個人年金保険で借入ができる契約者貸付とは?

老後に備えて個人年金保険に加入しても、もし急にまとまったお金が必要になって保険料の支払いが困難になったら、あなたならどうしますか?実は個人年金保険にはそんな時に活用できる「契約者貸付」があります。契約者貸付とはどんな制度なのでしょうか。

個人年金保険の契約者貸付制度とは?

「契約者貸付制度」とは、保険の契約者がその保険会社から解約返戻金を担保にお金借りることができる制度で、個人年金保険など解約返戻金がある積立型の保険で利用できます


個人年金保険の契約中に、例えば病気で入院や手術のために急遽まとまったお金が必要になったときでも、保険を解約することなくお金を用立てることができます。

個人年金保険で契約者貸付制度を利用するメリットは3つ

お金を借りるということは、利息が付いたり、返済日が決まっていたりするものですが、個人年金保険で契約者貸付制度を利用する場合は、他でお金を借りる場合とは違う以下の3つの利点があります。
  • 解約することなく、個人年金を継続することができる
  • 他で借りるより低金利で、審査などもなく簡単に利用できる
  • 返済は期日が決まっておらず、自由に返済が可能

メリット1. 個人年金保険の契約を継続したまま利用できる

契約者貸付制度のメリットは第一に、個人年金保険を解約せずに済むことです。


個人年金保険は途中で解約すると元本割れする可能性があるほか、新たに加入するときには年齢があがる分、保険料も高くなってしまいます。


契約者貸付を利用すればお金を借り入れながら解約を回避することができます。


ちゃんと返済すれば満期時に受取れる保険金が減ることもありません。


メリット2. 低金利かつ、審査を受けることなく書類で申し込むことができる

利率は契約した個人年金保険の予定利率に1~2%を上乗せした程度のことが多く、他のローンと比べはるかに低い金利で借り入れることができます。


返済期限も特になく保険契約の有効期間中であればいつでも好きな時に返済可能です。また、保険の解約返戻金が担保となっているため、審査もありません。


メリット3. 契約者貸付制度の返済方法は自由

解約返戻金の中から貸付しているので、個人年金保険を継続している間であれば、返済期間は決められていません。

したがって、可能な範囲で少しずつでも返済していくことが可能となっています。

しかし、返済をせずに貸付したままだと、複利で利息が増えていくため、返済金額が増えてしまうことになります。

その点を踏まえて、返済計画を立てておく必要があります。

個人年金保険の契約者貸付制度を利用する場合は4つのことに注意

簡単に利用することができる契約者貸付制度ですが、利用した場合には気をつけておかなければならない点が4つあります。
  • 返済をしなければ、保険契約が失効してしまう恐れがある
  • 利息は複利で計算されるので、早めの返済が必要
  • 加入する保険の予定利率が高ければ、借入利率も高くなる
  • 貸付が残っていると、祝金や満期金から貸付金が差し引かれる
もしこの注意点を知らなければ、あとで大変なことになってしまう可能性もあるので、契約者貸付制度を利用する前に、きちんと注意点を把握しておくことが大切です。

注意点1. 返済がない場合、保険契約の失効

貸付金の返済をせずにそのまま放置しておくと、保険契約そのものが失効してしまう可能性もあります。


契約者貸付の借入額(元金)と利息の合計が解約返戻金を超えると、保険会社から返済期限が通知され、期日までに返済できなければ保険は失効となります。

注意点2. 複利により利息がふくらむ恐れがある

契約者貸付の利息はほとんどの場合「複利」で計算されます。

複利とは、次の利息を計算するとき未払いの利息が元金に組み込まれる方式のことをいいます。


そのため、利息分の返済ができていない場合、元金がどんどん膨らんでしまい、返済しなければならない返済額は、年々膨らんでいくことになります。

注意点3. 予定利率が高い場合は借入利率も高くなることもある

バルブ期のときの保険は、今とは予定利率が大きく異なり、5.5%など今では考えられない利率の高い保険が販売されていました。

そのような利率の高い個人年金保険に加入していた場合、契約者貸付制度を利用すると、借入利率も高く設定されるケースがあります。

借入利率が高いということは、利息の付き方も高くなってしまうので、当然、返済しなければならない金額も高くなってしまうことになります。

注意点4. 祝金や満期金から返済額が差し引かれてしまう

契約者貸付制度を利用した場合、自分で返済をする方法以外に、祝金や満期金から差し引かれて返済されるという方法があります。

祝金や満期金を楽しみにしていても、貸付金額が残っていれば、貸付残高を差し引かれて祝金や満期金を受け取ることになります。

利息は複利で運用されるので、返済をしなければどんどん返済額は多くなっていき、思っていた祝金や満期金の金額から、思ったより多くの貸付金の精算をされてしまうことになりかねません。

個人年金の場合は、年金開始までに完済すれば良いのですが、満期を迎えるような短期契約の場合は、早めの返済が必要となります。

個人年金保険の加入者でも契約者貸付制度を利用できない場合もある

契約者貸付制度は個人年金保険に加入していれば必ず利用できるというわけではありません。


個人年金保険の契約期間が短いためにこの制度を利用できないことがあります。契約から間もないと積立てた額が少なく、担保となる解約返戻金も少額になるためです。


借り入れられたとしても、ごく僅かな額になることもありえます。

借入額の決まり方

個人年金保険の契約者貸付で借りることができる金額は、保険会社や保険の種類によって異なります。


加入している個人年金保険を解約した場合の解約返戻金から算出され、通常解約返戻金額の70~90%の範囲内です。


貸付金の可能額は、解約返戻金額から算出されるため、これまでに納めた保険料が多いほど借り入れられる金額は高くなります。

借入可能額の確認方法

個人年金保険の契約者貸付で借り入れることができる具体的な金額は、個人年金保険に加入している保険会社のホームページで確認することができる場合もあります。


また、契約者貸付の金利もホームページに記載されていることが多いので合わせて確認しておきましょう。保険会社に直接問い合わせる場合は、証券番号が必要になるので保険証券を準備しておくとスムーズです。

個人年金保険の契約者貸付の利用方法

個人年金保険の契約者貸付を利用するには、窓口のほかインターネットか電話で手続きができます。


契約者貸付制度の申請から実際融資がされるまでには、通常3日~1週間程度かかります。


ほかにも保険会社のカードがあれば自社ATMで借り入れできる場合があります。利用可能なATMは、保険会社によっても違うため、加入する保険会社に確認しておく必要があります。

インターネットでの手続き

インターネットによる手続きは、まず保険会社のホームページにログインします。


もしも会員登録など初期設定を行っていない場合、そこから設定する必要があります。


契約者貸付のメニューを選択、必要事項を入力し申し込みます。不備がなければ後日保険会社から貸付金が口座に振り込まれます。

電話と郵送での手続き

電話での手続きは、まず保険会社のコールセンターに連絡します。このとき、個人年金保険の契約者本人が連絡する必要があります。


保険会社から申込書類が郵送されるので、必要事項を記入し必要書類(本人確認書類など)とともに返送します。後日保険会社から貸付金が口座に振り込まれます。


また、保険会社によっては電話のみで完了できる場合もあります。

個人年金保険の契約者貸付制度についてのまとめ

突然まとまったお金が必要となった場合、契約者貸付は個人年金保険を解約せずに低金利で借り入れができるとても便利な制度です。


個人年金保険に加入しているなら、まず検討したい借り入れ方法の一つといえます。


きちんと返済すれば保険金も受け取ることができます。まずは借入可能額と金利を確認し、返済計画をしっかり考えて賢く利用しましょう。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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