるのではなく慎重に行動するように心がけましょう。

全額損金の「節税保険」はどうなる?

前述しましたが、国税庁が解約返戻率が50%を超える生命保険に関してはその保険料の損金算入できる割合を抑えるという意向なので、一旦「節税保険」市場は落ち着きを見せると思われます。 


 販売停止以前の契約については、契約当時の税制度が適用されるため、そちらについては特別な措置は必要ないかと思います。

問題視されている法人保険の種類

今回は全額損金の節税保険について規制がかかりましたが、全額損金の節税保険以外にも問題視されている法人保険があります。


それは以下の法人保険です。


  • 養老保険の逆ハーフタックスプラン
  • 逓増定期保険の名義変更プラン


今回の通達にもありましたが、過度な節税効果を求めて法人保険に加入してしまうと規制がかかってしまうこともありますので、十分に注意しましょう。

各生命保険会社の「節税保険」販売停止状況は?

各生命保険会社の「節税保険」販売停止状況はどのようでしょうか?


法人保険をもつ21の生命保険会社の、2月19日時点での販売停止状況を見てみましょう。

生命保険会社名申込締切日
明治安田生命20日
東京海上日動あんしん生命21日
マニュライフ生命28日
ソニー生命20日
アクサ生命28日
三井住友海上あいおい生命20日
FWD富士生命28日
メットライフ生命15日
ジブラルタ生命28日
ニッセイ・ウェルス生命20日
オリックス生命28日
エヌエヌ生命28日
日本生命20日
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命20日
ネオファースト生命20日
第一生命20日
住友生命22日
朝日生命13日
大同生命26日
三井生命20日
プルデンシャル生命13日

※当社調べ


まとめ:なぜ国税庁や金融庁は「節税保険」を問題視するのか

ここまで、今回の「節税保険」の販売停止について見てきましたがいかがでしたでしょうか。

今回のポイントは
  • 国税庁が問題視しているのは「節税保険」のいき過ぎた節税機能
  • 金融庁が問題視しているのは生命保険会社が不当に設定する付加保険料
  • 過去にあった規制と抜け道探しを繰り返している
  • 今後は一旦「節税保険」は落ち着くと考えられる
でした。

国税庁や金融庁も見過ごすことができないほど「節税保険」の市場が過熱していたということですね。

ほけんROOMでは他にも読んでおきたい法人保険に関する記事をたくさん掲載しておりますので、ぜひそちらもお読みください。

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