生命保険のプラン変更のタイミングと切り替え時の注意点について

生命保険に新たに新たに加入する、また既に加入している生命保険を見直すタイミングは個人個人のライフスタイルによって異なりますが、今回はすでに加入をしている保険のプラン変更に関して、そのタイミングとプラン変更時の注意点にについて、ご説明します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

加入している生命保険のプラン変更はできるのか

生命保険に加入されている方は多いと思いますが、きちんと自分のライフスタイルの変化等に合わせて保険の見直しもしっかりと行っているでしょうか。


正直、生命保険は加入するときには、プランナーの方などと一生懸命考えながら加入されると思いますが、その時点で満足してしまい、加入した当時のまま「大切」に置いている方のほうが多いかと思います。


しかし、基本的に保険は未来を予測して加入する商品なので、ライフステージの変化とともに見直しを行い、必要があればプラン変更するものです。

プラン変更のタイミングはいつが良いのか

さて、それでは生命保険の見直し、つまりプラン変更をするタイミングとは、いつにがベストなタイミングなのでしょうか。


答えは個人個人のライフスタイルの変化によって異なりますが、一般的には、就職や結婚、子供が産まれて家族が増えた時、そして退職等のタイミングで生命保険に新たに加入したり、またプラン変更を行ったりするのが一般的だと言われています。


ライフステージ別保険の見直しのタイミング

ライフステージ別保険の見直しのタイミング


生命保険のプラン変更のパターン

新たに生命保険に加入される方が多いのは、特に就職したタイミングだと思います。その後、年齢を重ねていくにつれて、結婚し、子供が産まれたり、その子供が独立し、自分の老後について考えだし、退職を迎えるというライフスタイルの変化を迎えます。


ここでは2つのプラン変更のパターンをご紹介します。


新たに契約を追加する

さきほども申し上げたとおり、新たに生命保険に加入することが多いのは、就職したタイミングですが、このときに加入を勧められることが多いのが、死亡保険と医療保険(=入院や手術をした際に給付金がでる保険)がセットになったものでしょう。


このような一般的な生命保険商品に加入をした後に、例えばその保険会社の営業員が提案してくるのが、「年金保険」です。いわゆる「貯蓄型保険」ですね。


昨今は年金受け取り時の年齢が引きあがったり、国からの年金給付額がすくなくなったりと、なにかと問題になっている年金について、「公的な年金は将来どうなるか不安なので、自分できちんと老後の準備をしておきましょう」等という営業文句で、一般の生命保険とは別枠で追加の保険加入を勧められることが多いです。


もちろん年金に関しては、現状でも前述したような社会状況なので、例えば今の20代の方の老後の年金の受給に関しては、明確な予想はできませんが、現在よりも状況は悪化していることは確実でしょう。


なので、もし自分で貯金するのが苦手な場合などには、「無理やり」にでも、保険会社を「自分の通帳だと思って、貯蓄をする」という意味で、このような年金保険に加入するのも悪くないと思います。


年金保険も昔と比較して、利率が相当下がってきているので、もし加入を検討するなら、早めのほうが良いかなと思います。

保障金額を増額したり、減額したりする

さて、次には保障金額を増額したり、減額したりするプラン変更について、ご説明をしたいと思います。


増額するパターン

まずは冒頭でも申し上げましたが、生命保険の保障金額の決め方は、自分のライフサイクルに合ったように決めていきますが、まず最初に、保障金額を「増やす」方向のお話からさせていただきたいと思います。


既に加入している生命保険の保障額を、「増額」をするプラン変更をするタイミングのほとんどが、「結婚」または「子供が産まれて家族が増え、一家の大黒柱としての責任ができた時」だともいます。


最近では共働きの夫婦も増え、必ずしも旦那さんが大黒柱という構図は崩れつつありますが、そうはいっても一般的にはまだまだ男性が一家の大黒柱というケースが多いと思います。


一家の大黒柱に万が一のことがあれば、残された家族の今後の生活の心配がまず生じます。とくにお子さんがいらっしゃる家庭の場合には、今後の進学などにも響いてくる可能性がなきにしもあらずです。


そのような場合に備えて、家族を守るという責任ができたタイミングで、一度今後必要な生活費や、お子さんがいらっしゃる場合には、仮に大学まで行かせる場合、どのくらいの費用がかかってくるのかということを、シミュレーションしてみることが必要です。


