更新日:2018/03/24
一時払い終身保険まるわかり。メリット・デメリット・活用法徹底解説
一時払い終身保険の仕組みや特徴から、メリット・デメリット、効果的な活用方法まで、まるごと徹底解説しました。表面的な理解ではなく、実際にどのように活用すればメリットがあるのか、一時払い終身保険の具体的な使いこなし方がわかります。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 一時払い終身保険の仕組みや特徴を徹底解説!
- 一時払い終身保険のメリット
- 支払う保険料の合計額は月払いなどよりも少ない
- 返戻率が高いため貯蓄性に優れている
- 生命保険料控除の対象となり、実質利回りはさらに良い
- 子どもの教育資金のために、学資保険の代わりに活用できる
- 80歳以上でも可能だったり、告知不要だったり、年齢制限などの加入条件が比較的緩い
- 相続税対策になる
- 一時払い終身保険のデメリット
- まとまったお金が必要
- 早期解約をすると損をするため、自由にお金を引き出せない
- 保険の見直しがしずらい
- 現在はマイナス金利政策のため、予定利率が低い
- インフレリスクや保険会社の破綻リスクがある
- 一時払い終身保険が相続税対策となる理由とは?
- みなし相続財産となり、死亡保険金の非課税枠が使える
- 受取人固有の財産となり、遺産分割における相続争いの心配がない
- すぐに現金として受け取れる
- 一時払い終身保険の種類
- 一時払い定額終身保険
- 一時払いドル建て終身保険
- 一時払い積立利率変動型終身保険
- 一時払い変額終身保険
- 一時払い終身保険に向いている人の特徴
- 早期解約のリスクがなく、まとまったお金を用意できる人
- 相続対策として保険を活用しようと思っている人
- 子どもに終身保険をプレゼントしたいと思っている人
- まとめ
目次
一時払い終身保険の仕組みや特徴を徹底解説!
一時払い終身保険は、銀行や証券会社といった金融機関を中心に、かなりの件数が販売されている人気の保険商品です。
なぜ人気があるのかというと、月払や年払といった平準払いの終身保険とは違った仕組みや特徴があるからです。
具体的に何が違うのか、見ていきましょう。
ぜひ最後までご覧ください。
一時払い終身保険のメリット
- 保険料総額が少ない
- 返戻率が高い
- 節税効果がある
- 学資保険の代用
- 引き受け基準が緩い種類も選べる
- 相続税対策になる
といったメリットがあります。
ひとつひとつ詳しくご説明していきます。
支払う保険料の合計額は月払いなどよりも少ない
一時払いと平準払いの保険料を比べた場合、一時払いのほうが保険会社に支払う保険料のトータルは、少なくて済みます。
これは保険会社の視点で見るとわかりやすいのですが、たとえば1000万円の終身保障の契約を顧客と結ぶ場合、払い方が月払の場合、総額で700万円の保険料を徴収する必要があるとします。
これを、一時払いで契約時に一括で徴収する場合、700万円徴収する必要はありません。
というのは、一括で徴収した保険料を運用して増やすことができるからです。
運用して150万円増やすことができるのであれば、一時払い保険料は550万円で済むということになります。
返戻率が高いため貯蓄性に優れている
平準払いの場合、解約返戻金が支払った保険料の総額を上回るのに数十年間かかり、場合によっては上回らないこともあるのに対し、一時払いの場合は、保険商品にもよりますが、最初の数年間が経過してしまえば、それ以降は返戻率が100%を超え、経過年数とともに高くなっていきます。
生命保険料控除の対象となり、実質利回りはさらに良い
平成23年12月31日以前に契約したものであれば控除額は5万円、それ以降の契約であれば控除額は4万円です。
所得から控除されるわけですから、その分節税になります。
たとえば、200万円を一時払い終身保険の保険料として支払って、5年後に解約して210万円受け取ったとします。
年平均利回りは、(210万円ー200万円)/200万円/5年=0.01=1%となります。
生命保険料控除による節税額が4000円だったとすると、
(210万円-200万円+4000円)/200万円/5年=0.0104=1.04%となり、生命保険料控除により実質利回りが0.04%上がっています。
なお、一時払い終身保険で生命保険料控除を受けられるのは、保険料を払った初年度だけです。
