更新日:2022/12/06
海外旅行保険は保険金によって課税か非課税かが変わります!
海外旅行保険は、海外旅行時に、盗難やスリのトラブルをはじめとして死亡保険金まで様々なケースを保障してくれます。課税項目は保険金の種類によって変わり、課税対象や非課税対象どちらもあります。また契約者・被保険者・受取人により税金の種類もかわるので、確認しましょう。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 海外旅行保険で発生する課税項目とは?
- 海外旅行保険の保険金は基本的に非課税だが、死亡保険金は課税対象となる
- 契約者と被保険者が同じで、受取人が異なる場合は、相続税扱い
- 契約者と受取人が同じで、被保険者が異なる場合は、一時所得扱い
- 契約者も被保険者も受取人も異なる場合は、贈与税扱い
- <500万円×法定相続人の数>が非課税となり、遺贈の場合には非課税枠はなし
- クレジットカード付帯の海外旅行保険の死亡保険金に課税されるときの税金の違い
- カード付帯の海外旅行保険の場合、死亡保険金受取人の指定はできず、法定相続人が死亡保険金受取人となる
- カード会社が保険契約者・保険料支払者となりこの場合の保険料は受取人において一時所得として所得税が課税される
- まとめ
目次
海外旅行保険で発生する課税項目とは?
海外で万が一のことがあった場合には死亡保険金が支払われることになりますが、残された家族にとっては今後の大切な資金となるため「税金がどうなるのか」非常に気になるところです。
ここでは海外旅行保険の保険金の課税について
- 死亡保険金に課税される税金の種類
- 相続税の非課税枠
- クレジットカード付帯の海外旅行保険の保険金への課税
を中心にご説明していきます。
「課税」というと難しいと感じてしまうかもしれませんが、大切なことですのでぜひ最後までご覧ください。
海外旅行保険の保険金は基本的に非課税だが、死亡保険金は課税対象となる
海外旅行保険には、海外でもしものことがあった場合の「死亡・後遺障害」補償や、ケガや病気などで医療機関を受診した際の医療費補償、身の回り品の紛失・盗難に対する損害補償など、様々な補償項目があります。
もしも何らかの損害があった場合には保険金が支給されることになりますが、保険金には課税対象になるものと非課税のものがあります。
海外旅行保険の保険金は基本的には課税対象にはならず非課税となりますが、実は死亡保険金だけは課税対象になります。
死亡保険金は、契約者、被保険者、受取人の組み合わせによって、課税される税金が異なりますますので、ケース別に詳しくご説明していきます。
契約者と被保険者が同じで、受取人が異なる場合は、相続税扱い
例えば、契約者と被保険者が夫で死亡保険金受取人が妻や子である場合などです。
契約者 | 被保険者 | 死亡保険金受取人 |
---|---|---|
夫 | 夫 | 妻(または子) |
つまり、夫が自分のお金で海外旅行保険の保険料を支払っていましたが、自分が死んでしまったことにより、妻が死亡保険金を受け取るという形になり、これは相続税が課税される対象となります。
また、後に詳しくご説明しますが、死亡保険金は全額が課税対象となるわけではなく、一定額まで非課税となります。
契約者と受取人が同じで、被保険者が異なる場合は、一時所得扱い
海外旅行保険の死亡保険金で所得税が課税されるのは、契約者と死亡保険金受取人が同じである場合です。
例えば、契約者が妻、被保険者が夫、死亡保険金受取人が妻といった場合です。
契約者 | 被保険者 | 死亡保険金受取人 |
---|---|---|
妻 | 夫 | 妻 |
海外旅行保険の保険料を支払うのは妻で、保険の対象者が夫であり、夫が亡くなってしまった場合に死亡保険金を受け取るのは妻ということです。
つまり、妻は自分で保険料を支払い、自分で死亡保険金を受け取ることになるため、「一時所得」とされ所得税が課税されます。
ただし、死亡保険金全額に対して所得税が課税されるわけではなく、支払った保険料は経費としてみなされるため、死亡保険金から控除することができます。
さらに、一時所得では特別控除額として50万円を控除することもできます。
契約者も被保険者も受取人も異なる場合は、贈与税扱い
海外旅行保険の死亡保険金で贈与税が課税されるのは、契約者、被保険者、死亡保険金受取人が全て異なる人の場合です。
