経営者保険や役員保険の保険料は損金計上?加入するメリットを解説!

経営者保険や役員保険は損金として計上できるのでしょうか。法人保険の保険料が損金にできれば、法人税を抑えることができ、節税につなげることができます。この記事では、経営者保険や役員保険に加入するメリットや注意点について詳しく解説していきます。

役員・経営者向けの保険は保険料を損金にできる?

経営者なら効果的な節税商品は積極的に活用し、できるだけ法人税を節税したいですよね。


役員保険に法人で加入し、保険料を損金にすることは、多くの会社が取り入れている節税対策です。


とはいえ、実際に加入してどんなメリットがあるのか、加入することにデメリットや落とし穴はないのか、不安なことも多いでしょう。


節税の仕組みはもちろんですが、役員保険のさまざまな活用方法やデメリットも知った上で加入判断をすることが重要です。


ここでは、

  • 役員保険を用いた節税対策について
  • 役員保険の保険料を損金にする仕組み
  • 役員保険を使う目的やタイミング
  • 役員保険を資金繰りに活かす方法
  • 役員保険に加入するときの注意点

の5つのポイントから解説していきます。


この記事を読み終わる頃には、役員保険の仕組みや活用方法、加入前に検討しておくべき注意点がわかるようになるはずです。


役員保険の活用を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。 



保険料の全額、または一部を損金にすることができる

「法人で経営者保険や役員保険に加入すると、保険料を損金にできる」という知識があっても、具体的な仕組みを知らない方は多いのではないでしょうか。


損金とは、税金の計算上の経費にあたる言葉で、損金を多く計上すればその分利益を減らすことができ、法人税の節税につながります


個人で生命保険に加入しても確定申告で最大12万円の生命保険料控除を受けられるだけですが、法人で生命保険に加入すると、保険料の全額・もしくは一部を損金に計上することができます。


