更新日:2023/01/24
払い済み個人年金保険ってお得なの?どの場面だと利用すべきなのか。
払い済み保険とは、以後の保険料を払うことなく今まで支払った保険料で、準備金で一定の保障額の保険に変更することです。個人年金保険の払い済みは、将来受取の年金額が変動してしまいますが保険料の払込が終了します。では、個人年金保険の払済の利用時期をみていきましょう。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 個人年金保険を中途解約するなら払い済み保険にしよう
- 中途解約は元本割れするリスクが高い
- 払い済み保険とは?
- 個人年金保険を払い済み保険にすることのメリット
- メリット1:保険料の支払いがなくなる
- メリット2:年金を受け取れる
- メリット3:解約返戻金は増える
- 個人年金保険を払い済み保険にすることのデメリット
- デメリット1:受け取れる年金額は減る
- デメリット2:払い済み保険にするともう元に戻せない
- デメリット3:税制適格特約がなくなり生命保険料控除の対象から外れる
- 払い済み保険にしたほうが良い人の特徴
- 今後も保険料の支払いが厳しそうなら払い済み保険へ
- 一時的に保険料の支払いが厳しくなったなら自動振替貸付制度へ
- 緊急にお金が必要となった場合なら契約者貸付制度へ
- 参考:個人年金保険を払い済み保険にして生前相続の手段にする方法も
- まとめ
目次
個人年金保険を中途解約するなら払い済み保険にしよう
では中途解約の場合、どんなデメリットがあるのか、また中途解約をせずに済む方法はどんな方法があるのかについてもご紹介していきましょう。
中途解約は元本割れするリスクが高い
そもそも個人年金保険で中途解約をするとデメリットが大きいのが特徴なのです。理由は、満期まで預け入れることを前提としたリスクの小さな資産運用ですので、中途解約をすることによりそのメリットが失われてしまうのです。
銀行の定期預金が同じ例になりますが、中途解約をする場合は約束された利率での運用を前提とすることはできません。そのため、あらかじめ定められた仕組みで生産されることになるのです。個人年金保険の場合は短期の運用しかしていない場合は、中途解約をすることで元本割れになることもありますので、注意が必要なのです。
払い済み保険とは?
保険の種類によって違いはありますが、通常はどれぐらいの期間保険料を支払うのかは契約した時点で分かっていますよね。
しかし、人生に変化はつきもので、支払うことが出来ると思っていた契約も、保険料を支払うことが難しくなる場面もあります。そういった場合に、どのような手段をとるのか。とにかく支払う保険料を減らすために『保険の解約』を考えるのも一つの手です。しかし、「せっかく支払ってきたのに」という気持ちもあるはずです。そんな時、払い済み保険を利用すれば保険料を途中までしか支払っていない状態であったとしても、保障額が減額されてしまう代わりに、それ以降の保険料の支払いをする必要がなくなります。
払い済み保険を利用すると、現在の加入している保険を解約するわけではないので、現在契約している保険の保障は継続されるのです。
つまり、保障はある程度残り、かつ保険料の支払いに頭を悩ませなくてもよくなるのです。
個人年金保険を払い済み保険にすることのメリット
払い済み保険を活用することが出来れば、保険料の支払いによる苦しみから開放されるだけでなく、他にも多くのメリットがあります。
払い済み保険を利用することで保障額が下がってしまうので、保障が十分ではないということは大きなデメリットかもしれません。
しかし、保険を解約した場合と違って得られるメリットがあります。
<メリット>
- 払済保険に変更した時点から保険料が発生しない。
- 保険金額は減ってしまっても、主契約の保障を継続して持つことができる。
- 払済後も責任準備金は同じ予定利率で運用され続ける(解約返戻金は増えていく)
メリット1:保険料の支払いがなくなる
保険に加入する時点で、自分がどれぐらいの保険料を支払い続けることが出来るのかというのは、ある程度計画があるはずです。しかし、その計画通りに支払い続けることが出来なくなることもよくあります。
経済的にどうしても支払いが厳しい時には、払い済み保険を利用することにより、以後の支払いを免れることができるのです。
