更新日:2019/11/06
マイナス金利の影響を受け、学資保険の魅力が薄くなっている理由
2016年1月下旬にマイナス金利が導入されることが決定しました。そして、同年2月16日にマイナス金利が施工されました。マイナス金利が導入されると学資保険に影響が出るとはどういうことなのか。現在加入している学資保険にも影響があるのかを調査してみました。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 学資保険と金利の関係を解説!
- 学資保険とは、子どもの教育資金を貯めるための貯蓄性商品
- 現在日本は、マイナス金利政策により、低金利時代である
- マイナス金利とは?
- 標準利率も0.25%に引き下げられた
- 予定利率が下がり、学資保険の返戻率も下がっている
- 低金利のため、学資保険の保険料が上がって、返戻率も下がっている
- 保険会社の学資保険の販売停止も相次いでいる
- すでに加入している場合は販売停止になっても問題ない
- 学資保険は長期固定金利のため、現在はあまりお得感がない
- 長期固定金利のため、今後金利が上昇すると損をするリスクがある
- 変動金利型個人向け国債や利率変動型終身保険、ドル建て終身保険が人気になっている
- 参考:学資保険の契約者貸付制度と金利の関係について
- まとめ
目次
学資保険と金利の関係を解説!
なぜ、教育資金確保のために、学資保険に加入するかというと、高い返戻率にあります。
しかし、年々、返戻率が下降傾向にあります。
それには金利が関係しているようです。金利と学資保険との関係を見ていきましょう。
学資保険とは、子どもの教育資金を貯めるための貯蓄性商品
返戻率とは、学資保険の保険料支払総額に対して受け取ることのできる金額(満期返戻金または祝い金)との割合の事を言います。
例えば保険料支払総額が100万円、満期で受け取ることの金額が105万円だった場合、返戻率はどれくらいになるかというと
105万円÷100万円×100=105%で105%の返戻率になります。
現在、学資保険の返戻率が下がっているといえども、学資保険の中には110%を超える返戻率も存在します。
では、返戻率を下げる学資保険と金利の関係を見ていきましょう。
現在日本は、マイナス金利政策により、低金利時代である
マイナス金利が実施されたことにより、現在の日本は低金利時代に突入したと言えます。
しかし、低金利になり金利が下がったことが、なぜ学資保険の返戻率と関係があるのでしょうか。
まずは、マイナス金利とは何かを見ていきましょう。
マイナス金利とは?
マイナス金利とは呼び名の通り金利がマイナスになります。
銀行にお金を預けると金利がつきますが、マイナス金利とはそれとは逆となり、銀行にお金を預けると金利を払わなければなりません。
これは、個人と銀行との話ではなく、日本銀行と民間銀行との話になります。
個人が銀行にお金を預けていても銀行に利子を払う訳ではありません。民間銀行は日本銀行にお金を預けるわけですが、その日本銀行にお金を預け続けてしまうと日本銀行に利子を払い続けなければなりません。
それならばお金を預けるよりも、企業にお金を貸し出したり、投資にお金を回したりした方が良い事になります。
そのように、市場にお金が出回るようにするためにマイナス金利が導入されました。
標準利率も0.25%に引き下げられた
責任準備金とは、保険会社は、契約者に万が一のことがあった場合に保険金を支払ったり、給付金を支払わなければなりません。
その支払いのために保険会社は十分な金額を準備しておかなければなりません。このことを責任準備金と言います。
その、標準利率が1%から0,25%まで引き下げられました。
標準利率が引き下げられたため、以下のような影響が出ています。
予定利率が下がり、学資保険の返戻率も下がっている
標準利率が引き下げられたことにより、予定利率も引き下げられました。
予定利率とは、生命保険の契約者から預かった保険料を運営して得られる収益の利率を言います。
その見込んだ収益を計算し、保険料を決めたり、返戻率を決めたりします。
運用利回りが下がったということはどういうことなのでしょう。
例えば、運用利回りが年3%の場合、契約者から預かった100万円を運用したとします。
単利で計算すると10年後には130万円増えます。
運用利回りが下がり運用利回りが1%に下がると10年後には110万円になります。
このように、運用利回りが下がるということは、保険会社が運用して得られる利益が減るということになります。
予定利率が下がると、学資保険の返戻率が下がってしまいます。
なぜ、下がるのか。具体的な例を見ていきましょう。
低金利のため、学資保険の保険料が上がって、返戻率も下がっている
予定利率が下がり、保険会社の運営が厳しくなってくると、契約者の保険料を上げなければならなくなります。
返戻率の計算方法は
返戻率=満期返戻金・祝金総額÷保険料支払総額×100
