個人年金保険料控除とは?上限や条件について徹底解説!

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個人年金保険に税制適格特約を付加した場合に1年間の支払保険料が控除対象になる制度を個人年金保険料控除と言います。控除についての知識を身に着けておかないと、節税になるチャンスをのがし損をしてしまいます。個人年金保険と控除に関する知識を一緒に身につけましょう。




▼この記事を読んで欲しい人

  • 個人年金保険を検討している人
  • 節税ができる資産運用方法を探している人
  • 個人年金保険料控除について知りたい人


▼この記事を読んでわかること

  • 個人年金保険料控除を利用するための条件
  • 生命保険控除の基礎知識
  • 個人年金保険料控除額
  • 控除額の計算方法

内容をまとめると

  • 個人年金保険料控除とは1年間に支払った個人年金保険料に対する控除枠、ただし条件を満たさなければならない
  • 条件①契約形態が被保険者と年金受取人が同一、かつ受取人が契約者または配偶者
  • 条件②定期支払い、一時払いは対象外
  • 条件③払込期間が10年以上
  • 条件④年金開始が60歳以降で、受取期間が10年以上
  • 生命保険控除は「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」の3種類
  • 個人年金保険料の控除枠上限は所得税4万円、住民税2.8万円
  • 個人年金保険料を配偶者が支払った場合にも個人年金保険料控除の対象となる
  • 節税をしながら老後資金をためる方法としてはiDeCoも有効
  • 個人年金保険について迷ったらプロに相談を!おすすめは「マネーキャリア」

個人年金保険料控除とは?


個人年金保険料控除
をご存じでしょうか。


個人年金保険にかかる1年分の保険料に応じて住民税や所得税が控除される生命保険料控除の1つです。


そもそも個人年金保険とは自分で資産形成するための方法の1つです。年金受取開始まで振込を行い、満期になった際に年金として受け取ることができます。


少子高齢化によって年金を納める側より年金を受け取る人の方の比率が増えた今、年金の受け取り年齢開始時期は下がり、受取額は減少傾向にあります。


そのためゆとりある生活を送るためには公的な年金とは別に自分で老後資金を用意しなければいけない時代となりました。


加入の必要性が高くなった個人年金保険の負担を少しでも軽くするために控除枠が制定されているのです。


預金で積立をするという資産形成方法もありますが、個人年金保険の控除枠をうまく使うことで節税につながり結果的に大きな利益の差を生むことになります。


個人年金保険料控除の条件やポイントを理解し、効率の良い資産形成を行いましょう。

個人年金保険料控除の上限


所得税、住民税ともに上限があります

  • 所得税は8万円以上なら控除額は一律4万円
  • 住民税は5.6万円以上なら控除額は一律2.8万円
です。

平成24年1月1日から新制度になり、控除額の上限が変更されましたので旧制度の控除額も記載しておきます。

生命保険文化センターの生命保険に関する全国実態調査によると令和3年の個人年金保険料払込平均額は1年間で平均20.6万円でした。

月額に換算すると16,750円になるため、上限まで控除枠を利用できる方が大半を占めます。

所得税は8万円以上なら控除額は一律4万円

所得税の控除額は以下の通りになっています(引用:国税庁 生命保険控除)。


平成24年1月1日以降

年間の支払保険料等控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超一律40,000円


平成23年12月31日まで

年間の支払保険料等控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超40,000円以下支払保険料等×1/2+12,500円
40,000円超80,000円以下支払保険料等×1/4+25,000円
80,000円超 一律50,000円


住民税は5.6万円以上なら控除額は一律2.8万円

住民税の控除額は以下の通りです。


平成24年1月1日以降

年間の支払保険料等 控除額
12,000円以下支払保険料等の全額
12,000円超~32,000円以下支払保険料等×1/2+6,000円
32,000円超~56,000円以下支払保険料等×1/4+14,000円
56,000円超一律28,000円


平成23年12月31日まで

年間の支払保険料等  控除額
15,000円以下支払保険料等の全額
15,000円超~40,000円以下支払保険料等×1/2+7,500円
40,000円超~70,000円以下支払保険料等×1/4+17,500円
70,000円超一律35,000円


個人年金保険料控除を実際にシミュレーション

上記の表をもちいて個人年金保険料控除額を実際にシミュレーションしてみましょう。


個人年金保険年間払込保険料30,000円の場合

  • 所得税分:30,000×1/2+10,000=25,000円
  • 住民税分:30,000×1/2+6,000=21,000円

個人年金保険年間払込保険料70,000円の場合
  • 所得税分:70,000×1/4+25,000=42,500円
  • 住民税分:56,000円を超えているため一律28,000円

計算結果がでたら所得税率を求め乗じます。

所得税率は最高でも4000万円所得があった場合の45%です。仮に所得税分と住民税分を上限まで使用した場合は68,000円なので30,600円の還付が最も高い数値と言えます。

個人年金保険料控除の条件は個人年金保険料税制適格特約!