例えば、契約者が妻、被保険者が夫、死亡保険金受取人が子といった場合です。
契約者 | 被保険者 | 死亡保険金受取人 |
---|---|---|
妻 | 夫 | 子 |
このケースでは、妻が海外旅行保険の保険料を支払っていましたが、夫が亡くなってしまったことにより、子供が死亡保険金を受け取ったことになります。
つまり、死亡していない健在の妻から子供へお金が渡ったということになりますので、「生前贈与」ととらえることができ、贈与税が課税されることになります。
なお、このように契約者、被保険者、受取人が全て異なる形で契約する方はあまり多くなく、まれなケースといえます。
<500万円×法定相続人の数>が非課税となり、遺贈の場合には非課税枠はなし
先にもご説明しましたが、海外旅行保険で契約者と被保険者が同じである場合には、死亡保険金に相続税が課税されることになります。
しかし、相続税においては「非課税枠」が設けられており、次の式で求めることができます。
死亡保険金の非課税額=500万円×法定相続人の数
例えば、死亡保険金が2000万円で、法定相続人が妻と子供1人の合計2人である場合で考えてみましょう。
死亡保険金の非課税額は500万円×2人=1000万円となります。
よって、2000万円-1000万円=1000万円となり、1000万円が相続税の課税対象となります。
また、法定相続人以外の人が死亡保険金を受け取った場合は「遺贈」となり、同じく相続税が課税されますが、非課税枠の適用はありませんので注意が必要です。
クレジットカード付帯の海外旅行保険の死亡保険金に課税されるときの税金の違い
海外旅行に出かける際、保険会社などの通常の海外旅行保険に加入するのではなく、クレジットカードに付帯されている海外旅行保険を利用する方もいらっしゃるでしょう。
保険料が別途かからないため、保険料の節約にもなりますね。
クレジットカードに付帯されている海外旅行保険にも「死亡・後遺障害」補償があるため、被保険者が海外で亡くなってしまった場合に死亡保険金が支給されることになります。
しかし、通常の海外旅行保険での死亡保険金とは異なる点があり、死亡保険金受取人が指定できなかったり、課税においても取り扱いが異なったりと注意すべき点があります。
カード付帯の海外旅行保険の場合、死亡保険金受取人の指定はできず、法定相続人が死亡保険金受取人となる
死亡保険金受取人は無条件で「法定相続人」となりますので注意が必要です。
しかし、これはあくまでもクレジットカードに付帯されている海外旅行保険の場合ですので、もし死亡保険金受取人をご自分で指定したいという場合には、保険会社などで通常の海外旅行保険に加入すると受取人を指定することができます。
死亡保険金受取人が指定できないため、通常の海外旅行保険に加入した場合でも、クレジットカードに付帯されている海外旅行保険も利用することができ、「補償の上乗せ」という利用方法もありますので、上手に組み合わせて利用しましょう。
カード会社が保険契約者・保険料支払者となりこの場合の保険料は受取人において一時所得として所得税が課税される
通常の海外旅行保険であれば、すでにご説明しましたとおり、契約者、被保険者、死亡保険金受取人の組み合わせ方によって、相続税、贈与税、所得税が課税されることになります。
しかし、クレジットカードの海外旅行保険の場合は、被保険者は被相続人ですが、保険料を支払っている保険契約者は保険会社となります。
契約者 | 被保険者 | 死亡保険金受取人 |
---|---|---|
クレジットカード会社 | 被相続人 | 法定相続人 |
この場合、死亡保険金を受け取った方には一時所得として所得税が課税されることになります。
まとめ
この記事のポイントは
- 契約者と被保険者が同じで、受取人が異なる場合・・・相続税
- 契約者と受取人が同じで、被保険者が異なる場合・・・所得税
- 契約者、被保険者、受取人がそれぞれ異なる場合・・・贈与税
- クレジットカード付帯の海外旅行保険では死亡保険金受取人は指定できず、受取人には所得税が課税される
です。
保険金に課税される税金についてはなかなか理解するのが難しいですが、いざ受給する際にはとても重要なことですので、ぜひ参考にしていただければと思います。
なお、ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。