法人保険の年金支払特約とは?「事前契約」していないと意味がない!

法人保険の年金支払特約を付けることで、年金形式で保険金を受け取ることができるため、事業収入を安定させつつ、支払う税金も少なくできます。しかし、法人保険の年金支払特約は事前に契約していないと年金方式で受け取れません。他にも経理処理に関して解説します。

法人保険の年金支払特約とは?特徴・注意点・経理処理は?

法人保険の保険金を一時金で受け取る場合、保険金が高額だと法人税の課税額も大きくなってしまうので困っている方も少なくないと思います。


一度に高額な法人税が課されてしまうと、その事業年度の税負担が一気に重くなってしまい、会社の経営を不安定にしかねませんよね。


そこで、年金支払特約をつけることで、その事業年度の税負担を小さくすることができることをご存知でしたか?


年金支払特約とは保険金を分割で受け取る特約ですが、事前契約しないといけないという注意点もあるのです。


そこで、今回は法人保険の年金支払特約について 

  • 法人保険の年金支払特約の特徴 
  • 法人保険で年金支払い特約をつけるメリット 
  • 事前に年金支払特約をつけていた場合にのみ保険金を分割で受け取れること 
  • 保険金の支払いが確定すると年金支払特約をつけても意味がないこと

以上を中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、法人保険の年金支払特約とはどのようなメリットとデメリットがあるのかを詳しく知るのに役立つと思います。


ぜひ、最後までご覧ください。




法人保険の年金支払特約は、年金方式(分割)で保険金を受け取れる

法人保険の年金支払特約とは、保険金を年金方式にして、分割して受け取ることができるというものです。


年金支払特約を含めて、法人保険の保険金の受け取り方式には以下の3つがあります。


  1. 一時金タイプ 
  2. 分割受け取りタイプ
  3. 一時金と分割受け取りタイプ


「一時金タイプ」とは、保険金を一括で受け取る方式のことで、全額益金計上されます。


例えば保険金が5,000万円だとすると、全額益金計上されるため、保険金を受け取った事業年度での課税額が大きくなってしまいます。


「分割受け取りタイプ」と、「一時金と分割受け取りタイプ」では、保険金を分割して受け取れるが、益金の計上を分散させることができます。


「分割受け取りタイプ」とは、例えば保険金5,000万円を、10年間で500万円ずつ受け取るという方法のことです。


「一時金と分割受け取りタイプ」とは、「一時金タイプ」と「分割受け取りタイプ」を組み合わせたものです。


「一時金と分割受け取りタイプ」の例として、保険金5,000万円のうち、2,500万円を分割で受け取り、残りの2,500万円を一括で受け取るといった方法が挙げられます。 

法人保険の年金支払特約のメリット・注意点

法人保険の年金支払特約の特徴について解説してきましたが、年金支払特約にはどのようなメリットや注意点があるのかもしっかり確認していくことが大切です。


そこで、ここからは年金支払特約について、以下の3つを取り上げて説明します。


  • 法人保険の年金支払特約のメリット 
  • 保険金を分割で受け取れるのは事前に年金支払特約を付けていた場合のみ 
  • 保険金の支払いが確定すると年金支払特約をつけても意味がない


これらの法人保険の年金支払特約のメリットと注意点について、詳しく見ていきましょう。

法人保険で年金支払い特約をつけることで税負担を軽く

法人保険の年金支払特約をつけるメリットは、保険金を受け取った事業年度の税負担を小さくできることです。


ただし、これはあくまでも税負担を小さくできるというだけであって、節税とは異なるので注意してください。


例えば、保険金5,000万円を一括で受け取った場合の法人税と、500万円を10年間で受け取った場合の法人税はトータルでは変わりません。


法人税が約30%であり、5,000万円一括で受け取ると1,500万円、500万円に分割しても同じく1500万(150万円×10年間)が課税額です。


しかし、もし一括で受け取った場合、一事業年度で1,500万円一気に課税されてしまうと、経営が傾いてしまう可能性があります。


そこで、分割して受け取るようにすることで、事業年度ごとの課税額を小さくできるので、税負担を軽減し、経営を安定させることができるのです。

重要な役員や経営者がなくなった後の影響に対処できる

重要な経営者や役員が死亡してしまった後の影響が売り上げに数年間続くことも考えられます。


この時、法人保険の年金支払特約をつけておくと、数年間にわたり保険金を分割で受け取ることができるため、重要人物がくなった後の長期の売り上げ損失に対応することができます


もし年金支払い特約をつけていない場合は、重要人物が死亡した年にだけ一括で保険金が支払われるため、その年は損失をカバーすることはできても、その後の損失に対処することが難しくなります。


このような側面でも、法人保険の年金支払い特約は大きなメリットとなります。

事前に年金支払特約を付けていた場合のみ保険金を分割で受け取れる

平成15年度に、国税庁が各地の国税局と生命保険協会に、法人保険の年金支払特約の税務についての見解を示しました。


それによると、年金支払特約では、年金を受け取る都度、その事業年度の益金として計上するとのことでした。


また、国税庁は同時に、一時金受け取りタイプ分割受け取りタイプのどちらも選択できるとの見解も示しました。


ただし、分割で受け取れるのは、支払い事由発生前に年金特約を付けておくことが条件となるので注意しましょう。

保険金の支払いが確定してから年金支払特約を付けても意味がない

法人保険の年金支払特約は、保険金の支払いが確定したあとにつけても意味がありません。


国税庁は法人保険の年金支払特約について、保険金の支払い確定後につけると、未収金として計上し、翌年以降年金を受け取った都度に取り崩すとの見解を示しました。


未収金とは、支払いは確定してはいるものの、まだ支払われていないお金のことです。


支払い確定後に年金形式で受け取ろうとすると、保険金全額を未収金として計上しなければならなくなります。


すると、保険金全額が益金計上されてしまうので、年金支払特約を付ける意味がなくなってしまうのです。

まとめ:法人保険の年金支払特約は「事前」に契約しよう

法人保険の年金支払特約について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは 

  • 年金支払特約の保険金受け取り方式には3つのタイプがある。
  • 年金支払特約のメリットは、その事業年度の税負担を軽減できること。
  • 事前に年金支払特約を付けていないと分割で受け取れない。
  • 保険金が確定してから年金支払特約を付けても意味がなくなる。

でした。


保険金の受け取りというと、どうしても一括で受け取るものだと考えてしまいがちですが、分割で受け取る方法も重要です。


分割で受け取ることでその事業年度の税負担が軽減されるので、一度に高額の法人税を支払うことで経営が不安定化するのを防ぐことができます。


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この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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