個人年金保険料の控除を受けるには契約の際に個人年金保険料税制適格特約の付加が必要です。


付加するためには条件があり

  • 契約形態
  • 保険料支払方法
  • 保険料振込期間
  • 年金受取形式・受取期間
について規定があります。

それぞれの条件について下記の記事とともにご参照ください。

条件を満たし税制適格特約をつけなければ控除の対象になりません

相談員に適応対象となるか契約時に確認をしておきましょう。きちんと確認をしておかなければ「控除枠を利用したつもりだったのに…」ということが起きる可能性があります。

条件①契約形態

契約形態
  • 被保険者と年金受取人が同一であること 
  • 年金受取人が契約者本人または配偶者であること
が条件です。

学資保険代わりとして利用する場合もありますが、
契約者被保険者年金受取人
子ども
となり被保険者と受取人が違うため対象にはならず、このケースでは一般生命保険控除が適応されます。

銀行で預金を積み立てるよりも利率が高いため学資保険としての個人年金を提案されるケースもありますが、個人年金保険料控除外になることは覚えておきましょう。

また孫への資金を積立用と祖父が契約したケースでは
契約者被保険者年金受取人
祖父祖父
と契約者と受取人が異なるためこちらも対象外です。

契約形態によっては控除対象外になるだけでなく満期金受取時に贈与税の対象となるなど注意点が多いため特に気を付けたい点です。

条件②保険料支払い方法

保険料は定期に支払う契約でなければいけません。

そのため支払方法は
  • 月払い
  • 年払い
  • 半年払い
  • 全期前納
に限られます。

つまり「一時払い」での振込は控除の対象外になるということを覚えておいてください。

全期前納も一括で支払うから控除の対象外なのでは?と思うかもしれませんが、一時払いは保険会社に「支払う」のに対し、全期前納は保険会社に「預ける」イメージです。

全期前納は預けた保険料から毎年保険会社が契約に充当していくという形をとっています。そのため定期支払いに該当するのです。

こちらの違いについては個人年金保険は一括払いがお得!一時払い・全期前納とは?の記事に詳しく解説していますのでご参照ください。

条件③保険料払込期間

年金の支払を受けるまでに10年以上振込を行うことも条件です。


60歳から年金を受け取りたい場合で、控除枠も活用しようと思えば50歳までに加入しなければなりません。


60歳で加入する場合は年金の受け取りを70歳以降に設定するなど振込期間が10年以内にならないようにしましょう


個人年金保険の中には保険期間が5年のものもあります。保険にしては期間が短いため資金を縛る期間が短く選択する人もいますが、その場合は個人年金保険の控除枠は利用できないため注意が必要です。

条件④年金受取形式・受取期間

年金受取形式と期間には以下の条件があります。
  • 開始年齢が60歳以上であること 
  • 年金受取期間が10年以上であること
開始年齢が60歳以上なので、20代でマイホームの頭金を作るために10年の個人年金を契約したなどの例は控除の対象になりません。

若いうちに契約し控除を受けたい場合には契約期間が長くなるため自分のキャッシュフローをよく検討して最後まで支払いができるか考えましょう。

また年金受取の期間が10年以上であることも条件のため受取方法の1つである5年確定年金を選択すると対象外になってしまいます。

定年退職から年金受取のつなぎとして検討している人は5年確定年金を選ぶケースが多くありますので注意しましょう。

控除を受けるのであれば10年以上の確定年金か終身年金を選択してくださいね。

※被保険者等の重度の障害を原因として年金の支払いを開始する10年以上の定期年金又は終身年金は対象です。

生命保険料控除とは?【基礎知識】

個人年金保険の控除についての条件について紹介しましたが、生命保険料の控除とは何か基礎知識を紹介します。


覚えておきたいポイントは

  • 種類
  • 対象の保険
  • 控除額・計算方法
の3つです。

ほとんどの保険が適応種類に該当しますので「知らなくて損をした!」とならないようしっかり覚えておきましょう。

生命保険料控除の種類


生命保険料控除の種類は

  • 一般生命保険料控除 
  • 個人年金保険料控除 
  • 介護医療保険料控除
3種類です。

基本的な考え方としては所得から保険料の支払い分を差し引き課税額を再計算しましょうというものです。

支払保険料分がすべて戻ってくるというものではなく、数千円、多くても数万円のケースがほとんどです。(実際のシミュレーションについては下記で紹介します。)

