大学に入学するなら学資保険はどうすべき?大学に行かない場合も解説

大学入学を想定した際、学資保険の加入を検討する方は多いのではないでしょうか。実際、家計のやりくりだけでは大学の費用には足りない場合が多いです。この記事では大学入学のため学資保険をいくらに設定すべきか・大学教育費のためにどのような学資保険を選ぶべきか解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

子どもを大学に入学させる場合、学資保険はどうしてる?


子どもの教育資金の用意のために学資保険の利用を検討している方は多いのではないでしょうか。


幼稚園、小学校、中学校、高校と子供のライフステージが変わるごとに費用はかかってきます。高校までの教育費無償化は進んできていますが、一定の負担は必要です。


特に大学進学を考えた時には、ある程度まとまった金額を用意しておかなければなりません。その際の助けとなるのが学資保険といわれているからです。


実は学資保険の利用には満期返戻金の設定や受け取り方など、いくつか注意しなければならない点があります。


単に加入しておけば大丈夫、というわけにはいかないのが学資保険なのです。


そこで、この記事では学資保険について、

  1. 設定金額は大学によって異なる
  2. 加入するタイプは、受け取るタイミングを考えて選ぶ
  3. 使い道は大学進学以外にもある
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、学資保険を検討する際に役立つかと思います。

是非最後までご覧ください。

学資保険をいくらに設定すべきかは大学によって大きく異なる

学資保険の返戻金をいくらに設定するべきかは、進学する大学が国立か私立かによって異なります。


大学に進学する場合に必要な費用としては、初年度学生納付金があり、国立大学、私立大学ごとの内訳は次の通りです。


国立大学

入学検定料入学料授業料
合計
17,000円282,000円535,800円
834,800円



私立大学

授業料入学料施設設備費合計
904,146円249,985円181,902円1,336,033円

(文部科学省 「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」より引用)


国立大学と私立大学との初年度学生納付金の額を比較すると、


初年度学生納付金合計額
国立大学834,800円
私立大学1,336,033円

となり、両者の間にはかなりの開きがあることがわかります。


この例からわかるように、国立大学と私立大学のどちらに進学するかによって、用意しなければならない金額は異なってくるのです。


そのため、学資保険を利用する際に設定するべき満期金の額も進学予定の大学が国立私立いずれかによって違ってきます。

学資保険だけでは大学の教育には足りないことに注意

大学進学の費用をまかなうための学資保険ですが、それだけでは不十分といわれています。


先述した通り、大学進学後、毎年支払うこととなる授業料は国立大学で約54万円

私立大学では平均して約90万円です。


また、独立行政法人日本学生支援機構の調査によると、大学進学後にかかる1年間の生活費は次のようになります。

区分生活費(食費・住居・光熱費・保健衛生費・娯楽費・その他日常費)
国立大学869,200円
公立大学770,100円
私立大学643,000円

(独立行政法人日本学生支援機構 「平成28年度学生生活調査結果」より引用)


たとえば、国立大学の場合、授業料と上記表の生活費とを合算すると約150万円です。


(535,800円(授業料)+969,200円(生活費)=1,505,000円)


この金額を大学4年間分と考えて4倍すると、602万円。


上記の表は平均値ですから、必ずしも実態を反映しているとはいえませんが、大学卒業までにかかる費用として押さえておくべき金額といえるでしょう。


後述するように、学資保険を利用して準備する金額は平均で200万円といわれていますが、その金額では不足してしまうのです。

仮に全額を学資保険で用意するとすれば、保険料負担が大きくなり現実的ではありません。


そのため、学資保険はあくまでも大学入学時の補助とし、無理のない範囲で積み立てていくのがおすすめです。

学資保険の平均的な満期金額は約200万円

一般的に学資保険を利用して用意する平均的な金額は約200万円といわれています。

先述した通り、この金額では大学卒業までの費用としては足りませんが、入学時に必要な費用はまかなうことができます。


大学進学を考えた時、もっともお金がかかるのが入学の時なので、そこをしのげれば後は奨学金や教育ローンの利用、さらに子ども自身がアルバイトなどをすることで学費をねん出する家庭が多いからなのです。


また、学資保険の満期返戻金を200万円とした場合の保険料は、平均して月々1万円から2万円となっています。


たとえば、ソニー生命の学資保険(無配当)Ⅲ型では、満期返戻金を200万円とした場合

  • 保険料払込期間18年間とすると毎月の保険料は9,020円。
  • 保険料払込期間10年間とすると毎月の保険料は15,788円

となります。


この範囲の金額であれば、児童手当でまかなうことができます。


そのため、家計の負担を抑えることができる、ということも学資保険の平均的な満期金額が200万円といわれる理由の1つのようです。

学資保険のタイプはどう選ぶ?受け取りのタイミングをよく考えよう

学資保険を選ぶ際には、満期返戻金を受け取るタイミングをよく考える必要があります。


学資保険は満期返戻金がおりる時期が決まっています。そのため、どの時点で満期返戻金を受け取るのがよいのか、ということをあらかじめ明確にしておく必要があるのです。たとえば、大学進学時にお金がおりなければ加入する意味はありません。


