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法人保険の解約返戻金の出口戦略と経理処理をわかりやすく解説!

法人保険の支払い時は損金算入ですが、解約返戻金の受け取り時は益金に計上されます。解約時の戦略がないと税金がかかるため、解約返戻金のある法人保険に加入する際には解約時の戦略を考える必要があります。また損金の割合で経理処理やメリットが変わるのでご説明します。

法人保険の解約返戻金の出口戦略と経理処理の方法はどうやるの?

法人保険の節税効果を最大限に発揮するために、出口戦略の方法を調べていると思います。


課税の繰り延べを防ぐために、出口戦略(解約返戻金受け取り時の対策)は大事ですが、損金算入の割合で出口戦略の方法も変わってくるとご存知でしたか?


また、解約返戻金受取時の経理処理の方法についてもしっかりと理解していますか?


それでは、どのように法人税の支払いを最小限におさえることができるのでしょうか。


そこで、この記事では解約返戻金の出口戦略と経理処理の方法に関して

  • 法人保険の出口戦略のポイント
  • 解約返戻金受け取り時の経理処理方法
  • 損金割合別の解約返戻金の使い道
の3つについてお伝えしていきます。

この記事を読んでいただければ、出口戦略の重要性や解約返戻金を受け取った際の経理処理方法についてよくご理解いただけることでしょう。

どうぞ最後までご覧ください。

法人保険の解約返戻金とは?

保険契約によっては保険期間中に解約をした場合、支払った保険料の一部が戻ってくることがあり、この払戻金のことを「解約返戻金」といいます。


法人保険の場合、節税対策にもなるので検討する経営者が多いのですが、実際は解約返戻金を受け取る際に課税されてしまうので、法人保険の加入だけでは課税の繰り延べとなってしまいます。


解約返戻金受け取り時の出口戦略があって初めて節税となりますので、その点をご留意ください。

法人保険の解約返戻金受取時は出口戦略が重要

法人保険の中には、支払保険料が損金算入できる商品もあるため節税対策として契約するケースが多いです(商品によって割合は異なります)。


しかし、支払保険料は損金となっても解約返戻金は益金になってしまうため、実際は節税どころか課税の繰り延べになる可能性があります。


課税の繰り延べにならないようにするため、解約返戻金を受け取る際の出口戦略はとても重要です。


出口戦略とは解約時(=出口)の対策を言い、つまりは解約返戻金の使い道を考えることだと思ってください。


例えば退職時期と解約返戻金の受け取り時期を同時期にして、解約返戻金を退職金にあてれば、大きな損金ができ、益金と相殺することができます。


退職金のように大きな損金を作れるような経営的なイベントを作ることで「課税の繰り延べ」を防ぐことが可能となります。

月別返戻率をチェックして解約返戻金が高い時期を狙う

法人保険に加入する際、通常は保険会社から年別の返戻率を提示されますので、返戻率のピーク時は何年目なのかを事前に知ることができます。


しかし、解約返戻率は月毎に変動しますので、出口戦略をたてるためには月別の返礼率を知ることが重要です。


例えば退職金として解約返戻金を充当する場合、返戻率のより高いタイミングで解約したいと考えることでしょう。


何年後の何月に退職金を支払うようにするとベストなのかを事前に確認することをおすすめです。


また、解約方法に関してですが、一般的には電話か窓口でその日のうちに手続きができます。


条件によっては時間がかかる場合もあるので事前に保険会社に確認しておくと安心です。

実質返戻率には注意が必要

他の注意点としては「実質返戻率」があります。


「実質返戻率」とは法人保険に加入する際、保険会社から提示されているものです。


実質返戻率は次のように算出されます。

解約返戻金÷(損金算入保険料×実効税率)=実質返戻率


このように実質返戻率は、法人税などを加味して計算されている指標ですが、保険会社の設計上では、本来変動する「実効税率」が固定されて計算されているため、解約返戻金を受け取る際、金額が違っている場合もあり得ます。


必ず数値通りに解約返戻金を受け取れるというわけではなく、「実質返戻率」はあくまで指標にすぎないということを覚えておきましょう。

解約返戻金を受け取った際の税金の仕訳は?

解約返戻金のような貯蓄性の高い保険の場合、支払保険料に将来の保障のための積立部分も含まれており、それを「保険料積立金」(前払保険料ともいいます)といいます。


この保険料積立金は資産計上されます。


基本的に解約返戻金受取時には雑収入として経理処理されますが、解約返戻金の金額がこの「保険料積立金」を下回る場合は雑損失として処理されます。


また、損金算入割合によって仕訳が多少異なります。


そこで

  • 全額損金タイプ
  • 1/2・1/3損金タイプ
のタイプ別に税金の仕訳を確認していきましょう。

(※2008年2月28日以前の契約の場合は、支払保険料を全額損金算入しているとみなされ、解約返戻金は雑収入として処理します。)