となります。100%を超えれば元本割れをしません。
これまで300万円の満期返戻金が売りの学資保険が保険料支払総額270万円で販売されていたものが、予定利率が下がった為、270万円で販売ができず、290万円に値上がりした場合の、双方の返戻率を見てみると
300万円÷270万円×100=111.1%
300万円÷290万円×100=103.4%
以上のような差が出てきます。
しかし、以上のように学資保険を商品として維持できる保険会社はまだ良いかもしれません。
低金利時代は、学資保険に大きな影響を与えています。
保険会社の学資保険の販売停止も相次いでいる
特に、貯蓄型の保険には、大きな影響を与えています。
保険料の値上げだけではなく、学資保険の販売を中止する保険会社も出てきました。
保険会社 | 学資保険商品名 | 時期 |
---|---|---|
かんぽ生命 | はじめのかんぽ(保険料払込免除なし型) | 2016年6月 |
明治安田生命 | つみたて学資(5年払込済のみ) | 2016年10月 |
アフラック | 夢みるこどもの学資保険 | 2016年4月 |
ソニー生命 | 学資保険スクエア(全型) | 2016年12月 |
すでに加入している場合は販売停止になっても問題ない
そして、保険料が上がることもありません。
学資保険に加入する際に契約した通りに進んでいきますのでご安心下さい。
学資保険は長期固定金利のため、現在はあまりお得感がない
高い返戻率が目的で加入することが多い学資保険ですが、魅力の返戻率が下がる今、学資保険の魅力が薄くなっているのも事実です。
さらに、長期固定金利の為、将来の金利の動きによってはさらに魅力の薄い商品となります。
長期固定金利のため、今後金利が上昇すると損をするリスクがある
その場合、これまで述べたことの逆の現象が起こり、金利が上がるかもしれません。
金利が上がり、標準利率が上がり、それに伴い予定利率も上がり、保険料が下がり返戻率が上がる可能性もあるのです。
途中で解約することが一番勿体ない学資保険だけに、今加入し20年後に金利が上昇し続けたら損をするリスクもあります。
変動金利型個人向け国債や利率変動型終身保険、ドル建て終身保険が人気になっている
変動金利型個人向け国債
これまで、投資に興味が無かったり縁がなかった方々が投資するには魅力的な商品になります。
取り扱ってる金融機関も幅広く、証券会社だけではなく銀行も取り扱っています。
大きな魅力の一つが元本が保証されているところです。
さらに、途中解約しても元本が保証されています。
マイナス金利の今だからこそ、金利上昇を見据えて変動金利型個人向け国債を選ぶ方が多いようです。
利率変動型終身保険
その名の通り終身保険の一種となり、市場の金利変動にリンクし、積立利率を見直すところが特徴的な終身保険です。市場の金利が変わると、保険金や解約返戻金も変わっていきます。
インフレにも柔軟に対応できる保険で、これから日本は東京オリンピックに向かいインフレが予想されています。
現在、貯蓄しているお金の価値が下がることをインフレといいます。
例えば、500万円で購入できていた高級車が、物価の高騰と共に500万円で購入できないことをインフレといいます。
マイナス金利時代に貯えたお金がインフレに負けないように、利率変動型終身保険を選ぶ方が多いようです。
ドル建て終身保険
ドル建て終身保険の特徴は、割安な保険料で大きな保障が得られるところにあります。
その理由は円建ての保険より予定利率が高くなっているからです。
ドル建て保険は、為替の変動を利用し、為替差益の収益を利用し保険料を運営しています。
利益も出ることもありますが、為替の変動によっては減益になる場合があるので注意が必要です。
さらに、手数料もかかりますので、手数料の考慮も必要です。
リスクもありますが、低金利時代に格安な保険料で大きな保障が得られるところ魅力で選ぶ方が多いようです。
参考:学資保険の契約者貸付制度と金利の関係について
契約者貸付制度とは、現在での解約返戻金を借りることができる制度をいいます。
この契約者貸付制度を利用すると低金利でお金を借りることができます。
しかし、マイナス金利に突入している今、どれぐらいお得なのか、他のローンと比べてみましょう。
ローンの種類 | 金利 |
---|---|
契約者貸付制度 | 1.25%~6.25% |
カードローン | 1.9%~14.6% |
自動車ローン | 1.85%~4.475% |
まとめ
学資保険とマイナス金利との関係をまとめてみました。
低金利時代に突入し、学資保険だけではなく、貯蓄性のある保険の魅力が薄くなっていることがわかりました。
しかし、元本割れをしない学資保険があるものの、加入するかどうかは迷うところです。
子どもの教育資金確保は必須事項なので、少しでも多く子どもの教育資金を確保しましょう。
学資保険の選び方が知りたい方はこちらの記事もご覧ください