このようなシミュレーションは、現在ご加入をされている生命保険会社にて試算をしてもらえることが多いですし、最近では街にあふれている保険の代理店などにも相談をしに行きましょう。


ただやみくもに家族ができたから、生命保険の保障額を上げなければいけない!と焦るのではなく、きちんとした万が一の場合のシミュレーションを行った上で、適切な保障額と保険料を検討しましょう。


減額するパターン

それでは次に、既に加入している生命保険の保障額を、「減額」するプラン変更を行うタイミングについて、お話をしたいと思います。


やはり保障額を減らすということは、さきほどご説明した、「大黒柱の万が一の場合に家族を守る」必要がなくなった時や、自身が退職をし、いよいよ老後について色々と具体的に考えていかなければいけない時でしょう。


具体的にいうと、例えば子供が大学を卒業して就職をし、いわゆる「一人前の社会人」になったタイミングです。

このタイミングで、親の役目は一区切りするかと思います。


無事に子供を育て上げた後は、それまで大黒柱が背負っていた大きな責任はこれまでと同じほどは必要ないかと思いますので、このタイミングでは、自分に万が一のときがあった際に、奥さんが平均寿命まで生きた場合に必要な生活費などを、シミュレーションしてみてもよいかと思います。


一般的に女性のほうが長生きすると言われてるので、奥さんの平均寿命までの生活費をいったんシミュレーションしてみるのが良いかと思います。


そうはいっても、昨今は長生きの時代になっているので、平均寿命までの生活費をすべて保険で賄えようと思うと、現役時代並み、もしくはそれ以上の保険料の出費も考えられますので、これでは本末転倒です。


シミュレーションをする際には、公的年金や厚生年金の給付金額も考えながら、必要額をだして、生命保険の保障額や保険料の減額のプラン変更を検討しましょう。

プラン変更に見せかけた生命保険の転換や下取り、乗り換えには注意

さて、これまでは生命保険のプラン変更に関するお話をしてきましたが、そもそもこれまで話してきたような、ライフサイクルの変化だけが生命保険のプラン変更のタイミングではありません。


例えば、更新型の生命保険に加入をしている場合、次回更新時に保険料が上がることも多いので、加入している生命保険会社から「そろそろ更新の時期が近付いているので、お見直しのタイミングです」というような連絡が入ることが一般的です。

生命保険の転換や下取りとは

このようなお見直しのタイミングでは、新たに生命保険に加入するのではなく、「今現在加入をしている生命保険を元にして」、最新の保障内容に切り替えるのです。


このことを、生命保険用語では、「転換」と呼ばれています。今現在加入している生命保険を「下取り」に出して、加入した当時よりも格段に進化した現代の医療情勢、例えば日帰り入院が増えていること等、より現在の医療に沿ったかたちで保険金がおりるような最新の内容に切り替えるのです。


この「転換」という制度を簡単に申し上げると、新しい車を購入する際に、現在使用している車を「下取り」に出して、その下取り価格を新車購入資金にあてるようなイメージであると考えると、わかりやすいのではないでしょうか。

プラン変更や転換・下取りを勧められたときに気をつけたいこと

このような転換や下取り時のプラン変更のタイミングで気を付けなければいけないことがあります。


それはまず、いくら転換時にはある程度の「下取り価格」が生命保険にもあるとはいえ、加入した当初と比べて年齢も上がっているので、保険料も下取り価格次第では上がってしま可能性があります。


また加入当初から保険会社とても、支払いが多いような給付金の種類によっては、その分給付金を払わなければいけないリスク背負うことになるので、自然と新規加入時よりも保険料が上がってしまうということが生じます。


そして、現在加入している生命保険をかけていた最中に、病気になって一度給付金を受け取った場合などは、見直し時にはつけることができない保障や特定の病気に対しては支払いができませんなどの、制限がついてくる可能性が十分にあります。

プラン変更で困ったときは保険のプロに相談しよう

生命保険に加入するきっかけのほとんどは、職場のお昼休みなどに会社に訪問をしてくる、生命保険会社の営業員の方経由が、ほとんどだと思います。 

しかし昨今は、様々な生命保険会社の商品を取り扱っている保険代理店も多く存在しています。


保険会社の営業マンではなく保険のプロFPに聞いてみるのはおすすめ

加入した際の保険のプロが信頼できないという場合や、退職・転職している場合、相談しにくい場合などには、迷わず保険のプロへ無料相談しにいきましょう。


このような代理店は、多くの生命保険会社が販売している、様々な種類の保険商品を紹介してくださるので、相談者の現状に合わせた保険商品や保険会社を、相対的に「中立的な立場」で提案をしてくださいます。

