更新日:2017/12/24
介護保険制度における住宅改修費支給申請の為の見積書について
介護保険制度のサービスの一つに住宅改修費の支給があります。改修を受けるには、ケアマネージャーや事業者に相談し改修箇所の確認、見積書の作成を行ってもらいます。見積書等を市町村の介護保険担当窓口に提出し、事前申請を行うことで住宅改修費の支給を受けることが可能です。
目次を使って気になるところから読みましょう!
介護保険の住宅改修に必要な見積書
介護保険を使用し住宅改修を行う際には、まずケアマネージャーや事業所と共に改修が必要な箇所の確認や改修内容を決定します。
そして決定した内容に基づき事業者に見積書の作成を依頼します。
事業者は見積書を作成したら、利用者に施行箇所や金額を説明し、見積書の内容に承諾を得ます。
介護保険を使用し住宅改修を行う際には、改修施行前に保険者(介護保険被保険者証に記載のある市町村)の介護保険課に事前に申請を行います。事前の確認を受けずに実施した改修工事に対しては保険給付がされませんので、とくにご注意ください。
市町村による確認が終了後、施工を開始します。
工事完了後に、介護保険(介護予防)住宅改修費の支給申請をし、市町村による確認を経て、改修費が支給される仕組みになっています。
ここからは介護保険住宅改修に必要な見積書の内容やポイントについて説明してゆきます。
介護保険の住宅改修工事費の見積書とは
介護保険の住宅改修工事費の見積書について
介護保険は公的な制度であり、適切な運営を行う必要があります。
住宅改修を行う際に事前申請を行うのも、市町村がその改修の必要性の有無を検討し、費用の妥当性を判断する為です。見積書は妥当性を判断するのに必要な書類です。
住宅改修の見積書の項目は介護保険法で定められています。
注意点として1.見積書の宛名は必ず被保険者本人2.見積書には見積もり当日の日付を記載3.見積書には事業者の印鑑を押印する4.改修する箇所や改修方法(住宅改修の種類)を記載する5.住宅改修費の支給対象の工事と支給対象外の工事を同時に行うことは可能ですが、支給対象になる部分とならない部分を区別して見積書に記載する などが挙げられます。
住宅改修を行う事業者は特に介護保険サービス事業者である必要はありませんが、見積書の必要項目が満たされていることを確認しましょう。
住宅改修の見積書に書く内容
①改修工事を行う場所(○○邸、○○マンション等、住所)
②施工事業者名
③施行する部屋名(寝室、玄関等)改修部分、住宅改修箇所
④住宅改修の種類(手すりの設置・床段差の解消・床材の変更等)
⑤使用する材料の内容(メーカー・品番)、地下、数量、単位、単価
⑥⑤のうち介護保険対象部分の数量、単位、金額
※また工事一式とは記載せず、材料費や施工費、諸経費は明確に記載すること。
工事箇所毎に記入が必要な項目
材料費は商品名やメーカー名、品番、単価、数量等を明記してください。
メーカー品を使用する際には、必ず材料の仕様や寸法が明確にわかるようカタログや資料の写し等を添付し、該当する材料には印をつけてください。
浴室の改修で、システムバスに入替の場合は、回収部分についてメーカー作成の内訳書を添付し、それに基づいた見積もりを作成します。
住宅改修工事の支給対象工事に併せて、支給対象外の工事も行われた場合は、対象部分の抽出、按分等の適切な方法により、住宅改修費の支給対象となる費用を明示します。
そして住宅改修費の支給対象分と支給対象外分とを区別して作成してください。
また改修の種類、箇所ごとに住宅改修費の支給対象となる費用を算出し、その合計額を申請書の「改修費用予定額」欄に記入してください。
書式はPDFでなくても良い
居宅介護(介護予防)住宅改修費の支給申請を行う際、原則市町村の指定する書式を使用してください。(PDFの書式でなくても結構です)。同じ項目が記入されていれば、施工業者の独自形式でも受付されますが、必要事項が記入されていない場合には、差し替えを求められることがあります。不明な点がある場合は、事前に市町村のホームページや窓口で確認しておきましょう。
介護保険の住宅改修で見積書以外に必要な書類
①介護保険被保険者証
②住宅改修費支給申請書
③住宅改修費理由書
④住宅改修の施行前の様子がわかる書類(自宅内の写真、見取り図、施行図)
※施行図については、施行箇所や施行方法を明確にする。
(例:浴室内にⅬ字の手すりを設置する場合、どこの壁に設置しどこで折り曲げるのか等施行内容が細かくわかるようにする。)
⑤住宅改修後の完成予定の状態がわかる写真
⑥住宅改修の承諾書(住宅の所有者が家族・親族の場合)
⑦住宅改修の承諾についてのお願い(賃貸住宅の場合)
また、住宅改修費の支給の申請については、事前申請だけでなく改修完了時にも市町村の窓口で申請が必要です。
その際に必要な書類としては、
⑧介護保険(介護予防)住宅改修完了届
⑨住宅改修工事費内訳書
⑩領収書
となります。
必要な提出書類
見積書以外に必要な提出書類のうち、上記②の住宅改修費支給申請書、③の住宅改修の理由書については市町村(介護保険保険者窓口)に備え付けがあります。HPからダウンロードが可能な場合もあり詳細については各市町村介護保険窓口に問い合わせて下さい。
また住宅改修の理由書については、利用者情報(介護保険被保険者番号、氏名、住所、年齢、生年月日、性別、介護保険要介護認定の状況
)という基本的なものの他に、利用者の状態を細かく把握する為に以下のようなものがあります。
- 利用者の身体状態(現在の状態に至るまでの経緯、今の身体の状態)
- 介護状況(自宅の環境、介護者の状況等)
- 住宅改修により利用者等は日常生活をどう変えたいか(どこの箇所をどのように改修することでどのような効果を期待するか)
- 福祉用具の利用状況
- 排泄、入浴、外出、その他の活動の中で改善を使用としている生活動作(排泄時の便器からの立ち上がり動作等)
- 具体的に困難な状況(トイレ内に掴まる物がない為手すりを設置し安全に動作が行えるようにしたい等)
- 改修の目的
- 改修項目
⑧の介護保険(介護予防)住宅改修完了届を提出する際は、住宅工事費内訳書に領収書を添付して提出します。内訳書は同じ項目が記入されていれば、施工業者の独自様式でも受付されますが、必要事項が記入されていない場合には差し替えとなる場合があります。
介護保険(介護予防)住宅改修工事をおこなった箇所、内容、規模を明記し、材料費、施工費、諸経費等を区分し記入します。
また住宅改修費の支給対象部分が把握できるように記載します。
そして内訳書内の工事金額と、介護保険支給部分と支給対象外部分の合計額が同額となるように記入しましょう。
まとめ
住宅改修のように在宅で生活する要介護者とその家族を支援するサービス(居宅介護支援)として他にも
- 訪問介護サービス(生活援助・身体介護・通院等乗降介助)
- 通所介護サービス
- 通所リハビリサービス
- 訪問看護
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護
- 福祉用具貸与
- 居宅療養管理指導(医師、歯科医師、歯科衛生士、薬剤師)等
があります。
自宅内の環境を整えるだけでは困難な日常生活上の問題を解決できるよう、自宅で生活する要介護者の方も家族の方も安心して生活できるようサービスについての理解を深めることが重要でしょう。
また、急に介護が必要になった際どこに相談したら良いのか、誰に相談したら良いのか戸惑うこともあると思いますが、市町村の介護保険課や地域包括支援センター、在宅介護支援センターに相談窓口がありますのでご活用下さい。