子どもの教育資金のために、学資保険の代わりに活用できる
学資保険は、保険金受取のタイミングがあらかじめ子供の年齢によって決まっていますが、一時払い終身保険の場合は満期がないため、家計の状況などに合わせて解約返戻金をうけとることができます。
加入後数年で解約をしてしまうと元本割れすることもありますから、その点だけは注意が必要です。
80歳以上でも可能だったり、告知不要だったり、年齢制限などの加入条件が比較的緩い
一般的に生命保険は、入院歴や持病があると加入が制限されますが、一時払い終身保険の場合、告知書だけで加入できたり、告知書の質問事項もかなり簡易な内容になっていたりと、一般的な生命保険と比べて、かなり加入条件が緩くなっています。
これは、保険会社から見れば、一括で保険料を受け取れるため、保険金の支払いが発生しても、被る損害が比較的少ないことが理由の一つとして挙げられます。
相続税対策になる
たとえば、法定相続人が3人いれば、500万円x3人=1500万円までの死亡保険金は非課税となります。
かりに、1500万円の一時払い終身保険に加入するために、1200万円の一時払い保険料を支払ったとします。
もし万が一のことがあっても、1500万円の死亡保険金には相続税がかかりません。
いっぽう、1200万円を保険に入らずそのまま現金として持っていた場合は、その1200万円満額に相続税がかかります。
使うあてがないまとまったお金は、保険という形にしておいたほうが、相続税の面ではかなり有利になります。
一時払い終身保険のデメリット
これまでメリットをご説明してきましたが、一時払い終身保険にはデメリットもあります。
具体的にひとつひとつ説明していきます。
まとまったお金が必要
各保険会社によって取り扱いは異なりますが、一時払いの最低保険料を100万円としているところが多いようです。
ボーナスが出たからといって、数十万円程度では加入するのは難しいと言うことですね。
早期解約をすると損をするため、自由にお金を引き出せない
これは、保険会社の経費や死亡保障にまわるお金が、契約と同時に一時払保険料から差し引かれ、運用益でそのマイナスを埋めるのに4~5年かかるためです。
加入後4~5年は絶対に解約しなくても済むような状況であれば良いですが、ギリギリの状態でお金を捻出して加入したりすると、予期せぬ出費等により解約せざるを得ない状況になった場合に、元本割れをして損をすることになります。
良く資金計画を立てて、計画的に加入することが大切です。
保険の見直しがしずらい
保険の見直しが必要なタイミングと、一時払い終身保険の解約で損をしないタイミングが合わないこともあります。
このため、一時払い終身保険の死亡保障が、全体の死亡保障に占める割合が大きい場合は、保険の見直し自体がやりにくい恐れがあります。
現在はマイナス金利政策のため、予定利率が低い
契約後に、運用利回りが高くなっても低くなっても、予定利率が途中で変わることはありません。
このため、契約時、市場金利が低く、予定利率も低い場合は、その後市場金利が上がった恩恵を受けることができません。
現在は、マイナス金利政策がとられている影響で、予定利率も低く、この先金利が上がることはあってもこれ以上下がることはあまり考えられないため、加入のタイミングとしては、あまり良い時期とは言えません。
インフレリスクや保険会社の破綻リスクがある
1000万円の終身保険に加入すれば、10年後も30年後も50年後も死亡保険金額は1000万円のままです。
いっぽう、お金の価値は、現在と50年後も同じとは限りません。
現在の1万円は50年後に5000円の価値しかない可能性もあります。
その場合、現在1000万円の終身保険に加入していても、50年後に万が一のことがあった場合、実質的には受け取った保険金の価値は500万円になってしまうことになります。
保険会社の破綻リスク
現在の経営状況から判断して財務状況が良好な保険会社であっても、30年後・50年後も良好な財務状況であるとは限りません。
終身保険は保険期間が長いため、その間に契約している保険会社が破綻してしまう可能性もあります。
万が一保険会社が破綻した場合でも、保険契約は消滅するわけではなく、破綻した保険会社を救済する保険会社や契約を引き継ぐ承継保険会社によって継続されますが、契約条件が100%引き継がれるわけではありません。
一時払い終身保険が相続税対策となる理由とは?
