生命保険ALL

生命保険の必要性

生命保険の選び方

生命保険の見直し

保険の告知義務違反の判例で明確にされた告知義務のポイントを解説!

生命保険等の告知義務違反で契約を解除された場合、その認否が法廷で争われることもあります。裁判官が判決を行う際は、単に当事者へ勝訴、敗訴を下すばかりではなく、何故、告知義務違反となったのかも明示しています。今回は判例を通して、告知義務のポイントを解説します。

保険の告知義務違反について!判例における告知義務の争点とは?

生命保険に加入しようとした際に、営業マンから今の健康状態や、過去の病歴について細かく聞かれたり、病院に連れて行かれたりして驚くことがあります。

実は、保険会社は、健康な人とそうでない人の支払いのリスクに対してバランスをとるための方法として、保険料に差をつける等の対応をします。

そのための基礎的な情報となるのが、加入しようとする人からの健康告知なのです。

「もし、健康について聞かれたときに、病気のことを黙っていたり、うそをついたらどうなるのだろう?」と思ったことのある方も多いのではないでしょうか?

この記事では、
  • 生命保険の告知義務違反の裁判と判例におけるポイント
  • 告知義務違反の判断はどこでされるのか
  • 告知を誠実にすることは自分のため?
について解説していきます。

この記事を読んでいただければ、「なぜ誠実で正確な健康告知が求められるのか?」「告知義務違反があった場合、どうなるのか?その判例は?」といった疑問が解消できると思います。

是非最後までお読みください。

生命保険等の告知義務違反の判例におけるポイントを解説!

一般的な生命保険商品(無告知型や限定告知型以外)に加入しようとした場合、健康状態についての告知を求められます。

しかも、現在の健康状態ばかりではなく、過去にさかのぼって聞かれる場合も少なくありません。

これは、生命保険会社が加入しようとしている人と契約を結ぶにあたって、健康な人であるかそうでないかによって、引受の条件に差をつけるためです。

健康でない人は、健康な人に比べ保険料が割高になったり、場合によっては保険加入を断ることもあります。

自分の健康に自信がなかったり、実際に持病のために治療を受けている人は、保険に入るために、うその告知をしてしまうことがあり、これを告知義務違反といいます。

うその告知をして保険に加入できたとしても、いざ入院などをして給付金を請求しようとしたときに、そのうそがばれ、保険契約が解除されてしまうということも実際に起こっています。

告知義務違反と判断された人が、保険会社を相手取って裁判を起こすという事例は少なくありません。

この場合、裁判では単に訴えた人の勝訴・敗訴の判断を下すだけではありません。

告知に当たって、どのように告知をしなければならなかったかという点も裁判官が明示することになっています。

告知義務違反はなぜばれるのか、調査方法について

告知は保険加入において非常に重要な意味を持っています。

保険会社は、保険に加入しようとする人からの情報は、基本的には本人からの告知(申告)を大前提としているからです。

しかし、この自己申告という点を考えると、ある意味で悪用できないこともありません。

つまり、過去に大きな病気があったり、今現在治療を受けている病気があったとしても、黙っていれば、ばれずに保険に入れるからです。

そう考えると、告知義務違反がなぜばれるのか、不思議な感じがします。

実は、告知義務違反がばれるのは、保険加入のときではありません(病院で血液や尿の検査をするような場合は別ですが)。

告知義務違反がばれるのは、病気や事故で入院したり、その人が死亡し、保険の請求をしたときなのです。

死亡保険金や、入院・手術給付金等を支払う場合、保険会社は診断書を記載した医療機関や、その人が加入している健康保険組合、健康診断の記録などを、請求の程度によって調べます。