単純に保険料の払込を中止したい場合は、そのまま続けた場合に発生する解約返戻金などをしっかり確認したうえで検討をおすすめします。
メリット2:年金を受け取れる
しかし、年金受取開始日は変わりませんので、予定通り年金を受け取ることができるのです。
最近では生前贈与での個人年金保険の払済保険が多くなってきています。
メリット3:解約返戻金は増える
解約返戻金とは、現在加入している保険を解約した時に戻ってくるお金のことを表現しています。
解約返戻金のある保険を払い済み保険にした場合、解約返戻金が徐々に増えていくという特徴を備えています。
解約返戻金がある保険商品とては、終身保険や養老保険などいわゆる貯蓄型の保険と言われているものが一般的です。
商品にもよりますが、掛け捨て型の解約返戻金のある商品もあります。
そのうち個人年金保険も貯蓄型の保険の1つとなりますが、個人年金保険の場合やむを得ない事情で短期間解約をすると、予め定められている返戻率によって損失が発生する可能性があります。
このように解約返戻金が加入年数に応じて増加するような型の保険に加入している場合だと、解約返戻金が解約しない限り増加し続ける仕組みとなっているのです。
ですから、すぐにお金が必要ではないという場合には、そのまま放置しておいてお金が自然に増えていくのを待つという方法がベストなのです。
個人年金保険を払い済み保険にすることのデメリット
しかし、この仕組みは定期預金の中途解約と同じで、個人年金保険の場合もデメリットが存在しています。
<デメリット>
- 保険料を払い続ける場合よりも保障額は小さくなり、元本割れをしてしまう。
- 契約は主契約のみになり、特約も配当金なども一部例外を除いて消滅してしまう。
- 一度払済にしてしまうと元に戻すことはできない。
この3つのデメリットを把握して、判断をするようにしましょう。
デメリット1:受け取れる年金額は減る
中途解約をすると年金はもらえない個人年金保険の仕組みは、基本的には毎月払い込んだ保険料を運用することにより、老後資金が必要になった段階で利息を添えて返納してもらえるという特徴があります。
そのため中途解約をしてしまうとこの大切な資産運用の成果を放棄することにつながるのです。これはとてもデメリットの大きな行為であると言えるでしょう。
払い込んだ額面を下回ることもあり得る個人年金保険を中途解約する場合、一定のルールに従って処理が行われることになっていますので、多くの場合、額面より目減りしてしまうことになります。
デメリット2:払い済み保険にするともう元に戻せない
払い済み保険にすれば現在契約している保険の保障を継続することができますが、継続することが出来ない契約もあります。そして、払い済み保険にしてしまうと改めて保険料を支払うことは出来なくなってしまうということです。
一度、払い済み保険にした契約を元に戻したいなど思うことはないかもしれませんが、特約など自分に必要な条件の契約であった場合は可能性があります。
払い済み保険にした時点で、多くの場合は付与している特約は効果を失ってしまいます。ですので、安易に特約付きの契約を払い済み保険にするべきではないのです。
デメリット3:税制適格特約がなくなり生命保険料控除の対象から外れる
生命保険料控除とは払い込んだ生命保険料に応じて、一定の金額がその年の所得から差し引かれ、所得税や住民税の負担が軽減される制度です。
生命保険料控除は平成22年度税制改正によって平成24年1月1日以後に契約した生命保険から、新制度の対象になります。
<新制度>
- 一般生命保険料控除:4万円
- 介護医療保険料控除:4万円
- 個人年金保険料控除:4万円
これまでの死亡保障・医療保険を中心とした「一般生命保険料」と個人年金保険の「個人年金保険料」の2種類に新たに医療保険・がん保険・介護保険などの「介護医療保険料」が新設され3種類になりました。
個人年金保険に加入の場合個人年金保険を払い済み保険にする場合としては、生前贈与での利用が増えています。
一般的に110万円の贈与税基礎控除を利用して、個人年金保険で生前贈与をしていた方がお亡くなりになり、遺族の方が保険料を支払いを引き継がない際に払い済み保険にします。