一般生命保険料控除

生存や死亡に関する保険への控除枠です。

保険金の受取人が契約者か配偶者、もしくはその他の親族(6親等以内の血族、3親等以内の姻族)であることが条件です。ただしこれらに該当していても期間が5年未満の契約で、いわゆる貯蓄保険や貯蓄共済は含まれません。

平成23年以前と平成24年以降では控除区分と控除額が変更になっていますので詳しくは生命保険料控除の新制度を解説!新旧併用での控除額算出を理解しようをご覧ください。

個人年金保険料控除

個人年金保険の契約で一定の条件を満たした場合一般生命保険控除とは別に適応されます。

介護医療保険料控除

平成24年に制度が改正され新しく制定された控除枠です。入院や通院などにともなう給付にかかる保険契約をしている場合対象となります。

こちらも一般生命保険控除と同様に保険金の受取人が契約者か配偶者、もしくはその他の親族であることが条件です。

生命保険料控除に対象の保険

生命保険料控除の対象になる保険を種類ごとにまとめます。


一般生命保険控除

  • 終身保険
  • 定期保険
  • 収入保障保険
  • 学資年金保険
  • 個人年金保険(税制適格特約なし)

個人年金保険料控除

個人年金保険(税制適格特約あり)

介護医療保険料控除

  • 医療保険
  • がん保険
  • 介護保険
仮に終身保険+個人年金保険(税制適格特約あり)+医療保険を契約している場合は3つの控除枠を利用できるのです。

貯蓄と保障のバランスを考えるとともに、控除枠の利用区分も考えながら契約することで効率的な節税効果が得られます。

個人で吟味するのには限界があるため、プロに相談することをおすすめします。あなたにあった保障内容とともに節税についても的確なアドバイスをくれますよ。

生命保険料控除の控除額・計算方法

実際に生命保険料控除の控除額を求めるための計算方法を紹介します。


モデルケース

  • 35歳男性
  • 年収600万円
  • 保険は個人年金保険(確定年金10年)のみ
  • 月額保険料10,000円
  • 振込満了・年金開始ともに65歳
  • 基本年金額290,000円
  • 社会保険控除なし
課税所得は

課税所得=総所得ー給与所得控除ー所得控除(生命保険控除・基礎控除等)

で求めます。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
3,600,001円から6,600,000円まで収入金額×20%+440,000円


納税者本人の合計所得金額控除額
2,400万円以下48万円


年間の支払保険料等控除額
80,000円超一律40,000円


控除額の該当はそれぞれ以上の通りなので、課税所得は

600万円(総所得)ー164万円(給与所得控除)ー124万円(所得控除)=384万円

と計算されます。

課税される所得金額税率控除額
3,300,000円から6,949,000円まで
20%
427,500円


下記の項目で上限額について記載していますが、今回の場合所得税は、個人年金保険控除額が40,000円ですので税率の20%を掛けた8,000円が年末に調整されます。

住民税は年間支払保険料が56,000円を超えるため一律の28,000円×税率20%=5,600円が減額となります。

つまりこのケースでは個人年金保険控除を利用することで合計13,600円の節税につながるのです。30年控除枠を利用すると408,000円にものぼります。

返礼率をみるだけでなく控除額を含めて考えると銀行の普通預金で積み立てるよりも大きなメリットがでるのです。

契約を検討する際には枠を利用した場合どのぐらいのプラスがあるのか求めてみると良いでしょう。

ちなみに所得が多ければ多いほど税率が上がるため、控除枠も大きくなります。

個人年金で分からないことがあるなら保険のプロに無料相談!


個人年金保険料控除について主に解説してきましたが、特約をつけるにあたっては注意が必要な点があります。


それは

  • 個人年金保険料税制適格特約だけを解約することはできない
  • 付加後は条件を満たさない契約内容に変更できない
  • 契約内容の変更による返戻金を契約途中で受け取ることができない(所定の利息をつけて積み立てられ、年金受取開始日に増額年金の買い増しに充てられる)
という点です。

控除枠を活用することで、節税効果は得られますが契約変更や解約は基本的にできません

そのためライフプランが変わった場合の「早く年金を受け取りたいから期間を変更する」「契約変更(年金額の減少)などによる返戻金を受け取りたい」というような対応はとれないということです。