全額損金の場合の仕訳

ここでは全額損金タイプの法人保険の仕訳を紹介します。

全額損金タイプとは支払った保険料の全額を損金に算入できる法人保険のことです。

例えば、保険料を100万円支払った場合、全額経費となるので次のようになります。

借方貸方
保険料 100万円現預金 100万円

保険料を10回支払った後に解約をし、解約返戻金として300万円を受け取ったとしましょう。

保険料積立金がない場合、受け取った解約返戻金の全額が「雑収入」になり、次のようになります。

借方貸方
現預金 300万円雑収入 300万円

このように全額損金で処理できる場合は経理処理がシンプルです。

次に全額損金ではないタイプの場合を見ていきましょう。

1/2・1/3損金の場合の仕訳は雑収入に

法人保険には全額損金タイプの他に、支払保険料の1/2もしくは1/3を損金算入できるタイプがあります。


1/2損金タイプの法人保険を例に確認してみましょう。


例えば、保険料を100万円支払った場合、半分は経費、半分は資産計上となります。


借方貸方
保険料 50万円
保険料積立金 50万円
現預金 100万円


保険料を10回払った後に解約をし、解約金400万円を受け取ったとしましょう。


返戻率が100%を下回っていること、また保険料積立金があるので次のようになります。


借方貸方
現預金 400万円
雑損失 100万円
保険料積立金 500万


もし返戻率が100%を超えている場合は、貸方に雑収入となります。


1/3損金タイプの仕訳方法も同様のやり方です。

解約返戻金に消費税はかからない

念のためにお伝えしておきますが、解約返戻金には消費税はかかりません。


なぜなら解約返戻金には「対価性」がなく、また消費税の対象とならないので不課税です。


国税庁のHPには「保険金や共済金・・・・資産の譲渡等の対価といえないからです。」と明示されています。


解約返戻金とは書いてありませんが、保険金や共済金に準ずるものとされ、不課税となります。


参照URL:国税庁HP 

解約返戻金の使い道を確認!損金の割合で変わってくる

法人保険は商品によって損金算入できる割合が違うので、法人保険に加入する際は予め確認しておくことが重要です。


例えば、同じ逓増定期保険でも損金算入できる割合が異なりますし、またそれによって解約金の返戻率も変わってきます。


解約金がどれくらいになるかによって、適した出口戦略(解約返戻金の使い道)も異なるのでよく検討する必要があります。


ここでは、損金算入割合別におすすめの出口戦略を紹介します。


「全額損金」:支払い時は節税対策になるが、解約返戻金が低いのが難点

全額損金タイプの法人保険の場合、次のようなメリット、デメリットがあります。


【メリット】

  • 支払保険料が全額損金算入でき、その間の税負担を軽減できる

【デメリット】

  • 解約返戻金の返戻率が低め(返戻率のピークが総支払保険料金額に対して90%を下回る場合もある)
  • 解約返戻金は全額雑収入として計上される

全額損金算入できるので、保険期間中は法人税を減らすことができるというのが大きなメリットといえます。

そのメリットを活かすために、解約した場合の税金対策は重要です。

法人保険に加入する場合、経営者が50代、60代であることが多く、また商品によっては契約から約10年でピークを迎えるので、その頃に退職イベントがあればベストです。

しかし、全額損金タイプの場合、返戻率が低めであるというデメリットがあるので、退職金にあてるには物足りないと思われるかもしれません。

そう考える方に注目していただきたい特徴があります。

それは被保険者の年齢が若いとピーク時の返戻率が90%を超える場合があるということです。

家族の中でも若い役員を被保険者として契約し、それを解約して退職金にあてるという方法はいかがでしょうか。

もし全額損金タイプを検討している場合は一度確認してみてください。

「1/2損金」:退職金準備と事業継承におすすめ

逓増定期保険の1/2損金タイプの場合、次のようなメリット、デメリットがあります。


【メリット】

  • 支払保険料の1/2を損金算入できる 全額損金タイプに比べ返戻率が高め 90%を超える期間が約5~10年 

【デメリット】

  • 返戻率がピーク後は早いタイミングで返戻率が減少していく
  • 保険料が高め
  • 保険料支払期間が長め 
  • 支払保険料の1/2が資産計上


全額損金タイプと比較すると、返戻率が高く、またその期間も比較的長く続くので解約のタイミングが計りやすいです。


返戻率が高いので出口戦略としては退職金準備はもちろんですが、事業承継にもおすすめです。


「1/3損金」:40代・50代の退職金準備におすすめ

1/3タイプの場合、次のようなメリット、デメリットがあります。


【メリット】

  • 返戻率が非常に高い(100%超)
  •  返戻率が100%を超える期間が約10年~25年と長期。

【デメリット】

  • 支払保険料の2/3が資産計上 


保険料の2/3が資産計上なので、1/3損金タイプの法人保険は節税にむきません。


高い解約返戻率とそのピーク期間の長さが最大の魅力であり、長い目で資産形成を重視したい法人にむいています


出口戦略としてはまだ若い40代や50代の従業員や役員の退職金準備がおすすめです。

まとめ:法人保険の解約返戻金は、損金の割合で用途が変わる

法人保険の解約返戻金を受け取った場合の出口戦略や経理処理方法についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 法人保険の出口戦略
  • 解約返戻金を受け取った場合の経理処理方法
  • 損金割合別の出口戦略
です。

法人保険に加入するだけでは課税の繰り延べにしかならず、出口戦略をすることで初めて節税効果が生まれるということを説明してきました。

また、加入する商品によってどのように出口戦略を行うかについても参考にしていただければ幸いです。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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