しかし、個人年金保険で「個人年金税制適格特約」と言うものが付いている場合に、個人年金保険料控除を利用していた方が払い済み保険にしてしまうと、加入後10年間は払い済み保険にできない制限を設けている場合もあり、個人年金保険控除の対象から外れてしまいますので、一度保険会社に確認が必要となります。
払い済み保険にしたほうが良い人の特徴
払い済み保険を利用した方が良い方
- 保険料の支払いが難しくなってしまった方
- 予定利率が高い保険に加入している方
- 養老保険に加入している方
養老保険の特徴
- 支払う保険料がほかの保険と比べて割高なこと
- 満期を迎えると死亡保障を同額の保険金を受け取ることが出来る。
- 終身保険に加入している方
今後も保険料の支払いが厳しそうなら払い済み保険へ
一時的ではなく、今後ずっと支払いが難しいという場合には、「払い済み」という方法が有効です。
払い済みにすれば、以後の保険料の払込を中止して、変更時の解約返戻金をもとに、保険金額を新たに定めた生命保険に変更することができます。保障は小さくなってしまいますが、失効することなく、また保険料の払い込みをすることなく、契約を継続することができます。
一時的に保険料の支払いが厳しくなったなら自動振替貸付制度へ
一時的に保険料の支払いがきつくなった場合は、この制度を利用することをおすすめします。
緊急にお金が必要となった場合なら契約者貸付制度へ
契約者貸付制度とは、解約返戻金の範囲内で保険会社からお金を借りて、保険料を支払うことです。
貸付には所定の利息がかかり、保険種類や契約時期などにより利率が定められています。 年金や解約返戻金等を受け取るときは、貸付の元利金が差し引かれますので、一時的に保険料を払わずに契約を継続することができます。ただし、いつかは解約返戻金がなくなってしまうので、一時的に保険料の支払いが難しい場合の対処法として覚えておきましょう。
参考:個人年金保険を払い済み保険にして生前相続の手段にする方法も
通常の贈与の場合、受贈者が年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の合計額が、基礎控除額110万円よりも少なければ贈与税はかかりません。
つまり資産を持っている親が贈与者となり、子どもや孫等に年間110万円以内での贈与を複数年に渡って行うことは、贈与税もかからずに将来の相続税の軽減にもつながるのです。
その方法の一つに「生命保険」を活用する方法があります。これは、贈与された現金分を生命保険の保険料にあてるという方法です。
方法としては、あらかじめ受贈者を契約者(保険料負担者)とした保険契約をし、贈与で現金が振り込まれる受贈者の預金口座から保険料が引き落とされるようにしておくとよいでしょう。
<選べる方法>
- 終身保険
保険料を一時払いや全期前納等の短期での払い済みにすると、その後の保険料負担がなく、一生涯保障が続きます。貯蓄性があるので、解約すると解約返戻金が受け取れます。一定の時期を経過すると解約返戻金が支払保険料を上回っていくこともあります。 - 定期保険
一定期間だけ大きな死亡保障を確保したい場合に有効です。基本的に保険料が掛け捨てなので、受贈者にとって、贈与でもらったお金を保険料にあてられるのはありがたいことです。 - 医療保険・介護保険
贈与の分でより充実した保障内容の保険に加入しやすくなります。短期での保険料払い済みにすれば、お子さんやお孫さんへの一生涯の医療保険のプレゼントにもなるでしょう。
このように年金保険や養老保険、学資保険などの貯蓄性のある保険で、将来のために使える資金にすることで、支払った保険料に対して、将来の受取額(満期金や解約返戻金)がより多くなる場合があります。これは、遺産整理にかかる費用や相続税納税資金にあてることができます。
まとめ
個人年金保険では長期間の運用により、老後の生活資金を作ることが出来る仕組みになっています。安全に資産形成が出来る仕組みとして、中途解約をするとそのメリットが大きく失われるのです。
最初の段階から無理なく継続できる範囲内で個人年金保険の運用に取り組むべきであると言えます。中途解約にはデメリットしかありませんので注意をしましょう。
払い済み保険は便利な方法です。しかし、各々の契約内容で、得するか損するかは変わってきますので、払い済み保険の利用についてお悩みでしたら一度保険のプロでもあるファイナンシャルプランナーへの相談をしてみるといいのではないでしょうか。