【プロが推奨】40代の方は積立目的で貯蓄型生命保険を選ぶのは危険!

40代は将来の積立を考え出す年代ですよね。保険の加入を考える際、40代からコツコツ積立ができる貯蓄型の生命保険をすすめられたことはないでしょうか。なんとなくお得そう、掛け捨て型は保険料が無駄になりそうという理由で貯蓄型の生命保険を選ぶのは危険サインです!

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

40代に積立目的で貯蓄型生命保険を選ぶことはおすすめできない

40代の人が生命保険への加入を検討する時、掛け捨て保険貯蓄型保険か、どちらを選べばいいか迷ってしまう人は多いと思います。


「掛け捨て保険は戻ってくるお金がないから保険料がもったいない気がする」「貯蓄型保険は積み立てた分のお金が戻ってくるから無駄にならないし、お得に感じる」という考えから、安易に貯蓄型保険を選んでしまうのは危険です。


この記事では、

  • 40代で貯蓄型保険が向いている人
  • 貯蓄型保険のメリット・デメリット
  • 貯蓄型保険の割高な保険料
  • 途中解約する際の元本割れリスク
  • 他の投資商品よりも低い利回り
  • 貯蓄型保険の税金控除と利回り
  • iDeCoの税金控除と利回り

について、解説していきます。


この記事を読んでいただければ、貯蓄型保険のメリット・デメリットが分かり、40代が貯蓄型保険を選ぶべきかどうかの判断材料として役立つと思います。


また、貯蓄型保険個人型確定拠出年金(iDeCo)税金控除額利回りをシミュレーションし、どちらか有利であるか比較してみます。


ぜひ最後までご覧ください。 

40代で貯蓄型保険をおすすめできる人の特徴とその理由

40代で貯蓄型保険をおすすめできるのは、以下のような人たちです。


①保険料を払込期間中に問題なく支払いできる40代


貯蓄型保険の保険料は割高で、払込期間(積立期間)は最短で10年、中長期で20年~30年となっています。


払込期間終了後に解約すると、解約時期にはよるものの、支払った保険料の総額を上回る解約返戻金を受け取れる場合がありますが、短期の解約だと元本割れを起こす可能性があります。


40代は教育費・住宅費・生活費などの出費が多い時期です。


貯蓄型保険に向いているのは、高い保険料を問題なく支払えて、早期に解約する必要のない、比較的お金に余裕のある40代だと言えるでしょう。


②目的別に計画的な貯蓄を続けたい40代


貯金が苦手な人は保険料が強制的に積立される貯蓄型保険を利用して、計画的かつ確実に貯蓄を行うことができます。


教育資金を準備するためには学資保険、老後資金を準備するためには個人年金保険終身保険など、目的別に生命保険を活用すると良いでしょう。


③生命保険料控除で節税したい40代


生命保険料控除は、その年に支払った保険料の一定額をその年の所得から控除でき、課税所得を減らせるので所得税や住民税が軽減されるメリットがあります。


ただし、生命保険料控除は貯蓄型保険に限らず、掛け捨て保険でも適用されます。


また、生命保険料控除額には上限があり、無限に受けられるわけではありません。 


生命保険料控除の区分は以下のようになっています。

  • 一般生命保険料控除:死亡保障メインについて受けられる控除(死亡保険)
  • 介護医療保険料控除:入院や通院について受けられる控除(医療・がん保険)
  • 個人年金保険料控除:個人年金保険について受けられる控除(個人年金保険) 

貯蓄型生命保険ってお得そうだけど何がいけないの?

貯蓄型保険は払込保険料が戻ってくるという意味で、損にはならず、むしろお得な生命保険ではないかと感じる40代の人もいると思います。


実際、貯蓄型保険には以下のようなメリットがあります。

  • 生命保険の保障を確保しながら貯蓄もできる
  • 生命保険料控除を活用して節税できる
  • 一定期間を過ぎると払込保険料よりも受け取る保険金の方が多くなる可能性がある
保障を確保しながら貯蓄までできるというのはとても魅力的ですよね。

しかも払込保険料の総額よりも受け取る保険金額が多くなる場合もあるなんて夢のようです。

しかしそのようなメリットがある一方で、もちろんデメリットもあります。

  • 保険料が割高
  • 早い時期に解約すると元本割れを起こす可能性が高い
  • 貯蓄面では他の金融商品よりも効率が悪い

貯蓄型保険はお金が貯まるまでの年数が長く、効率が良いとは言えないため、貯蓄を目的とする40代にはおすすめではありません。


その理由を詳しく見ていきましょう。 

月額の保険料が高額

貯蓄型保険は、掛け捨て保険と比較すると、毎月の保険料は高額になっています。


その理由は、貯蓄型保険の保険料のうちには、保障を用意するための費用のほかに、加入者に払い戻すための積立金も含まれているためです。


具体的な例で言うと、死亡保険の場合、掛け捨ての定期保険よりも、解約返戻金のある終身保険の方が毎月の保険料は割高になっています。


40代で家計に余裕のない人は、高額な保険料が家計を圧迫する可能性があるため、貯蓄型保険はおすすめではありません。

途中解約すると大幅に損をする

貯蓄型保険は、解約するタイミングによって、支払った保険料よりも受け取る保険金の方が少なくなり、元本割れを起こすケースがあります。


一般的に、貯蓄型保険は、加入してからある程度の期間が経過していないと、受け取れる解約返戻金が支払った保険料を超えることはほとんどありません。


例えば、払込期間が15年間で、10年目で解約する場合、この地点では利息はついておらず、さらに生命保険会社の経費が一定額差し引かれてしまうため、支払った保険料よりも少ない額の解約返戻金を受け取ることになってしまいます。


