介護保険の支給対象として住宅改修をするために必要な付帯工事

介護保険の支給対象となる住宅改修は「手すり」「段差解消」「床(通路)」「扉」「便器」の5種類ですが、改修のために必要な付帯工事が重要です。介護保険による住宅改修への給付には限度額があり、付帯工事の費用を含めた総額を考慮に入れたプランが重要です。

介護保険による住宅改修の付帯工事

介護保険を利用した住宅改修の適用範囲は、以下の5種類です。
  1. 手すりの取付け
  2. 段差の解消
  3. 床(通路)の材料変更
  4. 扉の取替え
  5. 便器の取替え

住宅改修の付帯工事とは

住宅を新築するときのことを想像してみましょう。

例えば、建物があっても、実際に生活するためには、電気・ガス・水道などのライフラインを自宅に引き込むための整備が必要です。軟弱地盤の場合は、地盤改良に必要な工事も発生します。こうした工事や費用を、建物に付帯した工事(費用)なので「付帯工事(費)」といいますが、介護保険を利用した住宅改修でも同様です。


住宅改修の付帯工事の具体例:手すりやスロープなど

介護保険による住宅改修で廊下や階段に手すりを設置する際に、壁などの下地が石膏ボードだったり、薄いベニヤ板の場合は、強度がないために手すりを設置したとしても実際に使用することはできません。このような場合には、壁の下に補強材を入れるなどの工夫が必要になりますが、介護保険による住宅改修には予算限度額が定められているため、極端な場合、手すり設置だけで予算を使い切ってしまうこともあり得ます。介護保険による住宅改修の際は、付帯工事を含めた一連の工事による費用総額で検討する必要があり、工事を請け負う業者によって金額が変動します。以下に、それぞれの場合の具体例を説明しますので参考にして下さい。

手すりの取り付け

介護保険による住宅改修では、廊下、トイレ、浴室、玄関、玄関アプローチでの転倒予防、移動(移乗)動作が安全に行えることを目的として設置します。手すり形状に応じて、取付けのための壁の下地補強が付帯工事になります。

段差の解消(スロープの設置)

介護保険による住宅改修では、住宅内部や玄関アプローチの段差や傾斜を解消するために、敷居を低くする工事、スロープを設置する工事、浴室の床のかさ上げが挙げられます。例えば、浴室の給排水設備工事、スロープの設置に伴う転落防止柵を設置することが付帯工事になります。

床又は通路面の材料の変更

介護保険による住宅改修では、居室の畳敷きをフローリングに変更する、浴室の床材を滑りにくいものに変更する、通路の舗装材を変更するなどが挙げられます。例えば、畳敷きからフローリングに貼り替える住宅改修では、下地補強や根太の補強、玄関アプローチの材料を変更するための路盤整備が付帯工事になります。

扉の取替え

介護保険による住宅改修では、開き戸から「引き戸」「折り戸」「アコーディオンカーテン」に変更するといった扉全体の取替え以外に、扉や柱の撤去、ドアノブの形状変更、戸車の設置が住宅改修の付帯工事になります。なお、平成21年4月からは、「引き戸等の新設」が「引扉の取替え」として給付対象となりました。ただし、この場合は「引き戸等の新設により、扉位置の変更等に比べ費用が低廉に抑えられる場合」に限定されますので注意が必要です。

便器の取替え

介護保険による住宅改修では、和式便器から洋式便器へ変更する、既存の便器の位置や向きを変更する場合が挙げられます。便器の取替えに伴う給排水設備工事、便器の取替えに伴う床材の変更が付帯工事になります。

付帯工事は場合によっては介護保険の支給対象ではない事がある

介護保険による住宅改修では、場合によっては住宅改修の付帯工事が支給対象外となります。引き戸の新設の項でも一部説明しましたが、自動ドアとした場合は、自動ドアの動力部分の設置は介護保険の給付対象となりません。また、段差の解消のための昇降機やリフトを設置する付帯工事は対象外となります。トイレの場合では、既に洋式便器が設置されていれば暖房便座や洗浄機能付きの便器にアップグレードする付帯工事は認めれませんし、汲み取り式の和式トイレを洋式トイレに変更する場合に、水洗化(浄化槽設置)の付帯工事は支給対象外となります。

介護保険の支給対象になるかどうかはケアマネジャーに相談しよう

介護保険による給付は在宅生活を支えるために重要ですが、住宅改修による支給対象は公費であることを考えると、限度額や支給対象外になることも当然あり得ます。例えば、手すりを浴室に設置する場合は、壁に直接取り付ける場合は支給対象ですが、浴槽に取り付けるタイプの手すりは支給対象外です。トイレのかさ上げのために便座を補高することも支給対象外となります。浴槽のかさ上げのために「すのこ」を設置したとしても支給対象として認められません。介護保険による住宅改修や付帯工事は、業者によっても経験値や得手不得手がありますが、ケアマネジャーは介護保険を熟知していますので、住宅改修や付帯工事について相談しましょう。


まとめ

病気や障害によって自宅生活が困難だと思っても、住み慣れた場所で生活するための手段として、介護保険のサービスを上手に利用することが重要です。家の中を歩くことが不安定であっても、手すりや段差解消で安定性を取り戻すことができる可能性があります。トイレや入浴も、適切な住宅改修と介護があれば自宅でも対応可能です。「正しいことを、正しいときに」行うためにケアマネジャーは存在します。
この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

ランキング