介護保険の助かるサービス。住宅改修の補助制度を詳しく解説します。

介護をする際に、現在住んでいる住宅の直したい場所や、手すりなどを追加したい場所などがありませんか?条件が揃えば介護保険の住宅改修の補助を受けることができます。介護保険を理解して、介護の助けとなる、住宅改修を上手に執り行いましょう。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

介護保険は住宅改修を補助してくれる



介護保険とは、日本国民の40歳以上が加入しなければならない公的保険です。40歳以上の日本国民が収めた保険料を活用し、介護が必要な方とその家族を支える制度です。

自宅で介護をする場合、スロープを作ったり、手すりを取り付けたり、トイレを改修したりと、自宅の改修が必要になったりします。介護保険は住宅改修も補助してくれます。


どんな時に住宅改修が必要なのか

自宅での介護の場合、どのような住宅改修が必要なのかを見てみましょう。
  • トイレ・浴室・玄関などの出入り口のバリアフリー化、並びに間口・出入口を広くする
  • 洋式トイレへの変更
  • 座ったり立ったりの補助をしてくれる手すりを付ける
  • 浴槽を浅くしたり、腰掛けや階段などを取り付ける

以上のような住宅改修が考えられます。


介護保険の住宅改修の対象者

誰でも介護保険の住宅改修の補助を受けることができるわけではありません。住宅改修を受けることができるのは「要支援1」「要支援2」の方々になります。


介護サービスを受ける目安となる段階には、要支援と要介護とあり、要支援は要支援1と要支援2の2段階あり、要介護は要介護1~要介護5と5段階に分かれていて、その段階が介護サービスを受ける時の目安になってきます。また、認定を受けるには年齢の制限もあり、65歳以上の方、40歳~64歳までの方で加齢が原因であると思われる特定疾病(16種類)と診断された方が対象となります。


この段階によって受けることのできる介護保険のサービスが変わり、負担する金額も変わってきます。要支援1並びに要支援2の目安は、

要支援1

日常生活上の基本動作については、ほぼ自分で行うことが可能ですが、要介護状態への進行を予防するために、手段的日常生活動作(IADL)において何らかの支援が必要な状態です。

要支援2

要支援1と比べて、手段的日常生活動作(IADL)を行う能力がわずかに低下し、機能の維持や改善のために何らかの支援が必要な状態です。

介護保険の住宅改修支給金額

介護保険による住宅改修について一番の疑問は支給金額が多いですが、金額はどれくらい支給されるのか調べてみました。

上限金額は20万円まで

上限の金額は20万円となっていますが20万円すべてが使えるわけではありません。20万円には自己負担金も含まれていますので、自己負担金は1割になります。


仮に住宅改修に10万円かかったとします。その中の1割は自己負担となりますので、1万円は自己負担となります。

20万円を使い切らなかった場合の残金は、再度、住宅改修が必要となった場合に使用できます。

一定以上の所得がある方は、2割の自己負担となる場合があります。

介護保険の支給は一度まで

また、住宅改修の補助は要介護者1人につき、一度切りですので注意しましょう。例えば要介護者が2人いる場合は40万円となります。

ただし、支給額がリセットされる方法があります

上記で述べました、介護保険の住宅改修は一度切り。これには支給額がリセットとなる例外があります。それは、要介護度が3段階以上あがった場合になります。要介護認定を受けた場合、必要以上の住宅改修をしてしまうと、要介護度が3段階上がったのに住宅改修は必要ないということになりかねません。介護の度合いに合った住宅改修に収めたほうがよいです。


他にも、要介護者が引っ越しを行った場合もリセットされ20万円の補助を受けることができます。また引っ越し1回ではなく引っ越しを行うたびに補助を受けることができます。



介護保険の自己負担割合

介護保険の精度が始まった時、自己負担割合は皆1割負担でした。しかし2015年8月に介護保険の改定により、一定以上の所得を得ている方は自己負担割合が2割に引き上げられました。2割負担に当てはまる条件を見ていきましょう。