一番に調査が入るのは医療機関で、今回の請求と過去の病歴に因果関係がないかを調べるのです。

もし、他の病院を受診していれば、その病院には記録は残りませんので、次は健康保険組合です。

健康保険組合には、受診の履歴が残っており、そこから調べることが可能になるのです。

もちろん、健康保険組合は通常、個人情報を開示しませんが、給付金の請求には個人情報開示の同意書が含まれてします。

これに同意しない場合には給付金の支払いに応じなくて良いとなっているのです。

健康保険組合の情報開示に同意するということは、健康診断結果の紹介も可能になるということです。

このように、保険会社はさまざまな調査方法を持っていて、告知内容と今回の給付請求に関連がないかを調べることができます。

その際に、加入時の告知義務違反についても発覚するケースがあるのです。

つまり、告知義務違反が故意であったばあい、ばれない方法は無いと考えてよいでしょう。

告知義務違反の時効について

いろいろな事件などに時効があるように、告知義務違反にも時効はあるのではないかと考える人も多いようです。

保険は、保険法という法律によって管理されています。

この保険法によると、その保険の責任開始日(あるいは復活日)から2年以上経過した場合には、告知義務違反があっても契約の解除ができないとの規定があります。

そこから読み取れば、告知義務違反の時効は2年という解釈もできます。

ただ、この2年間の間に給付に該当するような入院等があった場合には、請求をしなくても(隠していても)、それが判明した際には、契約の解除ができるとなっています。

また、2年を経過していたとしても、詐欺等の重大な隠蔽と認められる点が判明した場合には、契約解除ができるともされています。

また、意図的な告知義務違反が判明した場合、保険自体は解除にならなくても、その告知事項に関連する請求には応じないケースもあるようです。

判例で明確にされた告知義務違反の判断について

告知義務違反については、保険会社だけでなく、保険加入者(とその遺族)にとっても大きな問題となります。

なぜなら、保険の請求というのは、自分が入院したときや、加入者が亡くなったときに行われるものです。

そう考えれば、当事者やその遺族にとって、もっともお金が必要なときであり、保険からの給付金や保険金を必要とするときだからです。

そういった意味で、告知義務違反による契約解除についてはなかなか納得を得られません。

そのため、裁判に持ち込まれ、法廷で争われることも少なくはありません。

ここからは、そのような事例を参考に、告知義務違反に対する司法の判断を見てみたいと思います。

告知する必要がある病気は、告知書や診査医の質問した病気と関連した病気にも及ぶ

ここでご紹介するのは、平成10年1月21日に東京高等裁判所において判決が下された例です。

判例の概要:被保険者の告知義務違反による契約解除の判例1


被保険者は生命保険に加入する時点で、医師から慢性肝炎との診断を受け治療を受けていた。

しかし、保険加入の際に、慢性肝炎であり治療を受けていることを告知せずに生命保険に加入した。

その後2年以内に肝硬変にて死亡したが、保険会社は「加入時、慢性肝炎による治療を受けていることを隠して加入した告知義務違反である」として契約を解除し、保険金を支払わなかった。

その後、遺族側から、肝硬変ということは医師から告げられていないとし、告知義務違反の判定は不当であり、4000万円の死亡保険金支払を求める裁判がおこされた。

裁判の結果、東京高等裁判所の判決は、遺族側の敗訴であった。

判決理由は、「被保険者は肝硬変とは医師から告げられていないかも知れないが、慢性肝炎の診断ならびに治療を告知しなかったことは重大な告知義務違反である」と認定した事による。

いかがでしょうか?

確かに文面だけを見ると、慢性肝炎と肝硬変は違うものであるから、肝硬変で亡くなったという事由に関しては遺族側の主張にも正当性があるような気もしてしまいます。

しかし、ここで問題となるのは、慢性肝炎という肝臓の病気の診断を受け、治療を受けていたにもかかわらず、告知義務を怠っていたということです。

基本的には、病院にかかって治療中の病気や経過観察中の病気については、告知の義務があります。

つまり、告知する必要のある病気とは、告知書や診査医の質問した病気だけでなく、それに関連した病気にも及ぶということです。

告知は口頭ではなく、告知書に必ず記載する

次の判例は、平成10年8月26日に同じく、東京高等裁判所において判決が下された例です。

判例の概要:被保険者の告知義務違反による契約解除の判例2


被保険者が生命保険に加入した1年後に脳出血ならびにクモ膜下出血により死亡。

生命保険会社は「加入時、高血圧と診断を受け投薬を受けていた。その事実を隠して生命保険に加入した告知義務違反である」という理由で保険契約を解除し、保険金を支払わなかった。

その後、遺族より「生命保険加入時、被保険者は面接士と外務員に高血圧の告知をしていた」とし、4100万円の死亡保険金支払を求める裁判がおこされた。

裁判の結果、東京高等裁判所の判決は、遺族側の敗訴であった。

判決理由は、「被保険者が面接士と外務員に対し、高血圧であることの告知をしていたとしても、それが記録として残っておらず、明確ではない」ということ。

さらに、「面接士・外務員ともに告知を受領する権限はなく、告知義務を履行したとはいえない」というもの。

いかがでしょうか?

