更新日:2017/11/11
介護保険の住宅改修費償還払いをする際に注意すべき点を説明します
介護保険の住宅改修の償還払いの制度の利用について申請から住宅改修完了後の償還払いまで注意すべき点を項目ごとにまとめています。大切なのは介護保険の制度に通じたケアマネージャーや建築業者にしっかりと事前に相談して行うことです。
目次を使って気になるところから読みましょう!
介護保険の住宅改修償還払いとは
皆さんのご家族やご親族に介護保険でのサービスを受けている方はおられるでしょうか?
ご高齢になられた方がけがや病気で入院されたとします。
入院する前まではとてもしっかり歩いていたのに退院した途端、家の玄関のあがりかまちが上がれなくなったりお風呂の浴槽のふちが越えられず入浴できなくなったりしてしまいます。
お元気な時には全く問題のなかった日常が、病気やけがをきっかけに不自由なものになってしまう。そんな困難な状況をサポートするのが介護保険です。
介護保険のサービスにはデイサービスや訪問介護など様々なサービスがありますが、その中に住宅改修があります。
住宅改修とは文字通り今住んでいる住居を改修するサービスです。
住宅改修償還払いというのは一旦住宅の改修にかかったお金を全額工事を施工した業者さんに払い、後日介護保険で給付が承認された分のお金を返してもらう制度です。
介護保険の住宅改修では事前に市区町村に申請を出し償還払いをする
多くの自治体の場合申請時に改修代金の見積りを提示しますから、この時点であとからいくら償還払いされるのかの確認ができます。
介護保険でのサービスのほとんどは実際にかかった代金の1割が自己負担となります。
ただ一部のサービスによっては申請の金額に上限が設けられています。住宅改修の場合介護保険で申請できる上限は20万円です。この場合の還付代金は9割の18万円になります。つまり償還払いしてもらえるお金は18万円までということになります。
介護保険の住宅改修償還払いの流れ
要介護認定を受ける
要介護認定は要支援1~2要介護1~5まで7段階に分かれます。
実際の認定は市区町村への申請が必要になりますが、多くの場合ケアマネージャーが申請のほとんどを行ってくれます。
ケアマネージャーは自動的に決まるのではなく利用される方もしくは家族の方や代理の方が探して、選んでいただく必要があります。
要介護認定を申請してすぐに決定は出ません。市区町村にもよりますがだいたい申請してから約1か月ほどかかることも多いようです。
要介護認定中に住宅改修を着工することも市町村によっては出来る場合もありますがもし仮に要介護認定がおりず、「自立」と判断されてしまった場合は償還払いを受けることはできません。
ケアマネージャーに相談する
通常ケアマネージャーは利用される方のお身体の具合を考慮して工事内容を検討したり、工事業者と行政との調整などさまざまな場面での関わってくださいます。
主に住宅改修でケアマネージャーに相談すべき部分は
- 手すりの位置や高さ等のアドバイス
- お風呂や玄関の段差の解消にかかわるアドバイス
- 場合によっては理学療法士などの専門職の助言を依頼
- 介護保険での住宅改修に精通した業者の選定
また介護保険で適用される住宅改修の工事内容はかなり限定されています。適用外の改修を行ってしまうとあとで償還払いを受けることができない場合があるのでケアマネージャーとよく相談しましょう。
住宅改修が必要な理由書の作成
理由書の作成はどなたでもできるわけではありません。ケアマネージャーや福祉住環境コーディネーターなどの資格を持った方でないとつくることができません。
建築業者の決定
建築業者を選ぶことは今後にとっても非常に重要です。
建築業者は下記を基準に選ぶと良いでしょう。
- 身体に合わせた手すりや段差の高さを選定できるか
- 利用者の疾病や身体の状況を把握できているか
- 介護保険での住宅改修にくわしいか
- 事前に図面等で詳しく工事内容を説明してくれているか
- 提示された見積もりの内訳はわかりやすいか
また償還払いの仕組みを理解しているかも大切です。業者さんによっては工事見積にない改修を追加で行ってしまい償還払いができなくなってしまったケースもあります。
申請書の提出
- 介護保険住宅改修申請書
- 住宅改修の見積書
- 住宅改修の図面
- 改修場所の写真(日付入り)
- 住宅改修が必要な理由書
- 償還払い用口座記入用紙(申請書に記載する場合もある)
- 印鑑
上記書類をそろえて介護保険課へ提出します。
市区町村の審査
この場合の日数は市区町村によってかなりばらつきがあり当日窓口で許可がでる市区町村もあれば1か月ほど待たされる市区町村もあります。
住宅改修の実施
改修工事は図面や見積もりの通りに行う必要があります。勝手に内容を変更したり追加したりすると介護保険での償還払いが受けられなくなる場合があるので注意が必要です。
工事完了
基本的に工事完了後の写真(日付入り)をとらなくてはいけません。多くの場合は建築業者が写真を撮ってくれるはずです。
工事代金の支払い
必ず領収書をうけとってください。工事完了後償還払いの申請に必要です。
区への住宅改修費の支給申請手続き
- 住宅改修完了届(市区町村指定の用紙がある場合)
- 工事完了後写真(日付入り)
- 領収書(明細書)
- 返金先口座番号(完了届に記入する場合が多い)
- 印鑑
住宅改修費の支給
審査終了後に住宅改修費として申請した内容の9割が償還払いされます。(最大18万円)
多くの場合は完了届もしくは申請書に記載した口座へ振り込まれます。
償還払い以外の支払い方法
介護保険での住宅改修の場合償還払い以外の工事代金の支払方法に「受領委任払い」という制度もあります。
受領委任払い
ただし、すべての市区町村にあるわけではなく一部の市区町村で運用されています。また、償還払いでの申請に比べて許可が遅くなる場合もあります。
とはいえ、利用者の負担を減らすことのできる制度ですから利用できる自治体の場合は申請方法などを確認するとよいでしょう。
まとめ
いろいろと制約の多い制度ですので介護保険に通じたケアマネージャーもしくは建築業者さんとしっかりと打ち合わせを行い申請していくことが大切ですね。