①所得金額の合計が160万円以上で

単身世帯の場合:年金収入+その他の所得の合計=280万円以上

夫婦世帯の場合:年金収入+その他の所得の合計=346万円以上


②単身者で年金の収入だけで280万円以上の場合

上記に当てはまらない方々は1割負担となります。

また、合計所得とは給与収入や事業収入から給与所得控除や必要経費を控除した後の金額となります。

さらに、2018年8月からは、介護保険制度の改定があり、3割負担となる方々もでてきます。現在想定される3割負担になる方々の条件は以下の通りです。

①所得金額の合計が220万円以上で

単身世帯の場合:年金収入+その他の所得の合計=340万円以上 

夫婦世帯の場合:年金収入+その他の所得の合計=463万円以上②単身者で年金の収入だけで344万円以上の場合

3割負担となる方々は約12万人となるのではないかと言われています。

介護保険の住宅改修が必要な理由書

介護保険の住宅改修の補助を受ける場合、様々な書類とともに理由書を提出しなければなりません。理由書とはどのような書類でしょうか。

介護保険で住宅改修するには理由書が必要

介護保険の住宅改修を申請する場合には理由書が必要になります。理由書とは「「住宅改修について必要と認められる理由が記載されているもの」になります。


「住宅改修について必要と認められる理由が記載されているものとは、要介護者の心身の状況及び日常生活上の動線、住宅の状況、福祉用具の導入状況等を総合的に勘案し必要な住宅改修の工事種別とその選定理由を記載するものになり自治体により様式がかわります。

住宅改修が必要な理由書は誰に書いて貰うのか

老企第42号で定められていますが、住宅改修には「住宅改修について必要と認められる理由が記載されているもの」が必要です。

このような書類を作成するのは基本的には居宅サービス計画等を作成する介護支援専門員及び地域包括支援センターの担当職員、つまりケアマネージャーになります。介護を必要としている場合、担当ケアマネージャーがいるはずですのでケアマネージャーに相談してみましょう。

ケアマネジャーに書いて貰えない場合

ケアマネージャーに理由書を作成できる者は、市町村が行う住宅改修指導事業等として住宅改修についての相談・助言を行っている福祉・保健・医療の専門家とされています。

また、現在では役所のケースワーカーや保健師が住環境整備事業の一環として理由書の作成を執り行っています。

介護保険が住宅改修に適用されるまでの流れ

住宅改修が適用するまでの流れは以下の通りになります。
  1. 担当のケアマネージャーに相談する
  2. 家の下見に来てもらう
  3. 住宅改修プランを作成して貰う
  4. 事業者と契約して工事開始
  5. 住宅改修費を支払う
  6. 支給額が振り込まれる

となります。各項目を確認していきます。


担当のケアマネージャーに相談する

どのような時に困っているか、どのような場所で困っているかケアマネージャーに相談しましょう。

ケアマネージャーのアイディアが固まってきたら次に進みます。

家の下見に来てもらう

ケアマネージャーのアイディアが固まったら改修業者に家の下見に来てもらいます。ケアマネージャーとともに下見に立ち合い改修業者に望んでいる希望を伝えましょう。その希望がどのような改修になっていくか説明を求めてください。

住宅改修プランを作成して貰う

ケアマネージャーのアイディアと改修業者とのすり合わせができたら、事業所に住宅改修プランを作成して貰います。

改修図面ならび改修費用の見積もりを確認し、間違いがなければ改修スタートとなります。

事業者と契約して工事開始

市区町村の種類審査が通れば工事開始となります。これまで話し合いを重ねてきた改修業者に改修を依頼したとはいえ、時にはどのように改修が進んでいるか確認しましょう。

住宅改修費を支払う

介護保険の住宅改修補助の費用は「償還払い」になります。償還払いとは、工事終了後、領収書などの必要書類を提出して、申請者に対して窓口で現金もしくは口座へ振り込まれます。つまり、先に改修業者に支払いを済ませなければなりません。


困難な場合は「受領委任払い」という制度もあります。受領委任払いとは、改修業者に自己負担分である1割を支払い、残りは介護保険が改修業者に支払う方法です。

しかし、受領委任払いは市区町村によって方法が違いますので、市区町村に確認したほうが良いでしょう。

支給額が振り込まれる

改修工事が終わり、工事後の必要書類の提出が市区町村に済ませ、書類に不備がなければ申請者に対して改修補助金が支払われます。ほとんどの市区町村が現金ではなく、指定した口座へ補助金が振り込まれます。