 一つの保険会社からその会社が販売しているプランを提案され、話を聞くことももちろん良いことではありますが、これだけ生命保険会社の数も商品も増えてきている時代なので、できるだけ中立的な立場でしっかりと提案をしてくださる、代理店を訪問してプロに相談してみることもおすすめします。


また代理店の方は様々な生命保険会社の説明会や医療関係の講習会などに熱心に通われている方が多いので、知識面でも信頼できると思います。


(もちろん毎日職場に来て、手厚い契約後のフォローまで行っていただけている営業員を無下にはできない方もいらっしゃるかと思いますが。)


代理店だと非常に多くの生命保険の商品を用意しているので、保険会社は異なっても、各会社の良いとこどりをして、様々な保険会社の商品を組み合わせながら、提案してくださると思います。

プラン変更したときは、年末調整での生命保険料控除の申請に注意

さて、このように生命保険のプラン変更をした場合、その年に行う年末調整での生命保険料控除の申請に注意が必要です。


まず前提として、生命保険料控除をうけるためには、保険料控除証明書のハガキを用意します。このハガキは生命保険会社から10月ごろ送られてくる保険料控除証明書のハガキに基づいて行います。 次にこのハガキを確認し、「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」のどれなのかを見分けます。



生命保険料控除は平成24年を境に新制度と旧制度にわかれる

生命保険料控除には、保険の種類によって、以下の3つに区分されています。


  1. 一般生命保険料控除
  2. 介護医療保険料控除
  3. 個人年金保険料控除


さらに、契約時期によって「新」「旧」の区分もあり、以下のとおり合計5種類に分かれていきます。


  1.  一般生命保険料控除[新]
  2. 一般生命保険料控除[旧]
  3. 介護医療保険料控除(新旧区分なし)
  4. 個人年金保険料控除[新]
  5. 個人年金保険料控除[旧]  


ハガキには、「一般」「介護」「年金」のどれかが書いてありますので自分が加入している生命保険の種類がどれにあてはまるのかを把握して、年末調整の紙に記載をしていきます。


また、ハガキには必ず、適用制度「旧」「新」や、「旧制度」「新制度」と書いてあります。

これはどのようなことかというと、この生命保険料控除の改定が平成24年に行われたことから、平成23年12月31日までに加入した制度は「旧」制度で、平成24年1月1日以降に加入した保険に関しては、「新」制度を使うことになります。

詳しくはこちらをチェックしてみてください。

旧制度対象の保険のプラン変更した場合は、新制度が適用される

先ほどご説明したとおり、「一般」の生命保険料控除タイプと「個人年金」保険料タイプが、平成23年12月31日までに契約を締結した旧契約と、平成24年1月1日以降に契約を提締結した新契約に分かれます。


平成23年12月31日までに契約を締結した旧契約については、5万円の生命保険料控除のまま残りますが、平成24年1月1日以降契約を締結した新契約については、限度額が4万円の生命保険料控除に引き下がります。


そこに「介護保険医療」保険料タイプのものが平成24年1月1日以降に加わり、全体としての生命保険料控除は10万円から12万円にアップされています。


ただし、「一般」タイプのものと「個人年金」タイプのものについて、平成23年12月31日までに締結した旧契約は従来の保険料控除の計算式をあてはめます。


平成24年1月1日以降契約を締結した新契約については、旧契約とは別の保険料控除の計算式をあてはめることになります。


例えば旧契約で一般の生命保険料控除として5万円が算出され、同じく個人年金型の生命保険料控除として5万円が算出、さらに平成24年1月1日以降に介護医療保険で4万円の所得控除の適用を受けられたとしても、生命保険料控除の合計額は14万円とはなりません。12万円のままですので、この点には注意しましょう。

まとめ

そもそも生命保険とは、個人個人のライフサイクルによってプランを決めて加入をするものです。また、何か自分の環境が変われば見直しをしていくことを前提に加入するものです。


さらに、先ほど申し上げた、生命保険料控除のような事務的な手続きに関しても、不明点はすぐに加入している、生命保険会社に確認を行い、せっかく加入した大切な保障を大切に持ち続けましょう。



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