更新日:2023/02/07
個人年金保険料控除とは?上限や条件について徹底解説!
個人年金保険に税制適格特約を付加した場合に1年間の支払保険料が控除対象になる制度を個人年金保険料控除と言います。控除についての知識を身に着けておかないと、節税になるチャンスをのがし損をしてしまいます。個人年金保険と控除に関する知識を一緒に身につけましょう。
内容をまとめると
- 個人年金保険料控除とは1年間に支払った個人年金保険料に対する控除枠、ただし条件を満たさなければならない
- 条件①契約形態が被保険者と年金受取人が同一、かつ受取人が契約者または配偶者
- 条件②定期支払い、一時払いは対象外
- 条件③払込期間が10年以上
- 条件④年金開始が60歳以降で、受取期間が10年以上
- 生命保険控除は「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」の3種類
- 個人年金保険料の控除枠上限は所得税4万円、住民税2.8万円
- 個人年金保険料を配偶者が支払った場合にも個人年金保険料控除の対象となる
- 節税をしながら老後資金をためる方法としてはiDeCoも有効
- 個人年金保険について迷ったらプロに相談を!おすすめは「マネーキャリア」
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 個人年金保険料控除とは?
- 個人年金保険料控除の上限
- 所得税は8万円以上なら控除額は一律4万円
- 住民税は5.6万円以上なら控除額は一律2.8万円
- 個人年金保険料控除を実際にシミュレーション
- 個人年金保険料控除の条件は個人年金保険料税制適格特約!
- 条件①契約形態
- 条件②保険料支払い方法
- 条件③保険料払込期間
- 条件④年金受取形式・受取期間
- 生命保険料控除とは?【基礎知識】
- 生命保険料控除の種類
- 生命保険料控除に対象の保険
- 生命保険料控除の控除額・計算方法
- 個人年金で分からないことがあるなら保険のプロに無料相談!
- 個人年金保険料控除の確定申告書の書き方
- 配偶者が支払った個人年金の保険料も控除の対象?
- 参考:idecoに掛け金も所得控除の対象!
- 個人年金保険料控除に関するまとめ
目次
個人年金保険料控除とは?
個人年金保険料控除をご存じでしょうか。
個人年金保険にかかる1年分の保険料に応じて住民税や所得税が控除される生命保険料控除の1つです。
そもそも個人年金保険とは自分で資産形成するための方法の1つです。年金受取開始まで振込を行い、満期になった際に年金として受け取ることができます。
少子高齢化によって年金を納める側より年金を受け取る人の方の比率が増えた今、年金の受け取り年齢開始時期は下がり、受取額は減少傾向にあります。
そのためゆとりある生活を送るためには公的な年金とは別に自分で老後資金を用意しなければいけない時代となりました。
加入の必要性が高くなった個人年金保険の負担を少しでも軽くするために控除枠が制定されているのです。
預金で積立をするという資産形成方法もありますが、個人年金保険の控除枠をうまく使うことで節税につながり結果的に大きな利益の差を生むことになります。
個人年金保険料控除の条件やポイントを理解し、効率の良い資産形成を行いましょう。
個人年金保険料控除の上限
所得税、住民税ともに上限があります。
- 所得税は8万円以上なら控除額は一律4万円
- 住民税は5.6万円以上なら控除額は一律2.8万円
所得税は8万円以上なら控除額は一律4万円
所得税の控除額は以下の通りになっています(引用:国税庁 生命保険控除)。
平成24年1月1日以降
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
平成23年12月31日まで
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+12,500円 |
40,000円超80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+25,000円 |
80,000円超 | 一律50,000円 |
住民税は5.6万円以上なら控除額は一律2.8万円
個人年金保険料控除を実際にシミュレーション
上記の表をもちいて個人年金保険料控除額を実際にシミュレーションしてみましょう。
個人年金保険年間払込保険料30,000円の場合
- 所得税分:30,000×1/2+10,000=25,000円
- 住民税分:30,000×1/2+6,000=21,000円
- 所得税分:70,000×1/4+25,000=42,500円
- 住民税分:56,000円を超えているため一律28,000円
個人年金保険料控除の条件は個人年金保険料税制適格特約!
