「掛け捨て型・積立型」法人保険とは?メリット・デメリットを解説!

掛け捨て型法人保険は「定期保険」「医療保険」があります。掛け捨て型法人保険の特徴としては全額が損金算入にする点です。一方、積立型法人保険は「養老保険」「終身保険」が代表的です。これらは保険料が資産計上されます。今回はそれぞれのメリット・デメリットを解説します。

「掛け捨て型・積立型」法人保険ってなに?

法人保険を選ぶときに、掛け捨て型と積立型のどちらを選べばいいか迷う方は多くいらっしゃいます。


掛け捨て型と積立型の特徴を正しく把握せず契約してしまい、適切な保障を受けられないのみならず払わなくてもいい法人税を支払ってしまう可能性もあります。


それを防ぐためにも、この機会に法人保険の掛け捨て型と積立型の違いをしっかりと理解することが大切になります。


そこで、この記事では「掛け捨て型・積立型法人保険のメリット・デメリット」について、

  • 掛け捨て型法人保険の概要
  • 掛け捨て型法人保険のメリット・デメリット
  • 積立型法人保険の概要
  • 積立型法人保険のメリット・デメリット
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、掛け捨て型と積立型を選択する際に、自社に本当に必要なものはどちらか正しい判断ができるようになります。

ぜひ最後までご覧ください。

2つの掛け捨て型法人保険の「特徴・注意点」を解説!

はじめに掛け捨て型法人保険について解説します。


掛け捨て型法人保険は、支払った保険料が基本的に一切戻らず、積立型に比べ保険料が非常に安く、大きな保障を受けられるのが特徴で、基本的に額を損金算入できます。


保障内容としては、被保険者の病気やケガによる入院費や治療費を保障します。


このことから退職金対策としてではなく、安心して働ける職場を作り、従業員満足度を向上させる目的で導入されやすい保険です。


掛け捨て型法人保険には、

  • 定期保険
  • 医療保険
の2種類があります。

それぞれの内容について解説します。

「掛け捨て型定期保険」:安い保険料で十分な保障がある

まずは定期保険について見ていきましょう。


定期保険とは一定の年齢まで保障することを定めた保険です。


定期保険は病気やケガなどの治療費・医療費を保障するので、従業員が安心して働ける職場を作り、従業員満足度の向上で離職率の低下やモチベーションの向上などの効果があります。