また、大学進学時だけではなく、小学校、中学校、高校とそれぞれのステージごとに費用はかかります。


それらのステージすべてを学資保険の満期返戻金でまかなうのか、それとも大学進学時に集中させるほうがよいのか、という問題もあります。


学資保険には様々なタイプがあるので、子どものライフステージごとに必要な費用をどのように用意するのかという点についてもよく考えて加入することが大切です。


なお、学資保険の契約者貸付制度を利用するという方法もあります。満期返戻金の受け取り時期がずれてしまった場合などには便利と考えることもできるでしょう。


しかし借りることができる金額は解約返戻金の70%から80%の範囲にとどまるため、必要な金額を用意することができない可能性がありますので、利用には注意が必要です。  


このように、学資保険の満期金・受け取りタイミングの決定は慎重に検討しなければなりません。


自分1人での判断が難しいと感じた場合には、保険の専門家に相談してみることをおすすめします。


後悔がないように、最善の選択をしていきましょう。

保険相談は以下より無料で予約可能となっております。

大学入学時の費用が一般的には最も高くなる

大学に進学した時には、入学の際にかかる費用がもっとも高くなります。先述した通り、授業料に加えて入学料や施設設備費などが別に必要となるからです。


また、大学入学以降は生活費がかかります。

特に親元を離れて一人暮らしをする場合にはその分の費用が必要です。


既に紹介した独立行政法人日本学生支援機構の調査結果では、国立大学に通う学生の生活費のほうが私立大学に通う学生の生活費より多くなっています。


これは、自宅以外に部屋を借りて大学に通う学生の割合が私立大学よりも国立大学のほうが高いためです。


アパート、下宿などに住む学生の割合

  • 国立大学 68,1%
  • 公立大学 59,9%
  • 私立大学 35,3%
(独立行政法人日本学生支援機構 「平成28年度学生生活調査結果」より引用)


生活費は一時的なものではなく、金額が決まっているわけでもないため、学資保険の満期返戻金の利用は大学入学時に的をしぼることをおすすめします。

大学に行かない場合も学資保険に加入する必要がないわけではない

大学に進学しない場合でも学資保険に加入しておくことが無駄になることはありません。学資保険は、将来必要となる可能性のある教育費支出に備えるためのものです。しかし、学資保険の満期返戻金の使い道は大学進学のためだけに限定されていません。


満期返戻金の使い道は、受取人裁量に任されているのです。


そのため、子どもが大学に行かずに仕事を始めたとしても、期日がくれば満期返戻金は支払われますし、使い道は自由です。


たとえば、子どもの結婚資金、住宅の購入や補修のための資金など、使い方は色々あります。もちろん、子どものためだけではなく、親のために使うこともできます。


通常の積立保険と同じ感覚で利用することができるのです。

学資保険の満期金を子供にあげるなら贈与税に注意しよう

学資保険の満期返戻金の受取人を子どもにする際には贈与税に気を付けなければなりません。


贈与税は、個人から金銭や不動産といった財産をもらった人が負担しなければならない税金です。


学資保険でいえば、満期返戻金を子どもが受け取る形で契約していると、子どもに対して贈与税がかかってしまいます。


学資保険の保険料は親が負担します。

子どもは親の支払った保険料を運用することで得られる満期返戻金をもらうのですから、贈与税を負担する対象となるのです。


しかし、満期返戻金の額によっては贈与税を支払わなくてもよい場合があります。


贈与税には年間110万円の基礎控除額が認められており、満期返戻金の額が基礎控除額の範囲内であるならば、贈与税を支払わなくてもよいこととなっているのです。


学資保険の満期返戻金の受取人を子どもにする場合には、満期返戻金が基礎控除額を超えてしまうと贈与税の対象となることに注意が必要です。


なお、満期返戻金の受取人が親の場合には、贈与税の対象になりません。


この場合には一時所得として所得税の対象となるからです。ただし、対象となるのは、満期返戻金から支払った保険料の総額を差し引いた金額が50万円を超える場合のみです。


なお、この50万円は所得税の特別控除額と呼ばれています。


ちなみに、現在販売されている学資保険の返戻率(払い込まれた保険料に対して、満期時に期待できる返戻金の割合)は、高い商品でも105%となります。


そのため、所得税の心配はしなくてもよいといえるでしょう。

大学入学を想定するなら学資保険と+αで貯金しておこう

学資保険について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  1. 学資保険の設定金額は国立大学、私立大学どちらを選ぶかによって異なる
  2. 学資保険に加入する際には、満期返戻金の受け取り時期を考える
  3. 大学卒業までを学資保険でまかなうことは難しい
  4. もっとも出費がかさむ大学入学時の費用を学資保険で対応
  5. 学資保険の使い道は、必ずしも大学進学に限られたわけではない
  6. 満期返戻金の受取人を子どもにすると贈与税の対象となる可能性がある
です。

大学に入学したあとも、授業料を始めとしてお金がかかります。

奨学金の利用やアルバイトなどを別にしても、ある程度の資金の余裕は必要でしょう。
そのため、大学進学を考える場合には、学資保険の他に+αとなる貯金をしておくことをおすすめします。

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