介護保険の住宅改修にかかるトラブルと住宅改修を有効活用する方法

介護保険の住宅改修におけるトラブルは多数生じています。
工事に携わる側が、介護保険の住宅改修制度の上限を使いきることを薦めることもあり、トラブルに発展する事例が散見されます。
業者側の意識や市町村の意識などを踏まえて、介護保険を有効に使う手段をよく検討しましょう。

介護保険の住宅改修にかかるトラブル(身体状況に合わない工事)

介護保険の住宅改修にかかるトラブルとして、身体状況に合わない工事を行う事例があります。住宅改修工事については、20万円の工事の範囲内で1~2割の負担のみで、工事ができてしまうため、負担感がないとの誘い文句で工事を施工され、あとでトラブルとなる場合があります。


 要介護度の等級が上がり、身体状況が悪化した際に介護保険が使えない恐れもありますので、必要な工事がどうかよく整理しましょう

段差解消工事の事例について

段差解消工事には玄関の段差解消、部屋間の段差解消、風呂場の段差解消など、さまざまな解消事例があります。この中で特に気になるのは、部屋間の段差解消についてです。


 玄関の段差解消を行わないにもかかわらず、部屋間の小さな段差を躓き防止のため施工する事例が多いです。具体的には、段差が2cm~3cmの箇所に傾斜の三角の板をはめて固定する工事や、扉の入れ替えとセットで仕切りをなくすような工事が多いです。

引き戸等への取り替えの事例について

また、引き戸等への扉の取り替え工事でも、気になる工事が多いです。介護保険を適用した風呂場を引き戸から軽くなる折れ戸やアコーディオンカーテンに替える工事などは好評ですが、被保険者からの聞き取りを十分せずに、部屋間の扉の仕様を押すものから引くものに替える工事や扉の握り玉をレバーに替えるだけの工事に対し、介護保険の使用額上限があるならほかのものに使用すべきだったとの声もお聞きすることがあります。

介護保険の住宅改修にかかるトラブル(過剰工事の事例)

介護保険の住宅改修にかかるトラブルとして、身体状況を考慮せずに過剰に工事をされる事例があります。


 介護保険の住宅改修の上限額に到達したあとで、ほかの場所にも住宅改修工事をしたかったとか、別の種別の工事を希望しているなどの声がよくあります。段差解消や手すり取り付け工事は多数いらなかったという事例があります。この事例について述べていきます。

段差解消工事の事例について

段差解消工事の事例については、部屋間の段差に小さい傾斜のついた木片を取り付けるものがあります。工事は日常生活における導線や生活の上で必要なものの優先順位を考慮して実施する方法が一般的です。


トラブル事例については、導線以外の箇所に手厚く段差解消工事を実施する事例が見られます。あまり、使用していない居間の段差を解消したり、普段あまり使わない勝手口の段差解消に費用をかけたとのトラブルはあります。

手すり取り付けの事例について

手すりの取り付け事例においても、トラブル事例は散見されます。手すりは導線上のポイントとなる位置に取り付けるのが一般的ですが、導線全体に取り付けてしまい、非効率な費用捻出となっている事例があります。 


また、風呂場の至る場所に取り付けている事例もあり、あまり使わない手すりがあるとの談話も聞こえてきます。非効率な取り付けを行うことにより、工事後にトラブルとなっている事例は散見されます。



介護保険の住宅改修にかかるトラブル(高価格すぎる事例)

介護保険の住宅改修にかかる事例としては、ほかに値段が高すぎる事例が見受けられ、トラブルになる事例があります。高価な手すりや工事費用に差が生じやすい洋式便器への取り替え事例のケースが多いです。


 洋式便器の取り替えについては素人ではわからないことも多いですが、福祉用具の活用も選択肢としてありますのでよくケアマネージャーなどと相談するとよいです。

手すり取り付けの事例

手すりについては、取り付け費用が元々高い上、高価な製品を取り付けられる事例もあります。体を支えることができるものであって、耐久性があれば、日常生活に支障はありません。


手すり一本で、5万円を超える事例や数本を取り付けて20万円の枠を使いきる事例があり、身体状況の変化による追加の改修を検討する際に振り返ってトラブルとなる事例が散見されます。

洋式便器への取り替え

また、洋式便器への取り替えも高額なものが多いです。基本的には、和式から洋式に変更する場合は20万円の枠を使いきるケースが多いです。一方で、和式便座に腰掛け便座を据え付ける福祉用具の購入のメニューもあります。


 業者側が便座工事を推奨する事例は多く、あとから手すりをつけたかったとか、段差解消をしたかったという潜在的ニーズに応えられずトラブルとなる事例が生じています。

介護保険の住宅改修に対する意識

介護保険の住宅改修に対する業者や市町村の意識について、知っておいていただくと、トラブルとなる前にご自身で住宅改修の善し悪しをご判断いただけます。介護保険のサービス費用には必ず上限があり、市町村が審査をしています。


住宅改修についても同様です。しかし、一つ一つの現場で起こっているトラブルまでは現認もできないですし、介入も難しいです。介護保険はあくまでも保険拠出の可否の審査であると考えてください。

業者側の売り上げに対する意識

業者側の意識としては、あくまでも住宅改修にかかる工事を販売する立場です。イメージを重視してトラブル回避する事業者も多いですし、福祉的な視点から相談を受ける事業者もたくさんあります。 


一方で、ケアマネなどと違い、あくまでも営業職的な色彩が強いことも事実です。そのため、目先の利益を優先してトラブルを起こす事例はあります。

審査をする市町村の意識

市町村については、あくまでも申請を受けた住宅改修が介護保険で拠出可能かどうかを審査するだけです。被保険者にとってよりよい住宅改修の選択をアドバイスする立場でもありません。


トラブルに対して、お話をお聞きできるだけの立場です。通常は、介護保険の拠出可否の判断しかしませんので、個別の詳しい相談をしない限りは個々の事案を見ていませんので、市町村の審査に過度の期待をしてもトラブルは防げません。

まとめ

介護保険の住宅改修におけるトラブル事例は多数あります。この事由としては、業者側が営業的な側面から住宅改修を薦めている部分は否めません。一方で、市町村側も住宅改修について、介護保険の適用対象か否かという視点でしか審査をしていません。 


住宅改修のトラブルを防ぐには、介護保険に詳しいケアマネージャーに相談したり、市町村に個々の詳しい相談を行うことが大切です。介護保険の住宅改修は限られた制度であり、慎重に検討しましょう。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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