そうならないためにも個人年金保険に加入する前にはプロに相談することをおすすめします。控除活用の是非だけでなく個人年金保険の分からない点も詳しく説明してくれます。

相談先におすすめなのは保険相談サービスの1つである「マネーキャリア」です。

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個人年金保険料控除の確定申告書の書き方

個人年金保険料控除の確定申告の方法や書き方についてまとめます。


会社員は年末調整にて申告を行うため生命保険控除証明書を添付して提出すれば終了ですが、自営業の方は確定申告をしなければなりません。


まずは

  • 確定申告書A第一表・第二表
  • 生命保険控除証明書
  • 印鑑
を用意します。

確定申告書については税務署で直接もらう他、国税庁のホームページから印刷することも可能です。

書き方の手順は大まかに以下のようになります。
  1. 生命保険料控除証明書にある年間保険料を参考に控除額を計算
  2. 確定申告書A第二表の生命保険料控除に、年間保険料を転記する
  3. 確定申告書A第一表の所得から差し引かれる金額内にある生命保険料控除に1で計算した控除額を記入
実際の記入用紙や参考例は税理士ドットコムをご参照ください。

分からない場合は早めに税務署等に問い合わせると良いでしょう

確定申告の提出受付期間は、原則毎年2月16日~3月15日です。税務署に直接持っていく方法や郵送でも可能ですが、e-taxを用いることで簡単に申告ができます。

配偶者が支払った個人年金の保険料も控除の対象?

個人年金保険料控除は配偶者が支払った分も対象になります


個人年金の保険料は契約者が支払うのが基本ですが、専業主婦(夫)の場合は配偶者が保険料を支払うケースも多いでしょう。


この場合配偶者が支払ったことが明らかであれば控除の対象となります。


年金受取を

  • 契約者
  • 契約者の配偶者
のいずれかにする必要があります。

税制適格特約の条件を満たしているが前提ですが、必ずしも払込をする人が契約者である必要はないのです。

ただし注意点があります。それは税制上は実際に保険料を支払った人が契約者とみなされるということです。

満期時に受け取る年金は配偶者からの贈与として扱われるため1年目は贈与税、2年目以降は雑所得として所得税扱いになります。

贈与の扱いになると契約者=受取人の場合よりも税負担が重くなることがほとんどですので気を付けましょう。

詳しい解説と、対策については個人年金保険料控除は配偶者負担分も対象!専業主婦の場合は注意点もの記事に記載されていますのでご一読ください。

参考:idecoに掛け金も所得控除の対象!


定年退職後のつなぎとしての役割として、また老後の生活費の足しとして利用されることが多い個人年金保険ですが、老後資産の形成のためのその他の方法としてiDeCoも有効です。


iDeCoは自分で決めた金額を自分で決めた方法で積立60歳以降に年金として受け取る制度です。


iDeCoの1年間の掛金は上限までは全額控除となり、上限額は被保険者によって異なります(参考:iDeCo公式サイト

国民保険の加入状況上限額
第1号被保険者(自営業者等)月額6.8万円(年間81.6万円)
第2号被保険者(企業型DC※1のない会社員)月額2.3万円
(年額27.6万円)
第2号被保険者(企業型DCに加入している会社員)
月額2.0万円
(年額24.0万円)
第2号被保険者(DB※2加入者・公務員等)月額1.2万円
(年額14.4万円)
第3号被保険者(専業主夫等)
月額2.3万円
(年額27.6万円)

※1:企業型確定拠出型年金 ※2:確定給付企業年金


個人年金保険控除や一般生命保険控除よりも多くの控除ができ節税効果が高いのが特徴です。


ただし60歳までは引き出しができないことなどデメリットもありますので、詳しくは個人年金とiDeCoはどっちが良い?ベストな老後資金準備方法を徹底比較!をご覧ください。

個人年金保険料控除に関するまとめ

個人年金保険料控除について

  • 個人年金保険料税制適格特約をつけるための条件
  • 生命保険控除の基礎知識
  • 控除の上限額
を中心に解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

個人年金保険控除を知っておくことで、個人年金保険は老後の資金形成だけではなく節税効果も受けられることをご理解いただけたのではないでしょうか。

ただし、特約を付加するためには条件があり変更ができないため加入時にはしっかり検討しましょう。

もし個人年金や控除について疑問点があればプロに相談することをおすすめします。

マネーキャリアをはじめとする保険相談サービスを利用することで、自分にとって最適な商品を見つけられるだけでなく、公的制度も踏まえたうえでのアドバイスもしてもらえますよ。

ほけんROOMでは、保険に関する記事が数多くありますので興味のある方は合わせてご覧ください。  

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