更新日:2024/04/23
子育ての味方、学資保険が募集停止へ。マイナス金利の影響とは。
マイナス金利の影響で学資保険などの貯蓄型保険が相次いで募集停止になっています。景気向上のために採用されたマイナス金利ですが、学資保険にどのような影響があるのでしょうか。また、募集停止にまでなってしまうのはなぜなのでしょうか。解説していきます。
目次を使って気になるところから読みましょう!
学資保険の一部商品の募集が停止された
このマイナス金利は景気回復のための政策として採用されましたが、貯蓄型保険にとっては厳しい影響が出てきてしまうもの。そのため、2016年4月ごろから、大手保険会社が学資保険の募集停止を発表し始めました。
では、マイナス金利は学資保険にどのような影響を与えるのでしょうか?今回はマイナス金利と学資保険募集停止の仕組みについて解説していきます。
募集が停止された学資保険の一覧
すでに募集が停止された学資保険には、以下のような商品があります。
- アフラック「夢みるこどもの学資保険」(2016年4月~)
- かんぽ生命「はじめのかんぽ」(2016年6月~)
- 明治安田生命「つみたて学資」(2016年10月~)
大手保険会社が募集停止に踏み切っていることが分かります。
現在販売中の学資保険も、今後募集停止の可能性はあります。
また、募集停止とまではいかなくても、保険料を値上げすることで返戻率を維持している商品もあります。
この場合、満期金と保険料のつり合いがとれているのかしっかりと確認することが必要です。
学資保険の募集停止の理由
マイナス金利の影響
マイナス金利の導入が、学資保険の募集停止の大きな理由です。
まずはマイナス金利の仕組みを簡単にご説明します。
私たちが銀行にお金を預けると、利息としてお金が増えますよね。この利息をマイナスにする仕組みをマイナス金利と言います。
このマイナス金利が導入されると、銀行に貯めているお金は減ってしまうことになります。
すると、「銀行に預けているとお金が減ってしまうなら、預けずに使おう」という心理が働きます。そのため市場に出回るお金が増えて景気が良くなっていくのです。経済を循環させ、景気の向上に繋げようとする目的で採用されました。
ちなみにこのマイナス金利は私たちの預金の増減には何の関係もありません。私たちが利用する「金融機関」が「日本銀行」と取引する時の金利をマイナスにしたものだからです。
マイナス金利によって銀行がお金を貯め込まずに市場に出していく流れになっているので、住宅ローンなどは金利が下がりお得になっています。
現在の好景気の1つの要因はこのマイナス金利なので、経済にとってはメリットが大きい政策だと言えます。
マイナス金利が学資保険に与えた影響
経済にとってはメリットの多いマイナス金利。しかし学資保険などの貯蓄型保険にはデメリットの方が多いのです。その結果、募集を停止する商品が出てきてしまっています。
マイナス金利が導入されたことで、保険会社の運用による見込み利益である「予定利率」が下がりました。
予定利率は金融庁が設定する「標準利率」によって定まります。マイナス金利で金利が低下しているので、当然この標準利率は引き下げになりました。具体的には、2017年4月に、それまで1%だった標準利率が0.25%にまで低下。
そのため、保険会社の見込み利益である予定利率も下がってしまう結果になってしまったのです。この仕組みのままでは保険会社は採算をとることができず、また、保険加入者に返戻金を十分に支払うことも困難。そのため、今回のような学資保険の募集停止という事態に至っています。
元本割れする学資保険が出てきた
このような商品の場合、一括して保険料を値上げしたり、値上げをしすぎた影響で返戻率が低下し、元本割れする学資保険が出てきました。
【返戻率】=【受け取る保険料】÷【払った保険料】×100
この式で計算して100以下になる場合には元本割れをしている学資保険です。
加入の際にはシュミレーションを行い、きちんと見極めましょう。
元々学資保険に入っていた人はお得なのか?
結論から言うと、今回のマイナス金利による影響は「これから加入する人」にのみ当てはまります。すでに加入している保険は、加入時の条件がそのまま適用されるので心配ありません。
また、自分の加入している保険が募集停止になってとしても問題はありません。新規加入募集を停止しているだけですので、満期までしっかりと保障は続いていきます。
今後もっと良い返戻率の保険が出てきた場合には損をすることになりますが、現状の経済状況を考えると、元々学資保険に入っていた人の方がお得だと言えるでしょう。
まとめ
マイナス金利が採用されている現状だと、運用が難しいため返戻率にあまり期待はできません。そのため加入を見合わせている方も多いです。お子様のための資金準備を検討する際には、学資保険以外の方法も合わせて調べてみるようにしましょう。