40代は教育費・住宅費・生活費など、お金のかかる時期なので、まとまったお金が急に必要になることもあると思います。


貯蓄型保険は加入後、早い時期に途中解約すると、解約返戻金が元本割れして大幅な損をする可能性が高いので、注意が必要です。

積立保険は他の運用と比較して利回りが低い

貯蓄型保険は、近年の超低金利で投資商品としてのメリットはほとんど失われてしまいました。

円建ての場合、予定利率(生命保険会社が契約者に約束する運用利回り)が低く、保険金を受け取るために必要な保険料が高くなり、平均寿命まで生きた場合の利回りは1%を下回るものがほとんどです。

一方で、外貨建ての貯蓄型保険や変額保険は、円建てよりも高い予定利率で割安な保険料となっているため、注目を集めるようになりました。

外貨建ては保険料を外貨で積み立てていく商品で、変額保険は保険料の一部を株式や債券などに投資して運用していく生命保険商品です。

ただし、どちらの商品も保険金を受け取るタイミングにより、保険金額が上下し、場合によっては損失が出てしまう可能性もあるので注意が必要です。

上記のような貯蓄型保険以外の投資商品としては、株式投資信託FXなどがあります。

これらは投資の知識や手間が必要とされ、運用次第で高い利回りを実現できることもあれば、大きな損失を出してしまう可能性もあるハイリスク・ハイリターな商品のため、投資経験の少ない40代にはおすすめではありません。

低リスクで、比較的高い利回りを享受でき、税制優遇も受けられる資産運用としては、個人型確定拠出年金(iDeCo)つみたてNISAなどがおすすめです。

貯蓄型生命保険とiDeCoの利回りと税金控除を計算

個人型確定拠出年金(iDeCo) は、加入者が毎月一定の金額を積み立てて(掛金を拠出)、定期預金・生命保険・投資信託などの金融商品で自ら運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取れる年金制度です。


iDeCoには、以下のような税制優遇のメリットがあります。

  • 掛金は全額が所得控除の対象となり、所得税・住民税を節税できる
  • 運用で得た定期預金利息や投資信託運用益は非課税
  • 60歳以降の受取り時、公的年金等控除や退職所得控除を受けられる

貯蓄型保険やiDeCoは、老後資金形成の目的で40代から始める人も多いですが、それぞれどんな税制優遇があり、具体的にいくらの税金控除を受けられるのでしょうか。


また、税金控除により得られる還付金をリターンと見なして、どれくらいの利回りが実現されるのか、シミュレーションしてみましょう。

貯蓄型保険の利回りと税金控除額

貯蓄型保険は、生命保険料控除の対象となり、確定申告や年末調整で1年間に支払った保険料に対して、税金控除が受けられます。 


以下の例で、税金控除額と利回りをシミュレーションをしてみましょう。

  • 年収:500万円(所得税20%)
  • 保険料:毎月2万円/年間24万円
貯蓄型保険(平成24年1月1日以後に加入)の税金控除

商品種類終身保険・個人年金保険
学資保険・養老保険など
年間保険料24万円
年間控除額所得税:年間最高4万円
住民税:年間最高2.8万円
還付金額10,800円   

還付金額の計算方法は以下になります。

4万円×20%(所得税率)+2.8万円×10%(住民税率)=10,800円

年間保険料24万円を投資金額、還付額10,800円をリターンと考ると、単年計算で利回りは年4.5%になります。

iDeCoの利回りと税金控除額

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、小規模企業共済等掛金控除の対象となり、掛金は全額所得控除が受けられます。


以下の例で、税金控除額と利回りをシミュレーションをしてみましょう。

  • 年収:500万円(所得税20%)
  • 保険料:毎月2万円/年間24万円

iDeCoの税金控除

商品種類定期預金・保険・投資信託 
年間保険料24万円 
年間控除額  24万円
還付金額72,000円

還付金額の計算方法は以下になります。

年間掛金24万円×(20%所得税率+10%住民税率)=72,000円

年間保険料24万円を投資金額、還付額72,000円をリターンと考えると、単年計算で利回りは年30%になります。


以上のように、iDeCoは貯蓄型保険と比べると、圧倒的な節税効果があります。


また、以下のようなメリットもあり、より有利な運用が可能となります。

  • 運用期間中に発生する利益は非課税
  • 一時金の受取りが1,500万円までは非課税
  • 一時金で受け取る場合は退職所得控除が受けられる
  • 年金で受け取る場合は公的年金等控除が受けられる
40代で老後の資産形成を始める場合は、iDeCoの活用がおすすめです。

40代の保険は掛捨てに貯蓄は保険以外で

貯蓄型保険の特徴や利回りについて説明し、40代は貯蓄型保険に加入すべきかどうかを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 40代で貯蓄型保険が向いているのは余裕資金がある人
  • 貯蓄型保険は掛け捨て保険よりも保険料が割高
  • 貯蓄型保険は早い時期に解約すると元本割れのリスクがある
  • 他の投資商品と比較すると、貯蓄型保険は利回りが低い
  • 貯蓄型保険は生命保険料控除で節税できる
  • iDeCoの税制優遇は生命保険料控除よりも充実
  • iDeCoの税金控除により高い利回りを実現できる

でした。


40代で比較的お金に余裕のある人は貯蓄型保険に向いていますが、貯蓄を目的とする場合は、保険料の高さや効率の悪さから、貯蓄型保険はおすすめではありません。


貯蓄型保険を含む生命保険商品全般は、生命保険料控除が適用されますが、iDeCoはより充実した税制優遇があり、40代が老後の資産形成をするには有利な商品と言えます。


みなさんもこれを機に、40代の生命保険の選び方について確認してみてはいかがですか?


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

生命保険の選び方が気になるという方はぜひこちらを読んでみてください。

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