法人で生命保険に加入して節税することを、経営者保険・役員保険といった呼び方で表現します。


保険料をどのくらい損金にできるかは、保険の種類によって変わります。 

経営者保険や役員保険を使うメリット

法人で加入する生命保険を経営者保険や役員保険と呼ぶこと、保険料の全額もしくは一部が損金になることについて解説しました。


しかし、節税だけが役員保険のすべてではありません。


節税以外の活用方法も理解し、目的を明確にしたうえで役員保険に加入することが大切です。


続いては、

  • 役員保険を資金繰り改善に活用する方法
  • 決算対策や赤字対策として役員保険を活用する方法
  • 退職金を役員保険で積み立てる方法

について説明します。


一つずつ確認していきましょう。

役員保険の契約者貸付を活用した資金繰り

経営をしていれば、資金繰りに苦労する場面は必ず訪れます。


売掛金の回収が遅れている、不良在庫を持ってしまった、設備投資後の資金回収がうまくいっていないなど、数え始めればきりがありません。


他にも、災害や不慮の事態など経営は常に資金繰り悪化のリスクにさらされています。


資金的な余裕を持っておきたいために、役員保険への加入をためらう経営者もいるのではないでしょうか。


しかし、役員保険の契約者貸付制度を活用すれば、資金繰り悪化への不安を軽減することができます。


掛け捨ての保険ではなく積み立て部分のある保険では、払い込んだ保険料に応じて解約返戻金を受け取れます。


その将来受け取る解約返戻金を担保に、保険会社からお金を借りることができる仕組みが契約者貸付制度です。


銀行から融資を受けるとなると、決算書を提出したり審査があったりと手間も負担もかかりますよね。


最悪の場合、融資がおりないというケースもあります。


しかし契約者貸付制度なら、将来受け取る解約返戻金を借りるだけなので、比較的簡単に手続きができます


保険を解約してしまうとその分の保障は失われ、今後の節税効果も縮小されます。


しかし契約者貸付制度を活用すれば、一時的な資金繰りの悪化が改善したタイミングで、これまでと同様に保険を継続していくことができます


資金繰りへの不安から役員保険への加入をためらっている方は、契約者貸付制度の活用も視野に入れて保険を設計するといいかもしれません。


以下の記事で、契約者貸付制度についてのより詳細な説明をしていますので、ぜひお読みください。

役員保険の保険料の損金を活用した決算対策

経営の調子がいいときは、うっかり税金のことが頭から抜けてしまいがちです。


利益が多いのは経営上非常に喜ばしいことですが、その分法人税も高額になるリスクがあります。


決算前に税理士に法人税の予測を見せられ、慌てて対策を始める経営者もいるのではないでしょうか。


決算対策には社用車の購入などの設備投資、従業員賞与や報奨旅行などがあります。


しかし、設備投資は資産となり、損金にできる減価償却費は月割で計算する必要があるため、決算前に購入しても実はあまり意味がありません。


従業員賞与や報奨旅行は従業員のモチベーションを上げるためには効果的ですが、法人としては結局残った利益を外部に流出させていることになります。


また、賞与や報奨旅行が続くと従業員にとってそれが当たり前の感覚になり、今後資金繰りが悪化したときに不満が出てくるなど、過度に行うのもよくないという難しさがあります。