定期保険は3年や5年など保障期間を短期間に設定し、従業員が在職していると自動更新するように設定すると、急な退職にも余分な保険料を払う必要がありません。


ただし原則として全従業員を対象としたり、福利厚生規定を定める必要があるなど、導入に必要な事項もあるので注意が必要です。


「法人契約医療保険」:支払期間で損金比率が変わる

医療保険の保険料も全額を損金に計上することが可能です。


法人が医療保険を契約する場合、経営者や幹部の方を被保険者にするのが主流です。


理由として、経営者が契約して急な入院で働けなくなり売上が低下した場合、保険給付金を売上の補填に利用し、業績の悪化をカバーできるからです。


注意点として、法人契約の医療保険は緊急時に備えながら税負担の軽減もできますが、常に保険料を全額損金にできる訳ではありません。


医療保険は支払期間によって損金の比率が変わり、全額損金になるのは支払期間が10年ほどの短期間の場合です。


長期の契約になると損金の比率が減少する代わりに、解約返戻率が上がるので、退職金対策として利用できます。


法人契約医療保険の注意すべき2つのポイント

法人契約医療保険に加入する際には、下記2つのポイントに注意しましょう。

  • 給付金を法人で受け取った場合は雑所得になる
  • 給付金を被保険者に支払うと給与扱いになる場合がある

給付金を法人が受け取ると、雑所得となり課税対象となります。

さらに、給付金を被保険者に支払うと給与扱いになる場合があるので注意が必要です。

この時、被保険者に見舞金として「社会通念上相当とされる範囲」の額を支払うと、福利厚生費と見なされ課税を避けることも可能です。

「社会通念上相当とされる範囲」には明確な規定はありませんが、一般的に5万円から10万円程度と呼ばれています。

見舞金として支給する場合は、慶弔見舞金規定を予め整備しておく必要があるので注意しましょう。

掛け捨て型法人保険のメリット・デメリット

ここまで解説した掛け捨て型法人保険についてのメリットとデメリットをまとめました。


掛け捨て型法人保険のメリット

  • 保険料が安い
  • 保険料の全額を損金に算入でき税負担の軽減ができる
  • 入院費・治療費を保障する
  • 従業員が安心して働ける職場を作れる

掛け捨て型法人保険のデメリット
  • 解約返戻金が無い
  • 定期保険は全従業員が加入する必要がある
  • 医療保険の給付金は雑所得や給与として課税対象になる場合がある
  • 福利厚生規定の整備が必要
  • 見舞金を支払う場合、慶弔見舞金規定の整備が必要

これらのメリット・デメリットから、自社に本当に掛け捨て型法人保険が必要か、正しい判断ができると思います。

貯蓄性のある2つの積立型法人保険を解説

積立型法人保険は掛け捨て型法人保険と異なり、保険料が高額ですが貯蓄性が高いのが特徴です。

積立型法人保険は役員・従業員への保障を用意しつつ退職金や緊急資金を用意するために利用されますが、メリットだけでなくデメリットも存在するので注意が必要です。

積立型法人保険には、
  • 養老保険
  • 終身保険
の2種類があり、それぞれの特徴を知れば、積立型法人保険を利用する際に、より自社に合ったものを正しく判断できるでしょう。

まずは養老保険について解説します。



①「養老保険」:節税しながら積み立てが可能

養老保険は死亡した時だけでなく、満期まで生存していても保険金が受け取れる生命保険で、生存・死亡問わず保険金が受け取れることから、保険料が高額になっています。


満期保険金になると保険料の90~100%が受け取れる場合もあり、貯蓄にも人気の高い商品です。


また、養老保険の保険料は基本的に全額資産に計上されるので、税負担軽減の効果はありませんが会社の価値をあげることができます。


ただし、従業員への福利厚生として養老保険を利用する福利厚生プランでは、保険料の1/2を損金に算入でき、税負担を軽減しながら効率的に積み立てることが可能です。


福利厚生プランには福利厚生規定の整備が必要なので、利用する場合には注意しましょう。

②「終身保険」:唯一のメリットは必ず保険金が支払われる

終身保険は一生涯の保障がある生命保険で、必ず保険金を遺族に残すことができるのが特徴です。


終身保険は解約返戻率が高く、保険加入後数十年が経過すると、支払った保険料以上の解約返戻金が受け取れる場合もあります。


ただし、終身保険は必ず保険金を受け取れる保険のため、保険料は全額資産計上となり税負担の軽減効果は見込めません。


また、終身保険と養老保険はどちらも高い解約返戻金が見込めますが、契約直後は解約返戻率が低いのも特徴です。


契約直後に解約すると損をしてしまう可能性が高いので注意しましょう。


積立型法人保険のメリット・デメリット

ここまで解説した積立型法人保険についてのメリットとデメリットをまとめました。


積立型法人保険のメリット

  • 貯蓄性が高く、退職金対策として使える
  • 保険金を高確率で受け取れる


積立型法人保険のデメリット

  • 保険料が高額
  • 節税効果は基本的に無い
  • 契約直後に解約すると損をする可能性が高い


高い貯蓄性が魅力的な積立型法人保険ですが、保険料が高額なので、導入するには長期的な経営計画が必要です。


しかし、保険料をしっかり支払うことができれば、死亡保障を用意しつつ確実に保険金が受け取れるので、退職金対策として非常に有効な商品と言えます。

まとめ:掛け捨て型と積立型の法人保険の違い

掛け捨て型・積立型法人保険のメリット・デメリットについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 掛け捨て型法人保険は、保険料の全額を損金に計上できる
  • 医療保険の給付金は、雑所得や給与扱いになる場合があるので注意が必要
  • 積立型法人保険は、保険金を確実に受け取れる
  • 積立型法人保険は、保険料が高額なので長期的な計画が必要
です。

掛け捨て型、積立型のメリット・デメリットを正しく把握すれば自社に本当に必要な保険がどちらかを正しく判断できます。

どちらも正しく活用すれば法人に大きなメリットがありますので、この機会に法人保険について今一度検討されてはいかがでしょうか?

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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