住宅改修のサービス例と費用の目安

介護保険の住宅改修には大きく以下の工事が多いです。
  • トイレの改修
  • 浴室の改修
  • 玄関の改修

以上の3項目の基本的な費用を見ていきましょう。


トイレを改修する場合

  • 和式便器から洋式便器への交換

暖房温水器付洋式便器:15万円

工事費用      :5万円

合計20万円 自己負担額:2万円(自己負担1割)

一般的な暖房・温水洗浄機能付きの便器と便器の撤去・取付費用です。他にも、床をクッション材に張り替えれば2万円~4万円ほどかかります。


  • 便座のみ暖房・温水便座への交換

暖房温水洗浄便座:6万円


工事費用    :2万円

合計8万円 自己負担額:8千円(自己負担1割)

工事費用は設置のみの金額です。暖房温水洗浄便座の電源が必要となります。コンセントがない場合はコンセントの取り付けとして工事費が2万円~4万円かかります。

浴室を改修する場合

  • 段差をなくす

工事費用:5万円~7万円 自己負担額5千円~7千円(自己負担1割)


  • 滑りにくい床材への変更

工事費用:10万円~20万円 自己負担額1万円~2万円(自己負担1割)



  • 浴室を広くする

工事費用:30万円~50万円 自己負担額12万円~32万円(自己負担1割)



  • 浴室の間口を広くする

工事費用:6万円~20万円 自己負担額6千円~2万円(自己負担1割)



  • 浴室暖房取り付け

工事費用:20万円~50万円 自己負担額2万円~32万円(自己負担1割)



  • 浴槽の交換

工事費用:10万円~40万円 自己負担額1万円~22万円(自己負担1割)



  • 取っ手取り付け

工事費用:3万円~5万円 自己負担額3千円~5千円(自己負担1割)



  • 浴槽内の取っ手取り付け

工事費用:5千円~1万円 自己負担額500円~1千円(自己負担1割)


水回りの工事は、工事後の処理が上手に行わなければ水漏れの原因になり、そこが腐食するなどが考えられますので、改修業者は信頼できる場所を選びましょう。

玄関を改修する場合

  • 木製のスロープに手すりを取り付けた場合

費用:21万円 自己負担額3万円(自己負担1割)


  • 支柱型スロープの場合

費用:40万円 自己負担額22万円(自己負担1割)



  • コンクリートスロープ(土間改修あり)の場合

費用:28万円 自己負担額10万円(自己負担1割)


  • コンクリート刷毛引き仕上げスロープ

費用:25万円 自己負担額7万円(自己負担1割)

玄関の改修は大掛かりになる場合も多いので、金額の誤差が大きい場合があります。しっかりと見積もりを取ることをお勧めします。



介護保険による住宅改修の注意点

上手に活用することで、助かる介護保険の住宅改修の補助。しかし、注意点を守らなければ支給されない場合があります。注意点を見ていきましょう。

入院中にも申請はできるが、退院できないと全額負担になる

基本的に住宅改修は在宅している時に受けるサービスなので、入院中は入院中の住宅改修の補助は受けることはできません。しかし、入院中ではあるが、退院した後に自宅に戻ってから改修すれば不具合がある、生活環境を整えておかないと生活が難しいなどの住宅改修の必要性が高い場合は住宅改修の申請を認める場合もあります。

この申請には退院できることが条件となっています。仮に工事が終わったが退院ができないと、住宅改修の補助金は支給されません。

20万円を超えてしまう場合の対象法

地域によっては市区町村独自の住宅改修補助制度があります。独自の補助制度ですので地域によっては補助制度が無かったり、申請方法や条件なども変わってきますので、市区町村の窓口もしくはケアマネージャーに相談してみましょう。

まとめ

いかがでしたか?

介護保険の住宅改修の補助についてまとめてみました。条件が揃えば介護の時に助かるように住宅改修が出来る事がわかりました。これまで悩んでいた不便な場所が、改修できるかもしれません。早速、担当のケアマネージャーに相談してみてはいかがでしょうか?

ランキング