個人年金保険料の控除を受けるには契約の際に個人年金保険料税制適格特約の付加が必要です。
付加するためには条件があり
- 契約形態
- 保険料支払方法
- 保険料振込期間
- 年金受取形式・受取期間
条件①契約形態
- 被保険者と年金受取人が同一であること
- 年金受取人が契約者本人または配偶者であること
契約者 | 被保険者 | 年金受取人 |
---|---|---|
父 | 子ども | 父 |
契約者 | 被保険者 | 年金受取人 |
---|---|---|
祖父 | 祖父 | 孫 |
条件②保険料支払い方法
- 月払い
- 年払い
- 半年払い
- 全期前納
条件③保険料払込期間
年金の支払を受けるまでに10年以上振込を行うことも条件です。
60歳から年金を受け取りたい場合で、控除枠も活用しようと思えば50歳までに加入しなければなりません。
60歳で加入する場合は年金の受け取りを70歳以降に設定するなど振込期間が10年以内にならないようにしましょう。
個人年金保険の中には保険期間が5年のものもあります。保険にしては期間が短いため資金を縛る期間が短く選択する人もいますが、その場合は個人年金保険の控除枠は利用できないため注意が必要です。
条件④年金受取形式・受取期間
- 開始年齢が60歳以上であること
- 年金受取期間が10年以上であること
生命保険料控除とは?【基礎知識】
個人年金保険の控除についての条件について紹介しましたが、生命保険料の控除とは何か基礎知識を紹介します。
覚えておきたいポイントは
- 種類
- 対象の保険
- 控除額・計算方法
生命保険料控除の種類
生命保険料控除の種類は
- 一般生命保険料控除
- 個人年金保険料控除
- 介護医療保険料控除
生命保険料控除に対象の保険
生命保険料控除の控除額・計算方法
実際に生命保険料控除の控除額を求めるための計算方法を紹介します。
モデルケース
- 35歳男性
- 年収600万円
- 保険は個人年金保険(確定年金10年)のみ
- 月額保険料10,000円
- 振込満了・年金開始ともに65歳
- 基本年金額290,000円
- 社会保険控除なし
課税所得=総所得ー給与所得控除ー所得控除(生命保険控除・基礎控除等)
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
---|---|
3,600,001円から6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
納税者本人の合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
80,000円超 | 一律40,000円 |
600万円(総所得)ー164万円(給与所得控除)ー124万円(所得控除)=384万円
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
個人年金で分からないことがあるなら保険のプロに無料相談!
個人年金保険料控除について主に解説してきましたが、特約をつけるにあたっては注意が必要な点があります。
それは
- 個人年金保険料税制適格特約だけを解約することはできない
- 付加後は条件を満たさない契約内容に変更できない
- 契約内容の変更による返戻金を契約途中で受け取ることができない(所定の利息をつけて積み立てられ、年金受取開始日に増額年金の買い増しに充てられる)
個人年金保険料控除の確定申告書の書き方
個人年金保険料控除の確定申告の方法や書き方についてまとめます。
会社員は年末調整にて申告を行うため生命保険控除証明書を添付して提出すれば終了ですが、自営業の方は確定申告をしなければなりません。
まずは
- 確定申告書A第一表・第二表
- 生命保険控除証明書
- 印鑑
- 生命保険料控除証明書にある年間保険料を参考に控除額を計算
- 確定申告書A第二表の生命保険料控除に、年間保険料を転記する
- 確定申告書A第一表の所得から差し引かれる金額内にある生命保険料控除に1で計算した控除額を記入
配偶者が支払った個人年金の保険料も控除の対象?
個人年金保険料控除は配偶者が支払った分も対象になります。
個人年金の保険料は契約者が支払うのが基本ですが、専業主婦(夫)の場合は配偶者が保険料を支払うケースも多いでしょう。
この場合配偶者が支払ったことが明らかであれば控除の対象となります。
年金受取を
- 契約者
- 契約者の配偶者
参考:idecoに掛け金も所得控除の対象!
定年退職後のつなぎとしての役割として、また老後の生活費の足しとして利用されることが多い個人年金保険ですが、老後資産の形成のためのその他の方法としてiDeCoも有効です。
iDeCoは自分で決めた金額を自分で決めた方法で積立60歳以降に年金として受け取る制度です。
iDeCoの1年間の掛金は上限までは全額控除となり、上限額は被保険者によって異なります(参考:iDeCo公式サイト)
国民保険の加入状況 | 上限額 |
---|---|
第1号被保険者(自営業者等) | 月額6.8万円(年間81.6万円) |
第2号被保険者(企業型DC※1のない会社員) | 月額2.3万円 (年額27.6万円) |
第2号被保険者(企業型DCに加入している会社員) | 月額2.0万円 (年額24.0万円) |
第2号被保険者(DB※2加入者・公務員等) | 月額1.2万円 (年額14.4万円) |
第3号被保険者(専業主夫等) | 月額2.3万円 (年額27.6万円) |
※1:企業型確定拠出型年金 ※2:確定給付企業年金
個人年金保険控除や一般生命保険控除よりも多くの控除ができ節税効果が高いのが特徴です。
ただし60歳までは引き出しができないことなどデメリットもありますので、詳しくは個人年金とiDeCoはどっちが良い?ベストな老後資金準備方法を徹底比較!をご覧ください。
個人年金保険料控除に関するまとめ
個人年金保険料控除について
- 個人年金保険料税制適格特約をつけるための条件
- 生命保険控除の基礎知識
- 控除の上限額
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