その点、法人の外に解約返戻金という形で積み立てをする役員保険なら、資金の流出を防ぐことができ節税効果も大きく、決算対策として非常に効果的です。


法人で加入する役員保険は支払ったタイミングで損金に計上することができるため、決算月に年払いで役員保険に加入すれば、法人税の急激な増加を防ぐことができるでしょう。

役員保険の解約返戻金を活用した赤字対策

本業で思うように利益が出なかった、突然の出費が発生したなど、経営をしていれば赤字が出てしまうこともありえます。


しかし銀行に決算書を提出する場合などで、どうしても赤字の決算書だけは作りたくないこともありますよね。


そんなもしものタイミングの赤字対策として、役員保険を活用するのもおすすめです。


積み立て部分のある役員保険なら、支払った保険料に応じて解約返戻金を受け取ることができます。


解約返戻金は一括で受け取る必要はなく、例えば保障を半額にして半額の解約返戻金を受け取るといったように、自由度が高くなっています。


受け取った契約返戻金の一部は法人の利益に加算されます。


ですので、赤字になりそうだというタイミングで解約返戻金を一部受け取れば、利益をある程度コントロールすることができるのです。


黒字のときは保険料を損金にして法人税を節税し、赤字のときは解約返戻金を受け取って利益を残すという、この自由度の高さが役員保険が節税商品として人気がある理由です。

役員保険で退職金も用意

経営者や役員の退職時には、退職金を支払うことになります。


金額が多額になることから、資金準備に頭を悩ませている経営者もいるのではないでしょうか。


経営者保険や役員保険は、退職金の資金準備に活用することもできます。


毎年保険料の一部を損金にして法人税を節税し、退職金を支払うタイミングで解約し、受け取った解約返戻金を原資として退職金を支払うのです。


もちろん退職金は現金で積み立てることもできますが、その場合法人税の節税効果は得ることができません。


役員保険を活用することで、節税しながら積み立てることができるのです。


経営者自身の受け取りたい退職金の金額や、役員の人数や在任年数に応じて、自社が積み立てるべき退職金の金額を計算し、役員保険を設計しておくと安心です。

経営者保険・役員保険に加入するときの注意点

さて、ここまで役員保険の契約者貸付制度や、決算対策・赤字対策に活用する方法、退職金を積み立てるスキームについて解説しました。


役員保険にはさまざまな種類や活用方法があるので、自社に合った保険を選び、目的に応じた金額設定をしましょう


役員保険は金額も大きいため、保険会社や銀行の営業職の方などにすすめられるままに加入することはリスクを伴います。


続いて、

  • 会社に合った保険の選び方
  • 役員保険の出口対策
  • 保障内容の確認の仕方

について説明します。


節税の仕組みやメリットだけでなく、注意点も理解した上で加入判断をしましょう。

保険料をどれだけ損金にすることができるか

すべての役員保険が、支払った保険料の全額を損金にできるというわけではありません。


保険の種類に応じて、保険料の全額もしくは一部を損金にできるのが役員保険の仕組みです


役員保険に加入する前には、その保険が保険料のうちどの程度を損金にできるのか、正確に把握しておくようにしましょう。


保険料の全額を損金にできるのは、積み立て部分がない掛け捨ての保険です。


積み立て部分のある保険には、逓増定期保険長期平準定期保険があり、保険料の2分の1を損金として計上することができます。


残りの2分の1は損金にすることができず、資産計上することになります。


最近では、3分の1もしくは4分の1を損金として計上するタイプの保険もあります。


損金にできる割合が低くなるほど節税効果は小さくなりますが、その分解約返戻金の返戻率が高くなるのが特徴です。


加入前に保険料のうち損金にできる割合をきちんと把握し、法人税への効果もあわせて理解しておくようにしましょう。


以下の記事で逓増定期保険や長期平準定期保険についてのより詳細な説明をしていますので、ぜひお読みください。

自分の会社に合った保険なのか

役員保険を選ぶときに何よりも大切なのが、自分の会社に合った保険を選ぶということです。


どんなにいい商品だったとしても、自分の会社の状態やステージに合っていなければ、効果を発揮することはありません。


保険料の全額を損金にできる掛け捨ての定期保険は、保障に対して保険料が安いという特徴があります。


そのため、会社の立ち上げ当初など借入が大きく資金的に余裕がない状態で保障を安く買いたい場合におすすめの保険です。


保険料の全額を損金にできるため節税効果は大きくなりますが、支払った保険料以上の節税効果が得られるわけではありません。


資金繰りに余裕があり節税を主目的とする場合は、積み立て部分のある保険を選ぶようにしましょう。


保険料の一部を損金にできる役員保険は、支払った保険料や加入年数に応じて解約返戻金を受け取ることができます。


保障に対して保険料は高くなりますが、掛け捨て保険と違って積み立てができるのが特徴です。


資金に余裕がある状態で決算対策として加入する場合や、将来の赤字対策として役員保険を活用したいなら、積み立て部分のある保険を活用しましょう。


全額を損金にできるタイプの保険と比較すれば節税効果は小さくなりますが、将来的に受け取る解約返戻金も含めて考えると、現金をそのまま預金に置いておくより資金が増える可能性があります。

解約するタイミング・出口対策はあるか

積み立て部分のある役員保険の場合、必ず解約のタイミングや出口対策まで考えてから加入しましょう。


保険料の一部を損金にできるということは、受け取った解約返戻金の一部は益金となり、利益に加算されるということです。


なんの計画もなく役員保険に加入し、適当なタイミングで解約をしてしまうと、その年の利益が増えて法人税がかかり、せっかくのこれまでの節税効果が相殺されてしまうことになりかねません。


解約返戻金を受け取るのは、退職金の支払いや大規模な修繕など、損金計上できる大きな出費のある年がおすすめです


退職金の支払いの時期は、経営者自身がいつまで働きたいのか、また役員の人数や年齢に応じてある程度予測することができます。


退職の時期に解約返戻金の返戻率のピークがくるように設計すれば、最も効果的に役員保険を活用することができるでしょう。


ただし、経営者自身の勇退時期は明確に決まっていないことも多いと思うので、その場合は解約返戻金の返戻率が一定期間高い水準で維持されるタイプの設計がおすすめです。


そうすれば、時期を気にすることなく仕事に打ち込み、ご自身のタイミングで勇退時期を選択することができます。

実際の保障はどれほど厚いのか

節税目的で役員保険に加入する場合も、保障内容はよく確認しておくことが大切です。


最近では、死亡リスク以上に生存リスクが注目されています。


医療の発展によって、死亡するよりも一命を取り留めた状態、要介護状態で長生きすることが増えてきています。


万一の場合については保険で備えていても、生存リスクに備えていなかったがために、自分自身も家族も生活に苦労するという事例も少なくありません。


保険料の一部を損金にできる経営者保険の中には、万一の場合だけでなく、要介護状態にも対応した商品もあります


保障内容も含めて納得のできる保険を選ぶことが大切です。

まとめ:役員保険や経営者保険を上手に使って節税につなげよう

役員保険のメリットや注意点について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 役員保険は全額もしくは一部を損金にして節税しながら積み立てができる
  • 資金繰りに不安があるなら契約者貸付制度を活用する
  • 決算対策・赤字対策・退職金の積み立てなど目的を明確にする

です。  


役員保険は節税対策としても資金繰り対策としても効果的な、メリットの多い商品です。


しかし一番大切なのは、自分の会社に合った役員保険を選択することです。


役員保険の仕組みや内容をしっかり理解して加入すれば、自分にとっても会社にとってもプラスになるでしょう。 


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この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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