ここで疑問に思うのは、「面接士ならびに外務員には告知受領件がない」という点ではないでしょうか?

これは、「告知を受領し判断できるのは保険会社であり、面接士や外務員はその仲介手続きをする存在である」ということです。

ですので、面性士や外務員に健康状態の問題等を口頭で告げても、それは告知をしたことにはならず、告知書や報告書という形で会社に上がっているという事実が必要ということになります。

この点から、自分の病気等について告知をする場合、口頭ではなく、必ず告知書に記載することが重要となります。

営業員の不告知教唆によっては、告知義務違反で契約解除することが認められない場合もある

ここまでは加入者側に問題があった判例ですが、次にご紹介するケースは、保険営業の外務員に問題があった判例です。

判例の概要:外務員の不告知教唆と告知義務違反による契約解除の判例


被保険者は生命保険加入以前に定期健康診断で高血圧の指摘を受け、精密検査を受けるよう指示されていた。

その後、友人である外務員から生命保険(死亡保険金750万円と家族収入特約月20万円)に加入する際に、健康診断結果の指摘について告知しないように強く依頼され、告知をしなかった。

契約が成立した後、それまで加入していた他社生命保険(死亡保険金6000万円)を解約していた。

契約から1年11か月後、脳患部出血により死亡。

生命保険会社は、告知義務違反を理由として契約を解除し、保険金を支払わなかった。

遺族はこれを不服とし、保険会社に対し、死亡保険金6000万円と家族収入特約月20万円の支払いを求める裁判をおこした。

判決の結果、東京高等裁判所は生命保険会社に対し、死亡保険金750万円と家族収入特約月20万円の支払いを命じる判決を下した。

判決理由は、被保険者は友人である外務員の積極的な不告知教唆により虚偽の告知をしたもので、被保険者側にも問題はあるが、外務員の果たした役割のほうが格段に大きいというもの。

いかがでしょうか?

ここでは、不告知教唆という聞きなれない言葉が出てきます。

不告知教唆とは、保険外務員等の保険媒介者が、被保険者等に対して告知事項の告知をしないよう、または不実を告知するように進めることで、保険法で厳しく禁止されています。

基本的には、被保険者等が告知をしなかったことが不告知教唆に基づく場合、保険会社は保険契約を解除することはできない(保険法28条2項等)とされています。

ただし、不告知教唆によって、全ての判例で告知義務違反をまぬがれるというわけでもありませんが、その程度によって、保険金が支払われる事例もあるようです。

告知義務違反になるかどうかの分岐点は「故意または重大な過失」

この判例は、告知義務違反による契約解除が覆ったケースで、告知義務違反の分岐点を示す判例としてご紹介します。

判例の概要:告知義務違反による契約解除が覆った判例


被保険者は保険加入の2年弱前に人間ドックにおいて、大動脈弓部拡大と診断され精密検査の指示を受けていた。

生命保険の加入に当たっては、血圧異常のみを告知し、生命保険に加入した(死亡保険金2800万円)。

保険加入の1年半後、被保険者は胸部大動脈瘤破裂で死亡。

生命保険会社は、大動脈弓部拡大の診断を受けていたことを告知をしなかった告知義務違反であるとし契約を解除、保険金を支払わなかった。

遺族はこれを不服とし裁判をおこし、一審では被保険者による告知義務違反を否定し、保険会社がわが敗訴、これを不服とした保険会社が控訴した。

二審での判決の結果では保険会社控訴を棄却し、事実上の敗訴となった。

判決の理由として、大動脈弓部の拡大との診断を告知事項とまでは認められら図、告知しなかったことについて重大な過失があったとは認められないというものであった。

いかがでしょうか?