相続はいつ起こるか分かりませんから、まず保険期間が一生涯であることが、相続税を含む相続対策に使える生命保険の条件となります。
具体的に、どのように相続税・相続対策になるのか、見ていきましょう。
みなし相続財産となり、死亡保険金の非課税枠が使える
死亡保険金には500万円x法定相続人の数の非課税枠が設定されています。
現預金は、丸々相続税の対象となるため、まとまったお金を一時払い終身保険にしておくことで、非課税の恩恵を受けることができるわけです。
受取人固有の財産となり、遺産分割における相続争いの心配がない
いざ万が一のことがあった場合には、遺産分割や法定相続など一切関係なく、生命保険金は指定された死亡保険金受取人に全額支払われます。
このため、生命保険の受取人に指定することで、特定の人に確実に一定額の財産を相続させることができます。
すぐに現金として受け取れる
故人の口座にかりに10億円入っていたとしても、遺産分割などの相続手続きがすべて完了するまでは、いっさい手を付けることができません。
このため、葬儀費用の支払いなどに支障をきたすこともあります。
しかし、生命保険の保険金は、万が一のことが発生し、保険会社に死亡保険金の請求をすれば、遅くとも1週間以内には、保険金が支払われますから、死亡に伴う諸費用の支払いに充てることができます。
一時払い終身保険の種類
通貨による違いや、保険料の運用が保険金や解約返戻金に与える影響によって、いくつかの種類に分類されます。
一時払い定額終身保険
「定額」というのは、保険料の運用成績に関わらず、死亡保険金の金額は契約時のまま変わらずに一定だと言う意味です。
1000万円の一時払い定額終身保険に加入したら、何年経過しても、その1000万円は変わりません。
契約時にあらかじめ決まっている予定利率も変わりませんから、解約返戻金の金額も契約時に確定しています。
一時払いドル建て終身保険
円と比べてドルは金利が高いので、予定利率も高い傾向にあります。
予定利率が高い=保険料が安い=解約返戻率が高いことを意味するため、円建ての一時払い終身保険よりも有利ではありますが、死亡保険金や解約返戻金を受け取る際に、為替の影響を受けます。
円安の時に受け取れれば、為替差益を得られますが、円高の時に受け取ると、為替差損を被り、保険金や解約返戻金が目減りするデメリットもあります。
一時払い積立利率変動型終身保険
積立利率が変動することにより、死亡保険金や解約返戻金も変動します。
しかし、変額保険と違い、変動はするものの、積立利率の最低保証はされていますから、死亡保険金や解約返戻金も最低保証があります。
このように、運用成績が悪い場合でも最低保証があり、運用成績が良ければよいほど、死亡保険金や解約返戻金が増えると聞けば、良いことだらけのような感じもしますが、デメリットもあります。
まずは、一時払いの保険料が通常の終身保険よりも割高であることです。
次に、解約返戻金の最低保証の水準が、通常の終身保険の解約返戻金よりも低く設定されていることです。
この2つのデメリットの原因は、最低保証の積立利率が、通常の終身保険の予定利率よりも低く設定されていることによります。
一時払い変額終身保険
一時払い積立利率変動型終身保険との違いは、解約返戻金に最低保証がないことです。
死亡保険金については、契約時の死亡保険金額が最低保証されますが、解約返戻金については、運用成績が悪ければ、それが直接解約返戻金に影響してしまいます。
つまり、貯蓄性はあるものの確実性には欠けるため、当てにするにはリスクがあります。
一時払い終身保険に向いている人の特徴
早期解約のリスクがなく、まとまったお金を用意できる人
まとまった資金がなければ、一時払い終身保険に加入することはできませんし、資金的な余裕がなければ、何か突発的なことが起こってお金が必要な場合、一時払い終身保険を解約せざるを得なくなります。
契約後5年・10年と年数が経っていれば良いですが、早期解約になると元本割れしますから、そうならないような家計の経済状況が大事です。
相続対策として保険を活用しようと思っている人
一般的に相続対策として保険加入を考える場合、被保険者の年齢が高いことによる健康状態がネックになることも少なくありません。
しかし一時払い終身保険には、加入条件が緩いものも多く加入しやすいのが、大きなメリットです。
また、死亡保険金について500万円x法定相続人の数の非課税枠があるのも、大きな利点です。
しかも、一時払い終身保険の契約時には死亡保険金受取人を指定するために、一定金額を指定した人に確実に渡すこともできます。
子どもに終身保険をプレゼントしたいと思っている人
ただし、その保険を解約した場合、解約返戻金が110万円を超えると贈与税がかかりますから、注意が必要です。
まとめ
一時払終身保険には、
- 保険料の払込総額が平準払いよりも安い
- 返戻率が高い
- 学資などの資金準備ができる
- 相続対策に向いている
といったメリットがあります。
いっぽう、
- 早期解約すると元本割れする
- インフレリスクや保険会社の破綻リスクがある
といったデメリットもあります。
また、一時払終身保険には、定額、変額、積立利率変動型、ドル建てといった種類もあり、目的に応じて選ぶことができます。
- 余裕資金がある
- 相続対策を行いたい
- 保険を子供にプレゼントしたい
という人には、一時払終身保険は大変有効な保険です。