この場合、確かに人間ドックにおいて、大動脈弓部拡大については診断を受けているものの、その部位や症状について詳細な説明を受けていなかったことが大きなポイントとなったようです。

よく理解できていなかったり、虚偽のことを告げていたわけではく、事実を隠してまで生命保険契約を成立させる動機に乏しかったと判断されたわけです。

つまり、告知義務違反においては、告知する側の「故意または重大な過失」という点が分岐点となるといえるでしょう。

告知書は、自分のために誠実に書くことを心がけよう

ここまでの判例等をみていくと、告知義務違反についてばれない方法は無いということも言えます。

もし、告知義務違反がばれてしまったら、その時点で保険契約は解除となってしまい、悪質な場合はそれまで払ってきた保険料が返金されない場合もあります。

告知を躊躇してしまう例として良くあるのが、「うつ病」などの精神疾患や、女性疾病に関わる告知の場合です。

とくに、保険の外務員が友人であった場合、これらの疾患は告知しにくいものです。

しかし、保険が保険としてきちんと機能してもらうためにも、持病や傷病歴がばれるかどうかではなく、自分のために誠実に正確に記載することが重要です。

もし、書き方がわからなかったり、外務員に告知しにくい場合は、保険会社のカスタマーセンターなどで対応してくれる場合もありますので調べてみることをお勧めします。

酷使のし忘れは「ついうっかり」で済まされるものでもありません。

もし、告知のし忘れに気づいたときも、すぐに担当者や保険会社に連絡し、追加で告知するようにしましょう。

参考:告知義務違反が発覚したときに保険料は返金されるのか

何かしらの保険請求等により、告知義務違反が発覚した場合、それが悪質であれば、保険契約は解除され、給付金や保険金は支払われません。

それでは、それまで支払ってきた保険料はどうなるのでしょうか?

返金してくれるのでしょうか?

一般的に言えば、その告知義務違反が故意で悪質な場合、支払った保険料も返金されません。

そうでなかった場合は、それまで支払ってきた保険料と解約返戻金があればそれが支払われて、保険契約は解除されます。

まとめ

ここまで、保険加入における告知義務違反について、判例等を元に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

この記事のポイントは
  • 生命保険の告知義務違反の判例とそのポイント解説
  • 告知義務違反の判断は「故意または重大な過失」が分岐点となる
  • 告知書は自分のために誠実に書くことをこころがけよう
です。

保険は本来、自分に何かあった時に、自分自身や残された遺族がお金に困らないように加入するものです。

告知義務違反をしてしまった場合、理由は何であれ、その保険契約は解除され保険金も支払われないことが一般的です。

うつ病や、女性疾病関連の病気等、告知しにくい場合もあるとは思いますが、自分自身や家族のためと考え、誠実・正確に行うことを心がけましょう。

保険ROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。

ランキング

  • 保険の見直しで生命保険にするか共済にするかで悩んでいる方に
  • 理解できていますか?生命保険と県民共済の違いや共通点をおさらい
  • 生命保険の約款には何が書かれている?特に注意すべきことは?
  • 生命保険は中世ヨーロッパが始まり! 生命保険の成り立ちを解説
  • 分かりにくい、とても面倒、だけど重要な生命保険の主契約の見直し方
  • 今更聞けないけれども、必ず知っておきたい生命保険の特約の全情報
  • 生命保険(医療保険)に入院保障は必要?入院給付金についても解説!
  • 10年満期の生命保険で100万円受け取るのは、お得なの?損なの?
  • 生命保険の終身型と掛け捨て型を相場から見る、自分に合った保険選び
  • 生命保険の貯蓄型は老後に有利?貯蓄型生命保険で賢く資産形成しよう
  • 低解約返戻金型の生命保険を最大限活用すると、こんなにお得!
  • 生命保険料を毎月払いと前納って何が違う?メリットやデメリットは?
  • 残高証明書は生命保険会社に請求しなければ発行してもらえません
  • あなたは大丈夫?無駄のない生命保険の入り方を生活スタイル別に解説